ネヘミヤ12:27-47

城壁の奉献


1.奉献式

 建築物の奉献式は、通常、工事の完成直後に行われるのですが、城壁工事の後すぐに、律法を披露していmます。律法に従った礼拝を整えるためには、祭司やレビ人が律法を学んで、プログラムを編成しなければなりません。また、城壁が完成しても、エルサレムまたはその近郊に多くの人が住むようにならなければ、街を守れません。そういう理由から、準備期間があったのちに奉献式が行われたと思われます。

  具体的には、「シンバルと十弦の琴と竪琴」を演奏する者を集め、詠唱者を集め、奉献式のプログラムのために曲を作り、各自練習し、そして、何度か合わせをしたはずです。また、祭司とレビ人は、体を清めなければなりません。汚れたものを避ける期間を置き、清めのために清めの水をかけ、そして一人づつが贖罪の献げ物で贖われる必要がありました。祭司とレビ人全部がこの清めをし終えるためには、相当な時間がかかります。民数記19章には清めの水の作り方、そして清めに7日もかかることが書かれています。そして、汚れたものに手を触れたらやり直しです。レビ人の清めについては、民数記8章に書かれています。また門と壁の清めについても、清めの水というものが振り掛けられたと思われます。

 民数『 8:6 イスラエルの人々の中からレビ人を取って、彼らを清めなさい。8:7 彼らを清めるにはこうする。彼らに罪の清めの水を振りかけ、体全体の毛をそらせ、衣服を水洗いさせると、彼らは清められる。8:8 次に、彼らに若い雄牛一頭、その穀物の献げ物としてオリーブ油を混ぜた上等の小麦粉、贖罪の献げ物としてもう一頭の若い雄牛を用意させ、~8:12 レビ人は雄牛の頭に手を置く。アロンは、一頭を贖罪の献げ物として、他の一頭を焼き尽くす献げ物として主にささげて、レビ人のために罪を贖う儀式を行う。』


2.行進

  エルサレム南東にある谷の門が共通の出発点です。右回りと左回りの二隊に分かれて城壁の上を回りました。城壁は全周で約3km、それぞれ1.5kmを神殿に向けて行進しました。

・右回り隊 先頭は、合唱隊。

・その後ろに、ホシャヤおよびユダの長たちの半数

・ラッパを持った祭司たち、次にゼカルヤ

・更に彼の仲間シェマヤ、アザルエル、ミラライ、ギラライ、マアイ、ネタンエル、ユダ、ハナニが、神の人ダビデの楽器を持って行進(書記官エズラはこのグループの先頭)

 エズラは、祭司として預言者としての参加ではなかったようです。

 ネヘミヤは、左回り隊の中にいました。祭司はラッパを吹くのですが、今の金管のラッパではなく、角笛であると思われます。ダビデの楽器と言えば竪琴を思い浮かべますが、ダビデが神の箱をエルサレムに運んだ時の記事 サム下『6:5 ダビデとイスラエルの家は皆、主の御前で糸杉の楽器、竪琴、琴、太鼓、鈴、シンバルを奏でた』からみると、いろいろな楽器が使われていることがわかります。

 二つの合唱隊が合流し、祭司達がラッパを持ち、神殿の東側の広場で賛美と生贄をささげました。一般民衆も喜んでその賛美に加わりました。この記事は、本当に喜びと賛美で満ちています。その賛美が力強く奉げられた理由は、「12:43神は大いなる喜びをお与えになり」と説明されています。この失われたままになっていた城壁と城門を修理するために突貫で工事をし、エルサレムの共同体が一体となったことに、彼らは感動したのです。

 『12:44 その日、礼物と初物と十分の一の供出物を蓄える収納庫の監督が任命された。』

こうして、律法に従った社会の仕組みが動き出します。祭司とレビ人は、この仕組みが働いてこそ、祭儀に専念することが出来ます。詠唱者は、礼拝を守るために、門番は町や神殿を守るために欠かすことが出来ません。最初は、神殿の祭儀を維持するために必要なことから始まりますが、一つの国のように政治や経済そして軍事的にも機能しなければなりませんが、城壁の奉献によって、ユダのシンボルが完成し、自立した国になっていく目標が現実味を帯びてきたわけです。