ヴェノム 毒蛇男の恐怖

ヴェノム 毒蛇男の恐怖

「ブラッドウルフ」のアグネス・ブルックナーが出ているという前知識しかない。ルイジアナ・・クレオール・・ヴードゥー教。祈祷師のおばあさんのせいで、大勢の若者が死ぬはめに。おばあさんは、墓場に埋めておいたスーツケースを夜中に掘り出し、家へ戻る途中事故に。原因はエリック(ジョナサン・ジャクソン)が道に変なふうに車とめたせい。イーデン(ブルックナー)が町を出てニューヨークの大学へ行くと言い出したせいで、二人の仲はぎくしゃく。言い争っている時、レイ(リック・クレイマー)のトラックが来て、おばあさんの車も来て。エリックが車とめた時から、こうなるって見え見え。でも彼はイーデンを引き止めることしか頭になく・・それに夜中だし誰も通るもんかと・・。結果、おばあさんもレイも死亡。レイの方は、スーツケースの中にいた蛇に襲われたのだが、その後生き返る・・と言うか、死んでるんだけど動き回る。ハイチでは、祈祷師が蛇を使って罪を吸い出し、魂を浄化するらしい。罪と言っても人殺しやサディストから集めた罪。だから今のレイは、誰彼かまわず人をぶっ殺す殺人マシン。罪を吸い出すというのは、「悪霊喰」ぽい設定。たいていの映画なら、どんなに犠牲者が出ても、イーデンとエリックは助かる。ピンチを乗り越えたことで二人は仲直りし、二人してこの町をあとにするだろう。ところがそうならず、エリックは死んでしまう。もちろんそのことによってイーデンは奮起し、レイを倒すのだが、見ている方はどうにもやり切れない。レイが倒されても呪いはそのまま。だから蛇がニョロニョロ出てきて、たぶん次の人間に取り憑くのだろう。そんなありきたりの結末も気にならないほど、見ている者のテンションは下がり、再び上がることはない。チッ、後味の悪い映画だぜ!とは言えところどころいいシーンはある。顔に傷があり、まわりから恐れられているレイ。車の中で夕食を取る孤独なシーン。どうやら彼はショーンの父親らしいが、ショーンは彼を嫌っている。死んでせいせいしたと言い、酔ってレイの店を荒らすが、自分の子供時代の写真を見つけて、手が止まる。また、エリックがイーデンの身代わりになって死ぬところ。いずれも胸がちくんと痛む。ジャクソンは、「インソムニア」「ライディング・ザ・ブレット」同様、ここでも美形ぶりが目立つ。ホラーには美少女がつきものだが、美少年もそれ以上に必要なのですッ!!