ブレイドシリーズ

ブレイド

「2」と「3」の後でこれを見ると、やっぱり違うなあと思う。キレがいい。勢いがある。美学がある。緩急がある。ためにためておいて、ぱちんと弾ける、そのタイミングのよさ。ツボ押さえまくりの気持ちよさ。テレビ東京の「午後のロードショー」でやったのだが、CMがいっぱい入るし、地震速報やら何やらも入る。いくらボリューム上げてもセリフが聞こえない(そのくせCMになるととたんに大音量・・何で?)。30分近くはカットされてる。それでも・・おもしろい!病院に運び込まれた女性。何やら血まみれ。しかも赤ん坊が生まれる。これがたぶんブレイド。誕生と同時に母親を失ったのか。時は移って現在・・都会の夜・・女に引っかけられた男・・ほいほいついていくと、何やら怪しげなクラブ。ノリノリのはずが、気づいてみれば自分だけ浮いてるような・・。やかましい音楽、そのうち血のシャワー・・いくら何でもこれってヤバくね?それにしても帰りはどうするの?血だらけで歩くわけにはいかないはず。突然現われる黒ずくめの謎の男。ニヤッと笑うと真っ白な歯。さっとなびく皮のコート。いやホントわかってるじゃないの。アクションもすごい。ちゃんと見せてくれる。いつからゆらしたり細切れにするようになったのか。いつからちゃんと見せなくなったのか。いつからちゃんと見せないことが粋なとり方とされるようになったのか。スナイプスは体がよく動く。しかも動きが美しい。純粋なヴァンパイア達は、それなりのルールを持ち、それを守って生きてる。自分達には人間が必要だ。数だって人間の方が多い。自分達はひっそりと生き延びていくのだ。経済とかそっちの方で勢力伸ばす。劣勢のように見えて実は優勢。知的でエレガントで誇り高く、忍耐強い、それがヴァンパイア。ところがフロスト(スティーブン・ドーフ)ときたらヴァンパイアの面汚し。元々は人間・・かまれてヴァンパイアになった雑種。評議員の言うことを聞かず、やりたい放題。下品で性悪で粗暴。人間なんて俺達の餌じゃん!彼には野望がある。いつも純粋種じゃないとバカにされるので、見返してやりたい。古文書・・”暗黒の書”を解読し、12の魂を捧げ、ブレイドの血も利用し、マルガとか言う邪悪な存在呼び出し、何だかよくわからんが、彼がマルガになるのだ。

ブレイド2

この・・何が何して何とやらの部分は、実はさほど重要じゃない。要するにブレイドがピンチに陥り、フロストが強大になるってこと。トントンとテンポよく話は進み(カットされてるせいもあるが)、クライマックスへなだれ込む。争いに巻き込まれたのが女医のカレン(ウンブッシュ・ライト)。血液学が専門という都合のよさ。かまれたけどすぐには変身せず、このままいくのやらいかないのやら。クライマックスのブレイドの大ピンチ・・貧血(←?)救うのが彼女。さあ!私の血を吸って!たぶんこの吸血シーンがこの映画最大のエロティックシーン(それともカットされた中にあったのか?)。さんざん吸われたはずなのにひからびもせず、貧血にもならずというカレンはいったいどうなってるんだ?途中で、死んだはずの母ヴァネッサが出てくる。フロストにかまれ、ヴァンパイアになることを選んだ彼女は、年を取らず美しいまま。ブレイドの本名はエリックというらしい。父親のことは不明(それともカットされた中に?・・以下省略)。ライトは顔立ちがジェイデン・スミスに似ている。ヴァネッサ役サナ・レイサンは「エイリアンVS.プレデター」のヒロイン。他にフロストの手下で白人のワル女がいるが、別にどうってこともなく終わる。全体的に男くささ、男の汗、男の意地・・そういうのに比重かかってる。ブレイド同様か、それ以上にいいのがウィスラー(クリス・クリストファーソン)。車にガソリン入れる・・こぼれてる・・その横でライターでタバコに火をつける。絶対に真似しちゃいけませんぜこんな危険なこと。酒は飲むし、変な咳してるから、たぶん肺ガン。でもいっこうに気にしてない。無駄死にする気はないが、いざという時の覚悟はできてる。強がりジジイと、ツッパリ息子・・いいねえこのコンビ。途中でウィスラーは死んだように思えるけど、はっきりとは見せない。「2」に出てくるし。そのせいで、「3」で彼が死んでも、実は生きててまた現われるのでは・・と思ってた人もいるようで。ドーフは、ブレイドの相手としては弱そうにも見えるが、なかなかがんばっている。刀での一騎打ちなんて迫力満点。白っぽい不健康そうな顔色、目が濁っていて、下品な感じ。普通こういうキャラには退廃的な美しさみたいなものくっつけるけど、そういうのはなし。

ブレイド3

関係ないけど昔私はドーフとジョニー・デップの区別つかなくて。あとスキート・ウールリッチも。話を戻して、フロストの暴走を苦々しく思っているガエタノ役がウド・キアー。まさにはまり役だが、評議員達がこれと言って手も打たず、フロスト達にやすやすとやられてしまうのはオマヌケな感じ。ガエタノは朝日に照らされ死ぬのだが、その前に白い煙が出ているところは、ヒモを引っ張るとあったかくなってホカホカアツアツで食べられる駅弁連想させられ、悲惨と言うよりこれまたオマヌケ。アクションシーンではジェフ・イマダがちょこりと。まだ若い。それ以上にちょっこりなのがシャノン・リー。アクションシーンで出てきた人がそうなのかとずっと思い込んでいたけど、冒頭の病院シーンで出ていたらしい。一緒に死体を解剖しようとして、かみつかれちゃうのがティム・ギニー。あら、「ヴァンパイア/最期の聖戦」のアダム神父だわ。他にマット・シュルツが出ていたようだ。・・と、ここまで書いたところでWOWOWでノーカットでやると知って・・吹き替えだけど、カットされた分含めて見ればまた印象も変わるかな・・と。でも、そうでもなかったな。長くなった分テンポが悪くなっただけでした。ブレイドの自室見ることができたのと、やっぱり削られていたギニー君の出番。やっぱりねえ・・あれじゃいくら何でも少なすぎると思ったのよ。どうも彼ウェッブは以前カレンと付き合っててうまくいかなくて別れて、でも未練たっぷりでやり直したくて。でもカレンの方はお呼びじゃないわけ。フロストの手に落ちて穴にほうり込まれて、「午後」だと何もなくて這い上がってくる。でもWOWOWで見たら穴の中に誰かいて、それがウェッブ。ヴァンパイアなりかけの元カレと、したくもない再会。でも別にどうということもなくカレンは逃げちゃいます。ノーカット版でも出番カットされてるぞギニー君。フロストの体をビュンビュンドスッドスッと魂が通り抜けるところは、「ザ・クロウ」のクライマックスと同じだな。ラストのモスクワの部分は意味がよくわからないが、「2」でヴァンパイアに連れ去られたウィスラーを捜して、モスクワとかいろいろ回ったとブレイドは言っていて。まあこれは後でそういうことにしたのかもしれないけど。

ブレイド2

前に一度見たことがあるけど、ドニー・イェンが途中でいなくなってしまうのが不思議だった。大したストーリーがあるわけではない。戦ったり手を組んだり裏切ったり。なかなか死なないから、クライマックスあたりではもうどっちでもいいから早く終わってくれという感じ。ストーリーを楽しむ映画じゃないんだよな。ウェズリー・スナイプスは最近見かけないな。前半は暗い黄色っぽいトーンで、町や建物の荒れた感じ、スプレーによる落書きなど「ザ・クロウ」風味。数百人が踊り狂うクラブ・・自分の世界に浸ってる感じもやはり「ザ・クロウ」。ヴァンパイアやリーパーズが紫外線浴びて灰になるところは「ヴァンパイア/最期の聖戦」だし、目や口から光出すのは「ザ・キープ」。閃光手榴弾は「アライバル」みたいだし、ヴァンパイアの君主と娘ニッサの愛憎は「アンダーワールド」風味。後半地下道をウロウロするあたりは黒っぽい青のトーンで、またまた「アンダーワールド」風味。弁護士クーネンが出てくると「バレット モンク」のナチ野郎だ・・となる。演じているカレル・ローデンは「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」みたいに、いい人やることもあるけど。口裂け男とか、解剖とか見たくもないものがぞろぞろ出てくる。「ダークシティ」の異星人みたいなのがうじゃうじゃ出てくる。エイリアン、ゾンビ・・もちろん壁も這う。スナイプスはカッコいい。体のキレがいい。アクションをたっぷり見せてくれる。それに対しイェンの方は・・せっかく動ける人出してきてるのに呆れるほど出番をケチる。アクションが売り物・・アクションしか売りがないってのに、何でイェン様を無視するんだよッ!それにしてもいつやられたのかな。やられるはずないのに。他にクリス・クリストファーソンが映画引き締める。彼のジジイと、ノーマン・リーダスのクソガキのコンビはなかなかいいんだけど、ジジイが怪しいと見せて裏切り者はクソガキの方でしたとさ。他にロン・パールマン、マット・シュルツ、トニー・カラン。トーマス・クレッチマンも出ていたらしいが、メイクのせいでわからん。ニッサ役レオノラ・ヴァレラはなかなかの美女。灰になって死ぬシーンは美しい。残酷でグロテスクな中にもちょっとした笑えるシーンを入れるなど気はきいてるし、「2」にしては顔ぶれも豪華。それなりに楽しめる出来。ラストの覗き小屋のシーンはまたまた「ザ・クロウ」風味。脚本がデヴィッド・S・ゴイヤー・・あら、やっぱりねえ。

ブレイド3

見るのは初めて。「3」ともなれば、出演者はぐっと小粒に・・見たことも聞いたこともないような人ばっかりとなるのが普通だが、その点ではわりと豪華。ただし出来は、やっぱりね・・という感じ。シリア砂漠にそびえ立つ・・遺跡?ピラミッド?「スターゲイト」風味。こんな巨大なのが人目につかぬはずないが。迷彩服みたいなので全身をおおった一団が中へ入る。たぶんこいつらヴァンパイア。太陽光さえぎるための装束。中の一人は歩き方がしゃなりしゃなりで、女だとわかる。彼らに眠りを妨げられたのが元祖ヴァンパイア・・「アンダーワールド」風味。場面は変わってハデなカーチェイス。今夜もヴァンパイアを狩るブレイド。でもめまぐるしくて何が何やら。ヴァンパイアを殺すと普通灰になるけど、ならないやつがいて・・あら、人間だったの?人間の中にはヴァンパイアの奴隷になって協力するのがいて。そんなやつでも殺せば犯罪・・殺人だ。しかもばっちり撮影され、映像がテレビで流れちゃった。罠にかかったブレイド。殺人犯として追われるはめに。ウィスラーはそんなブレイドに「用心深いから生き延びてこられた」と言っていて、たぶんこれがこの映画のポイントかな・・と、私は思ったんだけど。ブレイドと違って生身の人間であるウィスラーは、人一倍用心深くしてなきゃ生きてなんかいられない。それにもう年だし。・・一つの映画があって、それがいいものか悪いものかの基準として、一本芯が通ってるかどうかってのがある。アホ映画だろうがゴミ映画だろうが、一本ピシッと芯が通っていれば、それだけでだいぶ感じが変わったと思う。でもこの映画はだめだったな。ウィスラーはこの後すぐ死んじゃうけど、彼の言葉がその後の展開に生かされているようには思えないのだ。いちおう思い出しはするけど。FBIや警察が動き出し、ブレイド達の隠れ家が急襲される。ウィスラーは応戦し・・ここで人間である警察官達を殺しちゃうのはちょっとまずいと思えたのだが・・パソコンのデータを消し、撃たれてこれまでと悟ると自爆。銃をあちこちに用意しておくのは用心深くていいが、データを消すのにあっちのパソコン、こっちのパソコンて・・。一つにまとめてないんかい!一方ブレイドはつかまるけど、わかったのは本部長も分析医もヴァンパイアの奴隷ということ。これじゃあ誰も信じられないわな。この二人がテレビに出た時、司会やってたのが「暴走特急」の悪役エリック・ボゴシアン。ブレイドを救出したのがハンニバル・キング(ライアン・レイノルズ)とアビー(ジェシカ・ビール)。キングは女ヴァンパイア、ダニカにたぶらかされ、奴隷だったけどやっと抜け出した。だからやつらの情報はいろいろ持ってる。

ブレイド3 2

アビーはウィスラーの娘。二人はブレイドをアジトへ連れて行く。いろんな設備、武器、協力者達を紹介されても、ブレイドは仏頂面。彼から見ればふざけた素人集団にしか見えない。ってことは、彼は一匹狼でやっていきたいと?でもそうも言ってられなくて。ウィスラー亡き今、やっぱり誰か協力してくれる者が必要で。レイノルズもビールもいちおうがんばってはいる。でも、魅力に乏しく地味。「3」ともなると、何を出してきても新鮮味はなし。いつも通りカーチェイスだの銃撃戦だので気を引こうとするが、内容の薄さはどうしようもない。これで例えばビールのアクションをばっちり見せてくれるとかすれば、オオッ!彼女もやるじゃん!となるが、細切れだの一瞬だの、髪の毛で顔が見えないだの、暗くてよくわからんだの、相変わらずのごまかしアクション。見せない工夫、出し惜しみ。カメラを固定し、ほれこの通り嘘偽りありませんというアクションを見せるのは、法律で禁じられているんですか?アビーは別にシャワーシーンも見せる。普通あんなふうに・・見えないようにシャワーなんて浴びませんけど?あと、「3」あたりで陥りそうなのが、下ネタの連発。そんなので笑い取るしか、見る者を引きつける方法がないとでも?キングがそっち担当だけど、何か彼のキャラってそのせいでいっそうまとまりを欠いたような。それ以上にだめなのがブレイドで、何考えてるのかわからないと言うか、何も考えていなさそうと言うか。心を乱されることもない悟りの境地かと言えば、そうでもなく。キングやアビー達にふざけてるとかぐじぐじ怒ってたし。何か全然魅力感じないんですけど。さて、ヴァンパイア達の企みというのは、元祖ヴァンパイアのドレイクを蘇らせること。彼のDNAは、元祖だけあって純粋で・・何たらかんたらでよくわからんが、要するに昼間も動き回れるデイ・ウォーカーになれると・・そういうことらしい。このドレイク・・ドラキュラもその存在の一つ・・どうやって元祖に?誰かにヴァンパイアにされたのではなく、生まれた時からヴァンパイアってこと?ドレイク役はドミニク・パーセル。「プリズン・ブレイク」でブレイクする前か。坊主頭で、ローマの戦士みたいにたくましい。顔立ちもいちおう整っていて、ちょっと小粒なクライヴ・オーウェンと言ったところ。パーセルでない時(←?)は、CG丸わかりの化け物になる。口がぺにゃ~んと垂れ下がって、恐ろしいと言うより滑稽。滑稽と言えばかわいいポメラニアンも、かわいくない他の犬も実はヴァンパイア。口がやっぱりぺにゃ~んで、走るとブラブラ。これは笑うシーンなんだろう。

ブレイド3 3

ダニカ役の人は何となくインパクトがあって。ブレイドよりもドレイクよりも、アビーよりも。メイクとか動きとか、どこか変な感じで。誰なんだろう・・って思っていたら、エンドクレジットでパーカー・ポージーとわかって。悪役なんだけど魅力があって、彼女だけはとてもよかった。キング達の仲間サマーフィールドは、ヴァンパイアを倒すウイルスを研究している。彼女は盲目なので、そのままじゃパソコンは使えないと思うが。音声機能とか使わないと操作できないのでは?彼女はドレイクに殺される直前、別の仲間にメール送るけど、そんなヒマあった?他の仲間もみんなやられるけど、ここって警報装置も監視カメラもないようで。第一バスケットに興じるなど、警戒心のかけらもなし。それにしても後半になると、ブレイドを追っているはずの警察もFBIも出て来ず、前半のあれはいったい何だったんだ?状態。ブレイド達が分析医バンスのところに乗り込むところや、クライマックスの戦いのあたりは、「アイ,ロボット」風味。監督・脚本がデヴィッド・S・ゴイヤーなので、彼が関わった「ダークシティ」や「ザ・クロウ」に似た雰囲気・描写があちこちに感じられる。まあクライマックスのバトルはいちおう迫力があって、ここでやっとブレイドも本気を出したという感じ。最後になぜかFBIが突入してくるけど、ドレイクは倒され、すべてが終わっているので、何もすることがない。空気中にはヴァンパイアを死滅させるウイルスが漂っている。どうせなら隊員の何人かが灰になって、捜査官をびっくりさせるとか・・何とヴァンパイアがまぎれ込んでいた!とか・・ひとひねりしろよッ!ラストは何となく消化不良。ん?ブレイドはどうなったの?で、エンドクレジットになって、普通ならそこで再生止めるけど、もしかして・・って最後まで見たら案の定。でも、ブレイドが車走らせてるだけのしょぼいおまけ。はいはい、「4」に続くってか?でも、作られてないよね。スナイプスの作品は一時よくシネパトスあたりでやってくれて・・でも最近ではどうなの?パトスはなくなっちゃったし、スナイプスは脱税だの何だのって・・。それはともかく、ウィスラーの金言・・「生き延びるには用心深さだぜい」・・これを生かして欲しかった。彼自身新聞を買って、その後隠れ家まで尾行されちゃって、突入されちゃって・・どこが用心深いやねん・・て感じだけど、それでもね。重要そうなセリフ言わせるなら、以後の展開にそれを生かせ。主人公は、出てきた時よりも半歩でもいいから前に進ませろ、成長させろ。他の出演者は、FBI捜査官に「ホワット・ライズ・ビニース」のジェームズ・リマー、ダニカの弟アッシャーが「臨死」のカラム・キース・レニー。