ブライトバーン/恐怖の拡散者
こういう、たぶんどうってことないであろうSFホラーになぜか引かれる私。WOWOWのガイドブックには毎月たくさん載ってて、ホントはいろいろ見たいんだけどヒマがなくてねえ・・。ブライトバーンというのは地名らしい。私は最初フライトバーンだと思っていて、飛行機が舞台のパニック物かな・・なんて思っていたのよ。トリ(エリザベス・バンクス)とカイル(デヴィッド・デンマン)の夫婦は妊活中。ある晩外に何か落ちてきたが、はっきりとは見せない。すぐ赤ん坊・・続いて幼児がうつる。子供の成長を撮影しているのだ。幸せの記録。10年たって、ブライアン(ジャクソン・A・ダン)は12歳になってる。ややひ弱なタイプだが、頭はいい。授業中託卵をする蜂のことを話すが、これでもうある程度のことはわかっちゃう。ブランドンは養子ということになっている。誕生パーティで叔父のノアがプレゼントしたのは猟銃。しかしカイルは早すぎると止める。反抗的な態度を取るブランドン。何かがおかしくなり始めているが、まだ・・ブランドンを含めてみんなはっきりとは気づいていない。それにしても12の子供に猟銃贈るなんて・・さすがアメリカ。ブランドンは夜、無意識のうちに納屋へ行っていたが、実はここには宇宙船が隠してあった。あの時宇宙船の中には男の赤ん坊がいて、トリは贈り物だと思い込み、まわりには養子縁組をしたことにして育て始める。宇宙船は隠してしまう。ずいぶん無茶なことするが、それもこれも子供が欲しくてたまらないから。結果的に多くの死者を出すことになるが、トリの行動を単に愚かと言っていいかどうか。当局へ届け出れば死なずにすんだだろうが、その代わり赤ん坊を手放したことを一生涯後悔したことだろう。たぶん赤ん坊を託す方も、そういう夫婦を狙って送り込んだのだろう。ジャクソンは目が小さく、しかも目の間が離れていて、あまりかわいいというタイプではない。そこはちょっと残念かな。見ている方は彼がどこから来て、どういう能力があり、この先何をしたいのか、それがどういう方法で阻止されるのか、あるいは阻止されないのかといったことを知りたい。でも描写されるのはそういったSF的なことより、突然変わってしまって手に負えなくなってしまった息子に対するとまどい、常識的なとらえ方(反抗期、思春期)、解決法(性教育、カウンセラー、愛情を込めたハグ)。
ブライトバーン/恐怖の拡散者2
事態が深刻になってくると、トリとカイルとでは考えも変わってくる。たぶんあの時、トリの方が自分が育てると言い張ったのではないか。カイルはそれに引きずられたのではないか。人間ではないものを育てることにカイルは不安を覚えたかも。今になってみれば不安は的中、これ以上犠牲者を出さないよう何とかしなければ。つまり始末しなくちゃと決心する。一方トリは何があってもブランドンを守ろうと思っている。子供に対してはやはり世間一般のやり方しか思いつかない。カイルが怒ればトリは自分に任せろと制止する。まあ宇宙人に対する接し方、躾け方なんて思いつけなくて当然だろうけど、見ている方は歯がゆい。SFではなく、親子のゴタゴタを延々見せられるわけだから。もちろんSF的味つけとして、ブランドンは宙に浮かび、一瞬にして長距離を移動し、目から強力な光線を出す。カイルに撃たれても平気だった。彼の目的は奪うこと。世界を奪うこと。奪ってどうするのかは不明。なぜ奪うのかも不明。彼をここへ送り込んだ者がいるはずだが、それが誰なのかは不明。わからないことだらけなのは見ていて不満だが、宇宙人の考えることはわからなくてあたりまえと悟ってしまえば、それはそれでいいんじゃないの・・とも思う。それにしても12歳という年齢は、やや中途半端。親にとってはまだまだ子供で、自分の手の内に置いておきたい。だから干渉する。これが20過ぎならもう大人。家を出て自由に行動できる。もっとも宇宙人にとって12歳というのがどういう時期なのか、それすらはっきりしないが。ブランドンはクラスメイトのケイトリンに興味を持つ。しかし夜、彼女のところに現われ、変態と思われてしまう。学校でケガを負わせてしまったことをあやまりたいけど、彼女はおびえるばかり。ブランドンは、自分のことをよく思っていない彼女の母親エリカを襲う。カウンセリングの結果を保安官に話すと言う叔母のメリリーの夫ノアを交通事故に見せかけて殺す。見てる人はメリリーが殺されるのではと心配するが、なぜかノアなのだ。エリカは眼球にガラスの破片が突き刺さるし、ノアはあごを砕かれる。ここらへんはかなりショッキング。猟銃で殺そうとしたカイルを光線で焼き殺し、保安官やその助手も殺す。ついにはトリまで殺す。彼女はカイルまで犠牲になったのを知り、とうとう決心する。ブランドンの弱点を見つけたと思ったのだが・・。
ブライトバーン/恐怖の拡散者3
この映画は「スーパーマン」とあらすじが同じだが、あっちは善なのに対し、こっちは邪悪なのだそうな。私はろくすっぽ「スーパーマン」は見たことがないのだが、言われてみればそうかも。また、「オーメン」にも似ているのだそうな。ただ、「オーメン」ではダミアンを守るための仲間がいたが、こちらのブランドンは今のところ一人。だからラスト近くで空中に浮かぶ彼に光るものが近づいてきた時には、てっきり他の宇宙船が現われたのかと‥。でも違った。よく見りゃ飛行機。なぜか旅客機が農場に墜落し、乗客など全員が死亡。カイルとトリも死亡、生き残ったのはブランドンだけ・・となる。保安官や助手の死体も見つかるはずだが・・。それと行方不明になってるエリカの死体も。でも事故のせいで何が何だかわからなくなるのかも。山火事が起きたというニュースが流れるが、もしかしてカイルの死体隠滅のためか?それとももう農場に運んであったのか。危機を訴える狂信者のニュースは続編への目配せか。今のところ作られる気配ないが。私がこの映画を見て連想したのは「光る眼」の原作「呪われた村」や「悪い種子」。「呪われた村」は村中の妊娠可能な女性が宇宙人の子供を出産。成長するにつれ、不思議な能力を発揮し出し、まわりの者に恐怖を与える。何かをわからせるためにはとことん力を見せつけ、自分達を攻撃するとこうなると思い知らせるのが最良の方法と考えている。手かげんするという考えがない。ケガ人や死人が出ても何とも思わない。とにかく自分達が生き延びることが一番の目的。ブランドンの場合も自分にとって都合の悪い人間、あるいは自分を殺そうとする人間を次々に排除する。その後はビルを壊したり山火事を起こしたりと、自分に不利とかは関係なしに厄災を起こす。自分の内側から起こってくる奪えという声に突き動かされて。てなわけであまり後味のいい内容ではない。目新しいものがあるわけでもない。ありきたりとしか言いようのない映画。と言って別にひどい出来の映画とも思わない。いろいろ文章が浮かぶ、つまり感想の書きやすい映画。メリリー役メレディス・ハグナーはかわいらしい感じ。ノア役マット・ジョーンズはどこかで見たような・・と思ったら「NCIS」に何回か出ていたドーニー。