呪いの家
舞台はコーンウォール半島周辺、波の音と不気味な物音、前兆として寒さ。ここでは幽霊の存在が信じられている。音楽評論家リック(レイ・ミランド)は妹パメラ(ルース・ハッセイ)と共にロンドンから休暇で来ている。犬のボビーがリスを追いかけて空き家らしい家に入り込んでしまった。中は広々としていてそんなに傷んでいない。パメラはすっかり気に入ってしまう。ロンドンからは遠く離れているが、リックは評論家なんかやめてここで作曲に専念すればいいのだ。ところで犬がリスを追いかけるシーンは・・よくとったな。犬はともかくリスなんてなかなか思い通りには動いてくれないだろうに。さて家の持ち主はビーチ司令官。最初彼は不在で、応対をしたのは孫のステラ(ゲイル・ラッセル)。彼女はあの家・・風の家は売りたくないようだが、帰ってきたビーチは売る気でいる。兄妹が出せるのは1200ポンド。1937年当時この金額が高いのか安いのかわからないが、現金ならばとビーチは承諾。五年前一度借り手がついたが、苦情が出るなどトラブったらしい。ともかく話はまとまり、二人は改めて家の中を見て回る。前に来た時、施錠されていた部屋も今は見ることができる。そこはアトリエにでも使われていたような部屋で、リックの仕事部屋にちょうどいい。でもなぜか冷え冷えとしていて湿気があり、気分が落ち込むような感じ。二人は気づかなかったけど、摘んだばかりの花がみるみるしおれてしまう。リックは三週間ここを留守にするが、その間にパメラは家具を運び込み、内装を整える。リックと一緒に、以前から雇っているらしいメイドのリジーも到着。彼女は猫のウィスキーを連れている。ボビーやウィスキーはなぜか二階へ行こうとしない。・・幽霊屋敷の話ということで、その気で見ているわけだが、ちっとも怖くない。今時のホラー映画ならいきなり大きな音がしたり、CGを駆使した映像ぱかぱか見せられるところだが、花がしおれるくらいで。リックがまた明るい(軽い)性格で、コメディータッチの描写も多い。年齢的にはかなり離れているけど、ステラと仲良くなるのか。
呪いの家2
夜になってリックは一階から泣くような声がするのに気づく。実はパメラもずっと気になっていたのだが、自分が変なのではと自信がなかったのだ。でもリックにも聞こえるということは現実なのだ。ビーチに説明求めるが、もう売ったのだから無関係とそっけない。ステラと会うなとも言うし。反対されたってステラは反抗するだけ。彼女は3歳の時に死別した母親メアリーを慕っている。だから風の家にも行ってみたい。三年前外国で亡くなった父メレディスは画家で、例のアトリエが仕事場だった。父は母の肖像画も描いた。それはビーチの家に飾ってある。ステラは他に外国人のモデルがいたように記憶しているが、その女性のことは誰も教えてくれない。彼女はある時衝動的に崖に向かって走り、危うく落ちるところだったが、そこがメアリーの死んだ場所。リジーはアトリエのドアに動く霧・・女の幽霊がこっちを見ていたと騒ぎ立てる。それで少しは怖くなった?いえ、全然。当時のお客には怖かったのかな?こういう隣家と離れた静かな(波の音はうるさいかもしれないが)屋敷は魅力的だが、その一方でどうも電気が来てないようで、ローソクやランプしかないようだ。電話もない。1937年ですぜ、電気くらい・・。当然のことながら、夜は暗い。暗さは怖さを増すけど、見えづらいために怖くないってのも確かにある。途中でビーチはホロウェイという女性に電話で助けを求める。いきなり現われる謎のキャラ。どうもステラやメアリーには何か秘密があって、ビーチはどうしても隠しておきたいようで。このホロウェイはその秘密をご存じで。ミステリーファンならここで全員思う。メアリーを崖から突き落としたのはステラなのでは?風の家ではパメラの提案で降霊会もやってたな。霊媒をどこで見つけるのかなと思っていたら、兄妹、ステラ、それに医師のスコットを加えた四人でやってたな。いわゆるコックリさん。スコットはビーチやステラの主治医。幽霊がいやで家出した(←?)ボビーは彼の家にいるらしい。また、幽霊は二人いるなんてことになってる。その後ステラはホロウェイの経営する療養所に入れられてしまう。ホロウェイは以前メアリー付きの看護師をしていた。施設の名前がメアリー・メレディス療養所ということでもわかるが、メアリーを熱烈に崇拝しているようだ。
呪いの家3
閉じ込められたようになっていたステラは一転帰ってよろしいとなって喜ぶ。行き先はもちろん風の家だ。彼女を連れ戻しに来たリック達は入れ違いになってしまう。ステラは再び崖から落ちそうになるが、駆けつけたリック達が助ける。それにしてもなぜメアリーの霊は娘を殺そうとするのだろう。でも見ている我々にはステラは彼女の娘ではないのがわかっている。ホロウェイはウソ八百を並べたけど、スコットの前任者ラッドが記録を残していた。メレディスはスペイン人のモデル、カーメルと深い仲に。ある時夫妻はカーメルを連れてパリへ。戻ってきた時には赤ん坊を連れていた。つまりステラはカーメルの娘。その後カーメルが来てメアリーを崖から突き落としたことになってるけど、つまり彼女はとんでもない悪女とされているけど、実際はメアリーがカーメルを突き落とそうとして誤って崖から落ちて死んだのだ。その後カーメルは肺炎に。ホロウェイは自分が看護したと言っていたけど、実際は窓を開け、床には雪をまき、カーメルを死に追いやったのだった。表向きはメアリーは夫の浮気にもじっと耐えるけなげな女性に思われていたけど、実際は違う。嫉妬に狂ってカーメルを殺そうとし、今だって悪霊となってステラを殺そうとしている。しかしホロウェイは女性の鑑というイメージを壊したくない。「レベッカ」のデンヴァース夫人を思い出す。彼女はステラも嫌っている。だから風の家へ戻し、殺されるよう仕向ける。ビーチはどうなのかな。血のつながりはないけど、彼なりにステラを愛しているとは思う。メアリーに似るよう育てたかったというのは彼のわがままだけどね。その彼は発作を起こして死んでしまう。クソジジイに見えたけど何だか気の毒。結局カーメルの霊は自分が母親だとステラが気づいてくれたので昇天。メアリーの方はリックが偽善者だと言い立てて退散させる。「ヘルハウス」みたいだけど、こちらはずっと簡単でした。というわけでリックはステラと、パメラはスコットとカップルになってハッピーエンド。最後まで怖くなかったけど、まあ別にいいです。あの後風の家はどうするのかニャ?