新・刑事コロンボ1 汚れた超能力
エリオットは超能力者としてCIAや国防総省の注目を集めている。ロシアでも超能力を研究・利用しているらしいから、アメリカも負けてはいられない。しかし実際はエリオットは研究所のポーラと組んでイカサマをやっているだけ。ある日彼の能力が本物かどうか、もっと精密な実験をすることになり、ダイソンが呼ばれる。彼はマジシャンだが、あちこち呼ばれていってはインチキを暴く。今まで一人も本物の超能力者、霊能者はいなかったと言い切る。エリオットはこのピンチをどう切り抜けるのか。いやいや実は二人は昔ウガンダの刑務所で一緒だった。エリオットはダイソンからマジックを教わったのだ。表向きは天敵だから、実験が二人のなれあいだなんて誰も思わない。ダイソンがエリオットは本物と認めたため、CIAのハロウが獲得に乗り出す。エリオットはウガンダで脱獄に失敗したのはダイソンの密告が原因と深く恨んでおり、彼をギロチンで殺してしまう。ダイソンが今回インチキの片棒かついだのは、密告の負い目からだ。普通ならそれでチャラにするところだが、エリオットは違う。それにしても彼はCIAに入り込んでどうやってやっていくつもりでいるのか。インチキは一人ではできず、ポーラや今回のダイソンのような協力者がいなければ無理だ。ロシアのスパイを超能力で見つけろと言われたら、当てずっぽうを言うのか。エリオット役は「忘られぬ死」やマクイーワン版「親指のうずき」に出ていたアンソニー・アンドリュース。ここでの演技はビミョー。硬いと言うか不自然。まあエリオットは日常生活すべてが演技、インチキだから、不自然でも不思議じゃないけど。ダイソン役は「地球最後の男 オメガマン」などのアンソニー・ザーブ。小道具としてギロチンが何度も出てくるが、あまり気持ちのいいものではない。コロンボは、エリオットにギロチンの刃を自分に向かって落とすよう仕向けるが、相手はマジシャン、あんなことやるとはとうてい思えない。ダイソンの葬式にはマジシャン仲間が集まる。悲しみの中にも花を出したり鳩を出して飛ばしたりと、おかしみがあってよかった。
新・刑事コロンボ2 狂ったシナリオ
今回はハリウッドの撮影所が舞台。パロディ的な部分や楽屋裏的な部分が満載で、それをおもしろいと見るかどうかで印象が変わってくる。私はどちらかと言うとまたかよ・・って思った方。見せ方もちょっとくどい。芸術家は感性が命。光と影、生と死、だましだまされ・・持論が展開される。女優も負けずに持論を展開。大役を任されて不安になっていた時、そばにいてくれるべきだったのにいなかった。相手役の俳優と数時間話し合って、心が一気に近づいた。恋人だったらそばにいてくれなきゃ。いなかったから私は他の男に心を移したのだ。私が悪いんじゃない。しかも後でわかったけど、その男優との出会いは、あなたが仕組んだものだった。あなたは私を遠ざけたかったのだ。監督からすると、女優が役欲しさに監督に近づくのはよくあること。でもそのうちつけ上がって、いろいろわがまま言い出す。だから一度関係を断っておいて、しばらくして気が向いたらまた復活させればいい。相手役と恋に落ちれば演技も本気になっていい作品になり、こっちにも好都合だから細工したのだ。何もかも作品のためだ。こういう男女間のあれこれは今回の殺人事件にはあまり関係ないが、こっちの方が興味深い。監督だか特殊効果マンだかよくわからないが、とにかく才能あふれるアレックス。演じているフィッシャー・スティーヴンスは最初に見たのが「ミディアム」で、だいぶくたびれていた。この頃はまだ若く、ロディ・マクドウォールに似ている。目の間が狭いこと、メガネ、大きな鼻など、スティーヴン・スピルバーグにも似ている。子供がそのまま大きくなったようなところも。突然幼なじみのフィッシャーがアレックスの前に現われる。10年前のバイク事故でフィッシャーの妹ジェニーが亡くなったのは、アレックスが見殺しにしたせいだと言ってくる。彼はフィッシャーを殺し、死体を捨てるが、コロンボが訪ねてきて・・。コロンボはたぶんサディスト。ねちねちしつこくつきまとい、じわじわと責め立てる。「スパイ大作戦」のスティーヴン・ヒルと、「愛しのローズマリー」で見たばかりのナン・マーティンが出ていた。
新・刑事コロンボ3 幻の娼婦
心理学者のジョーンは「コーティザン・コンプレックス」という本で有名だ。最初ラジオ放送をしているので、ここは放送局かと思ったが、違うようだ。ビルの中にこういう設備、オフィス、セラピー用の部屋(寝室も含めて)などがあるらしい。かなり大規模・・と言うか、それほど患者がいるってことか?ジョーンにはデヴィッドという恋人がいるが、ある日彼女の助手シンディと浮気しているのを見てしまう。しかも自分のことを笑ってる。プライドを傷つけられた彼女は・・。変装して娼婦に化け、ゲームだと言ってデヴィッドを誘い出す。銃で殺した後はタバコの吸い殻、マッチ、髪の毛、じゅうたんの血などあれこれ細工をし、連れ込んだ娼婦とトラブルになり・・というふうに装う。私から見ると、細工をすればするほどボロが出るのに・・と思う。また何で自分のオフィスで?この作品はセックス関係のセリフも多く、コロンボ物としては異質な感じ。それでも下品にならずにすんでいるのは、ジョーン役リンゼイ・クローズのおかげか。美人というわけではないが、知的で品がよく、スタイルもいい。娼婦に化けてもちっとも魅力的じゃない、若くもないしあんなふうに男が近寄ってくるとは思えないという声もあるが、若さや曲線だけが男をそそるわけではないだろう。その裏に何かありそうだから引きつけられるのでは?コロンボは今までさまざまな犯人と対決してきたが、その中ではジョーンはどちらかと言うと気の毒な部類に入るのでは?セックスの専門家なのに、つまらない男のせいで愚かなことをしてしまう。復讐するなら他にもっといい方法がいくらでもあるだろうに。クローズはこの数年後「アライバル-侵略者-」に出ている。見覚えがあるように感じたのはそのせいか。デヴィッド役スティーブン・マクトは「メンタリスト」に出ていたらしい。普段患者の悩みを聞いている連中が、次々にコロンボに相談を持ちかけるシーンが笑える。次はシンディだな・・と思っていると本当にそうなるし。ジョーンのテーマだかリサのテーマだか知らんが、やたら思わせぶりな音楽が流れる。
新・刑事コロンボ4 迷子の兵隊
パジェット将軍(スティーブン・エリオット)が名誉会長をやっている財団がある。彼は高齢だし、足も不自由なので、運営はブレイリー大佐(ロバート・フォックスワース)に任せている。それをいいことにブレイリーは、スペシャル・プロジェクト基金なる名目で勝手に金を運用。不正な武器輸出などで自分のふところを肥やす。疑問を持った将軍は、キーガン曹長に調査を頼むが、キーガンはブレイリーの尻尾をつかむと、自分も一口乗せろと言ってくる。財団では民間人の軍事訓練もやっており、ブレイリーはキーガンを殺し、訓練中の事故に見せかける。コロンボも事故だと思っていたが、いろいろ説明のつかないことが出てくる。例によって早々にブレイリーに目を付け、ねちねちと責め立てる。今回はあんまりおもしろくない。ブレイリーが裏でやってることがはっきりしない。軍隊とは違う、民間人相手の訓練機関というのは興味深い。教官は軍人だし、内容も本格的。コロンボはいちおう訓練生に事情聴取するが、キーガンのことより、なぜ彼らが訓練に励むのか、そっちの方が気になるようだ。傭兵志望というのはまあわかる。中には、誰も気づいていないけどこの国は狙われていると思い込んでる妄想家とか、あちこちの訓練施設を渡り歩くマニアみたいなのもいて、コロンボの理解を超える。もう一つ興味深かったのは、将軍の妻ジェニー(ジャネット・アイルバー)。親子ほども年が違うし、車椅子生活となれば、浮気をしたからって誰が責められよう。ジェニーは夫を愛し、傷つけたくないと心から思っているが、人並みの欲望はある。たぶんブレイリーはそこに付け込んだのだろう。プロジェクトのレポートは二種類あって、ブレイリーは表向きのを将軍に渡してごまかすが、後にコロンボによって裏のが渡され、不正が発覚する。どうして表に出てはまずいレポートが秘書の手にあるのか。自分で管理し、人の目に触れないよう注意するはずだが。フォックスワースは「オーメン2/ダミアン」に出ていた。青い目が冷たい感じのする人。アイルバーは清楚で感じがいい。ブレイリーは不正がばれると、ジェニーとのことをマスコミにばらすと脅迫。将軍は屈するが、コロンボはかまわず彼を逮捕する。と言うことは・・不倫が表に出て、ジェニーと将軍は苦しい思いをするのかな。
新・刑事コロンボ5 殺意のキャンバス
画家のバーシーニ(パトリック・ボーショー)の暮らしはいっぷう変わっている。先妻ルイーズ(フィオヌラ・フラナガン)は隣りに住み、食事を作ってくれる。今の妻ヴァネッサ(シーラ・ダニーズ)は金を儲ける。モデルのジュリーも同居している。つまり、バーシーニが快適に暮らすには、三人の女が必要なのだ。モデルとの浮気は今に始まったことではなく、ヴァネッサもモデルだった。やっと妻の座を勝ち取ったと思ったら、今度はジュリー。今まではルイーズの存在がクッションになっていたけど、その彼女がここを離れると言い出す。以前度々悪夢を見るので、心理学者ハマーに見てもらったことがある。その彼と再会し、お互い好意を抱き・・。もちろんバーシーニは大反対だが、女三人の均衡が崩れることより、昔の秘密がばれることの方が心配のようで。彼はルイーズを溺死に見せかけて殺す。捜査を始めたコロンボは、常識はずれな四角関係に首をひねりっぱなし。フラナガンには老女というイメージがあるが、ここでの彼女は水着の胸がはち切れそうで。首とかシワがあるのに、妙な感じ。ボーショーは「パニック・ルーム」に出ていたらしい。声が森山周一郎氏なので、ずっと聞いているとこっちまで喉がいがらっぽくなりそう。ダニーズは旧シリーズの頃に比べると、演技もこなれてきたし、くっきりした目鼻立ちが美しい。ルイーズがいなくなって、ケンカばかりしているヴァネッサとジュリーだが、ふとバーシーニの自己チューぶりに気づき、二人して出ていってしまうのが笑える。彼は一度に三人愛せると思ってるし、一人の女が彼の望むすべて・・おいしい食事、金、製作意欲・・を満たすのは無理だと思っている。でも女は・・男には一人の女を愛する誠実さが欲しい。話をしてみたら、二人とも孤児で似たような境遇。バーシーニこそ、求めていた愛を与えてくれる男・・そう思い込んでいたけれど、幻想だったみたい。どっちかと言うと私にはこっちの方がメインに思えて。過去の殺人・・画商ハリー殺し・・は、映像に凝り、時間かけてるわりにはぴんとこなくて。ルイーズの悪夢の内容なんか、モロ殺人を暗示しているのに、ハマーが気づかないのはおかしいし。アリバイ作りに利用される酒場の主人は、旧シリーズでおなじみのヴィト・スコッティ。酒場はもう少しお客がいた方が自然。
新・刑事コロンボ6 だまされたコロンボ
ダイアン(ディードル・ホール)とショーン(イアン・ブキャナン)は、共同で「バチェラーズ・ワールド」という雑誌を出している。カメラマンのショーンが、モデルと浮気をくり返すので、ダイアンは持ち株を財界の大物マシューズに売り渡すと宣言。シャトーにモデルを集め、バカ騒ぎをしたり好き勝手なことをしていられるのも今のうち。経営がマシューズの手に渡れば、ショーンはたぶんお払い箱。マシューズに会うためロンドンへ旅立ったダイアンは、そのまま失踪。途中弁当を受け取るため、運転手のコズナーがレストランへ。その時銃声がするが、車に異常はなく、空港へ。ダイアンとショーンがトラブってるのを、秘書のヘレンは録音している。空港の監視カメラにうつっている女性は、ダイアンの替え玉らしい。ショーンの恋人ティナにははっきりしたアリバイがなく、替え玉は彼女だと思われる。コロンボは殺人と確信するが、決め手がない。ダイアンの死体が見つからないのだ。シャトーの敷地内を大がかりに掘り返すが、マスコミが押しかけ、大騒ぎに。おかげで「バチェラーズ・ワールド」は販売部数が大幅アップ。ただで宣伝ができたとショーンはご機嫌。途中から、ショーンは殺してはいないのでは?というムード。案の定、ほどよいところでダイアンが姿を現わす。何もかも二人が仕組んだ芝居。販売部数がはね上がれば、マシューズへの売り渡し価格も高くできる。コロンボはうまく利用されたわけだが、警察をだましていたということで、罪には問われないの?このまま終わるはずはなく、ダイアンが計画に協力したのはただただ金のため、自分をお払い箱にする気に変わりはないと知ったショーンは、今度こそ彼女を殺す。ティナが替え玉になって出かけ、そのまま失踪。前と同じ流れだが、騒ぎに懲りた市長や本部長は、また同じことをくり返すのはごめん、コロンボには担当させるなと言うが・・。途中で浴室の改装をしているシーンが出るので、死体の隠し場所は見え見え。ダイアンのポケベルを鳴らして死体を見つけるというラストはよかった。ブキャナンはどこかで見たような・・。「パニック・ルーム」に出ていたらしい。ヘレンとかコズナーのように、真面目に働いている人も中にはいるが、浮かれ騒ぐモデルや、自己中心的なダイアンやショーンには嫌悪感がわいた。
新・刑事コロンボ7 完全犯罪の誤算
今回はコロンボのしつこさ、ずうずうしさ、無神経さ全開で、それらをくり返し見せられるので、見ているのが苦痛ですらある。犯人を追いつめる爽快さは皆無で、居心地の悪さ、早く終わってくれという、いたたまれない気分にさせられる。理由が何であれ、殺人はよくないんだよ、必ずばれるんだよという戒めを込めているのなら、それは成功している。でもたいていの人は犯人に同情し、コロンボは嫌なやつに見える。じゃあ何かい?どうすればよかったんかい?21年前のことをばらされて、将来を棒に振ればよかったんかい?それとも相手の言いなりになって、罪を重ねた方が殺人よりマシなのかい?たぶんそれは新しい脅迫のタネになるだけだ。次に便宜を図れと言ってくるのは、今回のように21年も間を置かず、しかも頻度は増すだろう。フランクが何をやってて、どういう罪に問われているのかは見ていてもよくわからない。確かなのは五年くらいは食らいそうなこと。金を積んで腕のいい弁護士を雇えば30ヶ月ですむかも。でも彼は刑務所へ行く気はない。だから刑事弁護士のフィンチに電話してくる。21年前、彼はフィンチと、その頃検事局にいて、今では下院議員のマッキーに書類を処分してもらい、告発を免れた。今度も同じことをしろと言ってくる。してくれなければ21年前のことをばらす。マッキーは副大統領候補になろうかという大事な時期。彼が出世すればフィンチだって司法長官になれるかも。何しろマッキーがここまで来れたのはフィンチのおかげで。フランクの始末はフィンチにとっては事務処理のようなもの。綿密な計画と、手際のよい行動。何しろ仕事柄犯罪に関し、豊富な知識と経験がある。その彼でもミスがあった。今は録画すれば何度でも再生できる。フィンチがフランクの家へ行って話をしている時、手に何か持っている。それがチーズで、ほんの小さな一片だ。何で一口で食べてしまわなかったのだろう。フランクを撃った後、銃と一緒にチーズを皿に戻すシーンがちゃんとある。戻して・・それで忘れちゃったのね!フィンチ役はパトリック・マクグーハン。監督も彼で、天井の高い大きな部屋で、薄暗くて、そこに小さく人物がうつっている・・なんていうシーンもあるが、別に意味もなさそうで。凶器の銃について全く何も言ってないのはなぜなんだろう。大統領選に出馬しようとしている知事の役でアーサー・ヒルが出ていた。
新・刑事コロンボ8 かみさんよ、安らかに
コロンボの新シリーズは全く見たことがない。ガイドブックもないので、感想も書き辛い。題名を見て、旧シリーズとは違うな・・と思うのは「恋に落ちたコロンボ」とか「だまされたコロンボ」とか、今回のように「かみさんよ、安らかに」とか・・。コロンボ本人のことが前面に出てきているような気が。不動産会社でセールスを担当しているヴィヴィアンは、ずっとある決意を秘めている。10年前、夫のピートが傷害致死罪で刑務所送りになり、その後病死。ショックで彼女は精神を病み、やっと立ち直ったところ。警察に密告したチャーリー、ピートを逮捕したコロンボ・・この二人に復讐してやる!ヴィヴィアンはチャーリーを殺し、不動産のことで彼を恨んでいるコノリーに罪を着せようとする。コロンボには自分と同じ目・・愛する者をなくすという・・に会わせようと思っている。その後で、コロンボ自身も殺すのだ。ここで難しいのは、コロンボにこれは復讐なのだとわからせなければならないこと。完全犯罪ではなく、適当に彼を悩ませ、踊らせ、悲しませなければならない。ところで、ピートに有罪判決を下した判事には復讐しないのかな。この10年の間に死んじゃったとか?ヴィヴィアン役はヘレン・シェイヴァー。「身代りの樹」のヒロインだ。近年はテレビシリーズの監督もやってるようで。彼女の恋人リーランド役はイアン・マクシェーン。洗剤で洗いたくなるほど濃い!たぶんリーランドは、ヴィヴィアンのアリバイ作りに利用されただけだろう。妻に浮気がばれて窮地に陥るが、ヴィヴィアンは知らん顔。彼女が愛しているのはピートだけ。さて、コロンボはヴィヴィアンがチャーリー殺しの犯人と確信するが、証拠がない。彼女がしきりにかみさんに会いたがるので不審に思うが、そんな時に食べるもの・・この場合レモンママレード・・を渡されれば・・。彼女の過去はすでに知ってるし。てなわけでかみさんの葬式も芝居とバレバレだが、ヴィヴィアンはうまくいったと思い込む。コロンボが具合の悪いふりをすると、すっかり喜んで、べらべらとしゃべる。一番大事なのは彼にわからせることだから。で、だまされたとわかって・・来るぞ来るぞと思っていたら・・やっぱり来ました怒りの平手打ちがコロンボの頬に炸裂。ラストは、風邪で寝込んでいるというかみさんに電話。甘くてやさしくて・・これをヴィヴィアンが聞いてるというのならブラックなラストでいいのだが・・。途中でかみさんの写真なるものが出てきて、やっとお披露目かと思わせといて、実は妹の写真。かみさんの容貌は、依然謎のままでしたとさ。
新・刑事コロンボ9 華麗なる罠
歯科医のウェズリー(ジェームズ・リード)はギャンブル狂。妻のリディア(ジョー・アンダーソン)は、かまってもらえないさみしさから、俳優のアダムと浮気。婿としてもアシスタントとしても失望させられっぱなしのホレス(ポール・バーク)は、娘とは離婚させると宣言。ウェズリーはリディアの薬(ジギタリス)をアダムの歯に詰め、心臓発作を起こさせて殺す。自分は離れたところでポーカー仲間と一緒だから、アリバイはばっちり。アダムの突然死でリディアがショック状態なのを利用し、彼女の弟デヴィッドに手伝わせ、死体を運び出す。車を運転中に発作を起こし、崖から転落、でもいくつかおかしい点が・・というふうに持っていく。リードは知らない人だが、なかなか感じのいい顔立ちで、悪役なのが残念。ウェズリーはホレスに22万ドルもの負債がある。返す気もなければ、ギャンブルをやめる気もない。リディアは新婚初夜に前の夫が心筋梗塞で死亡。今回も不倫中に同じことが起きるよう仕組む。傷心の彼女を救ってやったのに、不倫するとは・・離婚するとは何事かというわけだ。こういうタイプは珍しくないと思う。ホレスは金があるし、大事な娘を救ってもらったのだから、ギャンブルの後始末をしてくれて当然。リディアは夫を裏切ったのだから、殺人犯にされて当然。最終的にはホレスとリディアに復讐するのが目的だから、一見事故死、実は殺人・・となるよう誘導する。リディアを助けるふりをして、その一方で陥れる。どうしても行動がわざとらしくなるが、自分ではうまくやっていると思っている。全く罪悪感がなく、反省するとか用心するということがない。それにしてもコロンボが殺人の方法になかなか気づかないのはちょっと変だ。歯科医とくれば詰め物に細工に決まってるじゃん!今回「爆撃命令」のバークが出ていたのがうれしかった。これ以降は俳優活動なしのようで。また、残念ながら2009年に亡くなったようだ。アンダーソンは「オゾン・クライシス」に出ていたようだ。ポーカー仲間の一人が「奥様は魔女」の二代目ダーリン、ディック・サージェント(昔はサージャントと表記していた)。リディアは男運が悪く、気の毒だが、不倫に夢中になる前にすること(離婚手続き)があるんじゃないの?ホレスの娘溺愛ぶりもちょっと異常。ウェズリーも異常だし、どっちもどっちという感じ。
新・刑事コロンボ10 マリブビーチ殺人事件
今回は一度は犯人かと思われた人物が、犯人ではなかったとなるが、ラストやっぱり犯人でしたとなるのが変わっていると言えば変わっている。ただ、あんなふうに何のおとがめもなしになるか?という疑問はある。ラストの決め手も反論の余地はありそう。ロマンス小説で人気のテレサ(ジャネット・マーゴリン)には年下の恋人ウェイン(アンドリュー・スティーヴンス)がいる。彼はハンサムでスポーツ万能。いちおう俳優らしいが、そっちの方はぱっとしない。どの女性も彼の魅力にはイチコロ。若い女性も年配の女性も、未婚の女性も既婚者も。あっちこっちで浮気をしつつも、ウェインはテレサと結婚したい。少女がそのまま大人になったようなテレサは、テレビのインタビュー番組で、ウェインと結婚するつもりと発表。ところがその晩ウェインのところへテレサから電話がかかってくる。この時のテレサは顔を見せないので、本人ではないのだろうと予想がつく。事実、後で彼女の姉ジェス(ブレンダ・ヴァカロ)の仕業とわかる。彼女は探偵を雇ってウェインの浮気を調べ、テレサに忠告するが聞いてもらえず、酒の勢いもあって電話をかけてしまったのだ。で、あわてたウェインはテレサを殺し、ジェスに乗り換えようと企む。ジェスは彼を嫌っているけど、本心では彼が好きなのだ。テレサの遺産はジェスに行くし、テレサにかけた生命保険金の受取人は彼だ。両方がっぽりいただきだ。とは言え彼の犯行は早すぎる気も。こういうタイプは自分の魅力に自信持ってるから、何かあっても説得できると思うはず。実際テレサは姉の説得にも耳を貸さず、彼と結婚するつもりだったのだから。眠っているテレサを殺したとコロンボは言っていたけど、殺してから下へ運んだのか。それだとベッドに血がつくでしょ。下に運んでから殺したのか。それだと運んでいる最中に目を覚ますでしょ。登場した時のコロンボは、片手にコーヒー、片手でドーナツか何か食べていたな。コロンボならゆで卵のはずだが・・と思っていると、ちゃんとポケットから取り出して、はいはい忘れていませんよ視聴者の皆さんって感じで笑える。でも、カラを割るのに自分の車じゃなく、他人の車でコンコンやってるのが無神経。
新・刑事コロンボ11 殺人講義
大学生のクーパーは金髪のイケメンで、テニスが得意なスポーツマン。たぶん女の子にはモテモテ。一年半で三人も中絶させるはめになり、もう尻ぬぐいはごめんと父親はカンカンだが、こたえたふうもない。気をつけない向こうの方が悪いのさ。寮で同室のジャスティンもなかなかのイケメン。試験問題を盗んだのがラスク教授にばれ、学長に報告するぞと言われ、そうすりゃオヤジにもわかっちゃうし、大ピンチ。二人とも頭がよく、容姿と健康にめぐまれ、家も裕福だが、物事を真剣に考えず遊び感覚。ラスクが邪魔となればかたづけるまでだ。コロンボが大学で講義をすることになったのは偶然だった。終わって帰ろうと駐車場に来たら、ラスクの死体が転がっていた。後で警備員のジョーが提出した監視カメラのテープを見ると、ラスクが撃たれるところがばっちりうつっていた。ところが、その前後、出入りする人も車もうつっておらず、これはおかしい・・となる。第一ラスクはなぜ自分の講義の最中に抜け出したのか。彼は招いた側だから、黙っていなくなるのは礼儀にはずれている。クーパーとジャスティンはもっさりしたコロンボを無能と決めつけ、誤った方向へ誘導してやれとばかりに、次々に情報を出す。他の学生は、たとえ知っていても死んだ人のことを悪く言うなんて・・と黙っているが、ラスクは浮気しまくりで、最近では人妻のジューンと不倫していたとばらす。ジューンやラスクの妻を犯人に仕立て上げるのに失敗すると、今度は著書のせいで殺されたように見せかける。ラスクは犯罪学者で、著書の件で脅迫を受けていた。ジャスティンの父は弁護士で、その電話を盗聴して仕入れた話だから、作り話ではない。ラスクは組織の殺し屋にやられたのだ。ジョーの弟ドミニクは23も前科がある。そのうち二件は殺人だ。あらかじめジョーの銃を盗み、それでラスクを撃つ。ドミニクはよく勤務中のジョーのところへ遊びに来ていたし、彼が犯行を否定したとしても、前科者の言うことなど誰が信じよう。ジャスティン達は自分達が一番頭がいいと思っている。警察も父親も操れると思っている。
殺人講義2
講義の時「若い刑事へのアドバイスを」と言われたコロンボは、「しゃべらない方がいい」と答えていた。ジャスティン達だって、他の学生にまぎれて遠巻きにながめるだけにしておけばよかったのだ。動機(試験問題の件)は誰も知らないのだから。後から出てきたビデオテープの件さえクリアーすれば、何とかなったはずで。いつもなら会ったとたんこいつが犯人と、ぴんとくるコロンボだが、今回は何も感じない。しかし、二人が不自然なまでに事件に関わろうとしたせいで、コロンボの心に疑問がわいてくる。おまけにあの二人は明らかに事件を楽しんでいる。この作品での彼はいつもと少し違う。いつもなら犯人が気の毒になるくらいしつこく会いに来るし、帰ったと見せてまた戻って質問する。そういうのがなかったのはよかった。人をだますなんて簡単と思っている二人は、逆に言うと簡単にだまされる。コロンボの仕かけた罠に、いとも簡単にはまる。犯行がばれても後悔なんかしない。殺す方法を知ってたから殺したまで。有力者の父親が何とかしてくれる・・と強気。さてこの作品にはガイ・ストックウェルが出ている。私は大昔テレビのディズニーの「密航犬ヘクターの冒険」とか何とかいうのを見て彼のファンになった。他には「鬼警部アイアンサイド」「ボージェスト」「王者の海賊」くらいか。弟のディーン・ストックウェルの方が有名で、ガイは地味。「ボージェスト」でも強烈な印象残すのはテリー・サヴァラスだったし。ガイは老けやすく、太りやすいタイプ。「コロンボ」の時は50代後半だが、白髪で長髪、ヒゲもじゃなうえ、すごく太っている。ヘミングウェイみたい。2003年に70歳くらいで死んじゃったけど、「ヘクター」は無理としても、「ボージェスト」のDVD出てくれないかしら。ジューン役キャサリン・キャノンは「ヒドゥン」に出ていた。ジェーン・フォンダによく似ている。ラスクの妻役のブリジット・ハンレイは、私は見たことないけどテレビ版「略奪された100人の花嫁」のヒロイン。学生サラ役エリザベス何とか嬢はハンレイの継娘らしいが、実の母娘と言ってもいいくらいそっくりだ。クーパー役スティーブン・キャフリーは「ツイン・ピークス」に出ていたらしい。ジャスティン役ゲイリー・ハーシュバーガーはカイル・マクラクラン風味。今回は犯人ではないロバート・カルプが、いかにも犯人顔で出ているのが笑える。
新・刑事コロンボ12 犯罪警報
アンダースがホストを務める「犯罪警報」という番組は、評判がいい。彼は以前警備コンサルタントだったが、今では人気者だ。ある日訪ねてきたのが、別の番組持ってるバド。彼は「犯罪警報」は自分がやるはずだったのに・・と、ずっと恨んでいる。アンダースが昔出演したAVを見つけた彼は、公にされたくなかったら番組を降りろと言ってくる。バドはヘビースモーカーなので、アンダースはタバコにニコチン濃縮液を垂らし、彼に吸わせて殺してしまう。ミスター清潔で売っている彼が、今の地位を失いたくないと犯行に走るのは、気の毒に思える。バドは仕事はともかく、人間的には嫌なやつだ。とは言えアンダースは何をやっているのか。日々自分の番組で犯罪を扱っているくせに、何であんなバカなことばかりするのか。誰が見たって、おかしいことばかりする。タバコに火をつけてそのままバドの指にはさむ。一見吸い殻に見えるが、くわえたあと、吸ったあとがないのは一目でわかる。灰皿のなかみを入れ替えたのはなぜなんだろう。そのせいで他の部屋の灰皿に残っていたのと吸い方が違うのがわかってしまう。自分用の原稿をバドのにまぜるのも変。タイプの仕方が違うって一目でわかってしまう。監視テープの細工もする必要はない。無理にアリバイを作ろうと編集するからボロが出る。テープの提出を求められたら、もうその上に録画しちゃったからって言えばすむことで。やったことが全部裏目に出ていて、コロンボが鋭いと言うより、アンダースがアホすぎ。車を出したり、入れたりはコントかよッ!アンダースの車傷つけといて、自分のも壊れたって、全然悪いと思ってないのがすごい。アンダース役はジョージ・ハミルトン。ますます目が小さくなって、ほっぺたが無限大。こうして見ると彼の顔って魚みたい。バド役はピーター・ハスケル。すっかり白髪になってるけど、透き通った目はそのまんま。何年か前に亡くなったようだ。コロンボがポルノショップへ行くシーンがある。ここの店主はバドの海軍仲間。いつも彼がアンダースの悪口を言ってるので、たまたま見つけたAVの話をしたらしい。これで殺人の動機がわかったわけだが、AVとなると他にもあるはず。売られているだろうし、レンタルもされているだろう。バドを始末したって無駄だと思うが。
新・刑事コロンボ13 影なき殺人者
いかにもな題名だが、見終わってみると、遊び心があると言うか。原題そのままよりはよっぽど気がきいてる。どこの影がないのかと思ったら”鼻の下”。弁護士のクレイトン(ダブニー・コールマン)は、殺人の弁護で負けたことがないというやり手。同棲しているマーシーは元ロック歌手で、ドラマーのネディと浮気している。探偵のマーロウにとらせた証拠のビデオを、彼は始末してしまう。あら、何で?せっかく弱味握ったのに。でも彼は逆に彼女に弱味握られてるようで。裁判で負けたことがないというのは、裏でこそこそやってるからだろうし。彼は警察本部長、市長、地方検事にまで圧力かけたり協力取りつけたりするけど、せっかく逮捕した殺人犯を無罪にしてしまうような彼となぜ親しい?それと法廷でのクレイトンはわざと咳をしたり、音を立てて水をついだりと、やることが姑息。有能には見えない。さて、彼はビーチハウスでネディと一緒のマーシーを絞殺する。睡眠薬か何かをまぜた酒で、ネディを失神させる。マーシーには嫌酒剤を飲ませてある。こんな細工をするのは、殺す時には彼女には目を覚ましていて欲しいからか。酔って寝ているところを殺したっておもしろくないとか?マーシーを片づけ、ネディに罪を着せる、そこまではよかったが、部下のトリッシュ(シーラ・ダニーズ)が、ばらされたくなければパートナーに昇進させろ、結婚しろと言ってくる。もしかしたらマーシーの浮気をチクッたのは彼女かもね。クレイトンはアリバイ作りのため、犯行時刻にトリッシュにスピード違反をさせる。自分の車を運転させ、自分の写真で作った仮面をかぶらせ、ネズミ取りのカメラにうつるようにする。結局コロンボが仮面だって見抜くんだけど、その前に目のところに穴も開けず、前が見えない状態で車を運転できるのか?ということになる。歌手のリトル・リチャードが出ているが、今の人は知らないかも。ネズミ取り用のカメラのことでコロンボが話を聞く青年はグラント・ヘイログ。大きな鼻にギョロッとした目。名前は知らなくても顔を見れば、ああこの人・・となる。あと、警官役ソンドラ・カリーがきびきびしていてよかった。
新・刑事コロンボ14 大当たりの死
「バイオハザード」とか「ミッション:インポッシブル」などのめまぐるしい映画を続けて見ていると、こういうのを見たくなる。CGはないし(たぶん)、カメラは揺れないし、犯人は最初からわかってるし(←?)。フレディとナンシーは離婚手続き中。フレディは気のいい青年だが、お金にはだらしないようで、借金がある。ナンシーは早く離婚して、債務とは無関係になりたい。それでいていざとなると尻込みする。あとは彼女がサインすればいいだけなのに。ところがフレディは宝くじで3000万ドル当ててしまう。今これがわかると、ナンシーに半分持って行かれてしまうがそれはいやだ。それで伯父のレオンに相談を持ちかける。レオンは自分が代わりに当選者になればいいと提案する。そうすればナンシーとは無関係だ。だがレオンは投資の失敗か何かで破産寸前。フレディを事故に見せかけて溺死させる。意外なことに、レオンはナンシーと不倫関係にあった。彼女が離婚の書類にサインしていれば、フレディはレオンに相談することはなかった。また、破産のことがなければ、レオンはかわいがっている甥を殺すこともなかっただろう。それと・・無事にフレディが賞金を手にしていたとしても・・3000万は大金だが、すぐに使ってしまって、また借金だらけになったことだろう。金が入る前に17万5000ドルもする高級車を注文。しかも海外で受け取ることにしていた。ビール党のはずなのにシャンパンを箱買い。当選者としてテレビに出たレオンのところへは、投資や寄付の話が殺到。友人の数も一挙に増えた。経験を積んだレオンならまだしもフレディはカモにされ、身ぐるみはがれたことだろう。レオンはともかく、ナンシーの方は行動が危なっかしい。しかもいざとなったら裏切ること間違いなし。何でこんなのと不倫するのかね。今回コロンボが結婚して25年目だというのがわかる。彼の年齢からすれば40年はいってると思うが。レオン役はリップ・トーン。「イン・ザ・ネイビー(潜望鏡を上げろ)」に出ていた人だ。ナンシー役はジェイミー・ローズ。二人の密会場面が「コロンボ」らしくないと違和感感じている人が多いようだ。確かに私もちょっと下品・・と思ったのは確か。尾行がついてたらどうするんだ?ドアはちゃんと閉めたのか?
新・刑事コロンボ15 初夜に消えた花嫁
さ~て、この感想書けば「新・刑事コロンボ」も終わりだ。まずは結婚披露パーティ。新郎は刑事のアンディ(トーマス・キャラブロ)。コロンボの亡き姉メアリーの息子らしい。メアリーの連れ合いも亡くなっているので、叔父のコロンボが父親代わりか。新婦のメリッサ(ジョアンナ・ゴーイング)の父親ヘイズ(ドナルド・モファット)は大金持ち。メリッサはトップモデルで、彼女を見出した写真家アレックスは、写真をとりまくる。ホテルの一室に落ち着いたカップルだが、アンディがシャワーを浴びてる間にメリッサがいなくなる。クロロホルムをしみ込ませた綿が落ちていたから、こりゃ大変とアンディはコロンボに知らせる。まず考えられるのは身代金目当ての誘拐。ヘイズは娘のためならいくらでも払うだろう。しかしいくらたっても要求の電話はかかってこない。次に考えられるのはアンディの職業から来る怨恨の線。しかしこちらも空振りとなると、あとは異常者。たぶんたいていの人はアレックスが怪しいと思う。写真とってると言うよりつきまとってる感じだから。でも違った。捜査は気の遠くなるような地道な手順を踏む。まずアレックスに頼んでとった写真を見せてもらう。それを招待者リストと突き合わせる。家族や仕事関係、友人。それと独身の人は誰か連れてくる。その人達はアンディ達の知らない人だ。で、深夜なのに電話かけまくって身元を確認する。そうやって削っていって、誰だかわからない男が一人・・となる。他にコロンボは夜間清掃人ベイリーが窓からチラッと見た白いバンを特定しようと頭をしぼる。メリッサがこの車で連れ去られた可能性があるからだ。そこらじゅうのカーディーラーからカタログをかき集め、勤務明けで寝ているベイリーをたたき起こし、車種の特定に協力してもらう。結局犯人のルディは救急車の運転手。母親を殺して自殺した父親と同じことをしようと、メリッサを誘拐したのだ。ネットで見ると「こんなのコロンボじゃない」とけなしている人が多いようだが、私はよかったと思う。いつもなら初対面で犯人に気づくコロンボだが、その一方でこういう王道の捜査もするのだ。ゴーイングは輝くばかりに美しい。ルディ役ダニエル・マクドナルドは病気で46歳くらいで亡くなったらしい。気の毒に。他にジュリエット・ミルズ・・ヘイリー・ミルズのお姉さん・・が出ていた。
新・刑事コロンボ16 死者のギャンブル
今回は少々変わった成り行き。まずハロルドというハンサムでガタイのいいのが出てくるが、これがとんだろくでなし。ギャンブルにはまり、借金取りに追われる。ハンサムでガタイがいいと書いたのは、演じているのがグレッグ・エヴィガンだからだ。190センチ以上ある。「インベイダー」では60過ぎてるからわからなかったが、こうして見るとカール・アーバンによく似ている。ヒゲのせいか。ハロルドの伯父フレッドはスタリオンズというフットボールチームのオーナー。つまり大金持ち。妻のドロレスは酒びたりで、ハロルドと浮気している。もちろんハロルドの方は金をせびるためだろう。彼はパイプ爆弾を作ってフレッドの車に仕かける。ところがフレッドはジョギング中にひき逃げされて死亡。計画が狂い始める。爆弾を取りはずそうにもまわりは警官がウロウロ。コロンボは登場した時車の中でゴソゴソやっていて、ハロルドをあわてさせる。ひき逃げ事件だが、フレッドが大物なので殺人課のコロンボが出張ってきたということだが、ドロレスからの要請があったのならともかく、この流れは不自然。そのうち何も知らない庭師が車を動かそうとして爆死。ドロレスは金の無心を断るし、マフィアには脅されるしで、ハロルドは窮地に陥る。ところが・・ドロレスこそフレッド殺しの犯人なのでは・・と気づいたハロルドは、俄然有利な立場に。今度はドロレスがハロルドを殺す。ただのアル中のアバズレに見えた彼女が、夫の死後オーナーとしてりっぱにやっていけることを示すなら意外でいいのだが、そこらへんは中途半端。無心を拒絶するのはいいのだが、相変わらず酒びたりで若い男に弱そう。演じているタイン・デイリーはよく見ればくっきりとした顔立ちの美人なのだが、口のあたりがだらしない。おまけに首が太く、体形も崩れ始めている。そのせいかこういう酒びたりの役が多い。フレッド役スティーヴ・フォレストはテレビの「特別狙撃隊S.W.A.T.」に出ている。ところでドロレスがフレッドを殺したのはなぜ?自分でもオーナーが務まると思って?ハロルドは自分が事業を全部仕切るつもりでいたのに、当てがはずれてしまうところはよかった。
新・刑事コロンボ17 恋におちたコロンボ
今回はコロンボが美女に惚れられる、あるいは美女によろめくという楽しいエピソードのつもりなんだろうけど、意外と辛い批評ばっか。脚本書いているのはピーター・フォーク。美女を引きつけるのは外見じゃないよとでも言いたいのか、まあ好きなことやってる。もちろんなかみがちゃんとしているなら遊んだってかまわないけど、みんなが辛口の批評書いてるのは、なかみが薄っぺらで、構成もよくないから。視聴者はちゃんと見てるんだよ。今回のヒロインはフェイ・ダナウェイ。1993年だと52歳くらいか。アップになるとシワはあるものの、若い頃よりこの頃の方がきれいなのでは?ローレン(ダナウェイ)は大金持ちだが、なぜ金持ちなのかは不明。仕事してないし。ニックというギャンブラーにプロポーズされているが、彼にはリサ(クローディア・クリスチャン)という若い愛人がいて、ローレンの方は金が目的。ところがローレンはリサに手伝わせてニックを殺す計画を立てている。ニックの餌食になった者どうし連帯したのか。それとも二人は愛し合っているのか。途中でリサがローレンに「愛してる」と言うので、これで決まりだなと思っていたら・・。最後の方のローレンの告白はコロンボにとっては予想外の内容?つまりリサはローレンの娘で。それでニックを殺す理由は明らかになったけど、コロンボはローレンの過去をちゃんと調べたのかねという疑問もわく。リサの正体をよく知らないまま、見逃すことにしたように見える。ニックがどんなゲス野郎だったか知るのも、事件が起きてだいぶたってから。行きつけの食堂のバーニーの思い出話から。それまでニックの過去はちゃんと調べてなかったように見える。捜査当初からコロンボがこだわり続けるのは、冷蔵庫の製氷皿にたまった水。ローレンの過去よりニックの過去よりもだ。ローレンがコロンボに近づくのも変だ。キスをしたり耳元でささやいたりプレゼントしたり、あまりにも不自然だし、自分に自信持ちすぎ。また、大金持ちの彼女があんなクズ野郎のために自分の手を汚すのも変。ニックには後ろ暗いことはいっぱいあるはず。始末する方法は他にいくらでもあったと思う。
新・刑事コロンボ18 4時02分の銃声
ラジオ界の大物チェイス(ウィリアム・シャトナー)は、汚い手口も平気。彼の下で調査員やってるジェリーも嫌気がさしている。彼はチェイスの娘ヴィッキー(モリー・ヘイガン)が書いた小説を、エージェントのルーに売り込む。しかしチェイスは出版社に手を回し、愚作だと突き返させる。ヴィッキーはチェイスの番組を手伝っているが、所有欲の強い彼は、彼女を手放したくない。実際はジェリーが指摘したように、チェイスはヴィッキーを密かに恋しているのだ。昔の恋人の娘で血の繋がりはない。病気の恋人にヴィッキーの面倒は一生見ると約束したのだ。それだけならいい話なのだが・・。このままではヴィッキーが離れてしまうと危惧したチェイスは、ジェリーを撃ち殺す。留守番電話やケータイを使ってアリバイ工作。ドーランがついたハンカチを残し、ジェリーの恋人で俳優のテッドに疑いがかかるようにする。最初ヴィッキーとジェリーは恋人どうしかなと思うが、ジェリーはゲイで、恋愛感情はなし。友情から来る行動。チェイスは小細工せず引っ込んでいりゃいいのに、いろいろしゃべるからボロを出す。死体を見たわけでもないのに「後ろから撃たれた」と口を滑らせる。たぶんコロンボはこれを聞いて小躍りしたはずだ。他の容疑者を捜さずにすむ。全体的に動きが少なく会話が多い。今回に限ったことではないのだが、退屈だ。ヴィッキーの書いた小説のなかみが全く説明されないせいだろう。ジェリーはルーに頼み込むし、ルーはチェイスの圧力を知ると会社をやめてまで出版に協力する。かなり出来はいいはずだ。ヴィッキーは25歳だが、恋人がいるわけでもない。何かしようにもチェイスが保護者ヅラして邪魔しまくったはずだ。その彼女に書けるのは放送界の内幕くらいなものだろうが、それだとチェイスに喜んで読ませるようなことはしないはず。さて、今までは情にほだされてチェイスの行為を許してきた彼女だが、ついに反旗を翻す。ゲストに呼んだ上院議員を陥れるやらせ電話にはもうがまんができない。あの議員はどうなったのだろう。一度流れてしまうと、修正は難しい。チェイスにしても、いつまでもヴィッキーが汚いやり口を黙認すると思ってたのかね。楽観的すぎるが・・。
新・刑事コロンボ19 死を呼ぶジグソー
まずアパートで銃声がし、男が二人死ぬ。一人は喉をかき切られ、これは住人のデリンジャー。撃ち殺された方はアーバックで、こちらは忍び込んで部屋をかき回していたところを見つかった。典型的な相討ちで、普通ならそのまま片づけられるところだが、アーバックが手に写真の切れ端を握っていたのがコロンボの注意を引く。こんなの握ったまま泥棒に入るはずないから、この写真はデリンジャーのものだろう。新聞でこの写真のことを知って、保険調査員のクラッチ(エド・べグリー・ジュニア)が訪ねてくる。六年前銀行が襲われ、400万ドル盗まれる。犯人四人は射殺されたが、金は消えていて。クラッチの調査も実らず、会社は銀行に保険金を支払うはめに。おかげで彼は出世も望み薄。何とか金のありかを見つけ出し、手柄を立てたい。彼は自分なりに調査を続け、写真のピースも一つ手に入れた。こういう話が持ち込まれた場合、まずクラッチの人柄、会社での評判等を調べると思うが、何もしていなかったな。つまり、彼が強盗犯人側でないことをまずはっきりさせると思うのだ。警察に協力したからって、彼が金を狙っていないとは限らない。この後写真のピースと、ピースを持っている者のリストをめぐってあれこれ起きる。みんなして集まって写真を完成させ、金を見つけて山分けすりゃいいのに・・と思うが、やっぱり一人じめしたい、抜け駆けしたい者がいて。せっせと忍び込んでは家捜ししていて、でも相手も警戒してるから見つからなくて、そのうちまた死人が出る。ピースの持ち主の一人ワインバーグ役がバート・ヤング。他にまたしてもシーラ・ダニーズ。彼女がワインバーグのことを「ロッキー」のマネージャーに似ていると言うのと、「刑事のことはよく知ってる」と言うのが笑いどころか。彼女の出番を多くしているみたいな、コロンボとの会話を引き延ばしているみたいなのが気になる。出番や会話が多いわりには彼女が何を考えているのかはっきりしない。そのうち彼女もワインバーグも殺されてしまう。そうなるとクラッチしか残っておらず、彼が怪しいのは見え見え。この回ではコロンボが変装したり、殴られて気絶するなどいつもと雰囲気が違う。また、相棒のブラウンが動き回り、コロンボの単独捜査という感じがしない。すっかり太ったタイン・デイリーが出ていた。
新・刑事コロンボ20 奇妙な助っ人
グレアム(ジョージ・ウェント)はサラブレッド牧場を持っている。父親が亡くなった時、遺産は弟のテディ(ジェフ・イェーガー)と半分ずつ相続したが、テディは借金をしょい込んではグレアムに泣きつく。今もブルーノという男に返済を迫られているが、グレアムの持ち馬が今度のレースで勝てば、何とかなると思っている。ブルーノはテディの言葉を信じ、20万ドルも賭けている。ところがグレアムは馬にクスリを飲ませ、そのため着外に。テディは青くなる。グレアムはテディを殺し、ブルーノも呼び出して殺す。銃が3丁出てきて、そのうちの1丁は、グレアムが密かに手に入れた前歴のないもの。これでテディを殺し、ブルーノの死体の手に握らせる。2丁目はグレアムが以前から持っていたもので、ブルーノを殺すのに使う。銃で脅され、正当防衛で撃ったということにする。3丁目はブルーノが護身用に持っていたもので、これは結局は使われなかった。グレアムはこの銃を庭に埋めて隠す。1丁目の銃を手に入れる状況から見ると、グレアムは弟を消そうと決意していたようで。普通に考えると、今回のレースは優勝間違いなしだから、テディは借金を返せる。別に馬に細工しなくても・・と思える。弟がブルーノに追い込まれる状況を作り、ブルーノに罪を着せようという筋書きだが、それに成功しても借金が帳消しになるわけではない。ブルーノにも黒幕がいるわけで、そっちが金を要求してくる。ただ、グレアムの心理もわかる。テディの性格は治らない。今回ピンチを脱しても、また同じことをくり返すだろう。説教しても聞かず、財産の半分は自分のものだと言い張る。このままでは家屋敷、牧場もなくすはめになる。その前に・・。早く犯人を見つけろとせっつくのが、フォテーリ(ロッド・スタイガー)。今はマンション経営やらレストラン経営やらを合法的にやっているが、過去には売春斡旋など後ろ暗いことも。今回コロンボはグレアムを追いつめるためにフォテーリと一芝居打つが、決して深入りはしない。ちょっと油断すると、俺とおまえの仲だ、手かげんしろとか、便宜を図ってくれとかいうことになるからね。まあ単にフォテーリのグルメ志向がコロンボには合わないってだけのことかもしれないけど。
新・刑事コロンボ21 殺意の斬れ味
今回はコロンボの・・じゃない、ピーター・フォークのかみさんシーラ・ダニーズが悪女に扮して男どもを振り回す。彼女はいちおう美人だし(化粧落とすとどうなるかわからんが)、スタイルもいい。ただ、どうしても二流感と言うか、安っぽい感じがする。クリフォード(バリー・コービン)は投資ブローカーのハワードに大損させ、訴えられている。裁判に負ければ一文無しだが、クリフォードは強気だ。パーティで大勢の人の前でハワードを殴ったりする。クリフォードの妻キャサリン(ダニーズ)は、パトリック(デヴィッド・ラッシュ)と浮気しているが、夫と別れる気はない。結婚時の契約によって、離婚すれば一文無しになるらしい。離婚しても裁判に負けても同じ一文無しじゃないか・・と私なんかは思うが。パトリックと一緒になるにはクリフォードが邪魔だが、殺したのでは疑われるのは妻の自分だから、ハワードを殺してクリフォードに罪を着せることを思いつく。クリフォード殺しは渋っていたパトリックも、それなら・・と承知する。アホか!どうせ手を下すのは・・汚れ役やらされるのは自分なのに。犯行は、クリフォードが車に乗っていて、アリバイが成立しにくい時間を狙う。パトリックがハワードの家を訪ね、電話を借りたいと頼む。快く家に入れてくれた彼に、メイドとか他に誰もいないことを確かめると撃ち殺す。もちろん銃はクリフォードのものだ。ハワードは・・クリフォードとの関係がどうであれ、困った人に親切にする人だ。その彼を無情にも撃ち殺すなんて・・。パトリックはじゅうたんのホコリを吸い取る。これは後でキャサリンがクリフォードの上着になすりつける。ハワードが飼っている猫の毛もまじっているから、証拠としてはばっちりだ。でも何で結婚式のパーティの最中に?式用に頼んだカメラマンが、ホコリのついている時、ついていない時の写真をうつしたせいで、かえって墓穴を掘ることに。パトリックはクリフォード愛用のキューバ産葉巻の吸い口も灰皿に残しておく。さて現場に呼ばれたコロンボ。早速バナナをみんなに配っている。後でゆで卵に塩を振っているシーンも。聞き込みに行った家では余っているからとカゴ入りのリンゴをもらう。クリフォードの家では器に盛られた・・たぶんチョコレートをいくつもくすねる。いろいろ出てきて楽しい。
殺意の斬れ味2
さて現場には当然鑑識が入るが、指揮を取ってるのは・・な、何とパトリックだ。見ている者は思う・・そんなあ~身内が犯人かよ・・。コロンボは彼とは初対面。それもそのはず彼は最近まで警察学校で教えていたという。見ている者はますますガックリだ。人に教える立場の人間があ~。知識はばっちり、犯罪心理もばっちりということだが、いくらプロでもだめなのだ。それをぶち壊しにする者がいるから。つまりキャサリン。彼女と一緒だと完全犯罪は無理。男をそそのかし、自分は手を出さない。それでいてじっとしてられなくてしきりに電話をかけてくる。ああすればよかったのよこうすればよかったのよとうるさい。パトリックからすれば、あまりにもあからさまな証拠は罠を感じさせてまずい。だからほどほどのところにしておかなければ・・となるのだが、キャサリンにはなまぬるくて仕方がない。パトリックは自分が残したはずの葉巻の切れっぱしがなくなっているので、気になって仕方がない。どうせそのうち見つかる・・と悠長に構えることができない。もう一度ハワードの家へ行って捜し回ったりする。そのうちやっと見つかるが、実はこの切れっぱしのせいで後で墓穴を掘ることに。ただこれらは最初のうちは用をなさない。何しろいくらコロンボでも鑑識が共犯だなんて夢にも思わない。どの証拠もクリフォードに不利だが、コロンボには彼が犯人には思えない。だとすると犯人は他にいるのではないか。こういう場合一番怪しまれるのは妻だが、そうなると共犯は誰だろう。そう悩んでいる時にふと目にしたのが・・。偶然見かけて呆然とするが、まだ半信半疑。でもそう思って見ると、また一つ気がついて、これでもう間違いなし。キャサリンとパトリックは捜査以前には面識がないはずなのに・・キャサリンの好みをパトリックが知っているということは・・。ここらへんは後でバカていねいに説明してくれる。二人を仲間割れさせるため、コロンボはかなり汚い手を使う。ウソをつきまくる。見ていて気持ちのいいものじゃないが、だまされる二人が同情の余地ゼロの人でなしですから。ところでパトリックの声をやっているのは船越英一郎氏だ。声優もやっていたんだ。コービンは「湖畔殺人事件」に出ていたらしい。ん?出てたっけ・・あのねっちょりオジサンかいな。こっちは太ったタコ入道だからな。気がつかんかったわ。
新・刑事コロンボ22 復讐を抱いて眠れ
何回目かの出演のパトリック・マクグーハン。葬儀社を営むプリンス(マクグーハン)には弱味がある。テレビのゴシップレポーター、ヴェリティである。ハリウッドのスターが多く利用(←?)することもあって、以前はゴシップネタを提供していたらしい。死体は多くを語るのだろう(麻薬の常用とか?)。1979年に亡くなったペイジという有名女優の遺体から100万ドルもするダイヤのネックレスが紛失したことがあった。ヴェリティはプリンスの仕業だと暴こうとしている。仕事半分、捨てられた女の恨み半分というところか。テレビで放映する前に知らせとこうと思って・・みたいなこと言われりゃ・・そりゃブチ切れますって。死体の始末には都合がいい。ちょうどヒューストンという老人の葬儀の最中。棺のなかみを入れ替え、奥にある火葬炉で焼却だ!日本だと葬儀場から火葬場へ行って、また葬儀場に戻ってきて、へたすりゃその後料理屋へ行ってと、一日中かかってへとへとになるけど、こっちは葬儀場と火葬場がセットだから楽でいいよなあ。葬儀も15分でなんて言ってたし。たぶんヴェリティの失踪で胸をなで下ろしている人も多いはずだが、コロンボはプリンス一直線。ヴェリティの過去の仕事洗い出して、復讐しそうな人物調べるなんて手のかかることはいっさいしない。一度目星をつけると尻尾を出すまで食いついて離れない。だから見ている者は「黙ってりゃいいのに」とか、「そんな、裁判で通用するかどうかもわからない証拠上げられたって知らん顔してりゃいいのよ」とか、いつの間にか犯人応援していたりして。そのうち爆発事故で遺体が少ししかないラービイの葬儀をすることになる。こりゃ都合がいいとヒューストンの遺体と一緒に焼いて、遺灰を未亡人に渡す。灰を取り分けるのを忘れたのがプリンスの失敗。ヒューストンの体には戦時中受けた砲弾の破片が入っていたことも忘れていたらしい。それにしても・・段ボールの棺にはびっくりしたな。あんなのがあるんだな。ヒューストンの未亡人役でサリー・ケラーマン、プリンスの助手リタ役でマクグーハンの娘キャサリン。ヴェリティの秘書ロジャー役スペンサー・ギャレットはよく見かける。
新・刑事コロンボ23 奪われた旋律
有名な映画音楽作曲家クロフォード(ビリー・コノリー)は、実は弟子のガブリエル(チャド・ウィレット)の作品を自分のものとして発表していた。いつまでも利用されることに不満をつのらせたガブリエルは、映画監督のリッターにぶちまけると言い出す。あわてたクロフォードは、リッターにちゃんと事実を話す、今夜の演奏会で一曲君に指揮をさせると約束してなだめる。彼を送り出すと早速殺人の準備。ガブリエルがいつもスタジオの屋上で指揮棒を振っているのはみんながよく知っていることなので、それを利用する。薬入りのシャンパンを飲ませて眠らせ、エレベーターを利用して屋上から落とす。いくら注意されても危険な屋上で指揮棒を振っていたガブリエル、誰もが事故だと思い込む。クロフォードは演奏会の真っ最中だからアリバイはバッチリ。ただ、エレベーターの音が演奏にまじって録音されてしまう。コロンボは誰もガブリエルの悲鳴を聞いていないことをいぶかしく思う。それに曲を利用されていたことはガブリエルは恋人のレベッカに話してあった。クロフォードは彼の家のカギを盗み、忍び込む。賞を取った「殺人者」の楽譜を盗んでおかなければ。前々から計画していたわけではないせいか、クロフォードの細工はいずればれるようなものばかり。そもそもガブリエルがいなくなったとたん曲に困る。自分が作った曲は監督に「屁みたいな音楽」と言われてしまう。弟子の作品を盗んで名声を一人じめしておきながら、これがいつまでも続くと思っていたのか。ガブリエルがいつまでがまんできるか考えてみたことはなかったのか。いくらでも方法はあったはずなのに。わりとあっさり罪を認めたのは、ガブリエルなしじゃ自分は終わりと気づかされたためか。殺す前に気づけよ!コノリーはモジャ髪とモジャヒゲが特徴。「タイムライン」のジョンストン教授、「X-ファイル:真実を求めて」のジョー神父・・人に迷惑かけてばかりのキャラが多いようで。検視で睡眠薬が検出されないのはおかしいなと思ったけど、分解吸収されちゃうのか。でもガブリエルは昏倒した時グラスの破片で手を切って血が出て。体外に流れ出して固まった血には薬の痕跡が残るようだ。それにしてもコロンボがガス欠とウソを言ってクロフォードの車に乗せてもらったのはなぜなんだろう。
新・刑事コロンボ24 殺意のナイトクラブ
これが最終作らしい。2003年ということはピーター・フォークは76歳くらいか。髪は白くなり、太っている。最初のうちはぴんとこない。このシリーズの犯人と言えば、社会的地位があって頭がよくて前もって念入りに準備して。でもこっちは突発的だし、頭もよくない。まあ話を整理すると、クラブをオープンさせる資金が必要なジャスティン(マシュー・リス)は、友人トニーが出してくれると言うので一安心。ところがトニーは元妻ヴァネッサがジャスティンと恋仲だと知ると激怒。彼女に襲いかかるが、テーブルに頭をぶつけるか何かして死んでしまう。動揺したヴァネッサはジャスティンに助けを求める。トニーの金が口座に振り込まれるまでは生きてるように見せなければ・・でないとクラブのオープンはおじゃんだ。ジャスティンはトニーの死体を隠すが、そのうち彼らをゆする者が現われる。ジャスティンの知り合いで、パパラッチ専門のコーベンである。後でわかるが、彼はトニーがニューヨークマフィアのボスの息子だと知って尾行していたらしい。ヴァネッサが警察へ届けるのをためらったのは、報復が怖いからだ。確かに「96時間/リベンジ」などでもわかるけど、彼らにとっては殺された理由なんかどうでもいいのだ、殺されたことが問題で。トニーの死はあっけなさすぎて、あたしゃてっきり死んだフリしてるのだと。そしたら本当に死んでいて。脅迫もあたしゃてっきりジャスティンがヴァネッサをゆすっているのだと。でも違ってた。ジャスティンは邪魔なコーベンを殺す。こういうことって一つで終わらない。コロンボの捜査はねちねちしつこく、ヴァネッサが気の毒に思えるくらい。たいていの人は彼女に強い印象受けるようで。金髪のおかっぱ、モノトーンの衣装、目と口が大きく、体つきはムッチムチ。どことなくミレーユ・ダルク風。トニーにしろジャスティンにしろろくな男ではなく、ヴァネッサは男運が悪いようだ。もう一つ印象に残ったのはジャーヴィスという老人。コーベンはヴァネッサの家を撮影するため、庭を見せてくれ300ドル払うなどとジャーヴィスをだます。そうやって偶然トニー殺しを目撃したわけだが、結局金を払わなかったためジャーヴィスは怒って催促の電話をしてくる。彼の家はプールもあってかなり金持ち風だが、それでもたとえ300ドルでも欲しいんだよなあ。
刑事コロンボ完全捜査ファイル(NHKBS特番)
「刑事コロンボ」が放映されてから50年たつのだそうで、NHKBSで特番をやった。司会は船越英一郎氏。どの回も10回は見てるのだそうで、知識は豊富。熱のこもったしゃべり。左側の二人は芸人さん?米粒写経・・すいません、知りません。こちらはコロンボ経験者、右側の二人は未経験者か。最初の方見逃したのでよくわからんけど。船越氏が足立梨花さんにばかりふるのが気になった。山田純大氏無視されてない?視聴者からつのったベスト20を発表ということだが、一位が「別れのワイン」というのは予想がつく。二位が「二枚のドガの絵」というのも。私の興味は「新・刑事コロンボ」から入るのはあるのかということ。結局一作も入りませんでしたな、予想通り。「新」で一番上位だったのは何か知りたいな。あと、69作中最下位の作品名も。「新」では「幻の娼婦」とかいいと思うんだけど。全体では「祝砲の挽歌」かな。出来がどうのというんじゃなくて、パトリック・マクグーハンの演技がね、熱演がね、印象に残る。ベスト20に「新」が入らなかったのは、ゲストが旧に比べて小粒だったせいかな。思い浮かぶのってフェイ・ダナウェイくらいで。旧では犯人だけでなく、殺される側もけっこう豪華で、時にはもったいないと思うような人も。あと、作りがしっかりしている。出てくるのは貧しいボロ家ではなく、たいていは豪邸。だから内装も楽しめる(私の場合、衣装には興味なし)。50年もたてば多くの人は天国行き。でも作品中では元気に軽快に動き回る。声優さんだってそうだ。あの声、この声、懐かしい!20作なんて言わず、全部やってよ。ところで昔、コロンボのノベライズを何冊か持っていた。一時期私もコロンボファンだったのだ。最後の方になると見なくなったけど。「新」は一作も見なかったけど。で、ノベライズだけど今でも時々古本屋で見かける。でも私が持ってたのとは違い文庫サイズで、知らない内容だからノベライズではなくオリジナルなのかな。そうなると食指が動かずまだ未開拓。昔持ってたノベライズは今は一冊もない。捨てたのかどうかも記憶にない。捨てたのだとしたら何と早まったことを!・・さて早速古本を二冊見つけたので買ってきた。一冊は未映像化、もう一冊はちゃんと・・。テレビと違う題名をつけてあるからてっきり・・。何でそんなことするのかな?