ペンブルックシャー・マーダー 21年目の真実

ペンブルックシャー・マーダー 21年目の真実2020

1迷宮の扉

この手のものは常にやっているので、たいていはやり過ごすことにしている。最近は北欧製のが多いな。今回見たのは主演がルーク・エヴァンスだから。「ドラキュラ・ゼロ」の人だよな。ハンサムだしな。まああの時よりも顔とか丸味が感じられるな。これ以上丸くなるとたるみとか膨張になるから気をつけてね。途中で気がついたけどこれって2006年から2011年にかけての実話が元になっていて、原作もあるらしい。あたしゃてっきり新しいシリーズの念入りなパイロット版だと・・。全3話になってるけど、評判よければ次も作るんだと。エヴァンスは渋くてステキだしね。でも違いましたわ。スティーヴ(エヴァンス)は警視だけど、詳しいことは不明。妻のフランとは別れたのか。ジャックとエイミーという二人の子供がいて、ジャックは時々泊まりにきたりする。別れた原因はスティーヴの仕事中毒のせいか。ロンドンにいたとか、ここへ戻って間もないらしいとか断片的なことしかわからない。過去に何かありそうな気がするのも、シリーズ化するためかと思った一因。彼はペンブルックシャーで起きた未解決事件を見直したい。遊歩道でディクソン夫妻が殺され、妻の方は暴行され。当時捜査を担当していたジョーンズはもう退職しているが、話を聞きに行く。指輪を売ったクーパーが容疑者だったが、巡査を丸め込んで事件をうやむやに。そのクーパーは複数の強盗で服役中。そのうち仮釈放で出てくるだろう。遊歩道の件と手口が似ている、兄妹が殺され、妹は暴行され、家が焼かれた未解決事件もクーパーの仕業ではないか。他にも当時エラが担当した若者五人の事件も。被害者や遺族のためにも何とかクーパーが犯人だという証拠を見つけたい。スティーヴはオタワ作戦と名づけ、メンバーを集める。再捜査していることは口外しないよう口止めする。クーパーにもマスコミにも知られたくない。ヒルというポーターがドキュメンタリーを作りたいと言ってくるが、スティーヴは事情を明かし、延期を頼む。その代わり解決した時は独占取材を約束。ヒルには後で他にも協力を頼む。テレビに出て情報提供を呼びかける。その番組はクーパーも見ている。揺さぶりをかけるのだ。情報の提供があったかどうかは不明。足の悪いアンドリューという男が出てくるが、彼はクーパーの息子。本名はエイドリアンだが、アンドリューと名乗っている。

2見えない出口

いつものことだが、うつされる通りに感想書くと、あっちへ飛びこっちへ飛びでわけわからなくなるので、ある程度まとめて書く。アンドリューは線路脇に倒れているところを見つかるが、痛み止めの飲みすぎで、自殺ではないと言ってるようだ。クーパーは昔テレビ番組の賞金で妻や兄弟、その家族をスペイン旅行へ連れていったが、なぜかアンドリューは置いていく。家には自分と妻の写真は飾ってあるが、息子のはなし。旅行から帰ってみると、息子は人が変わっていたとクーパーは話す。何も知らないで見ているので、もしかしたら一連の事件の真犯人はアンドリューなのでは?と思ったり。でもスティーヴの信念はゆるがない。フィクションならあっと驚くどんでん返しもありだが、実話がベースとなるとそうもいかない。従って犯人は最初から決まっていて、あとはどうやって証拠を見つけるかだ。妻のパットは毎週面会に行っている。彼女はいつもおびえていて、警察には協力しない。もしクーパーに不利なこと知ってるのならそれを言って、彼が一生出てこられないようにすることもできる。何も言わないってことは何も知らないってことかね。長く会っていなかったアンドリューと再会するが、母があやまってくれるかもという期待ははずされた。体が不自由になったのは子供の頃のクーパーの虐待のせい。よくわからないが、ちゃんとした治療も受けさせてくれなかったせいで、大人になってから悪化したのか。母親は虐待を知っていてスペイン旅行へ行った。アンドリューの性格が変わるのももっともだ。今もまだ母親はクーパーに操られている。一方スティーヴ達は厖大な資料を一つ一つチェックする。モースやコロンボみたいな直感も、NCISやCSIみたいなコンピューターでの一瞬の一致もない。とにかく地道に。それぞれにアルファベットと数字を組み合わせたものがふってあり、まるでパズルだ。もちろん犯罪分析研究所科学的な分析も頼んであるが、何から何までというわけにはいかない。お金がかかるし、向こうも忙しい。ちょっと惜しいのは、時間の経過がわかりにくいこと。2006年から2011年ということは、捜査と裁判で最終的に有罪を勝ち取るまでに五年かかっと言うことか。その間ずっとこの件に専念していたのか。他の事件だって起きるだろうに。

3審判のとき

とうとう仮釈放で出てきたクーパー。ところがパットが急死。出てきたとたんに殺人か・・と、見ている者は思うが・・パットはおびえていたし・・検視の結果は自然死。心不全。アンドリューは母親に会った時、新聞の切り抜き・・葬儀会社の広告・・に気がついた。説明はされないが、彼女は心臓が悪かったのだろう。それでいてタバコ吸っていたけど。この頃にはカーキ色の短パンがカギということになっている。事件後の押収品の中にそれらしきものがあったが、写真を見ると色が違うし丈も短い。でも色が違うのは撮影時のフラッシュのせいだし、丈が短いのはお針子やってるパットが直したのではないか。実物を確認すると色はカーキ色。でも女物だ。しかし・・研究所で調べてもらったら被害者夫婦のうちの夫の血液が採取できた。スティーヴ達の執念が実った瞬間だ。ショットガンで殺害した時、血だらけになったクーパーは着替えはないかとリュックをあさり、妻の短パンを見つけてはいたのだ。これでクーパーを訴追できる。彼の車のトランクには地図やロープなどがあった。次の犯行に取りかかろうとしていたに違いない。裁判ではアンドリューや、性被害にあった女性二人も証言。ただ彼女達は犯人の顔を見ておらず、弁護士もそこを突いてくる。若者五人のうち、男性二人は出てこない。当時の警察の対応に不満を持ったかららしい。レイプされたエリンは結婚し子供もいるが、夫には何も話していない。最初は証言を拒否するが、事件のせいで精神的にまいっていたカレンが死んだため、意を決して証言台に立つ。いざとなれば女性の方が勇気があるのだ。しかしエリンもレアンも裁判ではつらい思いをする。これで敗訴だったら神も仏もないところだが、結局クーパーはすべての件で有罪となる。ポアロやマープル、シドニーの時代だったら絞首刑だが、終身刑。スティーヴは、もし無罪だったら辞職するつもりでいたようだ。でもそうならなくてすんだ。約束通りヒルの独占取材を受ける。仕事のせいで自分との約束をすっぽかすことが多い父親に、時には腹を立てることもあったジャックも、父親を見直し、自分も警察官に・・なんて言い出した。アンドリューも何とか過去の呪縛から逃れられそうでよかったね。母親を恨んだこともあったけど考えてみりゃ相手は殺人鬼。何もできなくても仕方ないよね。てなわけでじみ~な番組だったけど、こういうのもいいんじゃない?