ルカ2:1-20

 イエスの誕生2

1.イエスの誕生

 ローマにいる異教徒の皇帝アウグストゥスが国勢調査を要求し、ユダヤ人の家族は部族の町で登録しなければならなくなりました。人やお金の徴集を目的としたものでありましたが、マリアをベツレヘムに連れてきて、主の母となる時に間に合わせる結果をもたらしました。アウグストゥスは、神様の目的と神様の約束の成就のために、国勢調査を命じ、ユダヤの支配を強化させられたのです。

 この世は、生まれたばかりの救い主を、歓迎しませんでした。ベツレヘムでのイエス様の誕生は、地球上で起こった最も重要な出来事でした。しかし、尊い御子は、馬小屋と家畜の間で生まれたのです。宿屋にマリアのための部屋がなかったためとはいえ、家畜小屋で生まれたことは、なんと屈辱的なのでしょう。しかし、このような降誕であったからこそ、イエス様は最も貧しい者と共にすることが出来たのです。

2.羊飼いと天使

 最初の福音は、天使によって伝えられました。御子が生まれたとき、この不思議な物語をすぐに聞いてくれる人を探していたようです。宿屋は寝泊まりしている人でいっぱいで、平和と喜びのメッセージを聞くにはふさわしくありません。しかし、ベツレヘム郊外の野原には、羊飼いたちがいます。彼らは、まちがいなく謙虚な人たちですが、いつの時代も軽蔑されていました。しかし、彼らは羊飼いですから、羊たちの「救い主」であり、今もこの夜中でも目を覚まして羊を守っているのです。夜中ですが、ここに天使の聴衆がいたわけです。天使の聴衆は、少数でしたし、軽蔑されている羊飼いでした。しかし、そのことが最も重要であります。だれも注目していない救い主の誕生を最初に聞いたのは、軽蔑されている者である羊飼いたち。しかし、羊飼いたちは謙虚であって、そして羊を導く困難さをよく知っています。

 次に、天使のメッセージに注目しなければなりません。まばゆいばかりの光を放ち、栄光に包まれてやってきた天使は、羊飼いたちを怖がらせました。彼らは「非常に恐れた」。そのため、まず羊飼いたちの恐れを取り除いて、救い主の誕生を告げ知らせる必要があります。

『2:10 天使は言った。「恐れるな。』

もちろん「恐れるな」と命令したところで、恐れが消えるわけがありませんが、天使はそれに構わず、話を進めます。

『わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。2:11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。2:12 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」』

 この福音はすべての人を対象としています。また、そのしるしとして、「ベツレヘムで赤ん坊が布にくるまって飼い葉桶の中に寝ているのを見つける」ようにと伝えます。天使はメッセージとともに「賛美の奉仕」をしました。メッセージはきわめて短く、天使の讃美についてもこのように、短い歌でした。

『2:14 「いと高きところには栄光、神にあれ、/地には平和、御心に適う人にあれ。」』

 天使が奏でるハーモニー、天使の合唱団が数人の貧しい羊飼いにこの出来事を伝えるために最善を尽くします。

 聴衆となっていた羊飼いたちは、メッセージを直ちに確認しに行きました。羊飼いたちは、天使たちが立ち去るやいなや、すぐにベツレヘムに向かったのです。彼らは、自分の目で確かめようと決心しました。自分たちがいない間に羊が危険にさらされるかもしれません。しかし、彼らは救い主を見ることができるならと、最低限の番をつけて出かけたのです。 だから彼らはマリアのもとに急いでやってきました。彼らは御子を見て、信じます。彼らはこの御子を世界の救い主として受け入れました。

 次に、羊飼いらが証人になります。彼らは天使が言ったこと、そして自分たちが見るためにベツレヘムに導かれたことを、すべての人に告げました。他の人々にそのことを告げ知らせずにはいられなかったのです。彼らの話に耳を傾けた一人がマリアでした。彼女は彼ら羊飼いたちの言葉を心に刻みました。羊飼いたちは、救い主の生まれたことを知る重要な証人となりました。羊飼いたちは、天使たちがしたように、賛美を始めたのです。

『2:20 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。』

 短い訪問と短いメッセージの後、天使は引き揚げ、この貧しい羊飼いたちは、自分たちが見聞きしたことを謙虚な態度で語りながら、この良い知らせを広めていくのです。それは神の計画であり、救い主を必要とし、救い主を見出した人々こそが、救い主を他の人々に宣べ伝えるのに適しているのです。