ヨハネ20:11-18

復活のキリストは後ろから

この場面の登場人物は マグダラのマリアです。『ヨハネによる福音書』では、弟子たちに主の復活を告げる役割を担いました

 ヨハネによる福音書の記事は、イエス様が後ろに立っておられるのに、気が付かないで泣いているマグダラのマリアから始まります。早朝なので、まださほど明るくもなく、顔が良く見えなかったものと思われます。

イエス様は『婦人よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか。 』と聞きますが、マリアは園丁だと思って、
遺体を引き取りたい旨を言います。まだ、復活なさったイエス様に気が付いていないのです。

イエス様はマリアを呼びます『マリア』・・・

 この声で、マリアは、イエス様であることがわかり、振り向きました。日頃、イエス様から呼びかけられる名前、そして、その声でそこに立っているのがイエス様である事、そして日ごろ教えられてきた「復活」について、マリアはこの時信じることができたのです。イエス様の姿が見えたからではなく、気が付いた理由は、イエス様の呼びかけでした。 イエス様は、思いもかけず、後ろから私たちに呼びかけられるのです。いつもの声で。 

 *************** マグダラのマリア ***************

マグダラのマリアに関する聖書の箇所を挙げてみました。当時、女性が先生の弟子になって学ぶという事はありませんでしたが、イエス様は多くの婦人を弟子とされていました。マグダラのマリアは、その中でも一番の弟子のようです。

『ルカによる福音書』(ルカ8:1-3, 23:55)には、マグダラのマリアについて、このような記事があります。

ルカ『8:1 すぐその後、イエスは神の国を宣べ伝え、その福音を告げ知らせながら、町や村を巡って旅を続けられた。十二人も一緒だった。8:2 悪霊を追い出して病気をいやしていただいた何人かの婦人たち、すなわち、七つの悪霊を追い出していただいたマグダラの女と呼ばれるマリア、8:3 ヘロデの家令クザの妻ヨハナ、それにスサンナ、そのほか多くの婦人たちも一緒であった。彼女たちは、自分の持ち物を出し合って、一行に奉仕していた。』

ルカ『23:55 イエスと一緒にガリラヤから来た婦人たちは、ヨセフの後について行き、墓と、イエスの遺体が納められている有様とを見届け、23:56 家に帰って、香料と香油を準備した。』

ルカの記載から、マグダラのマリアは、7つの悪霊を追い出してもらった婦人であること。そして、墓に行った婦人たちの中で、マグダラのマリアには他の婦人たちとの区別はないことが読み取れます。

 『マタイによる福音書』(27:56、27;59-61、28:1)では、このような記事があります。

マタイ『27:56 その中には、マグダラのマリア、ヤコブとヨセフの母マリア、ゼベダイの子らの母がいた。』

マタイ『27:59 ヨセフはイエスの遺体を受け取ると、きれいな亜麻布に包み、27:60 岩に掘った自分の新しい墓の中に納め、墓の入り口には大きな石を転がしておいて立ち去った。27:61 マグダラのマリアともう一人のマリアとはそこに残り、墓の方を向いて座っていた。』

マタイ『28:1 さて、安息日が終わって、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリアともう一人のマリアが、墓を見に行った。』

マタイでは、マグダラのマリアともう一人のマリアが、11使徒への復活の伝達の役割を担いました

『マルコによる福音書』(15:40~16:11)では、イエス様が現れたのはマグダラのマリアが最初でした。そして、逃げた弟子たちのところに復活を伝える役割を担いました

マルコ『15:40 また、婦人たちも遠くから見守っていた。その中には、マグダラのマリア、小ヤコブとヨセの母マリア、そしてサロメがいた。15:41 この婦人たちは、イエスがガリラヤにおられたとき、イエスに従って来て世話をしていた人々である。なおそのほかにも、イエスと共にエルサレムへ上って来た婦人たちが大勢いた。』

マルコ『16:9 〔イエスは週の初めの日の朝早く、復活して、まずマグダラのマリアに御自身を現された。このマリアは、以前イエスに七つの悪霊を追い出していただいた婦人である。16:10 マリアは、イエスと一緒にいた人々が泣き悲しんでいるところへ行って、このことを知らせた。16:11 しかし彼らは、イエスが生きておられること、そしてマリアがそのイエスを見たことを聞いても、信じなかった。』

カトリック教会では、『ルカによる福音書』(7:36-50)に登場する「罪深い女」と彼女が同一人物とされたようです。(特段の根拠はないと思われますので、別人として考えましょう)