ハンニバル1

ハンニバル1の1 アペリティフ

これを見たのは無料放送で。うちはスター・チャンネルは契約していない。本当は契約したいけど、テレビ東京はうつらなくなって「午後のロードショー」を見ることはなくなったとは言え、NHKBSとWOWOWとザ・シネマとスーパー!ドラマTVで手いっぱいなのだ。録画がたまって仕方がない。とは言え、スター・チャンネルは映画だけでなくテレビシリーズもやるのか。よりによって「ハンニバル」を!!1話だけ見ても残りは見られない。DVDが出るのはずっと先だろう・・と、何ヶ月もほったらかし。11月にDVD発売と知ってやっと見る気になった。おもしろくなければレンタルですませればいい。でもヒュー・ダンシーだし、マッツ・ミケルセンだし、それじゃあすまないことはわかっていたんだけどね。最初の方は・・何やら凝った映像だ。と言ってもスローモーションと逆回しだけど。思考の流れをいちいち映像化している。あの~グレアムだけにしてくださいね。レクターの方は映像化しないでください。全部見せりゃいいってもんではない。マーロウという夫婦が殺された事件の見立てをするグレアム。これは過去の事件なのだと後でわかる。今の彼はFBIのアカデミーで教えている。現場に出るのも、人と親しく接するのも避けているようだ。そのわりにはクロフォードが協力を求めてきた時わりとすんなり受け入れていたな。女子大学生ばかり八人も失踪。八人目はついさっきわかったばかり。エリースという女性。女性達はみな似たようなタイプ。エリースの家に行くと、なぜか寝室に死体が。警察が調べた時にはベッドは空だったのに・・。まあこの事件は2話完結らしいので、1話目を見ただけじゃあまり書くこともない。当然のことながら説明不足。ミネソタのモズと名付けられたこの殺人鬼は、グレアムとレクターの手にかかればすぐに特定されてしまう。クロフォードは何をしていたってことになるが、それを言っちゃあ気の毒だ。まあそれは置いといて九人目はモズの仕業ではないのか。モズとの違いを際立たせるのが目的か。エリースは肝臓を切り取った後また戻されていたが、それはガンがあったせい。犯人には食べようという意図があったのか。九人目は肺がなくて、レクターが料理していたのはそれか?その前に食べていたレバーらしきものは、ちゃんとお肉屋さんで買ってきたものか?い、いかん・・考えても仕方ないと言いつつ考えてしまう。

ハンニバル1の1 アペリティフ2

発売日が近づいてきたので、DVDも予約してしまった・・ああ、また散財。それにしても「レッド・ドラゴン」からもう10年以上たったのだ。月日の経過の早いこと。「レッド」の感想でも書いたが、私が一番印象的だったのは冒頭の、グレアムがレクターの正体に気づき、襲われる部分である。あちらでのグレアムはまだういういしく、青っぽさがあり、人懐こかった。まだ絶望などの泥沼にははまっていなかった。がらりと変わってしまうのは、レクターに襲われて瀕死の重傷を負い、信頼していたものに裏切られたからである。こちらのグレアムは、レクターに会う前にすでに精神が不安定である。陰惨な事件と、自分の特殊能力。犯人に同調してしまう苦痛。たぶん昔は自分と切り離しておけたのだろうが。ヒュー・ダンシーは「ブラッドウルフ」でKOされて、「お買いもの中毒な私!」で拉致されて、「ジェイン・オースティンの読書会」で執行猶予が付いて(まだよく見てない)。クレア・デインズと結婚したそうで、おめでとうございます。数年の間に顔の下半分がややたるんできて、今回は薄くヒゲも生えてるけど、私はヒゲなしの方が好みです。でも相変わらず美形で、目の保養になる。ローレンス・フィッシュバーンは、目が慣れてきたのかそんなに太ってるとも思えなくなってきた。元々美貌が売りというタイプじゃない。太ろうが肥えようが膨張しようが誰も何とも思わない。目が鋭くて、彼がうつると蛙を思い出しちゃう。蛙って悟りを開いたような顔してるじゃない。フィッシュバーンが仏像顔ってことを言いたいんですけど。グレアムがエリースの部屋で見立てをしていると、無神経に話しかけてくる女が・・。「レッド」とは違い、こちらのカッツはアジア系。ヘティエンヌ・パークとか言う人。このカッツがむかつくんですわ。相手の気持ちにおかまいなしにずかずか踏み込んでくるタイプ。グレアムの見立てを中断したばかりか、次から次へとべらべらしゃべる。デリケートな仕事の邪魔をする。彼女は現場に残された微細な遺留物を調べるのだが、呆れたことに長い髪を無造作に垂らしたままやってる。こんなのありえないでしょ。で、お待ちかねのレクターだけど、だいぶたってからやっと出てくる。ミケルセンを見るのは初めて。これを放映したのは今年の2月で、それまではほとんど知らなくて、興味もなくて。

ハンニバル1の1 アペリティフ3

でもWOWOWでいくつか過去の作品をやってくれたので録画だけはしてある(まだ一本も見てない)。何と言うかいかにも北欧系という感じですな。冬季オリンピックのスピードスケートの選手みたい。レクターと言えばアンソニー・ホプキンスで決まりみたいなイメージあるけど、これからはミケルセン!本来のレクターは意外と若い。「レッド」の頃はたぶん40代。こちらのレクターは第二次世界大戦は関係なし。グレアムも向こうとは違って独身だし、なぜか数匹の犬と暮らしている。迷い犬を保護し、洗ってやっていたが、彼の過去と何か関係があるのか。彼の数少ない友人の一人アラーナがクロフォードに紹介したのがレクター。レクターは彼女の恩師らしいが、ここらへんはやや説明が足りない。クロフォードはレクターにグレアムをサポートして欲しかったのか。彼は優秀だが、繊細すぎて時々クロフォードの手に余る。それとも事件の解決に協力して欲しかったのか。これだとグレアムはあんまりいい気はすまい。自分だけでは不足だと?レクターのオフィスは暗くて落ち着いた雰囲気。静かで清潔。自分の悩みに没頭している患者は、使ったティッシュをそのままテーブルに置く。それを見ているレクターの頭の中はたぶん内臓料理。でも、気に食わないからって殺していたんじゃ切りがないわな。レクターとグレアムがお互いをどう思ったかは不明だが、出会ったことによってこれから複雑で知的なゲームが始まるわけだ。今のところレクターを疑う者は全くいない。それがグレアムやクロフォードと関わることでどう変わっていくのか。彼には秘書はいないのか。何もかも一人でやっているのか。私が第1話で一番印象に残ったのは、レクターが手作りの朝食を持ってグレアムを訪ねてくるところ。食事には気を使っていると言う彼。卵の黄色が鮮やかだ。卵とソーセージ・・あのソーセージが何でできているのかそんなことが頭をかすめたのは事実だが、それは置いといて、とにかく彼は食べることを大事にしているのだ。グレアムはたぶんろくなものを食べていない。あれを見て私もちゃんと作ってちゃんと食べなきゃと思った。美食には全く興味はないけど、何をするにも体が健康でなくちゃ。血なまぐさい内容の番組見て、健康に気をつけようと決心するなんておかしいけど、これが正直な感想。

ハンニバル1の2 アミューズ・ブーシュ

DVDが発売されるとすぐ買い、三日ほどで特典もコメンタリーも含め全部見た。それから三ヶ月。すぐに感想書きまくりそうなものだがそうならず・・。二月にはシーズン2の放映が始まるようで。それにさきがけ、シーズン1を全話無料放送!・・ってあせってDVD買った私はバカですか?まあいいや、どうせシーズン2は当分見られない。1の感想書いてりゃ冬になって2のDVDが出る。話を戻して今頃までほったらかしにしていたのにはわけがある。1話目を見て抱いた期待・・それが回を追うごとにアレレとなって。じゃあ何を期待していたのだと聞かれても困るのだけど。これが一本の映画ならグレアムとレクターが出会って恋をして・・ってちゃうちゃう、ビビビッときて、いやそれも違うか。グレアムは信頼し、レクターは楽しみ・・。しかし蜜月状態もつかの間、ある日突然・・それがクライマックス。で、レクターが逮捕されてエンドと。しかしテレビシリーズとなると、毎回違った事件と犯人、それとは別に全体を通しての流れが必要となる。それをどううまく組み合わせるか。「ハンニバル」の場合にはその他に毎回”料理”も目玉となる。40分あまりの時間枠でそれらを処理しきれるか。さて、グレアムはホッブスを射殺したせいで、悪夢を見る。寝ている間だけでなく、起きている時は幻覚だ。このことはクロフォードには話していない。FBIへの復帰にはセラピーが条件となる。担当はレクター。グレアムはなぜ復帰する気になったのだろう。精神的動揺を理由に、復帰を断ることもできたのに。まあそれではテレビにならないが。レクターにすれば彼には復帰して欲しい。グレアムには興味があるし、捜査との接点を持っていたい。だから問題なしと診断する。グレアムはアビゲイルを助けたのだから、ホッブスのことで罪悪感を持つ必要はない。それでも悪夢や幻覚に苦しめられるのは、彼と自分に共通点があるのではないかと不安だからだ。と言うか、そう思うように(ホッブスやレクターによって)誘導されている。その先にあるのは殺しが快感という禁断の世界。

ハンニバル1の2 アミューズ・ブーシュ2

ところでレクターには、アビゲイルが助かったのは予定外だったと思う。「彼女の運命を変えてしまった」というセリフは、彼女はあそこでホッブスの犠牲者として死なせるはずだったのに、助けてしまったという意味だと思う。彼女は今は昏睡状態だが、目覚めた後で、直前に受けた電話の主が自分だと気づくかもしれない。で、今回の事件だが、国有林を歩いていた三人の少年が、地面から突き出た手に気づく。それも何本も。まわりにはキノコがいっぱい生えている。無料放送の時の予告編でキノコを見た時、これはてっきりレクターの料理の材料だと思った。でも数ヶ月後DVDで本編を見たら、彼とは無関係だった。と言うことは彼はキノコはちゃんとお店で買うのか。埋められていたのは九人。一人はまだ生きていたが、搬送中に死んだらしい。腎不全、ブドウ糖、糖尿病の患者、薬の細工による昏睡状態、それができるのは医療関係者・・となって、スタメッツという薬剤師が浮上。しかし彼は寸前に逃亡。展開が速い。九人も行方不明なら、ニュースになっているはずだが。スタメッツの背景も浅い。菌類が繁殖するように、自分もグレアムと繋がりたい。彼は自分の理解者だ。そういう心理は珍しくないが、人間を埋めてキノコを生やすのとどう繋がるのかね。人間を栄養にして生えたキノコを食べるというのならわかるけど。つまり間接的に人間を食いたいとか。食べることによってその人間の(病気だけど)パワーを吸収したいとか。一体化したいとか。そういうのがなくて、人間を埋めてキノコ栽培!というショッキングさだけが強調されている。捜査情報が外部に漏れていて、ここで登場するのがフレディ・ラウンズ。原作と違い、女性にしてある。しかも一見楚々とした美女。ところが警官や捜査官をだまし、取り入り、破滅に追いやる。得た情報は自分のサイトで公開。原作ではタブロイド紙の記者だが、こちらでは犯罪サイトを運営。ん?どこから報酬を得ているのだろう。無料で公開したのでは金にならないから、有料にしてあるとか?最初にうつる時は椅子に腰掛け、パソコンに向かっているが、たぶん全裸。いかにも魔女、妖女、悪女という感じ。

ハンニバル1の2 アミューズ・ブーシュ3

FBIの捜査に(精神に問題のある)グレアムが参加していることに興味を持つ。患者を装ってレクターを訪ね、彼とグレアムの会話を盗聴する。もちろんレクターはお見通しだ。彼女の大胆さ、罪悪感のなさは、彼にも通じるところがある。彼女のサイトを見て「悪い子だね」とつぶやく。すぐに始末した方があとくされがないが、動き回らせておいて、様子を見たい気もする。利用できそうな気もする。彼女のせいで停職になった警官がねじ込んでくるが、いきなり現われたスタメッツは彼を射殺。別に理由もないのに。で、次の標的はアビゲイルだ。彼女はグレアムに繋がっている。まあ狂人の頭の中は何でもありだから別にいいけど。前にも書いたけどオープニングとかそういうのを除くと40分あまり。駆け足になるのは仕方のないことだが、メインの事件なのに掘り下げが浅い。今回は見るの二回目なので、最初の時ほどの物足りなさは感じなかったが、それでもね。ま、文句はそれくらいにして・・2話で一番印象に残るのは、レクターの診察室。非常に広くて、日本ならこの一部屋で一軒分はあるだろう。天井は高く、三面が回廊式の書庫になっている。残りの一面には窓がある。書庫に行くには梯子を使うのか。重い本を下で見たい時など面倒だろうに。1話でもこの部屋はうつるが、こういう作りなのは気づかなかった・・と言うか、うつっていなかったような。私はこういうふうに整然と本が並べられているのが好みである。後の方のエピソードで、グレアムが本棚の間にうずくまっているシーンが出てくる。彼にとっては隠れ場所の意味もあるのか。レクターにとっては知の宮殿だろう。どこにどの本があるのかわかっている。どのページに何が書いてあるのかもわかっている。後年彼は囚われの身となるが、ちっとも退屈しない。知の宮殿でいくらでも時間が潰せる。捜査官のうち、ゼラーはラウンズと関係を持ち、情報を漏らしたようで。停職になった警官は、彼の分まで責任取らされたわけだ。ラウンズが男だったらこういう設定は無理。あと、1話目で気に食わなかったカッツだが、回を追うごとに印象はよくなった。射撃が苦手らしいグレアムにアドバイスするなど親切だし、さっぱりしている。ただ、髪を垂らしているのはやはり気になる。仕事中はきりっとまとめ、オフではゆったり垂らすなどメリハリが欲しい。

ハンニバル1の3 ポタージュ

アビゲイルが昏睡から覚める。クロフォードは彼女がホッブスの共犯で、囮の役をしていたと疑っている。グレアムは違うと思っている。どちらかと言うと彼は自分の不安定な精神状態に気を取られていて、アビゲイルの精神状態にまで踏み込む余裕はない。今では自分が彼女の喉をかき切る夢を見るほどで。アラーナは、現場にいたレクターやグレアムより、自分の方がアビゲイルの心のケアをするのに適任だと思っている。彼女は精神的にも肉体的にも健全に思える。だから彼女を見ていると、ある意味ホッとする。こういう作品の登場人物には、辛い過去とか、暗い秘密をくっつけることが多いが、アラーナにはあんまりそういう雰囲気はない。過去グレアムと恋愛関係にあったような感じだが、今は友情の範囲内にとどまるようお互い努めているような。ただ、彼女がすべてにおいて感じがいいとか、やってることがみんな正しいとかいうわけではない。どこか偏っていて、不十分な感じも受ける。いちおう美人だが、どこか大ざっぱな感じ。顔が大きくて、体つきもちょっとゆるんでる。裏の裏までとか、奥の奥までという、突きつめたものがない。昏睡状態のアビゲイルのそばで本を朗読するなど親切だが、と言って度を越すこともない。演じているカロリン・ダヴァーナスは、「アメリカを売った男」に出ていたようだ。クロフォードは仕事一筋で、それ以外何もなさそうに見えるが、部下をなくした過去とか、妻がガンなのに気づいてショック受けるとか、こういうのにお決まりのあれこれをくっつけられている。それ以上にドッロドロのグッチャグチャなのがアビゲイル。どこか締まりのない(余裕があるということだが)アラーナとは逆に、何もかも凝縮されているような。演じているケイシー・ロールはなかなかうまい。若いわりには肌が荒れていて、額には時にはたての、時には横のシワが刻まれる。神経質そうなまばたきをくり返し、小さな唇がふるえる。アラーナのセラピーは効果がないようだが、作り手にちゃんと描写する気がないだけかも。クロフォードは早く白黒つけたい。被害者遺族からの突き上げがあるだろうし、上からもマスコミからもせっつかれているはずだ。アビゲイルを問いつめてでも白状させたいところだ。

ハンニバル1の3 ポタージュ2

グレアムはアビゲイルの父親を殺した当人ということで、あまり深入りはできず、レクターは少し後ろから様子見というところ。あまりしゃべらず、表情だけのことが多いが、これがなかなか見ごたえがある。見るのが二回目というせいもあるが、いろいろ伝わってくるのだ。クロフォードの後ろから、グレアムがアカデミーで講義しているところへ入ろうという時・・ちょうどスクリーンには鹿の角に刺されたキャシーの遺体がバーンとうつされていた。”ミネソタのモズ”の模倣犯の仕業・・と、グレアムは解説する。レクターにとっては、自分のいわば作品が題材にされているわけで、これがうれしくないはずがあろうか。しかもグレアムの見立ては正確なのだ。ホッブスには獲物に対する彼なりの敬意があった。しかし模倣犯にはそんなこだわりはない。欲しいもの・・この場合肺だけ取って、あとは野ざらし。ただ単に誇示し、犠牲者をあざ笑っている。レクターは満足げな微笑を浮かべる。彼の分析は正確だ。ということは彼には自分の心理がわかるのだ。二人には共通するものがあるのだ。とは言え、彼はまだ向こう側にいる。それをこっち側に来るように持っていくのだ。アビゲイルに話を戻すと、彼女には心のやすらぎはない。母は殺され、自分が眠っている間に火葬にされた。もう一人ぼっちだ。家に戻ってみると、”人食い”という落書きがされている。友人のマリッサが来て元気づけてくれたのはうれしかったが、散歩していたら突然見知らぬ青年が現われ、脅すようなことを言ってきた。キャシーの兄ニコラスである。例によってラウンズは、アビゲイルに同情するふりをして近づく。情報を得ようとする。彼女は当然被害者達の家族に近づき、記事にしていたはずで。今回はニコラスを呼び出し、アビゲイルが目覚めたことを知らせる。たぶん彼が一番(軽率な)行動を起こしやすいタイプだと踏んだのだ。グレアムは彼女に「サイトで儲けてる」とか言っていたな。私は2話のところでも書いたが、有料サイトなのかと。でもそれだけじゃないんだろう。スキャンダルになりそうなネタをつかむと、記事にする代わりに売ることもあるのかも。彼女は人をあおり立てておいて、どうなるか見る。殺人や傷害に手を染めることはないが、それ以外なら何でもやりそう。だます、うそをつく、そそのかす。

ハンニバル1の3 ポタージュ3

瞳は澄んでいて、表情は真摯。しかしなかみは真っ黒。とは言えニコラスもバカだ。妹の仇を討ちたいのはわかるが、軽率すぎる。アビゲイルやマリッサの前に現われたものの、本当は何をしたいのか自分でもわかっていない。自分が何をすべきなのかわからない。翌日アビゲイルを連れて一行は狩りに利用していた小屋へ。鹿だけでなく、人間もそこで解体していた。アビゲイルの反応は?ところが天井から血がしたたる。二階へ行ってみるとマリッサが串刺しに。で、マリッサ殺しもキャシー殺しも・・つまり模倣犯はニコラスだということになる。証拠はレクターがでっちあげた。自分の犯行をニコラスになすりつけようという魂胆。彼はどこまでもバカで、自分は犯人じゃないと言うために、アビゲイルの前にノコノコ現われる。で、錯乱したアビゲイルに刺されて死んでしまう。それに気づいたレクターは、近くにいたアラーナを気絶させ、アビゲイルと取引する。彼女はすでに例の電話の主がレクターだと気づいている。レクターはニコラスの死体を隠し、アビゲイルにはもう塀は越えるなと・・つまり一線は越えるなと忠告するが、実際はそそのかしている。この時点でレクターはアビゲイルを殺すこともできた。アラーナを襲った後、ニコラスはアビゲイルともみ合いになり、共倒れになったとか。そうすりゃ一石二鳥だ。それをせず、わざわざ面倒な方法取るのは、少しくらい危険な方が楽しめるからか。ところでアビゲイルが明日小屋へ行くと言った時、その場にいたのはグレアム、レクター、アラーナの三人である。次の日小屋へ行ったらタイミングよく死体があったわけだ。しかも前日アビゲイルを訪ねてきたばかりのマリッサ。でっちあげの証拠のせいで、なぜタイミングよく・・とか、なぜマリッサ・・というのが忘れ去られてしまう。後でニコラスの死体が見つかって、彼じゃなかったのかとなっても、それでもグレアムの方へ疑いが行ってしまう。今回は他の事件は起こらず、料理も出てこない。アビゲイルに関わりすぎという不満意見もあるが、私は散漫にならず集中した感じなのはいいと思う。したたかなアビゲイルはレクターと渡り合えると思っている。しかし彼女はとうてい彼にはかなわない。ラウンズも同様。それにしてもレクターは、娘マリッサを殺されて取り乱す母親を抱き留めた時、何を思ったんだろう。初対面で何の利害関係もないマリッサを・・。

ハンニバル1の4 ウフ

今回は放送コードに引っかかりそうなことがいくつか。子供に銃で親を撃たせるとか。今回はアビゲイルのことは少し横に置いて、事件がメイン・・のように見えるけど、そこまで行っていない。ショッキングな事件に見えて、底が浅い。まずターナー家。家族で豪華な夕食を囲んでいたはずが惨劇の場に。料理にはウジがわき、ハエがわんわんと飛ぶ。このハエはCGか。グレアムは犯人が一家を支配していたのだと分析する。母親は一番最後に殺され、抵抗したふうもない。去年この家の子供ジェシーが行方不明になった。弾道検査などから犯人はかがんで撃ったものと思われるが、それよりも背が低い人間・・子供・・ジェシーと考えるのが自然。次のフリスト家ではプレゼントがたくさん。子供の焼死体があったが、行方不明になっていたコナーだった。彼は親を殺し損ね、他の者がとどめを刺したのだ。たぶん大人・・子供達を支配し、家族を殺させた者がいるのだ。いなくなった子供達にはいくつか共通点があった。家は裕福で、虐待はなし。また、子供のこととて現場には指紋がベタベタ。子供が親を殺すというのはショッキングな出来事だが、銃だからそれができる。親はなぜ我が子がこんなことをするのか理解できないままに殺されてしまう。子供達を誘拐した女は、自分達こそが本当の家族・・と主張する。そのためには他の家族を始末しなきゃならない。家族は一つで十分だから。ムチャクチャな論理だが、子供達は言うことを聞くしかない。ヘマをすればコナーのように殺されてしまう。逃げようと思えば逃げられるのにそれをしない。たぶん彼らの間では、逃げるために力を合わせようではなく、裏切ったら言いつけるぞ・・みたいな。そっちの方へ行ってるのではないか。だから生き残るためには仕方ないみたいな。で、こういうのを出してきて、そういう設定がちゃんと機能しているかというと、そうでもないのだ。女はなぜこういうことをするようになったのか。いつも数人の子供を連れているわけだが、食べたり着せたりのお金はどこから得るのか。親から身代金を要求したわけでもない。子供が学校へ行ってないのを隠すには転々とするしかないし、逃げないよう見張るなら仕事にもつけない。

ハンニバル1の4 ウフ2

子供が突然無事に帰ってきて、そりゃ親は大喜びするわけだが、まず警察に連絡を・・とはならないのか。ごちそうだプレゼントだとなって、そんなことやってるうちに惨劇が始まったのか。グレアムが事件にかかりきりなので、レクターは彼の家へ行く。犬はちっとも吠えない。持参したソーセージで手なずけられてしまう。番犬の役に立たん。あんなにたくさんいたら家の中はひどいことになってるはずだが・・おもらしとか。ずいぶん行儀のいい連中だ。と言うか、あのソーセージは誰の肉?他のシーンでレクターはチラッとある男を殺すところを思い浮かべていた。ちょっと肉が欲しいからって・・ちゃんとお肉屋さんに行けよッ!レクターったら交際し始めた恋人が留守なのをいいことに、あれこれ嗅ぎ回る疑り深い女のよう。引き出しを開けてみる・・白いシャツ(たたんであるぞ)、白いソックス(丸めてあるぞ)がきちんと・・。次に目を向けたのは作りかけのルアー。何やらいじくっていたけど、後でこれってグレアムを陥れるのに使われるんだよな。あの後たぶんバスルームへ行って歯ブラシの本数を確認したはずだ。そしてよしよしどこにも女の痕跡はないな・・と満足して帰ったに違いない!彼はまたアビゲイルを病院から連れ出し、自分の家に。幻覚を起こさせるお茶を飲ませていたけど、目的はよくわからない。一方アラーナはレクターの行動に激怒。私の患者に勝手なことをした、信じられないと猛烈になじる。その前に彼を訪ねた時は「中立って辛い」とか言っていて、まあアラーナにもいろいろあら~なってことで。レクターのことは恩師として尊敬していて礼儀を尽くすという感じではない。対等に、言いたいことは言うみたいな・・時にはちょっと生意気な感じで。今回事件に子供が関係していたせいで、クロフォードも何やら考えたような。仕事仕事で飛び回っているし、妻もそうだけど、このままでいいんだろうか。もしかして子供のこと考えた方がいいのかも。ところが妻のベラは別のことに気を取られているようで。今更ながら妻のことがわかってないのに気づいて不安になる。ベラ役ジーナ・トーレスは実際にフィッシュバーンの奥さん。「マトリックス」の二作でも共演していた。今回鮮やかな印象残したのはカッツ。ためらわず、しかも正確に女を撃ち、事態を終わらせる。射撃の名手なのだ。

ハンニバル1の5 コキーユ

冒頭・・夜中に素足で道路を歩くグレアム。寒い中を薄着で・・。通りかかったパトカーの警官からは不審な目で見られ・・。そりゃアルコールかドラッグのせいと思われても仕方ないわな。夢の中ではグレアムの後ろには大きな鹿・・しかもカラスの羽根が生えている・・がいたけど、実際は飼っている犬のうちの一匹だった。たぶんこの犬・・ウィンストンのおかげで、警官達のグレアムに対する印象は少しよくなったと思う。ドラッグその他犯罪に関係しているのではないかという疑惑は薄れ、夢遊病とかそういうのではないかと。飼い犬がついてきているってことは住まいもこの近くで・・。犬の名前がわかるってことは頭も正常で・・。まあそんなことがあったせいで、次の日はすこしぼんやりしていて。でも事件現場のモーテルへ行ったら目が覚めた。何とも異様な光景。前回あたりから・・いや2話目もそうだったが、ショッキングな事件、凝りに凝った死体が目立ち始める。今回だと男女二人が背中の皮をはがされて、天使の羽根のように広げられている。死体はひざまずき、両手を合わせ、祈るような格好。固定するために釣り糸が使われている。次に警備員か何かが同じように、ただし場所は高いところに吊るされて見つかる。モーテルでの二人と、この警備員はいずれも犯罪者だったらしいが、犠牲者に選ばれたのはそのせいか、それとも偶然か。別にこの設定いらないと思うが。犯人の嘔吐物から、脳腫瘍らしいことがわかる。病気のせいで彼ブディッシュには幻覚・・人の顔が燃えて見える。死ぬのが怖いから天使に守ってもらうなど、奇怪な考えに取り憑かれる。まあその流れはわかる。わかるけれどもちょっと・・いや、だいぶおかしい。ブディッシュは自分のナニを切り落としてしまう。天使にはそれはないからだ。彼は天使自身になったのか。見つかった彼は警備員と同じく高いところに吊るされ・・たぶん自殺だろう。えーと、うーんと、すみません自分で切り落とせるんですか?自分で麻酔かけたんですか?何でそこを見ないフリして駆け抜けちゃうんですか?その後自分で自分の背中の皮をはいだんですか?手が届かないでしょ?

ハンニバル1の5 コキーユ2

その上あんな高いところへ自分で自分を吊ったんですか?どうやって?教えてくんなまし。たぶんあれを見た人は、絶対レクターが先回りして吊ったんだと思ったはず。だってどう考えても一人じゃ無理だもん。でも彼関係ないみたいだし。作り手は何でこんな説明のつかないこと出してくるのかね。グレアムがブディッシュの幻覚見るところもなあ。いくら何でも彼にはブディッシュに人の顔が燃えて見えたことはわからないと思うが。今回クロフォードは大ショックを受ける。べラの心がつかめない。そういう時まず疑われるのは浮気だが・・。レクターは夫妻を食事に招くけど、ベラの匂いを嗅いで何事か感じ取ったらしい。香水の話にまぎらせていたけど、匂いである人の胃ガンに気づいたことがあると言っていたし。で、別な日にベラは彼を訪ねてくる。最初に見た時は浮気の相談のように見えた。週に何度会うかとか言ってるし。まあうまく考えられた会話。クロフォードが気づいたのは、ブディッシュの奥さんに事情聴取していた時。妻子を拒絶するとか、いつも怒ってるとか。さすがに鈍いクロフォードも相似に気づき、そうかそうだったのかとなる。この時のグレアムの、いつもと様子が違うぞという不審げな表情や、それを態度に出さずに聴取を続けるところもよかった。ベラはタバコも吸わないのに末期の肺ガンである。彼女は怒っている。クロフォードには何もできない。彼女は死を受け入れるしかない。そのために心の中でいろんなものと戦っている。夫にぶちまけ、すがることは彼女のプライドが許さない。レクターはガン患者に特有の匂いに気づいたのだ。だからあんな表情をしたのだ。彼女は料理にも手を付けなかった。レクターはグレアムの匂いも嗅いでいた。たぶんこの作品が始まって以来初めての官能的なシーンかも。一部の人が喜びそう。もちろんグレアムも気づいて、僕の匂いを嗅いだ?と不審そう。ローションの香りにまぎらせていたけど、たぶんレクターはグレアムの脳の病を嗅ぎつけたかも。夢遊病に頭痛・・きざしはある。

ハンニバル1の6 アントレ

そろそろシリーズ中盤に差しかかり、話が広がってくる。特にクロフォードにいろんなものがくっつけられ、グレアムはちょっと脇へ追いやられている。考えてみりゃ・・グレアムの過去ってはっきりしない。冒頭囚人が倒れていて、医務室か何かに運ばれる。房から運び出す時には何人かで警戒しているけど、ここでは看護師一人。いくら何でも油断のしすぎ。手錠?・・手錠ははずされるためにあるんだぜい!彼ギデオンは元外科医で、妻や親類を殺し、精神病院に入れられ、二年たつ。模範囚なので、だいぶ扱いもゆるくなってきたが、ここへきていきなりの犯行。今回チルトンが出てくるがちょっとジェラルド・バトラー風味。ただし精悍さはゼロ。ギデオンの描写は、映画などでおなじみのレクター風。彼が”チェサピークの切り裂き魔”かどうかは、最初ははっきりしない。チルトンはそうだと思っているし、クロフォードは違うと思っている。ギデオンのやり方はもっと雑らしい。今回の看護師殺しの手口は切り裂き魔と同じだが、チルトンが彼を洗脳し、いろいろ情報を与えたのかも。アラーナはギデオンが誰かに操られているのだと思っている。誰かとはもちろんチルトンだ。クロフォードはギデオンを利用して、本当の切り裂き魔をおびき出したい。そのためにはラウンズを利用する。彼女がギデオンの独占インタビュー記事を書けば、本物はプライドを傷つけられ、何らかの行動を起こすだろう。グレアムは本物の切り裂き魔による被害者が出ることを心配している。・・少し前あちこちで行なわれた針供養のニュースが流れたが、被害者は今回のも二年前のも、ありとあらゆるものを刺されていて。あたしゃコンニャクか!オレは豆腐か!状態。針山状態になっている被害者を前にしても、誰も気の毒に・・とか言わない。いちいち同情していたら仕事にならないのだろうけど、それにしたってうるおいがないと言うか・・。人間ではなく、ただの物体ととらえられていると言うか。今回のも凝った死体と言えるが、ギデオンが妻や親類を殺した時の手口は説明されないまま。彼が切り裂き魔と思われたのは、それなりの理由があってのはずだが。描写が片手落ちと言うか。死体作りに夢中になるより、そっちの方をちゃんとしろ!

ハンニバル1の6 アントレ2

さてレクターはラウンズの記事を読んで・・でもおかしいよな、プライドを傷つけられたからってすぐ行動起こすのは。しゃべってるのは狂人、書いているのはろくでなしのラウンズ、しかも本物をおびき出してやれという意図なのは明らか。薄笑いチラ・・で、レクターは無視するはずなの。どす黒い怒りがメラメラ・・なんてのは、おかしい。今ではクロフォードまで彼を訪問して苦しい胸のうちを吐き出す。二年前、切り裂き魔の捜査に訓練生のミリアムを参加させた。有能だが、突っ走る傾向のある彼女は、犠牲者から臓器が抜かれていることから、医療記録を当たってみることを思いつく。で、レクターに行き着く。彼は以前外科医だったらしい。彼女はレクターの正体に気づくが、時すでに遅し。ここらへんは「レッド・ドラゴン」の冒頭部分風。クロフォードは、目の前にいるレクターが切り裂き魔本人だとは夢にも思っていない。たぶんミリアムが切り裂き魔の最後の犠牲者だ・・と彼は思っている。死体は出ていないが、生きているとは思えない。そしてあれ以来二年間切り裂き魔の犯行はやんでいた。と言うことは、レクターはギデオンが逮捕されたのをいいことに、罪をみんななすりつけて知らん顔していたってことでしょ。だから今になって怒るのは変。とにかくクロフォードにはミリアムの声で電話がかかり始める。一度などは、発信場所は彼の自宅の寝室。ミリアムの髪の毛や指紋まで。レクターは家宅侵入も得意なようで・・。ミリアム役の人はヒラリー・スワンク風。クロフォードは自分を責めている。まだ若く、将来有望な女性を死なせてしまった。グレアムを捜査に引き込み、深入りさせつつも、ミリアムと同じことになるのではと心配になる。それ以上に、妻のベラを失うのが怖い。こちらは失うのが確実だから。ん~でもクロフォードより、見ている人はグレアムは、レクターは・・って思ってるはずで。ぶっちゃけて言えばクロフォードなんてどうでもいいと思うよ。チルトンは、グレアムに興味を持っていたな。精神に問題がある故に有能。彼にはグレアムも患者、研究対象。それも純粋な学者としての興味ではなく、有名になるための手段。

ハンニバル1の7 ソルベ

今回もまだ切り裂き魔を引きずっている。この頃ではクロフォードまで悪夢に悩まされる始末。オペラを楽しむレクター。美声に感動して目をうるませる。その彼を患者のフランクリンが見ている。一回目にも出てきたおデブちゃん。連れの黒人トバイアスとレクターは、顔を合わせたとたんぴんときたようで。フランクリンのことはあまり説明されない。仕事は何をやっているのだろう。今の彼は執着する対象を見つけ出したせいで元気になっている。つまりレクターに興味を持ち始めたのだ。今回妙なシーンが出てくる。レクターがある女性を訪ねるのだ。古い知り合いで精神科医らしい。彼女・・デュ・モーリアを演じているのはジリアン・アンダーソン。最初見た時は・・ちなみに感想はどれも二回目を見た上で書いている・・彼女はレクターの頭の中の存在だと思っていた。つまりこの妙なやり取りは現実ではないのだと。なぜならレクターが精神科医にかかるなんてありえないことだからだ。彼は分析する側であって、される側では決してない。後になって彼女は幻ではなく現実の存在だとわかったけど(他の人も彼女に会っていたから)、それまではずっと・・。何しろ彼女、あまり現実的じゃない。家に一人でいる。患者はレクターだけ。でも、お金のやり取りするとは思えない。したとしても時々患者一人見るだけじゃ大したお金にはならない。どうやって生活しているのか。レクターと会っていない時は何をしているのか。会話にしても漠然としている。意味ありげなようでいて、取り留めがない。彼女はレクターのことは全部知っているのか。と言うか、レクターは彼女に何を話すのか。グレアムのことか。彼が心のうちを誰かにさらけ出すとは思えない。さらけ出したのではもうレクターじゃないッ!ホテルの一室で見つかった死体。腎臓が抜かれ、心臓も取り出そうとしたあとがある。切り裂き魔の仕業に違いない。でもグレアムの見立ては違う。犯人は医学生あたりではないか。切り裂き魔は解剖や外科の知識があるのではないかと思われている。それでいて元外科医のレクターのことは誰も疑わないのか。腎臓を抜かれそうになっている患者の手当てをしている彼を見て、グレアムは何も感じなかったのか。今回は料理がいっぱい出てきたが、どれもおいしそうには見えなかった。

ハンニバル1の8 フロマージュ

トロンボーン奏者のウィルソンが殺される。フランクリンはトバイアスを疑っている。二人の関係はよくわからない。友人か恋人か。フランクリンはたぶんさびしがりや。人に嫌われたくない。いつも誰かと一緒にいたい。トバイアスはあまり自分を隠す気もないのか、思ったことをすぐ口に出すので、フランクリンは心配になる。ウィルソンを殺したのは彼なのでは?ネットで診断してみたら、彼はサイコパスにぴったり当てはまったし。彼はレクターが患者と医師という立場を崩さず、距離を置いているのを残念に思う。自分はもっと彼と親しくなりたい。彼が好きだし、彼のようになりたい。一種の恋愛感情だが、もちろん彼は否定する。友情だと言い張る。彼はレクターのあとをつけたりする。オペラ会場にいたのも偶然じゃない。トバイアスのことは気になるけど、それを理由にレクターと話せるのはうれしい。彼は善人だが、ちょっとばかりなれなれしい。レクターは彼にしては珍しくフランクリンを殺そうとせず、他の医者に回そうとする。前回次々に人を殺し、冷凍庫の備蓄増やしていたのに・・。殺人鬼が見逃してやろうとしているわけで、フランクリンにとってはラッキーな流れなのだが、彼はもう九回もたらい回しにされたと怒る。レクターはグレアムにトバイアスのことを漏らす。彼もレクターのあとをつけ、何やら目撃したようで。レクター君、背後に気を配らなさすぎ。グレアムは警官二人を連れてトバイアスの店へ。彼は人間の腸で弦を作っている。グレアムはこの頃幻聴に悩まされている。で、ここでもそれが起こって、ちょっと店を離れたスキに、警官二人はあっさりやられてしまう。その後レクターの前に現われたトバイアスは、店に来た警官を殺したと言う。そのせいでレクターはグレアムが殺されたと勘違い。居合わせた邪魔なフランクリンをかたづけ、トバイアスと死闘をくり広げ、とうとう倒す。どうせフランクリン殺しはトバイアスになすりつけ、トバイアス殺しは正当防衛ということになる。後でグレアムが無事と知ってレクターは安堵の表情を浮かべるが、グレアムは気づかない。で、レクターの考えた筋書き通りになるが、クロフォードだけは腑に落ちないと渋い顔。

ハンニバル1の9 トゥルー・ノルマン

ウェストヴァージニア州のグラフトンというところで巨大な死体のオブジェが見つかる。海岸にトーテムポールのように立てられていて、死体は全部で17体。そのうち七体は海岸に埋めてあったのを掘り出したもの。八体は墓場から盗み出されたもの。一番上にあったジョエルという男性の死体は一番新しく、ここで殺されたらしい。え~と、これで16体よね。残りの一体は?一番下にあったマーシャルの死体は、七体か八体の方に含まれているんでしょ?マーシャルのは一番古く、死んだのは40年も前だ。グレアムは一番最初と最後が何か関係があるはずだと推理する。ジョエルは40歳だから、マーシャルとは親子かも。でも鑑定の結果は他人。今回の死体はたぶん作り手(番組のね)の自信作。まず芯となる丸太があって、死体がずり落ちないよう引っかける棒が何本も打ち込んである。死体はバラバラにし、ロープだかワイヤーだかで縛りつけていく。左右対称に腕が数本伸びていて、日本人なら阿修羅像を連想するだろう。一番上のジョエルはヨガの行者みたいな不自然な形をしている。木には立てるためのロープだかワイヤーが付いていた。で、それはわかったけど、海岸・・砂地にあんな重くて高さがあって安定の悪いものをどうやって一人で立てたのか。絶対に無理だ。犯人はあまり自分のことは隠していない。当時マーシャル殺しの疑いをかけられたウェルズがまだグラフトンに住んでいて。訪ねると向こうでも待ちかまえていて。他の連中をなぜ殺したのかはあいまい。マーシャルを殺したのにうまく罪を逃れ、妙な自信持ったのか。味をしめて殺人をくり返したのか。墓から盗んだ方は、足りない材料を補うためか。ウェルズ役はランス・ヘンリクセン。もう疲れたと刑務所で余生を送るつもり。介護ホームへ入るほどの金はない。だったら刑務所の方がよく面倒見てくれそう・・と、荷造りまでして。う~ん、だからもう70過ぎてるようなじいちゃんには一人であんなことはできないんだってば!ウェルズはジョエルが実は自分の息子だったと聞かされて愕然とする。本来ならここで終わりのはずだが、この後も続く。そのせいで死体の塊の印象も薄くなってしまいましたとさ。

ハンニバル1の9 トゥルー・ノルマン2

長引いているのはアビゲイルの件。彼女は悪夢に悩まされている。犠牲になった少女達が彼女を責める。ニコラスも出てくる。性懲りもなくラウンズが訪ねてきて、告白本を書くよう勧める。アビゲイルは家が・・いわくつきの家だから安い値しか付かないが・・売れたので、少しはお金が入ると思っている。しかしラウンズによると、被害者達の遺族が訴訟を起こしているから、みんな没収されるとのこと。アビゲイルには今病院にある身のまわりのものしか残されていない。だからこそ本を出すのだ。よく、何か事件を起こした後で本を出したり写真集を出したりする人がいる。何で大人しくしていないのかな・・と思うけど、生活費に困るからなんだろうな。グレアムもレクターも本には反対だ。何を書こうと騒ぎが起き、アビゲイルの手には負えなくなる。ラウンズも信用できない。どうせ自分が有名になることしか考えていない。グレアムもアラーナもアビゲイルが共犯だとは思っていない。ニコラスの死体が見つかると、クロフォードはアビゲイルに見せて反応をうかがう。彼女は何とか耐えたが、そもそも死体が見つかるよう掘り出したのは彼女だった。いつ発見されるかとびくびくしてるよりはいい。しかし彼女の勝手な行動はレクターには迷惑。彼女には犯罪者特有の自信、大胆さがあるが、こっちまで巻き添えはごめんだ。それにしても彼女は何と多くのものを背負わされていることか。被害者に近づき、仲良くなり、情報を得るのは彼女の役目だった。こんなことしたくないけど、しなければ彼女が殺されてしまう。でもなぜまわりに助けを求めなかったのだろう。いやいややってるように見えて、案外スリルを楽しんでいたのかも。グレアムもとうとうアビゲイルがホッブスの共犯だったと気づく。レクターに相談するが、彼は自分は知っていたとあっさり認める。その上で自分とグレアムとでアビゲイルを守らなくてはいけない・・と、クギをさす。今回レクターはみんなに料理をふるまうが、ラウンズだけはベジタリアンということで野菜だけ。出てくる豪華な料理はいつもおいしそうには見えないが、この野菜サラダは繊細な盛りつけが美しい。人の生き血を吸って生きてるようなラウンズが、一人だけ人肉を食べずにすんでいるのは何とも皮肉。

1の10 ビュッフェ・フロワ

1の11 ロティ

1の12 ルルヴェ

1の13 サブルー