マタイ24:15-35

 大きな苦難を予告する

 

1.大きな苦難を予告する

 

 預言者ダニエルが言った憎むべき破壊者とは、ローマ帝国です。紀元70年にエルサレムの神殿がローマによって陥落しました。イエス様の伝道していたころには、すでにローマの支配に対する不満などから、ローマに反乱を仕掛ける流れがありました。結果として、ローマとユダヤが戦争を始めるわけです。そして、その結果は圧倒的な戦力の違いから、ユダヤは善戦するものの、追い詰められてしまったのです。そうして、ローマに敗れたユダヤの民は国を失って、全世界に散らされたのです。

 (ヨセフスという歴史家が当事者の立場で「ユダヤ戦記」を書いています。)

 

 ユダヤがローマに征服された結果として、キリスト教が各地に広がっていきましたが、偽の預言者もたくさん出てきました。イエス様が、予告した通りのことです。(マタイによる福音書が書かれたのがAD80~90年位だとすると、実際そのころは偽預言者がはびこっていました)


 偽預言者や偽メシアは、「魔法使い」のような、「手品」のようなことで、特別な能力があることを民衆に示しながら、人気を取って、人々を惑わすのです。そして、その偽預言者や偽メシアは、人間でしかありませんから、人々を惑わすこと以外には何もできません。ですから、そのような噂などを信じてはいけないし、ついていってはいけないとイエス様は教えられました。


『稲妻が東から西へひらめき渡るように、人の子も来るからである。24:28 死体のある所には、はげ鷹が集まるものだ。」』


はげ鷹とは、偽預言者や偽メシアを指すと考えましょう。はげ鷹の餌は死体やその類、つまり「偽預言者たちに惑わされる人々」の成れの果てです。イエス様は、稲妻のように突如来られるので、はげ鷹のところに集まらないように教えたのです。

 

2.人の子が来る

 

 この記事はイエス様の再臨を表していますが、この世の終わりを感じさせる情景ではないでしょうか?

天使は、地上の果てからそのまた果てまで行って、選ばれた人を呼び集めます。このことが、苦難の日々の後の事とされていますので、苦難はこの時で終わると・・そう願うものです。

この箇所は、だれも体験をしたことがないので、知的な情報とはなりにくいです。ですから、霊性をもって読むのが良いと思われます。

 

3.いちじくの木の教え

 

 イエス様は、いちじくの木にたとえます。いちじくの木には「しるし」があるのです。夏が近づけば、枝が柔らかくなり、葉が茂ります。それと同じように、イエス様が再臨されるときには、イエス様の教えられた「しるし」が起こります。そして、そのすべての「しるし」が現れるまでは、再臨されないし、またこの世の終わりも来ない。そのようにイエス様は教えられました。

 

 イエス様が十字架に掛けられた後、世の終わりの時と再臨の時がすぐに来るように考えられていました。しかし、だんだん 「すぐには、その時が来るのではない」という考えに変えられていきました。この箇所のみ言葉に、それが裏付けされます。