ダニエル書12:1-13

その時まで、その時には


  

11章36節~12章3節までは、ダニエルの見た「終わりの時」の幻です。ダニエル9:24に示された「七十週預言」の最後の「一週」(7年間)に起こる事が示されています。ミカエルはイスラエルの民を守り、イスラエルのために戦う御使いです(ダニエル10:21)。その味方であるミカエルは、幻の中でこのように語ります。

『12:4 ダニエルよ、終わりの時が来るまで、お前はこれらのことを秘め、この書を封じておきなさい。多くの者が動揺するであろう。そして、知識は増す。」』

 神様の御計画は、預言者を通して語られています。しかし、「終わりの時」については、それぞれが秘められ、そして封印されました。そのためか、旧約聖書のなかで、「終わりの時」は解き明かされませんでした。そのために、キリストの再臨をめぐって、多くの人々が混乱したようです。第一にいつキリストが現れるか?が明らかではありません。そして、その先の再臨ですが、キリストが一度現れていることを前提にするキリスト教会でも、再臨はいつなのかを予想することもできません。特に、初代教会ができたころは、終わりの時がすぐに来ると考えられていましたから、その時まで遊んで、面白おかしく暮らそうという人たちまでいました。現代になっても、再臨がいつ訪れるかは、いろんな説や偽預言はあっても、確たることはわかりません。いつ、再臨があっても良いように私たちは信仰を深め、そしてより多くのキリスト者が与えられるように伝道することが、私たちに与えられた使命です。

1. ダニエルの見た最後の幻

この幻には、二人の人(み使い)が証人として現われます。ここでは川の水の上にいる、あの麻の衣を着た人(キリスト)が語った永遠に生きる方への誓いは、両手を天に向けて上げる所作で、さらに天に誓ったことを強調します。二人の証人、そしてそこにはダニエルがいます。三人の証人がその誓いを聞きました。

 ダニエルは、12章1節に記されている「かつてなかったほどの苦難の時が来る」こと。「その時、あなたの民で、あの書に記されている者はすべて救われる」という預言について、ダニエルは尋ねています。

「これらの驚くべきことはいつまで続くのでしょうか」すると、麻の衣を着ている人は、答えます。

『「一時期、二時期、そして半時期たって、聖なる民の力が全く打ち砕かれると、これらの事はすべて成就する。」』

「一時と二時と半時期」とは、1+2+0.5で、三年半に相当します。この3年半後が、ユダヤ人にとって、最大の試練の時となります。その試練とは、「聖なる民(ユダヤ人)の勢力を打ち砕く」ためのもので、ユダヤ人は迫害の苦難と深い悲しみを受けます。そのとき、キリストは再臨され、「獣」とにせ預言者(単数)は共に「硫黄の燃えている火の池に、生きたままで投げ込まれ(黙示19:20)、悪魔でありサタンである「竜」は捕らえられて、底知れぬところに投げ込まれて千年の間、そこに幽閉されます(黙示録20:2~3)。それから千年王国が到来します。(ダニエルが最後に聞かされた内容は封印されました。しかし、使徒ヨハネが「黙示録」にキリストから啓示されたその解き明かしたのです。)

2.ダニエルの質問への答え

 ダニエルは聞きます。『主よ、これらのことの終わりはどうなるのでしょうか。』

答えは、

①終わりの時まで、秘められ封じられている。(その時まで、誰も知ることができない)

②多くの人がこれらの試練によって清められ、清められ、精錬されるでしょう。しかし,悪人は自分の悪事を歩み続け、だれも理解しないでしょう。賢い人だけがそれが何を意味するのか知るでしょう。

③通常のいけにえ〔すなわち,毎日の焼き尽くすいけにえ〕が取り除かれ、忌まわしい像が据えられたときから,1,290日あります。

④そして、1,335日の終わりまで待っている人々は幸いです!

⑤最後まであなたの道を進んでください。そして、あなたがたは休息し、その日の終わりに、あなたがたに与えられた場所に立つであろう。

 ⑤に示す瞑想の最後の部分(12:31)は、預言者ダニエル個人に対する神の約束です。ダニエル書では、この幻は解き明かされていません。この後、70週(490年)後に「最後の日」がやってくること、70週目(484年)には、「焼き尽くす生贄」が復活し、3年半後に、それが廃止され、試練の時がやってくる。そして3年半続き、千年王国が来るまで、45日あるということだけが、知らされます。ダニエル自身も、この幻の命令によって、何が「最後の日」に起こるのかを知ろうとすることを止められました。ですから、新約の「ヨハネによる黙示録」が書かれるまで、その預言は解き明かされなかったのです。

1290日と1335日:一年を360日とするユダヤ暦によれば、その始まりは、忌むべきものを聖所に据える時から数えて、1290日すなわち、三年半と一ヶ月という期間になります。さらに、最終的な勝利を得るまでの忍耐の期間として1335日すなわち、三年八か月が預言されています。これらの日数の差は、サタンが地上を荒らした跡、地上が清められるために必要な期間と考えられます。