オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主

オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主

先日東京へ行った時、古本屋でクーンツの「オッド・トーマスの何とか(忘れた)」という文庫本があって、これの原作かな?と思ったが、結局買わなかった。買っときゃよかったかな。スティーブン・ソマーズが監督など製作に関わっているらしい。どうりでわちゃわちゃと・・。生まれつき人には見えないものが見えてしまうオッド(アントン・イェルチン)。母親はそれを隠さなかったせいで施設送りに。自分はそうなりたくない。そう言いつつ署長(ウィレム・デフォー)に協力し、犯人逮捕に成果を上げている。軽快な音楽が流れ、オッドは自分のことをべらべらしゃべる。運命の人ストーミーとはベタベタだ。ボタッハという悪霊みたいなのがわさわさ出てくる。大惨事が起きるのを嗅ぎつけて集まってくるらしい。「ギャザリング」に似ているが、こっちはわさわさ動き回るだけで情緒もへったくれもなし。それにしても見ていてもどかしい。自分の能力に苦悩しているわけでもない。孤独を身にまとっているわけでもない。若いんだから軽くて甘くてあたりまえ。ストーミーも、おなかすいた、愛してる?危険が迫っていてもノーテンキ。能力を利用した捜査はどうか。キノコ男の家に不法侵入、指紋のこと考えずさわりまくる。深刻になりそうなことも軽くかたづけ、明るく楽しいでしょ?と、観客(若者)のご機嫌取り。それでいてラスト・・甘々のハッピーエンドと思わせておいて、一転悲劇に。さあ、泣け!同情して差し上げろ!これを見たのはイェルチン目当て。かわいい顔は子供の頃のままだけど、背も伸びたし(と言っても175センチだが)、肩幅も広いし、がっちりとたくましい。アーノルド・ヴォスルーが成仏できない幽霊の役でちょこっと。ソマーズ繋がりか。冒頭出てくる少女ペニーはソマーズの娘らしい。「ラブリーボーン」風味。警官ヴァーナーには見覚えがある。ニコ・トルトレッラ・・「ザ・フォロイング」のジェイコブだ!ヴァイオラ役は「無実はさいなむ」などのググ・ンバータ・ロー。全体的に見せすぎで、見る者の興味をかえってそいでいるような。想像の余地のなさは余韻のなさにも繋がる。原作のいらない部分をカットしてシンプルにしてあるのだろうが、抜け落ちている部分、繋がらない部分が多い。映画と言うよりテレビシリーズのパイロット版。それにしてもイェルチン・・彼で「ヒドゥン」のリメイクやって欲しいなあ。