コールド・バレット 凍てついた七月
これは何となく録画し、そのままほったらかしにしておいたもの。もう五年もたってる。でも消さなくてよかった。暇を見つけてエイッとばかりに見始めたんだけど、これがあなた意外な拾い物。主演のマイケル・C・ホールはテレビの「デクスター 警察官は殺人鬼」で知られているらしい。でもこっちじゃ放映してたかな?1989年のテキサス・・ん~後で考えるとテキサスってのがミソなんだな。銃に対する寛容度が高いと言うか。それとやや女は引っ込んどいてもらいましょう的なところ。リチャード(ホール)は額縁店をやっている。妻のアンは教師で、ジョーダンという小さな息子がいる。ある晩夜中に物音がして目を覚ましたリチャードは、父親の形見の銃を用意。暗闇の中ちょっと指が滑って侵入男を撃ち殺してしまった。ここらへん暗くてよく見えない。夜だから当然だけどテレビを見ているのは猫じゃないので、もうちょっと見えるようにお願いします。すぐ通報するが、プライス警部補は男を見るなりフレディ・ラッセルというろくでなしだと即断。正当防衛で不起訴になるというので、リチャードもホッとするが、相手が丸腰だったことで気は重い。血の飛び散った現場をせっせと掃除。ザ・クリーナーを呼びなされ。うわさはすぐに広まり、リチャードやアンはいやな思いをする。テキサスだけあって非難する人はいないが、それでもそっとしておいて欲しい。プライスによると、フレディには仮釈放中の父親がいるらしい。ここらへんは、誤って人を殺してしまったため心に傷を負った主人公が、妻やまわりとうまくいかなくなるけど、ラストではそれを乗り越えて・・みたいなストーリーか・・と思える。そういう重苦しいのは私の好みじゃないので、見始めたのをちょびっと後悔してみたり。さて、フレディの葬式が気になるリチャードは、迷った末墓地へ。そこへ現われたのが年配の男。もちろんフレディの父親ベン(サム・シェパード)だ。彼はリチャードを逆恨みし、彼やその家族、特にジョーダンを標的にするつもりのようで。で、ここで家族を守るためにリチャードがベンと戦うサスペンス物になるのか・・となる。ベンがただの初老の男であるはずはなく、悪知恵に長けたその道のエキスパートなのは明らか。それに対しリチャードは暴力とは無縁の善良なパンピー。特殊能力ゼロ。
コールド・バレット 凍てついた七月2
子供を殺すわけにはいかないから(←?)アンあたりが犠牲になるとかし、復讐に目覚めたリチャードが立ち上がり、ベンと死闘をくり広げるとか。ラストでは額縁店の女店員あたりと一緒になったりして。それにしてもプライスの対応は変だな。フレディはろくでなしとか指名手配犯だとか言ってさっさと片づけちゃう。ベンに脅迫されたと訴えても何もできないと取り合ってくれない。しかし家の鍵が壊され、警報装置も解除されてるとなって考え直したのか、ケヴィンという元特殊部隊の警官を警護につけてくれる。それだけではなく、自分達は家の近くの森に潜み、ベンが現われるのを待つ。一転して今度は総力挙げてとなるのが変。どうしてベンの犯罪歴とかやり口とかネットで調べないのかなと思ったが、考えてみりゃ1989年じゃネットなんかないんだと気づいた。眠れないリチャード。それにしてもこういう時でも子供は別の部屋に一人で寝かせるんだな、日本人には考えられん。ケヴィンは殺され・・まあ出てきた時からそれは予想つくけど、ベンは逃亡。どうやら忍び込んだのではなく、ずっと家の中に潜んでいたようで・・怖~!今度はケヴィンの血を掃除するリチャード。現場検証やった?そのうちベンがつかまったという知らせがプライスから来る。あっけない幕切れだが、これでやっと安心できる。心が軽くなるリチャード。ケヴィンは殺され損ですな。警察に提出していた銃を返してもらいに行ったんだと思うが、そこでリチャードは壁に貼られた指名手配犯の写真を見て違和感を覚える。自分が撃った男と違う~!ところがプライスは何のかんのと理由をつけて取り合わない。こりゃ絶対プライスの態度はおかしいと見ているこっちも思い始める。その後のシーンは暗くてよく見えない。だからぁ~あたしゃ猫じゃないですってば!たぶんリチャードがいるのは警察署の近くで、そこから男が引っ立てられてきて車に乗せられる。あとをつけるリチャード。男は殴られ、何かかけられて放置される。最初はガソリンとかかな?と思った。いつ火がつけられるのかと待っていたら、車は走り去る。そのうち列車が近づいてくる。・・てことは線路の上に放置されているってこと?かけたのはお酒かな。酔っぱらって線路で寝込んでいるところをひかれたというふうに見せるため。あわやという瞬間、リチャードは男を助け出す。
コールド・バレット 凍てついた七月3
で、山奥にある自分の父親の小屋に男を運ぶ。殺されそうになっていたのはベン。リチャードは敵であるベンを助け出すはめになったのだ。このことはアンには黙っている。この映画ではアンは蚊帳の外に置かれている。最初の方、事態に二人で対処している時は衝突したりしてうまくいかない。そのうちリチャードは一人で対処するようになる。隠し事はなしというのが向こうの常識だが、実はそれって非常に疲れる。何があったの、どうしてそんなことをしたの、何を考えてるの、ちゃんと説明して・・いやホント、そんな状態になるくらいなら初めから黙っていた方が楽。それに、リチャードが何を考えているのか漏れるのは・・特にプライス達に・・危険でもある。今の彼は警察が自分やベンをだましていると確信している。自分と家族はベンをおびき出すためのエサに使われたのだ。ケヴィンみたいに殺されていたかもしれないのに。とにかくフレディは生きてる。ベンは自分を恨む必要はないのだ。ほよ~妙なことになってきたぞ。今度は警察の不正?リチャードがベンとタッグを組んでそれを暴くの?もちろんベンにはすぐ受け入れられない。それとも殺されそうになったのだからある程度はおかしいと思っているのか。リチャードがベンにライターを渡したり、スコップを持たせたりするのは危険に思えるが、何もしなかったのはそのせいか。見ているこっちは危ない危ないリチャードあんたスコップで頭かち割られますぜ・・と心配したけど。墓地へ行って墓を掘り返す。棺の中を見てベンはフレディじゃないと言ったけど、子供の頃会ったきりなのにわかるのかね。身元がわからないよう死体の指は切断されていた。ところであの後ちゃんと棺を埋め戻したのかしら。じゃないとプライス達にばれますぜ。ところどころ・・と言うか、あちこちずさんな感じがする。一番あれなのはフレディの写真を貼ったままにしておいたこと。リチャードのおかげでかっこうの替え玉が見つかったんだから、すぐにでも剥がしておくはず。そのままにしておくからリチャードに気づかれる。また、ベンについては最後までほとんど何もわからないままだ。どういう犯罪を起こしたのか、なぜフレディと別れたのか。母親のことは全く無視される。さてその彼はどこかに電話している。しばらくしてリチャードの店に妙な客が来る。映画のムードがガラリと変わったような感じ受ける。
コールド・バレット 凍てついた七月4
ちょうど「パニッシャー」にギター抱えた殺し屋が登場した時のような、場違いな感じ。リチャードとベンが協力し合って・・というムードなのに、突然助っ人が割り込んでくる。この男ジムはヒューストンの探偵。老けたけどもしかしてドン・ジョンソン?ジムによればフレディは連邦政府に仲間を売ったとか。仲間と言ってもマフィアで。ムショへ入らずにすむようFBIと取引。証言する代わりに証人保護プログラムのもとで別人として生まれ変わる。彼が死んだことにできるとマフィアの追及の手がゆるむから、FBIにとっても都合がいい。プライスらはFBIの要請で動いている。まあこういうことらしいのだが、大きな犯罪をつぶすためには小さな犯罪には目をつぶると言うか。で、この後どうするかということだけど、フレディ捜し。FBIや警察の汚いやり方を暴くという方向へは行かない。マフィアとも戦わない。リチャードはもう関係ないんだけど・・町へ戻って何事もなかったように暮らそうと思えば暮らせるんだけど・・そして家族のためにはその方がいいんだけど、その気になれない。自分が撃ったのは誰だったんだという疑問は解けないまま。でも最後まで男の身元は不明のまま。何しろ警察が敵じゃ探り出す手段もない。でも本音を言うとベンとジムに協力したいのだ。フレディを失ったベンを見て、自分がジョーダンを失ったらという恐怖におそわれた。それが一転生きてるとわかったのだ。息子に会えるよう及ばずながら協力したい。二人が再会して和解できれば・・自分の気持ちも少しは軽くなるはず。リチャードはアンにウソをついて家をあとにする。行き先はジムの家。彼の本業は養豚業らしい。証人保護プログラムで姿を消したとは言え、探り出す手段はある。車社会だから免許は必須。近頃免許を取得した者をまず調べる。それに年齢や髪の色などわかっている条件をカギに絞り込んでいくと・・行き着いたのがフランク・ミラーという男。しかもこの男過去の記録がない。とにかく判明した住所へ行ってみると、あいにく留守だったが、ちょっとしたアクシデントが起き、事態は意外な方向へ。車の接触でトラブったメキシコ人の大男をたたきのめすが、その男の車のトランクにはビデオテープがいっぱい。試しに一本持ち帰って再生してみると・・。見ている我々はきっとポルノビデオだろうと思ってる。
コールド・バレット 凍てついた七月5
ところがこれがスナッフビデオ。しかもうつっているのはフレディだ。ジムもリチャードもベンには黙っていようとしたけどそうもいかない。結局ベンも見てショックを受ける。本来なら警察へ届けるべきだが、殺されてるのは不法入国者だし、しかも売春婦。ちゃんと動いてくれるかどうか。ところでベンとジムは朝鮮戦争で一緒で、ベンはジムの命の恩人なのだそうな。え~朝鮮戦争なんて古すぎないか?ベトナム戦争だろ?と思ったけど、そう言えば今は1989年だったっけ・・と思い出す。リチャードはそろそろ家へ戻らなければならない。しかし戻っても眠れないし、気もそぞろ。結局また家を抜け出す。いよいよ三人で行動を開始するわけだが、スローモーションになったりいかにもな感じ。フレディと例の大男のあとをつけるとレンタルビデオ店へ。フレディは店主らしい。ウム、この頃はDVDもブルーレイもなく、ビデオだったんだ・・(遠い目)。リチャードが店に入り、様子をうかがう。声をかけてきたフレディは、愛想がよく如才ない。とても変態殺人鬼には見えない。金髪でハンサムでやさしそうな彼は、さぞ犠牲者をつかまえやすいことだろう。閉店が11時と聞き、その時間に再び出動。しかし閉店後なのに車は来るし予想外の展開に。男が五人に女が一人。てことは今晩またスナッフビデオを撮影するつもりなのだ。あのトランクにはビデオがいっぱい入ってた。いったい今までに何人殺しているのやら。その後はリチャードばかりうつすなど、ややバランスは悪い。また、何がどうなっているのかよくわからないなど、モタモタした印象。天井の照明にサッと血が流れ落ちるなど、いいシーンもあるが。ベンが死んでしまうのは予想がつく。自分の息子を手にかけるのだ。その後も生き長らえるとは思えない。ジムの生死はこの時点では不明だが、後でケガをしながらも生き残ったことがわかる。リチャードは死体ごと建物を燃やしてしまう。トランクのビデオも忘れずに始末しろよ~。ラスト、今度こそ家に戻るリチャードを見送るジム。後ろに立っているのはベンじゃないよね。ベンなら顔うつす。私が思うに助け出された女性だと思う。ケガをしたジムの代わりに豚の世話をし、ついでにそのまま一緒に暮らすとか。そういう終わり方でもよかったと思う。てなわけで「8MM」とか「モーテル」風味になって、最後までドキドキさせてもらいました!