ヒットマンシリーズ

ヒットマン

さて引越しも何とかすんだある日、何度も前を通ったけどここで見るのは初めてというシネコンへ出かける。後で映画の半券を見たら、昔街中にあった洋画専門の劇場名が・・。郊外へ移ってシネコン形式になって、でも半券に書いてあるHPには昔の名前で出ています・・ってのが懐かしくも興味深かった。ここは自宅からはけっこう遠い。電車で二駅、そこから歩いて35分くらいか。バスはめったに通らない。でも小田原コロナだって駅からてくてく歩いたし、歩くのはいいのよ別に。雨風の強い日は困るけど。まあ歩いてくる人なんていないんだろうけどさみんな車。でもうちは車なし。ここはわりときれいだけどサービスは今いちだ。だって競争相手いないもんねぇ・・。まああるだけまし。一館もなしっていう市や町にくらべりゃね。でもって「ヒットマン」だけど、お客は二人。こりゃ幸先がいいぞ・・ヒットしてない「ヒットマン」!もう一人は女性だったからティモシー・オリファントのファンとか。それともダグレイ・スコット?私はスコットが出ているのは知らなかったからびっくりした。うれしー!予告は引越し前に何度も見ていて、ああ「ダイ・ハード4.0」の悪役の人だ・・と。「アヴェ・マリア」の曲が流れて、スタイリッシュなアクション物という印象。予告で「アヴェ・マリア」使っても本編では使わないだろうって思っていたらちゃんと使われていた。何か意味(こだわり)があるのかな。さてパンフによれば、ヒットマンは元々はゲームらしい。ヴィン・ディーゼルが主役やるはずだったけど都合がつかず、製作に回ったとのこと。ウーム残念・・ディーゼルだったらもっと力強くて、絶対にやられないという雰囲気になっただろうに。オリファントには絶対というイメージはない。場合によってはやられちゃうかも・・みたいな危うさがある。人間としての感情を捨て去った機械のようなヒットマン。それが、信じていた組織に裏切られ、ある女性と出会ったことで心がゆらいでいく。そこらへんの微妙な心理を、ディーゼルには表現できるのかという懸念もあるけど・・。全身筋肉、血はハイオク、脳味噌はビフテキに見えるディーゼルではヒットマンの変化ももっと単純なのではないか。まあこんな考えは彼に対して失礼かもしれないけど。彼にだって繊細な演技はできるだろうし。

ヒットマン2

ディーゼルが主役候補だった・・ってのを知らずに見ていた時は、私はオリファントじゃなくてポール・ベタニーだったら・・とずーっと思ってた。感情がなく、ただただ任務を正確にこなすヒットマンということなら、あのベタニーの白い肌や鋭い目がぴったりはまると思うんですけど。まあ丸坊主は似合わないだろう(し、見たくもない)からやめて、バーコードは別のところに入れて。彼は脱ぐの好きだから(?)、肩とか胸に入れて・・いや、腿の内側に入れるなきっと・・。冷酷で複雑で、でも心のゆれ動く、美しく孤独で複雑なヒットマン・・うくくベタニーにぴったりじゃん、見たかった~!さて、腕利きで何の手がかりも残さないヒットマン。その正体は誰も知らない。インターポールのホイッティア(スコット)達はもう3年も追いかけている。そんな設定だけど、誰が信じるかってのよ。丸坊主で頭の後ろにバーコードの刺青入れていて、しかも隠そうともしていない。普通カツラとかつける。そんな目立つ男が何で捜査線上に浮かんでこないのよ。ゲームだからありうる話。映画の設定としてはムリがある。冒頭ヒットマン達の養成過程を見せる。「ソルジャー」とよく似ている。「ソルジャー」と違うのは宗教的なものが関係しているように見えること。しかし説明はされない。パンフには何やら書いてあるがわかったようなわからないような・・。登場人物の背景が省略されているので、ハデなアクションシーン見せられても流れ続ける音楽聞いていても心に響くものがない。うすっぺらな作りだと思う。いくら感情のない殺人マシンだと言っても、人間である以上心がゆらぐことは絶対にある。組織に裏切られたと知り、別の人生歩み始めるのはわかる。でも・・なぜ組織が彼を捨てたのかがはっきりしない。見込みのありそうな孤児を選び、訓練をほどこし、一人前に育て上げるには時間も手間もかかる。脱落していく子も多い。超一流のヒットマンは得がたいもの。切り捨てるにはそれなりの理由あるはず。それをちゃんと明示してくれないので、見ていてももやもや感がつのる。それとも私がぽけっとしていて説明部分を見逃したんですかね。敵役ベリコフ(の影武者)が、これまた何が何だかよくわからんやつで・・。アンタ結局どうしたいわけ?

ヒットマン3

47(ヒットマンには名前がなく、番号で呼ばれるのだ。でもパスポートとか免許証は?名前使うでしょ?)の属する組織との関係は?映画を見ていても見終わっても???ですよ。それと敵役にはこんなはっきりしないイメージの俳優じゃなくてもっと個性の強烈な人を出してこなくちゃ。別にベリコフを演じたウルリク・トムセンがへただとかそういうことじゃないけど。映画終わってベリコフの顔思い出せます?さてオリファントだけど、「ダイ・ハード4.0」では冷酷非情なサイバーテロリスト、ガブリエル役。すっごい悪役なんだけど今いち印象はうすい。スケールの大きさを感じさせない。そんな彼がヒットマン?しかも丸坊主?予告見ても何だこりゃ。007ばりに美女と銃・・似合わね~!いくらカッコよく決めたってタコ頭にバーコードですぜ。お灸のあと以上に笑える。映画が始まっても、彼がうつる度に目のあたりがユアン似のせいで、人がよさそうに見えちゃう。オリファントには(ベタニーのような)目に狂気がないの。そんな物足りない思いはずっとつきまとう。何をやっても四角いユアン。顔も体格もユアンより四角くてがっちりしていて。それ以上のものがない。ただ、余計なものがないのはよかった。坊主だしヒゲはないし着ているものは黒のスーツ。白いシャツに赤いネクタイがポイント。銃を撃ち合ったり殴り合ったりだけじゃ・・というのでオルガ・キュリレンコ(おらがキュウリレンコンと覚えよう!)扮するニカが出てきて、せっせと裸になってサービスする。でも47は手を出さないの。誘惑されてもニカの首にブスッと薬刺して眠らせちゃう。そこがよかった。だって女性といちゃいちゃしたら映画がだれる。それにこちとら007の亜流見にきたわけじゃない。007とは違うもの見たくて来てるのだ(他の人は知らんが私はね)。しかしニカを見ていて思うのは・・女性ってこういう役回りしかないんですかね。ちなみにキュウリレンコン嬢はこの度新ボンドガールに抜擢されたそうだ。よかったね。最近一部で公開された「蛇男」にも出ている。私は見てないけど予告は見た。主人公を陥れる男をやってるのは「ナイト・オブ・ザ・スカイ」のヴァロワ役の人だ。話を戻して・・アクションシーンではオリファントもよくやってる。見せ方はまずいけど。例によって細切れ、つぎはぎ。

ヒットマン4

あのさ、オリファントだって体作って特訓して撮影に臨んだんでしょ?だったらちゃんと見せてよ。一連の動きノーカットで見せようという努力放棄してない?そういうのが一ヶ所でもあればオオッ、オリファントもやるじゃん!・・となるのに。もっと作り手は俳優を信頼しろッ!それにしてもわかりにくい映画だな。次から次へと疑問出てくる。47は組織に理由聞くんだけどPCは沈黙。ターゲットのデータとか組織との連絡はいつもPCを通じて行なわれる。いつも女性の声で。で、そっちが答えてくれないのなら・・と47は決心するんだけど、その後女性の声で電話がかかってきて、彼に危険が迫っていることを知らせる。組織は彼を葬るつもりなのだと。私、初めはその声の主はニカだと思ったの。でも後で考えてみたらいつもPCを通して指令を伝えている女性の声らしいと。いくら何でもこのままわけもわからず抹殺されたのでは47が気の毒だと、危険を承知で知らせてくれたのだ。その女性は結局声だけの存在で、その後どうなったのか不明。ニカだっててっきり撃たれたと思ったら何でもなかったようだし。ホイッティアも胸を撃たれたけど肋骨骨折ですんでるってことは防弾チョッキを着ていたのね。でもそこらへんも説明されない。しなくてもわかるだろって感じ?ロシアの秘密捜査官マルクロフ役はロバート・ネッバー。「ホステージ」にちょこっと出ていた人だが、「レネゲイズ」にも出ていて、この頃にくらべると年を取ったなあ・・と。後で47はマルクロフを監禁するんだけど、あそこらへんもよくわからない。47はどうしたかったのか。マルクロフはどうなったのか(助かったの?)。47がベリコフの弟ウードレと会うところもよくわからない。何で正体ばれたの?まあウードレ役ヘンリー・イアン・キュージックはわりとよかった(出番少ないけど)。ラスト近く47がホイッティアの自宅に現われ、死体を見せて「君の獲物だ」と言うところもわからん。この死体は丸坊主だから47と同じヒットマンなのはわかる。パンフによれば、これを47の死体だということにして、もうオレを追いかけるのはやめろ・・という意味らしい。でも見ている時は「君の獲物だ」ってどういう意味よ・・と???だった。

ヒットマン5

私はてっきり組織はまだ存続していて、ターゲットの中にはホイッティアもいて、彼を狙っていたヒットマンを47が先回りして殺してくれたのかしら・・と。じゃ、ホイッティアが狙われていたわけじゃないんですか?次のシーンでは47がニカを遠くからスコープで見ていて、そばにはやっぱり丸坊主の死体。ってことは組織はニカを狙っていて、でもヒットマンが撃つ前に47が現われてニカが殺されるのを防いだ・・と、そういうことなんですか?そういうことなんですね?こういうふうに何の説明もない映画なので、頭の中であれこれ考えなきゃならないのよ。ぼーっとしてられない。まあじーっと見てたって取り残されるんですけどさ。舞台はほとんどサンクトぺテルブルグとかイスタンブール。ロスやニューヨークとは明らかに違うムード。ロシア警察の署長か何かの役で出てきたおっさんは太っててヒッチコックみたいなのが笑える。逃げる途中47が飛び込んだホテルの部屋では二人の青年がゲームに熱中していて、明らかにヒットマンのゲーム・・ってのもおかしい。マルクロフがいつもお風呂で愛用しているアヒルのおもちゃとか、血なまぐさい内容なのにところどころ笑えるシーンが入っている。マルクロフと言えばベリコフと二人で話すシーンがあって、そこで英語しゃべってるのが気になった。だって二人ともロシア人ですぜ。二人きりならロシア語で会話するはずでしょ。最後にパンフですけど・・たてなのか横なのかはっきりしろッ!読みにくいパンフだぜ全く!銃身の長い銃二丁かまえた47とか、47にニカがまとわりついているとかそんなキメキメ写真ばっか。明らかに宣伝用。明らかに007意識している。まあ、いろいろ書いてきたけど、内容うすっぺらなのは確かだけど、私は大いに楽しみましたよ。ちょっと年くってるけどオリファントはアクションスターとして十分やれるってことを見せてくれたし。続編作られるといいなあ。その場合も今回同様女性には紳士的かつそっけない態度でお願いしますね。あくまでクールに、禁欲的態度でお願いしますね。47は見ようによっては僧侶のようにも見える。最後まで女性と距離を置き通した強い意志には感心した。しかもその女性の命を(彼女には気づかれないよう)ちゃんと守り抜く。彼を守護天使と形容している人もいたけど、まさにその通りですな。

ヒットマン:エージェント47

私は一作目が気に入ったので、これも録画したものの、そのまんまほったらかし。今回やっと見た。これは日本では未公開のようだ。主演のルパート・フレンドは「プライドと偏見」でウィッカムやってたらしい。でも全然覚えていない。あの時はマシュー・マクファディン以外の男優は目に入らなかったしなあ。マシューの神々しい美しさの前では・・うくく。二作目も当然ティモシー・オリファントが・・と思ったらフレンド。何でも元々はポール・ウォーカーがやるはずだったらしい。でも彼死んじゃったから・・。う~ん、ポールのハゲ頭か・・見たくないけど。最初はこの人誰かなと思いながら見ていた。いちおうハンサムだけど、線が細い。目はきれいなんだけど口のあたりが弱々しい。頭も青々としていてヒットマンという感じじゃない。外国人だけど日本に来て出家しました、青い目のお坊さんですって感じ。冒頭の説明によると、リトヴェンコというのがいて、彼がリーダーとなってエージェント計画が進んだとか。完璧な殺人マシンを作るのだと。ところが彼は途中で考えを変え、姿を消してしまう。彼なしでは計画はうまくいかないので、彼と妻、幼い娘のカティアの写真から、今の成長したカティアの顔を想定し、そこらじゅうの監視カメラ利用して見つけ出そうとする。彼女を見つければリトヴェンコに行き着けるはずと。そのカティアは世間から隠れるようにして生きている。職業は何をしているのかな。演じているハンナ・ウェアは「オールド・ボーイ」に出ていたらしい。どことなくイザベル・アジャーニ風だが、フランシス・マクドーマンドも入ってるので、美女とまではいかない。彼女には特殊な能力があるが、自分ではまだよくわかっていない。異常にさえた聴力とか、「NEXT-ネクスト-」の主人公みたいに少し先のことがわかるとか。今まで生き延びてこられたのはこの能力のおかげもある。彼女に危機が迫ってきた時・・つまりヒットマン47が近づいてきた時、助けてくれたのはジョン・スミスと名乗る男。ん?どこかで見たような顔だが・・思い出せない。顔はぱっとしなくて、鼻に特徴があって、犬系・・テリアみたいな顔立ち。後でわかったがザカリー・クイント。何だ、ミスター・スポックかいな。普段はこういう濃いアンチャンなのか。ここでは47はカティアの命を狙う悪役にしか見えない。

ヒットマン:エージェント47 2

スミスのおかげでカティアは少し事情がわかってくる。父がやっていたこと、今は重い肺ガンらしいこと。あれこれ考え合わせると、父が今いるのはシンガポールだろう。スミスを雇っているシンジケート・インターナショナル社の本社があるところだ。と思ったら47が現われ、スミスは撃ち殺されてしまう。あら~せっかく過去への手がかりがつかめそうだったのに。これじゃますます47は悪役に見えるじゃんよ。ぱっとしないとは言え、スミスの退場は残念・・そう思っていたら後で引っくり返る。47の方はクライド社に雇われているのか。何が何だかよくわからないが、どちらもリトヴェンコの行方追っているのか。当然のことながらカティアはなかなか47を信用しない。しかし47も別に急がない。無理に説得しようとあせったりしない。47が言うには、カティアは47よりもはるかにバージョンアップされていて、特殊能力をプログラムされているらしい。彼女が自分を知れば、能力はおのずと発揮され始める。まあこういうのってゲームの世界ならありえる。最初から備わっていて、努力も不要なんて、何と都合のいい・・。とにかく47は悪役ではなかったということだ。スミスの再登場でそれがはっきりする。彼は撃たれても平気。皮下装甲とやらをほどこされているらしい。まあそう言われたらそういうことにしておきまひょ。ところでここはベルリンだっけ?それがシンガポールへ移る。シンガポールと言えば例のホテルが有名だけど、植物園みたいなのが出てくる。未来の建物みたいだ。そこで父娘は再会する。リトヴェンコ役はキアラン・ハインズ。それとシンジケート社の会長役ル・クラーク役がトーマス・クレッチマン。顔ぶれはなかなか手堅い。始まってすぐのアクションシーンでは、ピカピカとかバチバチとかフォンフォンとか・・いや、パンダの名前じゃないですってば。ちゃんと見せなくてカメラ揺らしていつものパターン。アクション映画でそれをやられちゃうと、それだけでもうこの程度の映画なのね・・ってなっちゃう。でもって47がちょっと頼りない感じでしょ。もう少し体ががっちりしていればとか、もう少し顔が引き締まっていればとか残念に思うわけ。頭の形も悪いし。他の人の批評読んでもほとんど主役が地味とか、内容の印象薄い、新味がないみたいな。

ヒットマン:エージェント47 3

で、揺らすうつし方。これじゃ重厚さは無理。したがってどの点を取っても残念な映画なのだが・・それは私も確かにそう思うのだが・・それでいて私はこの映画けっこう気に入ったのだ。前作のオリファントは、いくらカッコよくクールにキメていても、目のあたりにどこか人のよさみたいなものがにじみ出ていた。そしてそれが何だか微笑ましかった。こっちのフレンドもどこか抜けた感じなのだ。一番お間抜けなのは、銃を二挺そばに置いて寝るけど、眠れないカティアがその銃を分解したのにも気づかず寝ているという・・。何の感情もないことになってるけど、ホントは無理して隠してるんじゃないの?みたいなところもある。あと前作ではオルガ・キュリレンコが景気よく脱いでくれたけど、今作はそういうのなし。いちおうシャワーを浴びたカティアの腕の傷をスミスが手当てするという、お膳立ての揃ったシーンがあるけど、何もなし。カティアは忘れていたけど、幼い頃一瞬だけど47を見ている。リトヴェンコの話だと妻・・カティアの母は不妊症だったそうな。それでカティアを作ったらしい。は?どうやって?ここらへんもあいまいだが、47は兄らしい。同じ方法で先に作られたから兄ということなのか。血のつながりがあるわけではないのか。カティアはこの頃から今まで以上に能力が表に出始めるけど、普通の父親なら殺人マシンとしての娘の能力開花を喜びますかね。ル・クラークはリトヴェンコの知識がどうしても欲しい。今のままだと不完全なエージェントしかできないらしい。でもリトヴェンコは協力しない。どうせガンで長くないし。カティアがバージョンアップされたエージェントだってのは今まで気づかれずにすんだ。ル・クラークはうかつでしたな。結局47の任務は、会社の奥深くにこもり、厳重に警備されていて近づけないル・クラークを外へおびき出して殺すことだった。実際はリトヴェンコが47に渡された吸入器に似せた爆弾でル・クラークもろとも自爆したんだけど。ウェアのアクションは今いち。フレンドはまあよくやっている。ところどころユーモラスな部分があり、変にベタベタせず、最初から最後まで禁欲的で通したのはよかった。そのせいでますます”青い目のお坊さん”に見えちゃうんだけどね。