棟居刑事シリーズ2高層の死角(2003)
これはまだ原作読んでない。棟居が主人公の作品は読んだことあるし、棟居やってるのが中村雅俊氏なので、見てみる気になった。でも後でわかったけど、「高層」には棟居は出ていないのね。てことはいろいろたくさん変更も・・まあ別にどうでもいいですけどさ。よつば銀行は経営がうまくいっていない。合併推進派の会長久住と、自主再建派の頭取長尾や専務達は対立している。久住役は石田太郎氏・・てことは「刑事コロンボ」の人?長尾役の黒部進氏は我々の年代だとウルトラマン。たいていの番組では悪役だけど、それでも我々にとっては正義の味方ウルトラマン。久住は高級ホテルに住んでいる。他にふた部屋、よつば銀行のために確保してある。ホテルに無理言って、廊下のモニターははずしてある。秘密の会合とかするから、人の出入りがうつっちゃまずい。で、このモニターがついてないせいで、事件が起こった時困るわけ。だから「高層の死角」という題なのかな。冒頭棟居は墓参りをしている。彼は三年前、妻と3歳の娘を殺された。犯人はまだつかまっていない。そういうカゲのある役は、中村氏にはぴったりだ!久住が殺され、棟居らはホテルへ。秘書の有坂(志村東吾氏)はアリバイを聞かれ、なぜか言葉を濁す。後でわかるが、彼は犯行があった頃瀬川(雛形あきこさん)とデートしていた。瀬川の学校の先輩らしい。現職の刑事と一緒にいたのなら、これほど完璧なアリバイはない。しかし棟居は有坂の言動に作為を感じる。瀬川と一緒にいたのなら犯行は無理だが、共犯者がいれば話は別だ。今回は密室の謎を解くことと、アリバイ崩しが大きなポイントだが、瀬川の揺れ動く心理も描かれる。その揺れは棟居の過去とも無関係ではない。事件と関わりがあるせいで、捜査からはずされ、何の情報ももらえないというのは棟居も妻子を殺された時経験している。関わりがあるからこそ捜査に加わりたいのに。瀬川の場合有坂にほのかな好意を抱いており、彼を信じたい。利用されたとは考えたくない。しかし彼が怪しいのは事実。もっとも私は警察機構の欠点である男社会とかたて社会とかが、あの「お嬢」という呼称が出る度に感じられて仕方がなかった。しかも差別とは無縁に思える警視正那須(竜雷太氏)が連発していて。彼らには差別しているという意識はなくて、親しみを込めて呼んでいるのかもしれないが、何でちゃんと名前を言わないのか。男性だって年上の女性に(名前ではなく)「坊や」と呼ばれたらいい気持ちしないと思うが。話を戻して久住には敵が多かった。合併後は長尾をクビにして自分が頭取に返り咲くつもりでいる。ワンマンで冷酷なやり方のため、脅迫状もどっさり届いている。
高層の死角2
しかしGMB銀行の投資部門のトップ、江上(戸田恵子さん)によれば、合併の話は断ったとか。彼女はバリバリのキャリアウーマンで、アメリカにいたこともあり考え方は合理的。よつば銀行には将来はない。一方棟居はホテルのカギのことこそ今度の事件を解くカギだと確信している。カギは三つあり、一つは支配人、一つはメイドが持っていて、残りの一つは久住の寝室に置いてあった。カギはスウェーデン製で複製はできない。この密室に犯人はどうやって入ったのか。その謎が解けた頃、有坂は失踪。金沢のホテルで死体となって発見される。遺体確認のため金沢へ行かされた瀬川。あの~有坂には家族いないの?棟居は久住が持っていた金沢の薬が気になる。久住は若い頃金沢の支店にいたことがある。と言ってそんなことに捜査費は出ないから、棟居は自腹を切って瀬川に金沢での調査を頼む。この頃には江上が怪しく思えてくる。彼女は金沢の出身だし、有坂と連絡取り合っていたし。ただ、有坂が殺された頃、彼女は東京のホテルにこもって仕事をしていた。宿泊カードに打ち込まれた時刻が、彼女のアリバイを証明している。ホテルのカギに続いて、今度は宿泊カードとにらめっこの棟居。瀬川が探り出したのは、20代の久住がある小料理屋の女将と男女の仲になったが、彼女を捨てた上、抵当の店もつぶしたということ。それはいいけど、その店がそのまま残ってるというのは・・。70歳の久住が20代の頃ってことはもう40年以上も前のことだぞ。で、江上を追いつめ、次の殺人犯さざるをえない状況にして・・。でも、棟居達出てくるの遅すぎ。次の被害者突き落とそうと手間取っていたから間に合ったけど、そんなことせずナイフでグサリなんて方法取られてたら・・間に合いませんぜ。さて、妻と死別したとか、逃げられたとかいう刑事は映画や小説で時々出てくる。たいていは部屋が殺風景だったり、ゴミだらけだったり。孤独や空しさを仕事に打ち込むことでまぎらわし、家は寝るところでしかない。食事はただ腹が満たされればいいから、インスタント食品やコンビニ弁当。で、ゴミの入ったレジ袋がたまる。でも、棟居は違うようだ。一番アレッと思うのは、瀬川の報告を聞く棟居のそばに置いてあるアイロン。は~、ちゃんとアイロンがけするんだ。掃除もするんだろう。食事も作るんだろう。そんな気がする。時々義妹の桐子(床嶋佳子さん)が様子を見にくるようだ。彼女が来た時瀬川が夕食作っていて・・瀬川は料理は得意ではないようで、あやまっていたけど、何作ったんですか?
棟居刑事シリーズ3追跡(2004)
シャトー月島からはハイマート月島がよく見える。毎晩望遠鏡であちこちの部屋を覗くのが田島(根岸季衣さん)の密かな楽しみ。ある晩ハイマート月島の屋上で男女が言い争っているのが見えた。男の方は足を引きずっている。翌朝新聞配達員が死体を発見する。屋上から転落したらしい。ここの住人ではなく、名前は門脇昌子(匠ひびきさん)。夫(平田満氏)は元刑事で、棟居とコンビを組んでいたことも。三年前ある事件で単独捜査を強行、その際民間人が巻き添えで死に、退職。今は警備員やってるが、酒びたりで妻の浮気を疑うなど夫婦仲はよくなかったらしい。一方田島は覗きの常習者と知られるのがいやで、棟居達が聞き込みに来た時もウソをつく。それに彼女はあの時の二人がどうなったかは知らない。給水タンクのせいで、途中から見えなくなったからだ。もう覗きはやめようと思うが、夜になるとまた覗いてしまう。ある日偶然門脇を見かけ、尾行し、手紙ならば大丈夫だろうと投書。しかし結局白状するはめに。門脇の容疑はどんどん濃くなるが、棟居はハイマート月島に昌子の浮気相手がいるのでは・・と思っている。彼女は引越し会社に勤めている。引越しを機に男と親しくなったのかも。捜査で泊まり込みとなると、ああやって大部屋(道場?)に布団を敷いて雑魚寝になるのか。桐子が朝食や着替えを持ってきたりする。心のこもったお弁当・・彼女が棟居に心を寄せているのは明らかだが、死んだ妻子への思いにはかなわないのもわかっている。途中昌子の浮気相手と思われた松川が殺され、直前に彼と言い争っていた門脇がまたまた疑われる。この時も田島は仲のいい石野(内田春菊さん)と一緒に望遠鏡でそれを目撃していて。後で、昌子は決して浮気をしていたのではなく、門脇にアメリカで足の手術を受けさせるためお金を稼ごうと・・というのが明らかになる。でも、売春で得たお金で手術なんて門脇が承知するはずないと思うが。それにしても困った性格の持ち主ですな。思い込みが激しく、刑事の時も暴走したんだろう。一人ぼっちになっちゃったけど、ここはひとつ飼い主(松川)を失って一人ぼっちになっちゃったミケちゃんを引き取って世話してあげましょう。酒を断ち、自分より弱い者を思いやることを少し勉強しなさい!
棟居刑事シリーズ4復讐(2004)
棟居のところへ義母の敦子(朝丘雪路さん)が来て、世話を焼く。敦子に連れていかれたのが大江という画家の個展。その後呼び出されたのが鬼子母神の殺人現場。被害者はバーくろねこのママ、織江(風祭ゆきさん)。彼女には前科があり、服役中に男児を出産していた。幼児遺棄事件の新聞の切り抜きが遺されており、どうやら育てることができず捨てたらしい。聖和愛児園の園長パトリシア(山口美也子さん)の話では、太郎と名付けられたが10歳の時園から脱走。棟居は、大江が成長した太郎ではと推測するが、山路あたりは無頼派の画家武庫川(ミッキー・カーティス氏)が犯人と決めつける。織江と関係があったし、死の直前会っていた。山路は一匹狼的な棟居とはそりが合わず、彼の言うことは何でも反対する。それでいて武庫川を調べているところはほとんど出てこない。大江は藤枝の娘佳子と婚約中。ところが最近になって藤枝はなぜか結婚に反対し始めた。はは~ん、織江の産んだ赤ん坊の父親は不明だが、たぶん藤枝がそうなのだろう。そうなると大江と佳子は異母兄妹となる。だから反対してるのだ。そう思っていたら・・やっぱりそうでした。織江の事件の他に、由里子という若い女性が殺されている。彼女も聖和愛児園の出身。しかも太郎とは非常に仲が良かった。棟居は山路の反対もあって思うように捜査ができず、日下(華原朋美さん)に協力を頼む。大江が武庫川に絵の才能を見出されたのは17歳の時。しかしその前のことを調べると・・。今の大江の写真を見せられた人は決まって自分達の知ってるのとは別人だと言う。そのうち大江は婚約を破棄。結局大江と佳子が出会ったのは偶然なのか、それとも偶然を装って大江が近づいたのか。大江はなぜ藤枝が自分の父親だと気づいたのか。異母兄妹と知って近づいたのならどこらへんで婚約を破棄するつもりだったのか。もし知らなかったのなら、知った時どう思ったのか。そこらへんは全く不明なまま。確認のためにもう一度見たけど、個展を見に来た織江を見てもしかしたらと思ったのはわかったけど、藤枝に関しては・・。彼が父親だと気づく要因はゼロ。したがって佳子が異母妹だと気づくのは絶対にムリ。藤枝が召喚された時点で、あと30分も残っている。こりゃここから見ている人の涙をしぼる展開に・・。涙をしぼるのは佳子だと私なんかは思うんですけど。今回のことは織江から大江のことを聞かされた藤枝が、態度をはっきりさせずぐずぐずしていたせい。今の妻との結婚前のことだし、正直に話せばよかったのだ。娘と孫を失っているけど、明るくて生き生きとした敦子が印象的だった。信州の田舎から車で来、棟居のために掃除をし、洗濯をし、料理を作り。ところで中村氏による棟居シリーズはこれで終わりなのね。妻子を殺した犯人は結局不明なままなのね。大江役は池内万作氏。「犯人に告ぐ」で見たばかりだ。