創世記9:1-17

約束の虹

1.祝福

 キリスト教においては、①神様が自らの恵みを授けること。

            ②神への賛美や信仰を共有し、神の恵みを他者にとりなすこと。

祝福と訳されるヘブライ語のもともとに意味は、「救済に満ちた力を付与する」です。今日の箇所の祝福は、明らかに①であります。


2.契約

 現代社会でも、契約は行われます。当事者の一方が「契約の提案」を行い、相手方がそれに同意することで、契約は成立します。よく勘違いがされますが、契約書がなくても契約は法的に成立しています。ただ、契約内容がわからなくなっては困るので、契約書はあった方が良いわけです。契約社会では、契約書を書き間違えて双方がサインした場合でも、契約書を修正することはできません。「あなたの主張は正しい。しかし、契約は変えられない」と言った結果になります。お互いに、契約を守る義務があるからです。物を売る場合、物を準備する義務がありますし、買う方はその費用を準備しなければなりません。それが守れない場合は、損害をどのように補償するのか?なども契約に入ります。ですから契約は、①「双方の責任」と、②「問題が起こった時の処置は、いつまでに、だれが、なにをするか?」を明らかにするものです。この人の契約は、双務的であります。つまり、対等な契約であります。一方で、法に反するような片務的な契約もあります。例えば、「ガソリン代が上がっていても、それは吸収しなさい」と言った、下請けいじめの類です。


 キリスト教(ユダヤ教)においては、神様の立てる契約は、「神の約束」です。これは、一方的なものです。人は、預言者を通じて聞くだけであり、人の方に何の義務もありません。そして、契約書は旧約聖書であり、新約聖書です。


3.神様の祝福

 神様は、ノアとノアの息子たちに、一方的に祝福をし始めました。

・産めよ、増えよ、地に満ちよ。

・動いている命あるものは、すべてあなたたちの食糧とするがよい。

・あなたたちの命である血が流された場合、わたしは賠償を要求する。

 ノアの一族に、増える事、食べ物、そして安全を、神様は一方的に保証しました。ノアが受けた指示は、

『肉は命である血を含んだまま食べてはならない。』の一点だけでした。

4.神様の契約

 神様は、祝福の後ノアとノアの息子たちと契約を立てます。一方的に神様は約束をしたわけです。

・あなたたちと、そして後に続く子孫と、契約を立てる。

・地のすべての獣と契約を立てる。

・二度と洪水によって肉なるものがことごとく滅ぼされることはなく、

 洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない。


一言で言うと、「未来永劫 洪水を起こして滅ぼそうとはしない」との約束です。

5.しるし


「奇跡」「しるし」「不思議な業」、この三つの言葉は同様の意味で、しばしば一緒に用いられている。いずれも、人間の理解を超える,驚くべきことであるが、神の力とその支配を示すしるしを意味する(詩 78:43、105:5、ヨハ 4:48、使 2:22、2コリ 12:12)。(新共同訳聖書 解説)


「しるし」と訳されている言葉には、サインという意味あいもありますが、ここでは契約書のサインをさしていると言うよりも、今ここで虹を造ると言う奇跡をおこすことを指します。


 虹は自然現象ですから、条件が整えば発生するものです。この自然に発生した虹を見るたびに神様は、この契約を思い出すと言いました。永遠に、この契約は続くのです。そして、その神様の約束は、神様だけに責任があります。


『9:16 雲の中に虹が現れると、わたしはそれを見て、神と地上のすべての生き物、すべて肉なるものとの間に立てた永遠の契約に心を留める。」』


そして、しるしの説明が終わると、虹が出ました。

『9:17 神はノアに言われた。「これが、わたしと地上のすべて肉なるものとの間に立てた契約のしるしである。」』