使徒2:1-12

 聖霊に満たされて

2021年 5月 23日 主日礼拝

聖霊に満たされて
聖書 使徒言行録2:1-12

おはようございます。今日は、聖霊降臨日です。また、午後からは教会の総会を持ちます。総会は教会の決議機関であるだけではなく、この教会が国や東京都に対して約束をしている法人規則に従って、開かれるものです。そして、一番大事なのはイエス様のご命令に従って私たちが歩んでいることを確認し、また改善していくための機会であるという事です。総会では、そういう意味での活発な意見が出ると良いと考えています。

 

さて、今日はペンテコステですが、ギリシャ語で数字の50を指します。(希:πεντηκοστῆς) 日本語では、5旬節と訳されています。イースターの復活を第一日として50日目ですから、イースターの7週間後の日曜日がペンテコステになります。もともとは、ユダヤでは過ぎ越しの祭りから7週後の祭りの日(収穫祭)だったのですが、その日に聖霊が降ったという事で、キリスト教の記念日となりました。今日の聖書には、その聖霊が降った様子が書かれています。イエス様は、復活してから40日の間弟子たちの前に現れ、そして天に昇られました。イエス様が天に昇られてから10日たって聖霊が降った事になります。

 

イエス様は天に昇られる前、弟子たちに、このように言われています。

使徒『1:5 ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられるからである。」』

 

弟子たちはイエスの言葉に従い、共に集まり、祈って、待ちました。10日後、五旬節の祭の日に不思議な出来事が起きます。一同が集まっていた時のことです。

 

そこにいたのは、『1:13~ペトロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、フィリポ、トマス、バルトロマイ、マタイ、アルファイの子ヤコブ、熱心党のシモン、ヤコブの子ユダ~』と女性たち、それからイエス様の兄弟たちです。全部で120人くらいが、エルサレムの都に滞在していました。こうした祈りに答えられたのでしょう。弟子たちのもとに聖霊が降りました。すると、それまで臆病で逃げ回っていたあの弟子たちが、雄弁に語り始めたのです。しかも、群集それぞれの出身地の言葉でみ言葉を語りはじめたのです。イエス様が天に昇った今、弟子たちはみ言葉を語る者として立てられたのです。弟子たちに聖霊が降り、その聖霊の働きによって、イエス様の弟子たちの群れには多くの信じる者が起こされました。

 

福音書記者ルカは、この使徒言行録をルカによる福音書の続編の様に書き記しました。その内容は、「聖霊の働き」ともいえる文書でありまして、多くの使徒たちが聖霊によって力が与えられた証の書であります。

 

ルカは、聖霊の降る様子をこのように記しました。

『2:2突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。2:3そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった』

 

聖霊とは、「聖い霊」を指します。神様から出てきた霊だからです。霊とは、原語のギリシャ語では「プネウマトス:πνεύματος」で、その意味は、「風」「息」「霊」です。これらの言葉は、肉体と独立した「精神」と言うような意味も持っていて、感じることが出来ても、見ることはできないことを表しています。そして、その「精神」は大きな力を持っているのです。

例えば、創世記に『2:7 主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。』とありますように、物質でしかない肉体に「息」を吹きかけることによって、命を与えられるのです。古代から、眼に見えない大きな力を感じたときに、それを「霊」と呼び、その霊の働きを「風」や「息」で表現しました。ルカは『激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえた』と、聖霊が降ってくる様子を表したのです。

 

その神の息は、『炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった』とルカは記述します。炎は神様がそこに臨まれたことを示しています。聖霊が弟子一人一人に働かれて、「舌」つまり語る「言葉」を賜ったことを、ルカは表現したのです。

バプテスマのヨハネは、このことを預言していました。

ルカ『3:16~その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる。』

 

「炎のような舌」は、そのバプテスマのヨハネの預言が成就したこと。つまり、弟子たちが聖霊を頂き、そして、神様によって語るみ言葉を頂いたことを、ルカは伝えているのです。

その聖霊が、降りました。そして強く働きかけ始めるのです。

『すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。』のです。これは、ペンテコステの第一の出来事です。

 

その当時のエルサレムには、多くのローマの支配している国々から、追い出されて帰国していたユダヤ人たちがいました。弟子たちは、集まってきた人々に向かって、それぞれの国の言葉で、福音を語り始めます。たまたま、外国語で語りだしたのではなく、エルサレムではその時、伝道のために多くの言葉が必要だったのです。そして、イエス様はその必要に合わせ聖霊を降してくださったのです。

 

ペンテコステで起こった出来事の二番目は、聖霊が降ったその結果です。語られた言葉が「聞かれた」のです。聖霊の力によって弟子たちが語った内容は、「祭司長たちが殺したイエス様こそ、神の子である」と言うこと、そして「神様の偉大な業は、イエス様の十字架と復活の業によって、私たちの罪を贖われた」と言う事です。その時のエルサレムで、このようなことを話したら、そして聞いていることが見つかったら、たいへんに危険だったと思います。イエス様が十字架に掛けられたときの様に、祭司長たちが命を狙ってくるに違いありません。そういう意味で、驚くべきことを語ったのです。群衆の中には、『あの人たちは、新しいぶどう酒に酔っているのだ』とあざける者もいましたが、多くの群衆がきちんと聞いていたようです。なぜなら、弟子たちの話の中身について、あざけてはいないからです。むしろ教養があるとは思えないガリラヤ出身のイエス様の弟子たちが、急に外国語を話し出したことや、正しく聖書を教えられることに驚いていたのです。群衆は、ガリラヤ出身の弟子たちが出来ることではないと、思っていたからです。群衆は、聖霊の働きについて、まだ知りませんから、驚きでしかなかったのです。

それでも、語る弟子たちは語り続け、群衆もその言葉に耳を傾けました。聖霊による導きなのでしょう。また、イエス様の十字架の出来事の後、復活されたことを群衆は知っていて、集まっていたのかもしれません。どちらにしろ、イエス様の十字架の出来事によって、弟子たちが福音を語る機会が導かれたのです。そして、多くの群衆が弟子たちの語る福音に耳を傾けたのです。

 

今日の聖書の箇所の後には、ペトロの説教があります。聖霊に押し出されて語られた言葉は、多くの人々の心を動かしました。その成功の様子がこのような記事に残されています。

『2:41 ペトロの言葉を受け入れた人々は洗礼を受け、その日に三千人ほどが仲間に加わった。』

人々はペテロの話に心を打たれました。聖霊の働きによって、福音を聞く群衆はそのペトロの話を受け入れ、信仰を与えられたのです。

 

神様はペンテコステの日に、弟子たちに聖霊を降され、弟子たちに語る勇気と力を与えました。そして、その言葉を聞くことを聖霊によって導かれました。その結果、群衆はバプテスマを受けたのです。こうして、最初の教会が始まりました。教会は、聖霊の働きによってできた「キリストの体」のことであります。

 

イエス様は、過ぎ越しの祭の前日に十字架にかけられました。それから50日後、五旬節の祭の時に、イエス様の弟子たちに聖霊が与えられました。過ぎ越しの祭は出エジプトの経験を通して、神様が子羊の血の塗られた門は「過ぎ越す」として、イスラエルの救済を祝う祭りであります。そして、その「過ぎ越し」の後にイスラエルの民は神様から契約のしるしとしてモーセの「十戒」を頂きました。これは、古い契約になります。ペンテコステの時、イエス様の弟子たちは、「過ぎ越し」の後に新しい契約のしるしとして、「聖霊」を頂いたのです。

弟子たちは、十字架の出来事を通して、「神の子羊」であるイエス様の血の犠牲によって、弟子たちへの禍を「過ぎ越し」ました。実際に過ぎ越しを体験したのです。その出来事によって、弟子たちは新しい契約をイエス様から頂きました。聖霊によって導かれる、新しい生き方を与えられたのです。

 

この新しい契約はイエス様の血によって結ばれました。主の晩餐の式文にある通り、イエス様は最後の晩餐の時にこのように言われました。

ルカ『22:20この杯は、あなたがたのために流される、私の血による新しい契約である』

イエス様によって結ばれた新しい契約が、イエス様の復活後50日目に効力を発揮し始めた、それがペンテコステの出来事の第三の意味です。この聖霊降臨を通して、私たちは「律法と言う書き物にではなく、霊に仕える者」として変えられていくのです。これはパウロの言葉です。

二コリ『3:6a 神はわたしたちに、新しい契約に仕える資格、文字ではなく霊に仕える資格を与えてくださいました。~』

 

「新しい契約」は霊による契約です。そして、この霊はイエス様を信じる者に無条件で与えられたのです。霊による契約では、律法に書いてあることを守り、律法に仕えることは条件とはなっていません。すべてのイエス様を信じる人が、与るのです。

 

さて、今日は教会で総会があります。すでに3月の初めには2021年度計画が、そして2週間前にはそれを含め、2020年度報告が配布されています。これらの総会資料は、必要でかつ目で見える物です。私たちは、聖霊の働きという目に見えない神様の働きを憶えながら、総会に臨みたいと考えます。そうすれば、イエス様のご命令がどこにあるかを考えながら、イエス様の体である教会を支えていくことが出来ると思います。

 イエス・キリストが十字架で流された血によって、「新しい契約」が準備されました。その契約のしるしとしてイエス様を信じる者の祈りに答えて、イエス様は「聖霊」を下さいます。この「聖霊」によって生かされた者は、新しい命を与えられます。そして、そこには驚くべき伝道の業が始まるのです。イエス様に祈って、聖霊の助けを求めてまいりましょう。