ウルフ・アワー

ウルフ・アワー

作家のジューン(ナオミ・ワッツ)は処女作が売れて一躍有名に。しかし本の内容のせいであれこれあって、今ではアパートに引きこもっている。特に父親の急死がこたえていて、ここにじっとしていればにも迷惑はかからないと思っている。ニューヨークの治安の悪い一帯にアパートはある。元々は祖母が住んでいた。必要なものは配達してもらい、家賃はドアの下から差し出す。部屋は荒れ、ゴミはたまり、悪臭がする。もう四年くらいたっていて、金もそろそろ乏しくなってきている。今は1977年の夏で、暑いけれど部屋にはエアコンはないようだ。世間は”サムの息子”事件で騒いでいる。ジューンは友人のマーゴ(ジェニファー・イーリー)に金の無心をする。訪ねてきた彼女は部屋の有様に驚き、掃除をし、ジューンが書いたものを見つけると出版するよう勧める。しかしジューンは彼女を追い出す。やれやれ何ていやな女なんだ。近頃彼女を悩ませているのはブザーだ。鳴っても誰も応答しないし、窓から下を見ても誰もいない。このブザーのせいで怪奇映画的ムードが高まる。すべては彼女の妄想、夢なのでは?警察に通報するが、やってきた警官はふらちな行為に及ぼうとする。出版社に前借りを頼むが断られる。すでに相当の金額を前借りしているらしい。それでいていっこうに新作を出さないのだから断られて当然だ。配達を頼んでいるフレディ(ケルヴィン・ハリソン・ジュニア)はがめついところがあるが、その反面含蓄のある言葉を吐く。宅配デートの相手ビリー(エモリー・コーエン)との会話は、なぜか心が安らいだ。彼がブザーの相手を確認しに行くところでは、殺されるのでは?と心配したが何もなし。見終わってみると、ブザーが鳴るのは暑さで配線がおかしくなっているのでは?とも思える。結局怪奇なところは何もなく、どん底に落ちた作家が引きこもりを克服し、二作目を出してまたまた売れたと・・そういう内容。作家はどんな経験も作品の糧にするというか、そんな印象。ワッツはこれこそ役者冥利に尽きるとばかりに大熱演。それはわかるけどどうもねえ。それにしてもイーリーもコーエンも別人のよう。確かイーリーって「高慢と偏見」の人だよなあ・・でも似てないし。髪の色のせいかな。コーエンは「ザ・インターセクションズ」に出ていが、これも別人のよう。IMDbの写真ではイケメンなのにこっちはヒゲの生えた小太りのオッサン。まあビリーはいい人なのでオッサンでもいいけどさ。