ダニエル書3:13-30
燃え盛る炉の中で
1.金の像
ネブカドネツァル(王)は、自身の権威をひけらかすために金の像を作りました。そして、金の像を拝ませたのです。そこで、カルディア人がユダヤ人はこの像を拝まないはずということから、王に「金の像を拝まない者は、炉に投げ込む」との命令を出してもらいました。当然、王令は一度出ると修正することができません。そして、ダニエルの仲間3人は、像を拝まないことを告げ口されてしまいます。すぐに王は3人を呼び出します。しかし、ダニエルの仲間と言う配慮があったのでしょう、「ただちに燃える炉に投げ込め」との命令は出すのではなく、機会を一度与えました。それでも、しっかりと脅しています。
『もしも拝まないなら、直ちに燃え盛る炉に投げ込ませる。お前たちをわたしの手から救い出す神があろうか。」』
「ダニエルの神でも救うことができない」との、ネブカドネツァルの挑戦だったわけです。
3人は、それでも金の像を拝むことを拒否します。
『 わたしたちのお仕えする神は、その燃え盛る炉や王様の手からわたしたちを救うことができますし、必ず救ってくださいます。』
これは、絶対的な権力を前にした信仰告白です。
2.炉に入れられ帰還する
三人の答えは、王の権威を傷つけるものでした。ですから、王は激怒し、炉をいつもの7倍熱く燃やせと命令しました。ネブカドネツァルが持っている権力のありったけの力を、燃える火の炉に注いだのです。王は、軍隊の力強い者たちに彼らを縛らせ、しかも燃えやすい衣服を着たままで縛らせました。そして炉まで連れて行くのですが、連れて行く者たちの方が炉の炎で焼き死んでしまいました。権力とは、逆らう者に対して激しく、厳しく罰するのです。だれも逆らう者が出ないように、見せしめをするのです。それを知っていながら、3人は神様に服従することを選んだのです。
ところが、驚くこととなりました。ダニエルの友人三人のほかに一人が炉の中にいて、自由に炉の中を歩き回り、そして何の被害も受けていないように見えたのです。そして、王の呼びかけに答えて、三人は燃え盛る炉から出てきます。
第四の者をネブカドネツァルは「神の子のようだ」と言い表しています。私たちの主であるイエス様です。どんな試練の中にも、イエス様が共にいてくださいます。
3.3人を高官につける
王だけでなく、数多くの臣下たちもこの奇跡の証人となりました。3人は、髪の毛も焼けていなければ、体も損なわれていません。また、炉に入る前に着ていた衣服が、焦げていないだけではなく、炎の匂いもしませんでした。主が共におられたのです。王は、彼らの神の力を認めました。またネブカドネツァルは、彼らが王の命令に背いてまで、彼らの神様に信頼したことを称賛しています。これは、王の神に仕えなかったことを称賛したことにもなります。普通であれば、王の権限と機嫌を心配して、妥協してしまうところですが、彼ら3人は一貫して彼らの神を信じ、そして彼らの神に身を託したのです。ですから、王はその一貫した生き方と信仰を称賛しました。そして、最も信用できる人たちであることを理解したのです。
『3:29 わたしは命令する。いかなる国、民族、言語に属する者も、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴの神をののしる者があれば、その体は八つ裂きにされ、その家は破壊される。まことに人間をこのように救うことのできる神はほかにはない。」』
王の態度の変化は、極端です。この時王は、真の神のことを「シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの神」と呼んで、王の信じる神同様に「ののしることを許さない」ことを宣告します。これは、同時にユダヤ人は金の像を拝まなくてよいという命令でもあります。
『3:30 こうして王は、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴをバビロン州で高い位につけた。』
ダニエルの仲間3人の証しでしたが、ダニエルが捕まっていないどころか、全然出てきませんでした。3人がバビロン州の役人でしたから、金の像の「除幕式」には出なければならなかったのに対し、ダニエルは王宮にいました。この除幕式のもともとの目的は、王への服従を表明させるためでした。新バビロン国全土ではなく、バビロン州だけのことです。征服した国はすでに服従させられています。また、ダニエルも王宮にいつもいて、王に服従しています。王がそのことを一番知っているのです。ですから、ダニエルは除幕式に出る必要はなかったと言えます。