フラットライナーズ

フラットライナーズ(1990)

この映画が作られたのは1990年頃。今見てみると、五人の出演者の顔ぶれの豪華さに驚く。当然のことながら皆若く新鮮で前途洋々。しかも現在も大スターとして、あるいは中堅スターとして全員それぞれ活躍している。誰かが脱落・・ってことはなくて、皆それぞれに・・っていうのがいいよなあ。監督はジョエル・シューマーカーで、撮影は・・ん?ヤン・デ・ボン?あんれまあ豪華。で、ストーリーですけど何が言いたいのかな?ホラー?SF?はっきりしない。何年かたってから見て、あの頃はこんなだったんだ・・と感慨を覚える映画・・ってそんなジャンルありませんてば。これを見たのは「午後のロードショー」。「霊視」の感想で、途中から見た・・って書いたけど、DVD買ってノーカットで見たら・・ちゃんと最初から見ていたんじゃん。何で途中から・・なんて勘違いしたのかな。ネルソン(キーファー)の部分がよく理解できなくて、彼の実験部分だけ見逃した・・なんて思い込んでしまったらしい。ジョー(ウィリアム・ボールドウィン)のこともすっかり忘れていた。デビッド(ケビン・ベーコン)やレイチェル(ジュリア・ロバーツ)のことは覚えていたけど。テレビでやったのはそう前のことでもないのに、私の記憶力ときたら・・。医学生達が臨死体験をしようと実験するが、生き返った後それぞれ昔の罪の記憶に悩まされるという内容。父親の死は自分のせいとか、遊びまくった女達の幻影に悩まされるとか、いじめていた子が木から落ちて死んだとか、とにかくろくなことじゃない。ネルソンのキーファーはサラッとした金髪で、ヒゲなしなのがうれしい。育ちがよさそうで、逆に言うと高慢で鼻持ちならない。自分が一番だと思っていて、イヤなヤツ。でもとても傷つきやすく孤独。こういう役って普通ならベーコンがやりそうだな(彼だと育ちがよさそう・・にはならないけど)。とにかくういういしくて、見ているだけで幸せ!デビッドはリーダー的存在。問題を解決したのは彼が一番早かった。小学校の頃いじめていた子にすぐあやまりに行く。問題をはっきりさせたのも彼。ネルソンもジョーも自分に起きた現象を隠す弱さがあった。ベーコンは精悍な顔つきが魅力的。デビッドは償いをし、ネルソンは危うく死ぬところだったが何とか生き返る。レイチェルは?彼女は麻薬中毒の父が自殺したのは自分のせいだと思い込んでずっと悩んでいた。

フラットライナーズ2

でも誤解だとわかって・・もう悩まなくていいんですか?いいんですね?よくわからんのよ。ジョーは浮気がばれて婚約者(ホープ・デービス)にあいそつかされる。自業自得だけど、幻影を見るのは?彼だけ問題解決していないように見えるんですけど・・。ステックル(オリバー・プラット)は実験しないから幻覚もなし。別になくてもいいんですけどさ。彼の幻覚とか罪の償いなんて誰も興味ないも~ん。それにしても・・好奇心・医学的探究心・有名になれるかも・本を書いて大儲け・・いろいろあるけど、全員にあるのが思い上がり。でも良心もあるから後でいろいろ悩むんだけどさ。話自体はそれほどふくらまない。実験は同じことのくり返しだし、問題は個人的なことだ。誰かが成功すると今度は自分も。しかももっと時間を長くして・・なんてエスカレートする。まるでゲーム感覚。命を何だと思ってる?彼らが悩んでもさほど気の毒とも思わない。デビッドのやることだって見方を変えれば、わざわざ相手に昔のこと思い出させていやな気分にさせやがって・・かってなヤツだ・・と思う。そりゃ自分は償いができた・・とすっきりするかもしれないけど相手は・・いい迷惑。でもまあ・・過去の過ちを悔いる、許すといういいエピソードだけどさ。見どころはネルソンに襲いかかるビリーという子の存在か。この子男の子?女の子?演じている子の名前からすると男の子らしいが。彼は情け容赦なくネルソンをたたきのめす。だんだん傷だらけになっていくネルソン。でも実際は自分で自分につけた傷。あのままだったら彼は死んでいただろう。まわりから見れば気が狂って自殺したとしか思えないが。このビリーが映画では一番怖かった。とは言え全体的にはさほど怖くもない。五人が殺し合うとかすればショッキングになっただろうけど(監督名やキーファー、ベーコンという顔ぶれから、そういうのを期待したとしても不思議じゃない)。でも友情・愛情の方が強調されている。良心的と見るか、物足りないと見るか。私が気に入ったのは映像の美しさ。赤くなったり青くなったり、現実と幻覚の境目とか凝っていてよかった。それと夜の都会(シカゴらしい)、歴史を感じさせる大学、高架を走る電車などなど。特に電車は、「ダークシティ」みたいで、モロ私好み!この電車はきっとこの世とあの世をつないでいるに違いないわ!

フラットライナーズ(2017)

リメイクされてるなんて最近まで知らんかった。キーファーが出ているのも知らんかった。時代のせいか女性が三人に増えてる。コートニー(エレン・ペイジ)は交通事故を起こし、妹のテッサを死なせてしまう。それをずっと後悔している。九年後、医学生の彼女は科学のためと偽って、友人達を臨死実験に引き込む。コートニーが成功するとジェイミー(ジェームズ・ノートン)が早速やりたがる。最初はこの二人とソフィアの三人でやったが、レイ(ディエゴ・ルナ)も手伝わされるはめに。そしてマーローも首を突っ込む。マーローは死んでいる時間を2分から3分にと欲張る。ソフィアはみんなが得してるのに私だけと文句をつける。実験の後は飲んで大騒ぎ。いったいどうなってるんだ?このアホ連中。レイだけは実験しない。彼は少しはまともに思える。そのうち四人は幻覚などを見始める。コートニーは非常階段から落ちて死んでしまう。勝手に施設を使って実験してることがバレたら医者への道はアウトだ、隠さなきゃ・・となる。ジェイミーはウエートレスのアリシアを妊娠させ、いざ手術という時逃げ出したことがある。ソフィアは高校の時イリーナのパソコンをハックし、裸の写真を拡散させた。マーローはサイラスという男性をミスで死亡させ、しかも医療記録を改ざん。ジェイミーはアリシアにあやまりに行く。彼女が男の子を連れているのにびっくりする。彼女は堕胎せず、産んだのだ。どうせならアリシアが結婚していて、夫が出てきてジェイミーを打ちのめして欲しかったが。ソフィアもイリーナにあやまる。マーローは自分も死ぬという極端な方向へ。その彼女の前にコートニーが出てくるというのは意外。コートニーはテッサに許してもらえたのだろうか。もちろんマーローはレイの必死の手当てで生き返る。死は表現するのは難しい。後ろに立つカゲとか、いきなりの大きな音で驚かせるという、相変わらずの古くさい手法。まとまりのなさと共に野暮ったさも感じる。せっかくキーファーを出すのなら25年前に自分達も同じことをしたとか・・つながらせてもいいと思うのだが。「グランチェスター」のノートンが出ているので期待して見たけど、何だかアレな出来でしたな。彼の肉体美を見ると、レイ役ルナの体が貧弱に見えたのは私だけ?あと、実験後コートニーが異常なくらい頭の冴えを見せたのは何だったの?