実質、高校1年(入学)まで義務教育化?


地方、都会の私立校・中高一貫校において、

現在、完全中高一貫型にシフトしてきている

学校が増えてきております。



完全中高一貫ですので、高校からの

外部生を入れず、中学から高校までの

6年間をかけて、教育を行い、

大学に進学するに相応しい学力を

身につけられるという理想が出来ます。



と同時にこれは、高校“入学”“1年”までが

義務教育化となり、よほどのことが無い限り、

ほぼ全生徒が高校まで内部進学していくことが

予想されます。



大学付属校の場合、もしかしたら、

大学までもが、そうなるかもしれません。



子供達にとっては、喜ばしいこと

かもしれませんが、このことによって

起きる弊害として予想できるのが、

『留年者』の増大を引き起こすと

思われます。



内部進学出来ない方が減ることは

親御さん、ご家庭の方にとっては

安心が増すことになりますが、

負担が増える可能性があることを

指摘しておきます。



高校、大学に進学するにあたり、

それ相応の基礎学力、知識、要領を

持ち合わせていない場合、

留年になる確率が高くなります。



親御さん、ご家庭の方からすれば、

『せっかく』入学した、高い入学金、

学費を払った私立校・中高一貫校で、

仮に『留年』したとしても、

高校卒業、あるいは、大学までの

内部進学が約束されているのであれば、

もう一年、もう一年と留年してでも、

進学・卒業を諦めることは

しないでしょう。



そうなると、高校時代は最大3回、

大学に至っては、4回留年することが

出来ますので、多ければ計7年分の

負担をしても、大学を卒業できない

という悲劇が生まれます。



そんな悪徳業者のような手段で、

学費を搾り取ろうとする

学校はないと思いますが、

私立校・中高一貫校で完全に

内部進学出来るということは、

そういったことをすることが

出来る土台が出来ることになります。



現状の義務教育は中学までですから、

高校生以降は何人、何年留年させようが、

学校側の采配次第で調整できます。



そうなると、仮進級できたとしても、

修学が追い付かない、基礎学力、知識、

要領を持ち合わせていない方は、

いずれどこかで、その『何年か分』のツケを、

支払わなければ、学年を上がれないことに

なります。



高校付属の学校は、そのことに気付くのが、

高校1年の二学期、あるいは高校2年に

なってからですが、その段階で、

完全中高一貫校の場合、5年間で、

高校までの教育課程を履修する進度で

授業を進めるので、気付いた時に、

中学1・2年程度の基礎学力、知識量では、

到底、留年を回避できるものではありません。



現状の内部生の『一部』の方においては、

中学1年次の基礎学力、知識を

抜け落しているどころか、

小学生高学年からの基礎学力、

知識すら危うい方もおります。



中学受験で入った方の中にも、

算数が苦手で、国語、理科、社会で、

さらには今後、英語でカバーをして、

あるいは算数以外の科目で、

逆のパターンでカバーをして、

入学した・するという方は

少なくないと思います。



そうなってくると、内部生の一部の方は

もちろんのこと、中学受験組の方の中でも

一定数の方が、言い方が悪いですが、

後々の『留年者』候補として、

位置づけられることになると

思います。



あくまでも予想、それどころか

現段階では妄想に近い悲観的な考え

だとは思いますが、数年後、

もしそうなった時に、

どう対応していくのかは

考えられておいたほうが、

宜しいかと思います。



私立校・中高一貫校の

内部進学・進級の問題を

見てきた身として、一昔前までは、

内部進学、進級出来なくても、

進路・人生の挽回をし、返り咲いた方は

多かったように思えますが、昨今は留年し、

通っている学校にしがみついたにも関わらず、

結局、中退・他校転校、あるいは

卒業だけさせてもらう、

となってしまった方が

増えてきているように思えます。



私立校・中高一貫校で、

高校・大学まで“楽に”行ける、

それどころか、進学出来るのが

『約束』されている、

『当然の権利』であると、

勘違い・思い違いされたままだと、

上記のような悲劇を免れることが

出来ない可能性があることだけは

注意しておくことをオススメします。