セブン・イヤーズ・イン・チベット

セブン・イヤーズ・イン・チベット

以前原作を本屋で見かけた気がするが、入手しとけばよかったな。1939年、オーストリアの登山家ハインリヒ(ブラッド・ピット)はドイツ人ペーター(デヴィッド・シューリス)を隊長とするチームに加わりナンガ・パルバットを目指す。身重の妻イングリッドを置いて。結局登頂には失敗。ところが戦争が始まったため英国軍につかまり、収容所へ。そこを脱走し、ペーターと二人でたどり着いたのがチベットのラサ。外国人は受け入れていないが、何とかもぐり込み、そのうちペーターの方はベマという女性と結婚する。彼女を見た時の二人のデレデレぶりがすごい。美人だし頭もいいし英語も話せる。ハインリヒの方がハンサムだし(ブラピだし!)彼を選ぶかと思ったら・・。ハインリヒは妻からは離婚請求されるし、息子ロルフに手紙を書いても拒否されるしで気の毒だが、まあそれもこれも身勝手な性格が招いたことで。ある日ダライ・ラマの母親から手紙が来る。ダライ・ラマが興味を持ち、会いたがっているらしい。会ってみると好奇心でいっぱいの無邪気な少年。彼と交遊するうちにハインリヒはだんだん変わってくる。チベットの雄大で美しい自然、信仰に篤く素朴な人々。ダライ・ラマの方がずっと年下なのに、彼の方がセラピストかカウンセラーに見えてくる。戦争はそのうち終結するが、中国の手が伸びてきて、人々の平穏な暮らしをおびやかし始める。独立を貫こうにも軍事力は雲泥の差。ものの考え方も全然違う。ここらあたりから見ているのがつらくなってくる。ペーターは残るがハインリヒはオーストリアへ帰国。拒否を承知でロルフに会いにいく。ロルフの本心がどうであれ、無理に会おうとすれば反発を招くだけ。だからお土産のオルゴールを置いて部屋を出、ロルフが出てくるのをドアのカゲからそっと見るだけで満足する。今の彼には相手の心を思いやることができる。数年後には父子で登山するくらい距離も縮まる。よかったね。ダライ・ラマは1959年に亡命。今の世界情勢見ると・・広大な領土持ちながらもっともっとと拡大したくなるようで。人間の欲望にはりがないのだとつくづく思わされる。少年であるダライ・ラマが中国将校に語りかける言葉が印象的だ。将校には全く通じていなかったけど、地獄のような戦いを経てやっと生き延びてきた彼らには別の世界の言語に思えたとしても無理はない。も自分達がされて苦しめられたことを、何で今度は他の国の人達にするのかね。