ロボコップシリーズ

ロボコップ

最初に見たのは民放。ナンシー・アレン扮するルイスは、死んでロボコップに生まれ変わるんだと思ってたけど、違った。ノーカット版は前にも見たはずだけど、ほとんど覚えていなくて。今回はノベライズも読んだことだし、しっかり記憶に刻むぞ・・と思いながら見た。だいたいピーター・ウェラーの顔が覚えられない。「愛のめぐりあい」や「悪霊喰」で見ているはずだが。最初の方はまだ人間だから、素顔。首がちょっと細くて、やや女性的な感じ。疲れたような・・。ジェームズ・ウッズとかスコット・グレンの系統ね。舞台となるのはデトロイト。市の財政は破綻し、公共事業は大企業オムニ社の支配下にある。ノベライズにはスタローンが97歳で死んだとあるので、今から30年ほど先の設定か。偶然だが、少し前デトロイト市の財政破綻のニュースがテレビで流れた。街や人心の凄まじい荒廃ぶりは、映画よりノベライズの方が克明に描写される。警察は人員を削減された上に、死傷者が続出。もうがまんできないとストライキに入る。オムニ社は24時間働けるロボット警官を開発中。成功すれば軍にも売り込み、莫大な利益が得られる。しかし責任者ジョーンズは、社長の前で大失態。代わりに名乗りを上げたのがモートンで、こちらは人体の一部を残すサイボーグ警官を目指す。着任早々瀕死の重傷を負ったマーフィー(ウェラー)は、死んで・・そして生まれ変わる。ロボコップの見た目は「スターシップ・トゥルーパーズ」を連想させるが、「地球の静止する日」のゴートにもちょっと似ている。モートン達の計画が狂ったのは、削除したはずの記憶が断片的に蘇ってしまうこと。自分は誰だったのか、フラッシュバックで見える光景は何を意味するのか。ノベライズとは違い、生前の家族とのシーンはカットされ、出てくるのは思い出のみ。まあねえ・・二重に見せることないもんね。それにしてもマーフィーの家・・豪邸だなあ。ウェラーが起用されたのは、すでに作ってあったロボコップのスーツに、彼だけサイズが合ったかららしい。どこか少年のような部分と、くたびれた中年なりかけの部分とで、女性のハートもくすぐりそう。後半マスクを取るけど、髪も眉もないので、別人に見える。極悪人クラレンスがカートウッド・スミス、ジョーンズがロニー・コックス、レオンがレイ・ワイズ、モートンがミゲル・ファーラーなど、悪役にいい俳優を揃えている。社長がダン・オハーリヒー。アレンは髪を短くし、さばさばしているのがいい。

ロボコップ2

「2」を見るのはたぶん初めて。WOWOWでやったのを録画し、そのままほったらかしておいたのをやっと見た。ノベライズを読んでおいたので流れはつかめるけど、そうでなかったらわかりにくいと思う。ロボコップ登場から一年、今デトロイトではヌークという麻薬が広まっている。これを手に入れるため、犯罪はますます増加。ヌークで大儲けしているのがケイン。彼の情婦アンジー、まだ10か11なのにいっぱしの悪党気取りのホブ。女子供には手を出せないのをいいことに、ロボをバラバラにしてしまう。いくら機械でもバラバラにされ、白目出してヒクヒク痙攣しているのを見させられるのは、気持ちのいいものではない。ケインに内通している警官のグフィが生きたまま解剖されるところや、ケインがロボコップ2号にされるところ・・頭蓋骨を切るウィーンチィーンという音・・取り出され、液に漬けられた脳、目玉、脊髄・・いやホントグロテスクです。マーフィーが妻子に寄せる思い、その思いを断ち切ろうとするせつないシーンも出てくるが、全体的には残酷さ、グロテスクな笑いの方が印象に残る。ケイン役はトム・ヌーナン。警官の中にマーク・ロルストン、ワンダ・デ・ジーザス発見。このワンダ、ファックス博士、ロボのメンテやってるリンダ、アンジー・・みんななかなかの美女。そのせいか、「1」に続いての登場ルイスことナンシー・アレンはカゲが薄い。他に「ラッシュアワー」シリーズのツィ・マー。さて、ファックスは美人な上に野心家。ロボコップ2号製作は失敗続きだが、それは警官の脳を使っているから。警官だからってみんながみんな精神的に強いわけじゃない。その点ケインのような犯罪者なら、精神も強靭なはず・・という、ムチャクチャな発想。もちろんそのお披露目の席で大惨事が起きる。アクションシーンはかなりの凄まじさ。幼い少年がマシンガンを撃ちまくり、麻薬を売り捌き、ルイスの背中に乗っかって首を絞めるなど、凶悪なのも珍しい。いつの間にか撃たれていて、ロボコップに看取られて死ぬが、あまり気の毒でもない。ホブ役ガブリエル・ダモンは子役としていろいろ出ていたようだが、今は活動していないのか。・・と言うことで、「2」としてはそれなりにがんばっている方だと思う。そのわりには見ていても盛り上がりが感じられず、何でかな・・と首を傾げてしまった。

ロボコップ(2014)

20数年ぶりのリメイクだが、ヒットはしなかったのかな。続編はなしかな。撮影技術は確かに進歩したけど、今作を見ていて思うのは、旧作もあの頃にしてはがんばって作っていたのだな・・ということ。旧作の方に感心してしまう。向こうにあった残酷さが、こちらではさほどでもないとか書いている人が多いけど、グロテスクな部分はあるよ。脳や臓器をグロテスクなんて言うべきじゃないけど、皮膚があるおかげでずいぶん・・。剥き出しのままだったら人類の歴史・・美意識もかなり変わっていただろう。マーフィー役ジョエル・キナマンは長身で顔が小さく、ロボコップのスーツ姿になると、ウエストがきゅっと締まっているのがわかる。短髪のせいもあって、ポール・ウォーカーに似ているが、ロボコップになって顔しか見えなくなると、ヴァン・ダムに似てくる。アメリカンな感じがなくなり、ヨーロッパの雰囲気が出てくる。ちなみにキナマンはスウェーデン出身らしい。敵役セラーズはマイケル・キートンだが、悪党度が足りない。その分マトックス役ジャッキー・アール・ヘイリーがマーフィーを痛めつける。セラーズの部下リズ役はジェニファー・イーリー。こんな近未来SFにも出るのか。陰で操る悪女とか、そういうひねりがあってもよかったのに、作品全体がさっぱりめ。バロン一味との対決も、一転闇の中になってしまうので、モロテレビゲーム。治安ロボットの導入に反対しているドレイファス役は「メンタリスト」や「ミディアム」に出ていたザック・グルニエ。うさんくさいテレビ司会者ノヴァックがサミュエル・L・ジャクソン。がなりまくりでうるさい。マーフィーを改造するノートン博士役はゲイリー・オールドマン。彼の置かれた状況の大変さに共感を覚えた人は多いのではないか。際限なく注文をつけられ、これでいいということがない。何とかしろ、失敗だ、後戻りできない、見映えをよくしろ。自分の意志に関係なく英雄に祭り上げられたり、犠牲者にされそうになったりのマーフィーも気の毒だが、ノートンの人生もそれと同じくらい大変だ。でもその中で最善を尽くし、悪には染まらない。てなわけでそんなにひどい出来でもないのだが、オリジナルに比べるとやっぱりね。ナンシー・アレンにあたる女の相棒を何で出してこなかったのかな。家族との繋がりを大事にしたのはいいんだか、悪いんだか。あ、ヘルメットに赤い線が一筋入るのは、ゴートみたいでよかったぞ。