フローズン・グラウンド
これは実話がベースになっているらしい。1983年のアンカレッジ。アラスカということでどことなく「インソムニア」風味。白と灰色の寒々しい世界、セスナ(たぶん)が飛び、若い女性が殺され、そして音楽まで似ている。手錠をはめられたシンディが警察に保護される。彼女の話でボブという男が浮かび上がるが、シンディは娼婦だし、妻子持ちのボブを疑う者はいない。いや、一人の警官が州警察に資料を送る。これはなかなか勇気のある行動で。ジャックはあと二週間で退職し、石油会社に転職するつもり。それなのに女性の死体が見つかり、ややこしい事件になりそうで。ここらへんは「セブン」風味。そのうち市警から資料が送られてきて、大量殺人の予感。ジャック役はニコラス・ケイジ、ボブ役はジョン・キューザック。「コン・エアー」での共演は印象的だったが、今回はキューザックが悪役。若い女性をレイプし、動物のように狩るという、人間の闇の部分を見せつけられるのはやり切れない。ケイジには「8MM」の時のようなムードが漂い、それはうれしかったけど。「8MM」同様妻と幼い子供がいる善良な人物。あっちと違い一線は越えず、最後まで正常さを保つ。私から見ると、犯人はともかく、シンディによくぶち切れずにいられたなあ・・と。たぶん見ている人のほとんどは彼女にいら立ちを覚えたと思う。たとえまだ未成年で、気の毒な生い立ちであるとしても、余計なことばかりして物事をぶち壊して回るアホ女。演じているヴァネッサ・アン・ハジェンズは何と「サンダーバード」のミンミンだ。ジャックの妻はラダ・ミッチェル、他にケヴィン・ダン。監督はスコット・ウォーカー・・うう、何という名前だ!実話ということで全体的に地味なムード。アクションシーンでもないのにカメラがゆらゆら揺れ、カットが短い。たぶんこうすればサスペンスムードが盛り上がると信じて多用しているのだろう。ボブの尋問シーンなど、ドキュメンタリーのようにも見える。感心したのは、シンディが犯人について「他にはないほど黒い彼の目」と言っていて、確かにキューザックの目は時々黒い穴に見えたこと。前科はないはずなのにあったとか、ジャックの転職理由とか、ボブの家庭とか省かれている部分は多い。途中で出てきたのはヘラジカかな。あれはどういう意味なんだろう。あと、腕輪。早く使えばいいのに・・とじれったかった。