VESPER/ヴェスパー
前知識はゼロ。SFなら暇つぶしになるかな・・と思ったのだが。遺伝子操作の失敗で、生態系が崩壊した近未来の地球。食用植物や動物は全滅。富裕層は城塞都市(シタデル)に住み、貧困層は飢えに苦しむ。遺伝子操作された種は一回しか実らない上、供給はシタデルが独占。値段を吊り上げる。13歳の少女ヴェスパー(ラフィエラ・チャップマン)は寝たきりの父親と暮らしている。母親は家出。合成生物学の知識があり、食料危機を脱しようと研究や実験を続けている。ある日森の中で見つけたのがカメリア(ロージー・マキューアン)。墜落した飛行艇に一緒に乗っていた父エリアスは権力者だから捜してくれれば何たらかんたら。しかしこれはウソで、実際はカメリアは人造生物。彼女を作ったエリアスと共に他のシタデルへ逃げる途中だった。そのうち彼女のDNAを使うと、種のロック(一回しか実らないこと)がはずれることがわかる。食糧危機も何とかなるかもと希望が生まれるが、このあたりで権力握っているヴェスパーの叔父ヨナス(エディ・マーサン)にとっては・・。彼は子供から血液を採り、シタデルへ売り、種を入手している。カメリアはシタデルには資源がなく、閉鎖的と言っていたが、安全で食糧危機もない代わりに退廃的な社会なのではないか。子供の血液を必要とするような、あまり健康的ではない社会なのでないか。普通の人間を使わず、人造生物を使っているのは、反乱起こされるのが怖いからではないか。多くのことは不明のままで、結局最後までシタデルは描写されない。シリーズ化するつもりらしいが、そこまでヒットしたとも思えないから、作られないのだろう。見ていても暗くてどよんとしていて気が滅入る。救いのないことばかり。ヴェスパーには次々に困難が降りかかる。父は死に、カメリアはヴェスパーを助けるため自ら投降する。チャップマンは目の間が広く、爬虫類的な顔つき。最初はずっと男の子だと思って見ていた。13歳の女の子だと・・生理とか始まってると思うけど、この世界じゃナプキンなどなさそうでどうするんだろうなどと余計なことを考えてしまう。あまりにも暗い内容なので見始めたことを後悔したが、いちおう最後までちゃんと見た。差別とかセクハラとかいろいろ暗示されているらしく、そういう点では深い内容なのだと思うが、おもしろいかと言えば・・おもしろくはないです。ただ、エンドクレジットで流れる曲はよかった。やるせない感じで・・。