ダニエル書1:1-21

神様の御計らい

  

1.登場人物

ユダの王:609年        ヨアハズ(エホアハズ)

     609年 - 598年 エホヤキム(ヨヤキム) バビロンに服従

     598年(3か月)エホヤキン(ヨヤキン) 次王ゼデキヤと共にバビロニアへ連行され、

                        37年間にわたって拘禁される。その後開放。

     597年 - 587年 ゼデキヤ 目を刳り出されてバビロニアへ連行された。(20代目で最後の王)

     バビロン捕囚は、紀元前597年が初回、その後、586年ごろ、紀元前582年581年ごろ、

     最後の捕囚は紀元前578

ネブカドネツァル:ネブカドネザル2世紀元前634年 - 紀元前562年(在位紀元前605年 - 紀元前562年)


ダレイオス:不明 メディア人で王になったのは62歳(ペルシャ3代目王のダレイオス1世とは別人物)

キュロス:紀元前600年頃 - 紀元前529年 キュロス2世は、アケメネス朝ペルシアの初代国王(在位:紀元

     前550年 - 紀元前529年)。紀元前539年バビロンを無血征服。

列王記下『24:1 彼の治世に、バビロンの王ネブカドネツァルが攻め上って来た。ヨヤキムは三年間彼に服従したが、再び反逆した。』


歴代誌下『36:5 ヨヤキムは二十五歳で王となり、十一年間エルサレムで王位にあった。彼は自分の神、主の目に悪とされることを行った。36:6 その彼をバビロンの王ネブカドネツァルが攻めて来て、青銅の足枷をはめ、バビロンに引いて行った。36:7 ネブカドネツァルは主の神殿の祭具類もバビロンに持ち帰り、バビロンにある彼の宮殿に納めた。』


 この2つの記事を見ると、バビロン捕囚は年表上ではユダ王国滅亡の後となっていますが、実際は18代王のヨヤキムの時にバビロンに連行され、祭具を取られました。そういう歴史的背景から言って、ダニエルはバビロン捕囚よりも前にヨヤキムと共にやってきた可能性があります。


2.宮廷の肉と酒

  ダニエルたちは、ユダヤ教徒ですから食物禁忌があります。敬虔なユダヤ教徒は、カシュルートに適合した肉や鶏肉だけを食べるわけです。(適合していない肉:ラクダ、イワダヌキ、ウサギ、ブタ) これらの禁忌は、肉そのものでなくてスープや出汁に含まれてはいけないのです。つまり、豚を食べる習慣のあるメソポタミア人の作る料理は、食べられないのです。ですから、野菜だけを食べることになります。もちろん、お酒や乳などにも禁忌はありますので、出されたものを味見することもままなりませんから、飲み物は信頼できるカルシュートを出してくれることが保証されていなければ、水だけにするのはやむを得ないでしょう。

 ダニエルは、侍従長に10日だけ試してみましたが、ダニエルたちが健康そうなので、ダニエルの言う通り、禁忌の食事は出さずに、野菜だけを与えたということです。これは、神様のなした奇跡なのでしょうか?それとも菜食主義者のように、野菜だけで十分健康でいられるからでしょうか? どちらであるか、判断は不可能ですが、少なくとも信仰を守るために、食事や飲み物の誘惑に負けなかったことがわかります。また、彼らが、外国語を学び、そしてカルディア人たちよりも優秀であったということです。これも、神様の奇跡なのか、本人たちが真に優秀だったかのどちらかでしょう。あえて、このダニエル書でこれから起こる奇跡の予兆として、受け止めることも良いでしょう。

3.ダニエル書の価値


 ダニエルたちは、祈祷師や占い師よりもよっぽど優れていたとされます。バビロンの国政で知恵と理解力が必要な事項を相談したとのことですが、今でいう、大臣と言う立場で国を治めたようです。ただ、それだけならば、聖書の記事にする価値がありません。また、ネブカドネツァルの幻視(夢解き)についても、「いつか、バビロンが滅びる」との預言でありますが、それ自体はすぐに成就したことでもあるので、語り伝える価値はさほどでもありません。また、ライオンや燃え盛る炉の中から生還すること自体も、奇跡物語であるものの、子々孫々伝えるべき教訓もなければ、預言でもありません。やはり、価値があるのは、誰も預言していない、7章以降の2つの幻視だと言えます。  

定めの七十週(9章):ダリヨス王の治世の第一年にダニエルに生じた出来事。ダニエルがエレミヤ書を読んだ後にヤハウェに懺悔の祈りをしていると、ガブリエルが飛んできてメシアが来るまでの期間についてのお告げを受けます。

終わりのときについての幻(10章から12章):ペルシャの王キュロスの第三年にダニエルが見た幻。末の日に臨む大いなる戦いを意味する事柄が啓示される。ペルシャやギリシャ、エジプト、北の王、南の王、ミカエル、キッテムの船、などが登場する。常供の燔祭が取り除かれてから1290日が定められています。