マタイ25:14-30

 タラントンのたとえ 

  

1.タラントン

タラントとは、以下 精選版 日本国語大辞典の解説〘名〙 の解説です。

 『旧約聖書では、三千シケルに相当する重量の最大単位をいう。新約聖書では、重量と、六千デナリに相当する通貨の単位をいう。のちにこのことばは、各自に与えられた神の賜物の意に使われるようになった。「才能」の意のタレント(talent)も、これに由来する。』

 

ここで使われているタラントンは、今のお金だとしたら6000万円くらいでしょうか? タラントンは、譬えでありますので、神様から頂いた「能力」(タレント)を指していると考えてください。

 

2.忠実な僕

 「忠実な」の元の言葉は、信仰です。Faithfulと英語では表されます。これは、「忠実な」という意味があるとともに、「信仰深い」と言う意味があります。むしろ聖書での取り扱いですから、この言葉を「信仰深い」と言う意味に受け取った方がわかり易いと考えます。

 また、僕とは原語で奴隷を指します。僕(ぼく)(しもべ)と言う言葉は、少し目下のことをさしますので、へりくだって自分のことを僕と呼ぶのは日本男子の習慣であります。また、原語では、明確に奴隷と書かれていますので、僕という対等に近い身分ではありません。


奴隷とは、「人間としての名誉、権利・自由を認められず、他人の所有物として取り扱われる人。」です。したがって、所有者の支配全てに服し、労働を強制され、譲渡・売買の対象とされた人を指します。そういう意味で、「主人に忠実な僕」とそのまま読んでもいいのですが、「神様の支配すべてに服す、神様の奴隷」と読むのも良いでしょう。


また、神様の奴隷の「忠実」さとは、その人の「信仰深さ」のことだと考えて良いでしょう。

 

3.天の国

 この物語は、天の国をたとえたものです。天の神様は、3人の奴隷にそれぞれ能力に従って、5タラントン、2タラントン、1タラントンの財産を預けました。これは、この3人の奴隷に神様が与えた「能力」と読み替えても良いでしょう。神様が帰ってくると、5タラントンを預けた者は5タラントン増やし、2タラントンを預けた者は2タラントン増やしていました。神様は、この二人を褒め、その増えたタラントンもそのままその二人に預けました。

 

 最後に1タラントン預けた者は、『あなたのタラントンを地の中に隠しておきました。御覧ください。これがあなたのお金です。』と言って、1タラントンを差し出します。すると神様は、『怠け者の悪い僕だ。』と言うわけです。そして、その1タラントンは10タラントンを持つ者に与えることになりました。

 

 1タラントンを主人に返した者は、なぜ、神様から頂いた能力を使う事をしなかったのでしょうか?ほかの者たちは、言われる通りに神様から頂いた能力を使って、さらに能力を高めました。しかし、能力を使わなかった者は、その1タラントンの能力すら取り上げられてしまったのです。原因は、能力がなかったからではありません。神様を信じ、従う事をしなかったからです。そして、神様を喜ばそうと思うよりも先に、保身に走ってしまったのです。

 

一方で、神様は、それぞれの能力を育てるために、その能力に会ったタラントンを預けます。神様を喜ばせたいと思うなら、それを使ってタラントンを増やすでしょう。また、神様の奴隷だったら、特に動機がなくても、同じ様にタラントンを増やすでしょう。奴隷であるならば、主人のいう事を聞かないことには生きていけないからです。そういう意味から考えると、1タラントンを取り上げられた奴隷は、天の国で生活をすることが許されないのです。天の国は、神様の奴隷である私たちの住むところなのですから。ですから、小さな応答であっても、神様のご命令には答えていく。そうすることで、天の国にいることが出来るのです。