X-ファイル ザ・ムービー
WOWOWで見た。公開当時は雑誌等でかなり騒いでいたような。テレビシリーズの方はスティーヴ・レイルズバックの出ているのだけ見たけど、途中で彼は死んじゃって、後半は何じゃこりゃだった。映画はかなり大がかりでお金かかってる。35000年前原始人が宇宙人に乗っ取られて・・みたいなあららな出だし。現代に移って地面に穴ボコあいて子供が落っこちる。この少年はルーカス・ブラックらしい。助けに入った消防士も出てこない。そのうちヘリやら何やら大部隊が到着し、現場を隔離してしまう。一方モルダーとスカリーは爆破予告のあったビルの隣りのビルを調べている。結局こちらのビルが爆破され、モルダー達は責任を取らされそうになる。ドラマチックな展開にいちおうドキドキするものの、引っかかることがいっぱい。何で隣りのビル?少年や消防士の死体を隠滅するため?じゃあなぜそこに運び込んだの?どっか目立たないところで始末すればいいじゃん。何で医師のカーツウェル(マーティン・ランドー)がいろいろ知ってるの?遺伝子操作された蜂をなぜ飛ばすの?何でワクチンがあるの?何で舞台が南極に移るの?何で救出されたスカリーがちゃんとズボンはいてるの?こういう映画の常として何も解決しないまま終わるが、予想通りだ。すべてが明らかになるだのモルダーとスカリーが急接近だのそんな宣伝文句も信じない。何も期待せず何も信じないのはよくないことだけど、現実にウソだらけの宣伝聞かされまくっているのだ。いくらバカでも学習する。デヴィッド・ドゥカヴニーは目に表情がない。演技へたに見える。ただこの鈍そうな顔つきがモルダーの持ち味なんだろうけど。実年齢はドゥカヴニーの方が上だが、二人並ぶとジリアン・アンダーソンの方が年上に見える。アーミン・ミューラー=シュタールは何のために出てくるのかよくわからん。モルダー達の査問担当官がブライス・ダナー。普通は憎まれ役だが、彼女の人柄もあってそうはならない。相手を小馬鹿にしたり権力で威圧することもない。あくまで常識や規則にのっとって判断し、一時の感情(好印象・悪印象)に左右されない。大がかりな特撮より、彼女の抑えた演技の方がなぜか心に残った。全体的には「真実を求めて」の方が好みかな。それにしても何であんなに人気出たのかな。テレビシリーズ3話を見た限りでは構成や内容は???な出来だった。もちろんレイルズバックの熱演は別よ。
X-ファイル:真実を求めて
アメリカでも日本でもヒットしなかったようで。もう「X-ファイル」は過去のものなのか。もっとも私はテレビシリーズも映画一作目も見ていない。SFや超常現象には昔から興味持ってるけど、そういうのを扱った映画をまんべんなく見るってタイプじゃない。見るものは何度もくり返し見るけど、見ないものは全然見ない。今回は前売券買った。どうせヒットしないだろうから買っといて、ムリにでも見に行こう・・と。ダメそうな映画を応援したくなるいつものクセ。公開二週目平日午前、お客は九人。ストーリーは・・わかりにくいな。最初出てくる女性のことがまずわからん。手首に何かつけているから、病院(それも精神病院)から抜け出した患者かな・・と思ったわけ。ずーっとたってから彼女バナンは実はFBI捜査官で、彼女が失踪したためFBIが総力あげて捜しているんだってわかったけど、皆さん最初からわかりました?彼女の正体わからないし、何で人手かけて捜してるのかわからないしで、最初からつまずきっぱなし。作り手はドキドキさせたいんだろうけど、わからないことだらけではドキドキのしようがない。何にドキドキすべきなんだろう・・ってずーっと考えてた。しかも捜査のほとんどはジョー神父(ビリー・コノリー)の超能力頼み。スカリー(ジリアン・アンダーソン)は難病の少年患者クリスチャンのことで心を痛めている。何とか救う手だてはないものか。モルダー(デヴィッド・ドゥカヴニー)はお尋ね者らしいが、そこらへんの事情は私には全然わからない。行方不明でこれから捜すのかと思ったらスカリーと同居してるし、どこがお尋ね者なんだぁ~。ジョー神父がヴィジョンを見た・・と言ってきたせいで、モルダーにFBI復帰の声がかかる。神父の能力が本物なのかニセモノなのか捜査官達にはわからないから・・とか何とかてきとーな理由くっつけているが、天下のFBIならもっとちゃんと対応するだろうという気もする。ジョー路線の捜査と通常の捜査両方をやり、密に連絡を取り合うとか。ジョーにくっついてインチキだ・・なんてぶつくさ言ってるだけじゃFBIが無能に見えるし、映画もだれる。ジョーのヴィジョンは映像として見せられるわけではないので、観客にも彼が本物かどうかわからない。途中で別の女性が誘拐されたり、切断された複数人数分の人体パーツが見つかるなど、いちおう変化はあるけど、どうも見せ方が今いち。
X-ファイル:真実を求めて2
スカリーとモルダーの関係の見せ方も中途はんぱ。モルダーは何年も引きこもっているのか。生活費はスカリーに頼っているのか。少しは家事手伝うのか。昼間電話かかってきたら出るのか。お尋ね者なら出ないだろう。車で送り迎えとか買い物とかしてあげるのか。お尋ね者なら出歩かないだろう。モルダーはこの家にはいないことになっているのか。でもあんまり隠れているという感じじゃない。スカリーにだけ働かせ、自分は好きなこと(超常現象の研究)してる感じ。ノーテンキなやつだぜ、モルダーは。二人はものの考え方が反対らしい。それでいて結びつきは強い。事件とは別に二人のぐずぐずした関係が相当描かれる。古くからのファンはそういうの見て喜ぶんですか?私は喜べねえぞ。うんざりだぞ。さて、肝腎のバナン捜査官の行方はわからないものの、11体ぶんくらいの死体が見つかったところでちょっと期待を持たせる。これは連続殺人事件だ。これには臓器移植が絡んでいるのでは?スカリーの勤めている病院には、彼女のやり方に反対している神父(院長)もいる。あのクリスチャンはこの神父を怖がっている。こいつ怪しいんじゃないの?闇の臓器取引に関係しているんじゃないの?いろいろ疑わせるけど結局全然関係ありません。殺人の目的は全く別なものでしたとさ。クライマックスへ行く前にごたごたした描写がある。モルダーのトラウマとなっている妹サマンサの失踪。スカリーはジョー神父に「あきらめるな」と言われたのが気になる。このあきらめるな・・はサマンサの行方?それともクリスチャンのこと?ジョーには小児性愛の汚れた過去がある。そのせいでスカリーは彼を嫌っている。捜査への協力は罪滅ぼしのため。あるいはヴィジョンなどインチキで、実際は事件の共犯者なのでは・・と疑っている。FBIの考えもそう。とは言え彼女は迷っている。治療がうまくいくのかジョーに聞いてみたい。しかし訪ねて行ったものの、やはり嫌悪や疑いの方が先に立ってしまう。そのうちジョーは発作を起こし緊急入院。とにかく捜査する側がこういう重苦しいモヤモヤをかかえているので、事件の方がなかなかストレートに伝わってこない。つまり見ている我々は誘拐された女性達に何が起きているのかとか、何とか助かって欲しいとか、何かしら強烈な感情をいだかなくてはならないのに、どうもその気にならないのだ。
X-ファイル:真実を求めて3
スカリーとモルダーの心の葛藤に比重かけすぎ。さすがにクライマックスのあたりは、扱っている事柄がかなり強烈で気持ちの悪いものなのでハラハラしますけど。それにしてもモルダーの単独行動はむちゃだし、あの○○も不可能なんじゃないの?あの専門的な設備や人員どうやって揃えたの?臓器の闇取引で儲けたの?前々からくり返してたの?それにしても何で女性誘拐したの?女性になりたかったの?こりゃだめだ。考えれば考えるほどポロポロ出てくるぞ、ボロが・・。少年の手術に立ち会うスカリーの姿で感動的に終わらせようったってお客はついて来ませんぜ。せめて治療が成功し、少年は治りそうです・・って、甘くてもいいからそういう結末にしてよ。そうすりゃ一つは「解決した、よかった」ってなる。まあとにかくモルダーは期待はずれでした。元々ああいうキャラなんだろうけど。スカリー送り出す時の、迷いがあるなら手術取りやめればいい・・なんていうノーテンキなセリフにはがっくり。私は途中からモルダーをジェームズ・スペイダーがやっていたら・・なんて思いながら見ていた。燃え尽きたFBI捜査官・・ほらほら前やってたじゃん。今のスペイダーじゃ無理だから大急ぎで10キロほどやせてもらって・・(20キロかな)。一方ジリアンは非常に魅力的だと思う。色香がこぼれ落ちそうだ。訴えかけるような目、プリッとした唇・・いやほんと色っぽい。他に今回はお色気封印のアマンダ・ピート。ビリー・コノリーは「タイムライン」ではた迷惑な教授やってた。彼が見ているヴィジョンを観客にほとんど見せないのは「フレイルティー/妄執」と同じ手法。見せないからお客がジョーを信じるかどうかはコノリーの演技にかかってくる。かなり難しい役だが、うまく演じていたと思う。・・てなわけであんまり出来のいい映画ではないと思う。満を持して公開したけど、受け取る側には待ってました!という熱気がない。と言うか持てない。何で今更?って感じ。内容練り上げたらしいけど、緻密さはなくぐずぐずもたもたしてるだけ。作り手の思惑がすべて裏目に出ている。画面は雪や氷で寒々しいけど一番寒いのは見ている我々の心。何でこんなの見にきたんだろ・・。とは言え私は別に損をしたとも金返せとも思わず(作り直せとは思ったけど)帰りました。機会があればテレビシリーズや映画の一作目見てみたい。映画の三作目はなさそうだけどね。