ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館

ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館

この映画はわりと評判がよく、前から見たいと思っていた。原作も・・私としては珍しく古本ではなく新刊を買って読んだほど。読んでからだいぶたってるから詳しい内容は忘れたけど、設定は少し変えてあるようだ。映画では出産時に妻をなくし、息子ジョセフは4歳。アーサーは法律事務所で働いているが、あまり成績はよくない。今度の仕事の出来いかんではクビになるかも。何かの滞納通知書もいっぱい来てるし、要するにせっぱつまってる。親とか助けてくれる人はいないのか。奥さんをなくしたショックからいまだに立ち直れず、青白い顔をして生気がない。マーシュという老女が死んで、その後の整理をしなけりゃならないとはるばる出かけて行くが、担当のジェロームはそっけない。予約したはずの宿も泊めてくれない。やっと屋根裏部屋に入れたものの・・。とにかくみんな非協力的で冷たい。早く帰れとそればっか。でもアーサーは帰るわけにはいかないのだ。ジョセフのためにも仕事を失うわけにはいかないのだ。ここらへんは独身の原作の主人公とは違う。最初のうちはよくわからないが、黒衣の女性の幽霊を見ると、まわりで人が・・子供が死ぬ。この村では子供をなくした親が非常に多い。アーサーに親切にしてくれるサムも、やはり息子をなくしている。しかし彼は幽霊など信じていない。まあいろいろあるわけだが、全体的には「アザーズ」風味。内容と言うよりムードがね。直接関係ない者にまで復讐し続けるという理不尽さは「デッド・サイレンス」風味。人形とかいろいろ出てくるところも。大きくて荒廃した屋敷もいい味出してる。窓、揺り椅子、鏡、ドア・・小道具にはこと欠かない。さて私は「ハリポタ」には全く興味なしな人なので、ダニエル・ラドクリフ君は初見。まだ若いし小柄だけど、こういう沈んだ感じが合ってる。古風と言うか端正と言うか。一人芝居が多いけど、ちゃんと間が持ってる。雇い主役は「新米刑事モース」のロジャー・アラムか。サムがキアラン・ハインズ、その妻エリザベスがジャネット・マクティア。知ってる人はそれくらいか。この映画が成功したとすればそれはラストシーンのおかげだ。原作とは違っていて、こちらは悲しくも美しい。悲劇的だけど、ある意味ハッピーエンドでもある。最後に黒衣の女がうつるけど、彼女なりの恩返しってことなのかな?