使徒9:1-19前半

サウロの回心

  1.サウロ

サウロは、タルソス生まれでギリシャ語とヘブライ語(アラム語)を話し、ローマ市民権を持っていました。ファリサイ派の一人として、イエス様の弟子たちの群れを迫害していました。

イエス様の弟子たちの群れは、最初120人くらいだったのですが、聖霊降臨以降バプテスマを受けて共同生活を送った人たちが多かったようです。イエス様の弟子たちは、神殿などで教え、そして癒しを行っていました。その人気ぶりに祭司長たちは、嫉んだようです。それが元で、ステファノの事件の時からだんだんエスカレートして、エルサレムではギリシャ語を話すイエス様の仲間は捕まっていきました。(11弟子などアラム語を話す弟子には、そのような事はありませんでした)そして、こんなにも離れたダマスコまでもイエス様の弟子を捕まえにやってきたのです。そして、サウロはダマスコでイエス様に出会うのでした。

2.イエス様の声

 『9:4 サウロは地に倒れ、「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」と呼びかける声を聞いた。』 (ここのサウロ、サウルは、Σαούλ 原語では同じ名前です)

イエス様は、まさに迫害をしようと向かっているサウロに呼びかけました。サウロは倒れ、そして主が呼びかけたのだと気づきます。そして、イエス様は、パウロにこれからすべき働きに導いていくのです。パウロは立ち上がりましたが、目が見えず、ダマスコには連れて帰ってもらいます。

 イエス様は、今度はアナニアという弟子に、サウロの目を癒しに行くように指示をします。アナニアは、サウロがどのようなことをした人かを知っていました。自分たちの信仰の仲間を迫害し捕まえているサウロを助けることなど、したくないのは当然です。しかし、イエス様はサウロを『異邦人伝道や王たち、またイスラエルの子らにわたしの名を伝えるために、わたしが選んだ器である。』と言い、サウロがこれから、その働きのために苦しむことをアナニアに言います。アナニアは、主の命令に従いました。そのことが必ず起こされると確信したのです。

3.兄弟サウロ

 たった今まで敵であったサウロをアナニアは尋ねます。そして、サウロに手を置いて言いました。敵ではなく、イエス様に従う兄弟の一人としてサウロに接したのです。

『兄弟サウル、あなたがここへ来る途中に現れてくださった主イエスは、あなたが元どおり目が見えるようになり、また、聖霊で満たされるようにと、わたしをお遣わしになったのです。』

すると、サウロの目が見えるようになりました。そして、バプテスマを受けました。

サウロは主に会い、そして主にとらえられ、目が見えないままで祈り続けたからです。そして、祈って、祈って主から新しい命令を受け取ったからです。そのことがあってから、イエス様はアナニアを派遣されたのです。その時、サウロはイエス様を信じ聖霊に満たされていました。

 アナニアは、サウロに手を置きました。これは祝福するときの所作です。すでに聖霊に満たされて、信者となった兄弟サウロに、祝福を与えたのです。そして、その祝福は任命でもあります。サウロは、異邦人伝道の使徒として、祝福を受けたのです。これは7人の執事が任命された記事からも、推察されます。

参考:使徒『6:6 使徒たちの前に立たせた。使徒たちは、祈って彼らの上に手を置いた。』

ダマスコは、エルサレムから歩いて5日ぐらいです。(Bible Mapperで作成)