リトル・シングス
時代設定は1990年なので、スマホ、ケータイ等は出てこない。夜、車を運転していてあとをつけられ、殺されそうになるが運よく助かったティナ。運悪く助からなかった女性達の記事が新聞に。ディーコンは証拠品の受け取りでLA郡保安局へ。五年前までここにいたから、顔見知りばかり。彼の後釜として来たバクスターはまだ若く、見るからにエリート風。ここ二ヶ月で四人も殺されたけど手がかりはなく、そのせいかバクスターはディーコンを現場へ誘う。伝説的な人物に興味もある。今度の被害者はジュリーという女性。・・この映画の売りはデンゼル・ワシントン、ラミ・マレック、ジャレッド・レトという三人のオスカー俳優が出ていること。そのわりに日本では劇場未公開。でも、いくら名優揃えてもすぐれた映画になるとは限らないんだよな。見ていてもディーコンのキャラが今いちあいまい。ワシントンならもっとストレートでガシガシ押しまくるキャラのはずだが。年齢のせいか肌につやがなく、表情がさえない。どことなくモーガン・フリーマンに似てきた。おまけに腹や腰のまわりに贅肉ついてるのがわかる。役作りでそうなったのかもしれないが。ディーコンは腕利きだったけど、そのわりには昇進もせず、五年前に退職、離婚、心臓手術と大きな出来事が三つも重なった。今はカーン郡の巡査。すぐ戻るはずがなぜかとどまって、捜査に首を突っ込む。見ている方は五年前に起き、未解決のままの事件、手口からして同一犯人、今度こそ・・と思っているのだと予想する。当時の同僚の態度は様々。冷たいファリス、変わらず接してくれるサル。一番引っかかるのは検視担当フロの態度。今度はかばえないとか妙なこと言ってる。新しく来たバクスターは何も知らないから、今度の事件を解決しようと意気込み、ディーコンが何かヒントくれるのではと期待している。老けが目立つワシントンに対し、マレックは小柄で細くて色が白く、とんがった顔つき。40近いけどとてもそんなふうには見えず、うぶなお坊ちゃま風。バクスターは優秀で、家に帰れば美しい妻と二人のかわいい子供がいる。家はプール付きの豪邸だ。マレックはどちらかと言うと脇役が多いが、「ボヘミアン・ラプソディー」のおかげでその他大勢という状態からは抜け出せた。でも私の中ではまだこんな大きな役やって大丈夫なの?みたいなところはある。
リトル・シングス2
危なっかしいと言うか、ひ弱と言うか、ムリしてると言うか。口をとんがらせ、すかしたような目つきをし・・。今回のワシントンはいつもの俺についてこい!って感じじゃないし、二人して何やってんの?って感じ。ちぐはぐ感が漂う。まあ二回目見た時は慣れたせいか何も感じなかったけど。捜査の方はやはりディーコンは目のつけどころが違っていて。ジュリーの部屋の冷蔵庫が故障していた→修理を頼んだと思われる電気店の従業員リストとなって、出てくるのがレト扮するアルバート。レトを見るのはホント久しぶり。出てきたとたん・・ロン毛にヒゲに鋭い目つき・・それも狂気を宿した・・となって、ああもうこれで決まり。チャールズ・マンソンみたいなんだもん。私はマレックの方が犯人役と思っていたから、刑事役なのが意外で。その頃、ロンダという女性が夜ジョギングをしていて行方不明になり、新しい犠牲者か・・となる。性犯罪の過去があるスタンが聴取受けるけど、途中でディーコンがメアリー・ロバーツという名前を出す。バクスターには何のことかわからない。後で五年前の三人の犠牲者のうちの一人とわかるが、なぜディーコンが名前を出したのかは不明。ほどなくスタンは自殺するけど、今回の事件の犯人ではなさそう。冒頭出てきたティナは証人として来ていて、連行されてきたアルバートを偶然見てしまう。見ている我々は彼女の身を心配するけど、話はそっちへ行かない。取り調べでもアルバートはゆうゆうとしていて、抜け目がない。限りなく犯人に思えるけど決め手がない。ティナは顔写真の中からアルバートを選ぶけど、事前に手錠をかけられた彼を見ていて、先入観を持ってしまったというので、だめになる。ここはちょっとびっくり。そこまで厳しいんだ。あと、ディーコンが元妻マーシャの前に現われたりする。彼女はすでに再婚している。仕事にのめり込むディーコンについていけなくなって離婚したのだろう。娘二人はすでに成人したが、ディーコンは会ってもいない。五年前の事件のせいで、彼はすべてを失ってしまったのだ。その事件のことを彼はバクスターに話す。被害者三人は娼婦で、うち二人は一緒に、もう一人は離れた場所で見つかった。
リトル・シングス3
その三人目がメアリー。バクスターはディーコンと一緒に行動することを上司に警告されるが、聞き流す。事件はFBIが引き継ぐことになっていて、何とかその前に解決したいというあせりもある。アルバートには前科があった。殺人を自白したが、アリバイがあることがわかって釈放された。彼は犯罪マニアで、警察をおちょくって楽しんでいるのだ。彼の部屋を探ってみると、警察無線が入るし、床下に新聞の切り抜き記事などが隠してあった。彼が一般人より事件に通じていたのは、無線を聞いていたからか。ここではバクスターがアルバートをウソの電話で呼び出し、いないスキにディーコンが侵入していたが、なぜバクスターはアルバートと会って時間を稼がなかったのだろう。表でアルバートが帰ってきたら知らせるって・・それじゃあいくらも時間稼げない。この頃にはアルバートは犯人には思えなくなってくる。ディーコンもバクスターも怪しく思えてくる。特にバクスターは夜、頭を抱えている(あるいは祈っている?)ところを妻に目撃されたりする。もしかしたら彼こそが異常な殺人鬼で、その一方で苦悩抱えているのでは・・と思わされる。結局は違ったけど、マレックならそれもありそうでしょ?人前では自信ありげにふるまっていても、実際は自信を失いそうになって悩んでいるってことなんだろう。とにかく尻尾をつかまなければと、バクスターとディーコンはアルバートを尾行。彼の方は仕事が終わるとストリップバーへ。いい気なものだ。尾行の途中、ディーコンがコンビニへ行き、バクスター一人の時アルバートが声をかけてくる。ロンダの死体を埋めた場所を教える。ああ、そんな甘い言葉で誘われたからって何で一人で行くかなあ。罠って見え見えでしょうに。ここらへんは「失踪」みたいだ。バクスターがスコップでそこらじゅうを掘らされるに至っては、???だ。たいていの映画ならこの穴はバクスターの墓穴となる。だから私は本気でバクスターを心配していた。昔から美人薄命というからな。いやホント色が白くて目のあたりとかポッとピンクで・・。てなわけでドキドキしていたのだが、その穴もいくつもいくつもとなると、心配を通り越してアホらしくなってくる。
リトル・シングス4
確かここに埋めたんだけどなあ、違ったかな、じゃあここかも・・っておちょくられてるに決まってるじゃないか!それにアンタは拳銃持ってるんだからアルバートを脅して自分で掘らせるべきでしょうが。何でアンタが汗水垂らしてフラフラになって掘り続けるのよ!それにしてもアルバートもばかだね。ほどほどにしておけばいいのに、調子に乗って楽しみすぎた。キレたバクスターはアルバートをスコップで殴り倒し・・そんなに強くやったつもりもないのに即死しちゃった。そこへやっとディーコンが追いつく。どうするのかなと思っていたら、ディーコンは死体を埋めるよう指示。自分はアルバートの部屋へ行き、荷物をゴミ袋に詰め・・それも埋めるのかな、穴いっぱい掘ってあるし・・と思ったら自分の車に積んで、そのまま持ち帰り、自宅前で燃やしていたな。バクスターにはこの件は隠し通すよう忠告する。アルバートは結局シロだったと報告すること。事件はFBIが引き継ぐから、もうこれ以上彼はこの件にはタッチしないこと。バクスターが隠し通せるかどうかは不明。こういうエリートタイプは精神的に弱いからな。ディーコンはわざわざロンダの髪留めをバクスターに送ったりする。犯人はアルバート、それで決まりってことなのか。もっともこの髪留めはロンダのものではなく、そこらの店で買ったものなのだが。実は五年前、ディーコンは誤ってメアリーを撃ち殺してしまった。でもフロ達の協力で、メアリーも被害者の一人とミスを隠蔽。そのことに対し、犯人は何も言ってこなかったようで。でもそうなるとなぜスタンの聴取でメアリーの名前を出したのかわからないんだけど。メアリーというのは、よっぽどのことがない限り避けて通りたい名前のはずでしょ?そりゃスタンがこの名前に反応すれば、五年前の事件の犯人だ・・となるけど。今回は自分と同じミスをしでかしたバクスターを、ディーコンがかばってやったということになる。とは言えバクスターはディーコンのミスを知らないのだ。同じ秘密を持つ者どうし・・とはならない。結局犯人は不明のまま。ロンダの死体も見つからないという、物足りない結末。まあ私はマレックが生き残ってくれたので文句はありませんけど。サル役クリス・バウアーはどこかで聞いたような名前。「フェイス/オフ」や「8MM」に出ていた人だな。