わが目の悪魔

わが目の悪魔

この作品あたりがアンソニー・パーキンスの遺作になるらしい。原作はルース・レンデルで、文庫が出ているようだが、入手は無理か。まあ古本屋で気長に捜そう。1992年頃の作品だが、70年代80年代の映画見てるよう。やたら心地よい音楽が鳴り響くが、そのうちうるさくなってくる。音楽過多。パーキンスの演技も、集大成と言うか「サイコ」以来引きずっているもの全部見せますって感じでこれまた過多。作り方は怖い場面はほらこうやって作るんですよ~とサービス過多。あんまりくり返し見せられるとうんざりしてくる。編集も大変だったと思う。切ってつなげ、並べ替えてつなげ・・。現実と妄想、過去と現在が入りまじる。ごちゃごちゃでわけわからんということはないが、息苦しいし堅苦しい。いちいち見せなくたってわかるよと言いたくなる。アーサー・ジョンソン(パーキンス)は気難しい独身中年男。人好きのしない、まわりに壁作って誰とも打ち解けないタイプだが、真面目で几帳面で信用がある。ある日一階にアンソニー(アントニー)・ジョンソンが越してくる。ディーンが出た後にはマーティンが入った。アパートだから出入りがあるが、アーサーはもう20年もここに住んでいる。アンソニーは人妻ヘレンと恋仲で、夫ロジャーとは別れて欲しい。名前が似ているせいで、アーサーとアンソニーには手紙を間違って開けたりとかいろいろある。最後はロジャーに、妻の浮気相手と誤解され・・。まあこの展開は・・私はロジャーが登場するとは思っていなかったのでちょっとびっくり。さて、アーサーは連続殺人鬼らしい。しばらくがまんしていたが、また火がついたらしい。子供の頃厳格な伯母に育てられたせいで性格がゆがんでしまったようだが、あまりよくわからない。娼婦や看護学生らを殺し、その時の彼女達の表情が目に焼きついて離れず、苦しむ。ちなみに私は題名から、角膜移植で目が見えるようになったけど、恐ろしいシーンが見えてしまうとかそういう内容かなと思っていたが、違った。アンソニーがわりと気さくな性格で、近所の子供達と仲良くなるのがいい。彼のフィッシュ・アンド・チップスの簡便な食事に対し、アーサーは毎回きちんとお茶のセッティングをするとか、食事の時ナプキンを吊るすとか(ああいうやり方は初めて見た)、そういうシーンもいい。ラストシーンは・・ロジャーやアーサーのこと考えると・・ノーテンキすぎるな。