テキサス群盗団

テキサス群盗団

ザ・シネマでやってくれた。ここは前「手錠の男」もやってくれた。吹き替え版だったけど。NHKBSでやってくれると助かるんだけど。マカロニばっかじゃなくて。1966年と、そのマカロニがはやっていた頃かな。オーディ・マーフィは1971年に飛行機事故で亡くなったから、これは晩年の作品ということになるのかな。日本では未公開のようだ。ネットで調べると、どこが”群盗”なんだってのと、女優さんが美人揃いってのと、その二つかな、書かれてるのは。確かに盗賊団は出てこないし、女優さんは美人揃い。アメリカとメキシコの国境・・ジェス(マーフィ)はメキシコ側でとらえた殺人犯をアメリカ側の保安官に引き渡す。彼にはそんなことしなきゃならない義務はないんだけど。それどころか彼自身がお尋ね者。国境の川を渡ればとたんに・・。でも彼には戻る気なんかない。偶然兄ロイの死を知るまでは。駅馬車の待合所でロイはバンタを説得する。彼は新聞記者。バンタの証言があればルーク(ブロリック・クロフォード)を死刑にできる。でもバンタは断る。そんなことしたら命はない。法なんか何の役にも立たない。ロイの相手なんかせず、荷物も持たず、一目散に馬を飛ばしていれば、あるいはバンタは助かったかもしれない。でもぐずぐずしているうちにルークとその手下ギルが現われた。ルークは丸腰のロイを撃ち殺し、逃してやると見せかけてギルはバンタを背後から撃ち殺す。待合所の管理人には、相撃ちだったことにしろと言いつける。相撃ちったってロイが銃を持たない主義なのは広く知られているし、バンタは背中を撃たれている。誰も信じないと思うが。ジェスはメキシコへ来て一年になる。彼を陥れたのはルークだが、詳しいことは不明。ロイが訴え出ようとしたルークの悪事も不明。兄の死を知ったジェスはすぐリムロックへ戻る決意をする。黒髪で小麦色の肌をし、情熱的な瞳の美人が止めてもさっさと出かける。「楽しかった」の一言を残して・・。たぶん彼女は彼の面倒さんざん見て尽くしたのだろうに。国境を越え、酒場へ寄るが、早速男が馬を飛ばす。ジェスは馬を売ってくれと言われるが断る。ポーカーに入れと言われても断る。すぐ賞金稼ぎのミッチが現われる。彼は年寄りなので若いのを連れている。こいつがさっきの男?ジェスには500ドルの賞金がかけられていて、生死は問わない。

テキサス群盗団2

ミッチとは顔見知りで、彼は妻が病気なので金が欲しい。ジェスは若い方は撃ち殺すが、ミッチの方は足を撃つ。賞金稼ぎも、若い時や独身の時はいいけど、年寄りだったり家族がいたりすると・・。と言ってこういう人達は他に生活の手段を知らない。お金は入らないし、自分はケガするし、奥さんは病気・・何だかミッチが哀れで。さてジェスはメキシコへ行ってからは一度も銃を使っていなかった。でも体が動きを覚えていた。数日後、岩場で休憩している時に銃撃される。鞍も荷物も下ろしていたので、裸馬に乗って逃げる。馬商人は盛んに馬をほめたが、その言葉通り急な斜面を駆け下りる。敵をまいたジェスは、まず鞍を手に入れようとして、女性に泥棒だと思われ、銃を突きつけられる。彼女サンディ(ラス・マルクェス)は一人で農場をやっている。ジェスはちゃんとお金を置いており、誤解も解け、コーヒーを勧められるが、急いでいるからと断る。この時誘いに応じていれば、彼女がロイの婚約者だったとわかったのだが。町へ着いたジェスはホテルへ。本名を宿帳に書いたので、主人は困って他へ行くよう言うが断る。ホテルのオーナーはルークらしい。ルークに会うが、まだクライマックスではないので・・。そのうちフランクという男が声をかけてくる。彼はロイのところで働いていて、新聞社を継ぎたいと思っている。で、ジェスならルークに立ち向かってくれると期待するが、彼は断る。彼の目的はの復讐で、新聞社には興味ない。さて、ジェスの隣りには美しい女性が泊っている。ルークの娘かな?と思ったら違った。彼女キット(ダイアナ・ロリス)は、ルークの共同経営者の娘。亡くなった父の代わりにここへ来て、会社の経理を調べているの。ルークは権利を買い取り、ついでにキットも・・と思っているが、彼女の方はこんなジイサンまっぴらだ。それにホテルで会ったジェスが気になる。ジェスの方も彼女に興味持つ。あら、メキシコへ残してきたカノジョのことは早くも忘れた?ジェスはフランクから聞いた待合所へ行ってみる。すると管理人が殺され、ジェスも狙撃される。あとをつけられた?管理人が殺されたのは、ジェスに何かしゃべるとまずいと思われたからか。ジェスはここで金具のようなものを拾う

テキサス群盗団3

町へ戻った彼は、以前出会ったトンプソンに声をかけられる。彼は今では成功して羽振りがよく、ルークとはポーカー仲間らしい。一緒に酒場へ入ると、舞台ではカンカン踊り。踊り子の投げた靴下止め(たぶん)をジェスはキャッチするが、それを他に飛ばしてしまうのが何だかおかしい。彼は踊り子には興味ないのだ。トンプソンはポーカーをしに二階へ行き、イカサマに気づいたため殺されてしまう銃声がして、暴発だと言われて客みんな納得するが、ジェスは気になる。でもキットが降りてきて、送ってと言われ、うやむやに。二人して外へ出てキス。ルークがそれを見てしまう。その後新聞社へ忍び込むが、今更何が見つかるというわけでもない。ロイが書いた記事も結局は何のことだったのか不明。そのうち彼はサンディが兄の婚約者だったことを知る。たいていの映画では初対面で銃を突きつけたり、突然撃ってきた女性とラストで結ばれる。だから私もこのサンディと・・と思っていた。でも違った。今の彼女は男には興味なし。今月結婚するはずだった愛する人を失ったのだからそれも当然だ。それにしてもジェスはなぜロイの墓参りしないのだろう。保安官が出てこないのも不思議だ。もっともいたらジェスはつかまっちゃうけど。夜、ジェスはキットとイチャイチャしかけるが、窓から見えた光景が気になってやめる。見えなかったらそのまま一夜を?マーフィ映画にしては珍しいキャラ。でもさっと頭を切り替えて外へ。実はルークの手下達がトンプソンの死体を始末しようとしていたのだった。その後酒場で殴り合いになる。何とか切り抜けて、フランクにまた助力頼まれたのを断って・・。ここまで書いてきたことでもわかるが、彼は断ってばかりいる。ただし彼が断わるのにはそれなりの理由がある。昔彼は保安官だった。町の改革に努めたが、悪を一掃しても結局はまた同じ状態になった。ロイは法の力を信じ続けたが、彼は違う。何か変えたいのなら、まず町の人が始めないと。この映画では町の人の存在感は希薄。フランクの言うようにルークを追放したいとみんな思ってるんだろう。でも行動は起こさない。ジェスの目的は町の人達の目的と同じだが、協力して一緒にやろうとは思わない。彼は自分一人でやる。町の人のことも新聞社も自分には関係ない。

テキサス群盗団4

まあここらへんが他の映画のヒーローと違うところで、それは最後までぶれない。そこが私には印象的だった。さて、どこか物陰からジェスを、あるいはルークを撃ち殺せばすむことなのに、だらだらと対決は先延ばしにされる。ジェスのところへ見知らぬ女性が訪ねてくる。彼女はバンタの妻で、酒場で働いている。こりゃ何か新展開でも・・と期待するが、結局は町を出るよう言うだけ。脚本家は何か考えるのめんどくさかったとしか思えない。検を担当したという医師ミラーも出てこない。IMDbのキャストには名前載ってるから撮影したけどカットされたのか。すぐジェスがサンディを訪ね、手がかりがつかめないと嘆くシーンになるので、見ていてつながりの悪さを感じる。ここで例の金具がルークのものであることがサンディによってわかり、証拠が見つかった・・となる。今までグズグズしていたのは、いくらルークの仕業に違いないとわかっていても、証拠なしで殺すほどジェスは無法者ではないと・・そういうことなんだろう。ルークには昼までに立ち去れと言われたけど、もちろん出ていくわけがない。強風で砂が舞い、何となく薄暗くなって、西部劇なんだけど私は香港製カンフー映画の対決場面を連想した。クライマックスはあっけない。クロフォードは50代半ばだが、老けて見える。しかも太っている。銃の名手とうわけにはいかず、手下のギルにお任せ。自分はポーカー・・これじゃ盛り上がりませんて。クロフォードはテレビの「ハイウェイ・パトロール」で知られる。私はうっすら記憶がある。車のそば、無線機片手のダン隊長。四人の美女は・・ジーナ・ロロブリジーダ風味ラクエル・ウェルチ風味、クラウディア・カルディナーレ風味、ブリジット・バルドー風味、あるいはこれらのごちゃまぜ。とにかくよく揃えたね。さてルーク一味を倒し、目的を果たしたジェス。どう見たってキットとは相思相愛で、キットもそう思い込んでいるが、あっさり別れを告げる。まあこの町・・と言うか、アメリカにはいられない。お尋ね者であることは変わらない。まあどこまでもぶれませんな。画面は暗くなり、普通はここで終わりのはずだが、音楽だけがいつまでも流れる。エンドクレジットが・・出てこない。暗いまま。あたしゃテレビが故障したのかと心配しちゃいましたぜ。でも画面左上にはザ・シネマとあるし・・。変なの!