リトル・ジョー
これはずいぶん変わった映画だ。最後はどうなるのかなと思いながら見ていたが、一番何もない結末でしたな。これを見たのはベン・ウィショーが出ているから。アリスはアイヴァンと別れ、息子のジョーと二人暮らし。プラントハウス社のバイオ技術部門で新種の植物の開発をしている。香りを嗅ぐとハッピーな気分になれる花、リトル・ジョー。これは受粉しても子孫を残せないようにしてある。しかし子孫を残すのはすべての生物にとって一番大事なこと。リトル・ジョーは花粉を吸いこんだ者を変えてしまう。リトル・ジョーのことしか考えられなくする。どことなく「盗まれた街」風味。映像はきれいで、研究施設はクリーン、アリス役エミリー・ビーチャムは色が白く人形のよう。彼女は時々老女と話す。母親かなと思ったら精神科医か何からしい。アリスはジョーが変わってしまったことや、仕事のことを話す。医者から見ればアリスは仕事中毒で、ネグレストの傾向がある。子供の世話から解放され、仕事に専念したいのだ。植物が意志を持ち、自分達の繁殖のために人間を操っているなんて信じられるわけがない。アリスの同僚ベラは精神に問題があり、警告を発してもまわりに信じてもらえない。消される運命にあるが、結局どうなったのだろう。見ていてアレレと思うことはある。新種の植物を同じ場所で育てるか?まざったらどうする?勝手に何とかウイルスを使ったり、リトル・ジョーを家に持ち帰ったり規則がゆるすぎないか?ベラは我が子同様にかわいがっていた犬を、変わってしまったからと殺処分にするが、その際獣医には老年性認知症だと言われたらしい。てことは感染してハッピーになってる人間も認知症になりかけているってこと?ま、映画はアリスもハッピーになって終わっちゃいますけど。ベラがケリー・フォックス、医者がリンゼイ・ダンカン。音楽が変わっていて雅楽みたい。ちぐはぐな感じがして気にさわる人もいるだろうな。感染してもさほど大きく性格が変わるわけではないので、見ていても怖さは今いち。こういう静かなムードは嫌いじゃないけど。