使徒1:12-26

使徒をくじで


1.イエス様昇天後の群れの祈り

 

 イエス様が昇天されると、弟子たちは「オリーブ山」から下りてきました。イエス様が昇天されるとき最後に話した言葉は、弟子たちに聖霊が注がれるとの予告でした。

使徒『1:8 あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」』

 

 十一弟子たちは、イエス様と行動を共にしていたときのエルサレムの家に戻ります。弟子たちは、このほかに大勢いました。婦人を入れて百二十人。みな、心を一つにして祈っていました。これから起こる事、聖霊が与えられること、そしてこれから与えられる「証人」としての働きなど祈ることは多かったのです。第一に、この群れを十一弟子たちが導いていかなければなりません。また、この群れを導くためには、ユダの裏切りについても整理が必要でした。

ユダは、イエス様を売った銀貨で土地を買ったのですが、その土地の地面に真っ逆さまに落ちて死にました。(マタイでは、ユダが神殿に銀貨を投げつけて自殺したので、祭司たちが外国人の墓地用に土地を買ったとあります) そのことについては、ペトロはユダが不正を働いた報いであるように、言います。

 

 

2.ペトロの提案

 

 ペトロは、イエス様を裏切ったユダについて、兄弟姉妹にこのように話します。

 

☆ユダの裏切りのことは、聖書に預言されていた。

  詩編『69:26 彼らの宿営は荒れ果て/天幕には住む者もなくなりますように。』

詩編『109:8 彼の生涯は短くされ/地位は他人に取り上げられ』

 

  ペトロは、ユダを裏切り者として断罪したうえで、弟子たちに提案します。ユダの代わりに使徒を選事です。十一人以外のイエス様と同行してきた弟子から、イエス様の復活の証人を立てようと提案し、賛同を得ました。その条件は、ヨハネのバプテスマの時からイエス様に従って来た人という事ですから、最もイエス様と行動を共にした者が使徒として、立てられることになります。

 

3.くじをひく

 

 イスラエルでは、「くじ」はよく使われました。嗣業を分配する時や、王様を選ぶときなどです。ヨナの例を挙げてみますと、次のような記事があります。

 

ヨナ書『1:7 さて、人々は互いに言った。「さあ、くじを引こう。誰のせいで、我々にこの災難がふりかかったのか、はっきりさせよう。」そこで、くじを引くとヨナに当たった。』

 

 「くじ」は、神様の意思や真実を知るための方法でした。この場面でも、ユダに代わって働く使徒を選ぶために、神様の意思を確認するという意味合いで、「くじ」が引かれました。

 

4.マティア

 

 2人の候補が上がりましたが、使徒にはマティアが選ばれました。聖書の中では、このマティアはこの箇所にしか出てきません。その後の活躍についても、記録はないのです。ただ、伝承によればエルサレムでユダヤ人によって石うちの刑にあったということです。そのことを裏付ける資料は存在しません。しかし、十二弟子の一部の人やパウロが聖書の中で活躍しているその陰には、名もない信徒たちがいて、証しをし、祈って、伝道活動を支えたのは事実です。そして、十二弟子だけではなく、その十倍もの人がイエス様の弟子となって同行していたことを知れば、その後のキリスト教伝道急速な発展は、これらの弟子たちの働きが大きかったと思われます。