主任警部モース31 死は我が隣人
正直言って「主任警部モース」を見る機会はないだろうと思っていた。4月からケーブルテレビでAXNが入るようになって、「ハンニバル」を見られるぞ!と喜んだのだが・・どうやら2局あるようで、見ることができるのはAXNミステリーの方。何だよ~両方入ってくれたっていいじゃんよ~・・とは言え、英国ミステリーを多くやっているようなので、こっちの方がいいかも・・と、前向きに考える。これを見てびっくりしたのは、ラストの音楽。「新米刑事」と同じだ!と言うか、「新米刑事」で「主任警部」の音楽使っているってことなんだけど。やっぱりねえ・・印象的ないい音楽だもんねえ。サントラ買おうかしら・・でもテーマ曲以外は全部クラシックみたいだからやめとこ。原作は古本屋でもあまり見かけないから、まだあまり揃っていない。でも「死はわが隣人」は持ってる。登場人物が削られているのはいいとして、掘り下げもやや浅め。なぜそんなことをしたのかとか、あの後どうなったのかとか、省略されてること多し。・・ブロクサム通りには似たような家が並ぶ。朝・・牛乳配達の車が回ってくる。ガウン姿でビンを取り込む色っぽい女。それを見る、車で出勤する男。その男を見る別の女。色っぽい女はレイチェルと言って、独身の理学療法士。窓越しに銃で撃たれて死ぬ。取材に来たのが先ほど車に乗っていたジェフリー。彼は「オックスフォード・メール」の記者で、レイチェルとは隣りどうし。ポニーテールで女にもてそうで、モースの嫌いなタイプだ。ジェフリーはさっき彼を見ていた女性・・セシルから事件を聞いて駆けつけた。セシルの方はモース好み。知的で、音楽の好みも合いそう。彼女によるとレイチェルは男運が悪く、既婚者だったりゲイだったり。今はロンズデール・カレッジの教授ストーズと不倫中。二人を引き合わせたのはセシルだが、今では後悔している。カレッジでは学寮長ブルームが引退するというので、ストーズとコーンフォードが後継者に名乗りを上げている。あらッ、コーンフォード役は「新米刑事」でサーズデイ警部補やってるロジャー・アラムだわ。今よりひとまわり細くて、それでも太めだけど、毎朝ランニングしてる。今のアラムは走るの無理でしょう。10メートルくらいでもう足がもつれそう。シワもないしたるみもないし、この頃の彼はダーク・ボガード(の若い頃)に似ていたのね。
死は我が隣人2
コーンフォードは教え子のシェリーと結婚して幸せいっぱい。う~ん、でもこういうラブラブのアラムは見たくないかも。学寮長になるぞ・・と意欲満々だが、シェリーはとまどい気味。今のままで十分幸せなのに。選挙を利用してあることを企んでいるのがブルーム。元々引退する気なんてないのではないか。ストーズはレイチェルと浮気していたけど、妻のアンジェラもブルームと浮気。ブルームは、今のままではコーンフォードは学寮長になれない、自分が後押ししなければ勝ち目はない、そのためには自分になびけ・・とシェリーに言い寄る。こんな腐りかけたジジイの言いなりになるなんてとんでもないと思いつつも、夫のためならといやいや承知するが、ことがすむとブルームの態度は豹変。自分の妻(三年前に死亡)に手を出したコーンフォードに仕返ししてやったなどとぬかす。だまされたことにショックを受けたシェリーだが、それ以上にショックだったのが夫の過去。コーンフォードはセシルと関係があったけど、それは許している。自分よりうんと年上なのだから、過去に女性がいたって不思議じゃない。でもブルームの妻とのことは初耳。夫のせいで自分はひどい目に会った。それだけじゃない、告白を聞いた夫は怒って彼女をなじった。直後にシェリーは階段を踏みはずし、転げ落ちて死んでしまう。今更後悔したって遅いのだよコーンフォード君。原作ではシェリーは絶望して自殺する。コーンフォードがブルームの妻と・・というのも、セシルと・・というのもなし。アンジェラの過去も違う。こちらのアンジェラには前夫ケネスとの間にできたダイアンという娘がいる。二人はケネスを殺したが、不起訴になる。そのことでジェフリーにゆすられ、このままでは選挙に影響するというので彼を殺すことに。ところが、間違ってレイチェルを殺してしまう。彼女が夫の浮気相手だったというのは偶然。その後アンジェラはジェフリーを殺す。原作ではケネスもダイアンもなし。売春婦だった過去を知られてゆすられ、始末を決意したことになってる。それはいいけど、なぜケネスを殺したか説明あったっけ?原作ではモースが糖尿病で数日入院するが、それもなし。モースが仲良くなるのはセシルではなく、看護をしてくれたシスター・マックイーン。ラストではいい仲になるが、シスターなのにいいんですか?
死は我が隣人3
ストーズがガンで、あと一年持つかどうかというのもなし。原作だとそれを知っているけど、それでも学寮長になりたいと思っていて気の毒。こっちはたぶん健康。でも妻は逮捕されちゃったし、自分もダイアンもアリバイ作りに協力したし、選挙は無理。コーンフォードも愛情と出世と両手に花のつもりが・・。シェリーを死なせたことより学寮長になれないことの方がショックなんじゃあるまいかという気もするが・・だからあんまり気の毒とも思えん。で、二人とも辞退したので、仕方ないそれじゃあ自分が続けることにするか・・と満足げなブルーム。人の心を踏みにじって喜ぶあつかましいジジイ。彼の妻がコーンフォードによろめいたというのなら、その理由もちゃんと出して欲しかった。どう考えたってブルームの方に非があってそうなったのだと思えるけど。先に書いたように掘り下げ不足。さて、初めて見たモースだが、あんまり彼のこと書いてないな。ジョン・ソウは目がギョロッとしていて、レイモンド・バーによく似ている。モースのやり口は汚い。大きいの出して、相手がおつりがないと断ると、ルイスに出させて、自分はお金しまっちゃう。いつもそう。仕事もルイスにやらせて自分は好きなクロスワードやる。ブルーム役リチャード・ブライアーズは「ロンドンゾンビ紀行」に出ていたらしい。シェリー役ホリー・チャントは見覚えがあるが、「イベント・ホライゾン」でサム・ニールの亡くなった奥さんクレアをやってた人だ。「ザ・クロウ」にも出ていたらしいが、記憶にない。びっくりしたのはストーズ役ジョン・シュラプネル。「サンダーバード」実写版でジョンをやったレックスのお父さんらしい。「サンダーバード」ではレックス・シャープネルという表記だったが、レックス・シュラプネルが正しいのかな。話はそれるけど「サンダーバード」でスコットをやったフィリップ・ウィンチェスターの「ザ・プレイヤー」が、「ストライクバック:極秘ミッション」に続きWOWOWで放映され始めた。トレーシー兄弟の中では、彼の活躍が一番目立つ。話を戻してジェフリー役はマーク・マッギャン。兄のポールは「身代りの樹」や「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア」でおなじみだが、彼はあまり・・。ジョン・レノンの役をやったことがあるようだが、確かに似ているかも。
主任警部モース32 オックスフォード運河の殺人
主任警部モース33 悔恨の日
ほぼ原作通りに作られていると思う。モースが死んでしまうとわかっているので、見ていても重苦しい感じがする。顔色が悪いし、元気もない。引退を二ヶ月後に控えているという設定。病院でも医師に忠告されるが、酒をやめない。タバコはやめたようだが。一年前イヴォンヌという看護師が自宅寝室で殺される。発見したのはロンドンから帰ってきた夫フランク。彼を家まで乗せたタクシーの運転手がフリン。空き巣に入ろうと様子をうかがっていたのがレップ。イヴォンヌがベッドに引っ張り込んでいたが、誰か(犯人)が来たのであわてて逃げたのがバロン。この三人がフランクをゆすっていたわけだ。事件が再び注目され始めたのは、匿名の手紙のせい。その手紙にある、明日出所する男とはレップのこと。原作ではストレンジが電話で受けて書き留めたものだが、実はこれ彼が捏造したもの。事件が未解決のまま引退するのががまんできず、何とか解決をと、モースも引っ張り出す。実はストレンジもイヴォンヌと関係していて。もちろんモースもで、彼の場合はラブレターまで出している。テレビではイヴォンヌとストレンジの関係はなし。手錠も出てこない。モースのラブレターは証拠物件なのに、ストレンジは抜き取って隠しておく。それにしてもテレビでのあの手紙は・・ストレンジではないとしたら・・誰が出したんだ?レップが妻のデビーに頼んで投函してもらったのか。なぜわざわざ警察の目を自分に引きつけるのか。見張ってもらって身の安全を図るつもりだったのか。だったらなぜバスから降りて他の二人に合流したのか。尾行していたルイスは彼を見失ってしまう。実はモースも尾行していたのだが、彼も失敗。ルイスはバスの待ち時間を利用して新聞を買いにいく。サッカーの試合結果が知りたいからだ。モースの方は飲んでいる薬のせいですぐトイレに行きたくなる。そのうちゴミの埋め立て地で死体が見つかる。てっきりレップかと思ったらフリン。レップも車のトランクで見つかる。後でトランクからバロンの指紋が見つかるので、三人は仲間割れしてまずフリンが、次にレップが殺されたのだろうとなる。残ったバロンも仕事中に梯子から転落して死んでしまうので、真相はわからない。原作ではバロン殺しはフランクとはっきりさせているが、こっちは・・サイモン?彼はイヴォンヌ殺しには無関係なのだから、ここでわざわざ殺人罪を犯すとは思えんが。
悔恨の日2
ロイというフランクの隠し子がいて、自分が自転車をぶつけてしまったと出頭するが、偽証のようで。途中フランク、娘のサンドラ(原作ではセイラ)、息子のサイモンの三人がレストランで何やら話し合うが、この時の「彼を何とかしなくちゃ」の「彼」ってバロンのこと?サンドラはモースの担当医でもある。ライオネルという老医師がいて、ことあるごとにセクハラめいた言動をする。母親が奔放な性格だったため、娘の自分までそうだと思われているのが腹立たしい。ライオネルは原作には出てこないが、本当にいやなやつなので、オマケで殺されてくれないかしらと密かに期待したんだけど・・何ともなかったな、残念。殺された三人にはそれぞれ妻がいる。デビー、リンダ、ジョージー、それにロイの母エリザベス。みんな似たような顔で、見分けがつかない。デビーやジョージーはバロンと浮気していたし、もう何がどうなっているのやら。ルイスはイヴォンヌの時には研修中でいなかった。看護師で夫のある身ですよ・・と、変態プレイが信じられない様子。いや、世間知らずなんじゃなくて、彼の方が正常なんですってば。食材すべてを油で揚げるという正常な(←?)奥さんとの生活に、一点の疑いもいだいていないルイスが、私は好きです(何のこっちゃ)。その間にも死は密かに歩み寄る。予感があるのか、モースは遺言書を作ったりする。発作を起こして病院へ運ばれた彼は、偶然松葉杖をついた患者を見て、イヴォンヌ殺しの凶器に気づく。当時足をねんざして松葉杖をついていたサンドラが犯人だ!彼女はバロンと愛し合っていて、彼の裏切りが許せず・・。でも怒りは母親に向かったと。う~ん、でもアンタだって既婚男性と不倫してるんですぜ、人のことが言えますかいな。犯行後父親に助けを求める。駆けつけたフランクは強盗の仕業に見せかけるが、前にも書いたように以後三人にゆすられ続けるはめになる。冒頭りっぱな銀器がうつるが、終わりの方では何もなくなっている。サンドラはカナダへ飛ぶつもりだったが、空港でつかまる。その時にはもうモースは息を引き取っていて。モースに別れを告げるルイス。その後は空がうつって、あっさり終わる。今回もコリン・デクスターはモースが川を見つめるシーンで車椅子に乗ってわざとらしくうつる。その彼も先月死亡。今頃はジョン・ソウに再会しているだろう。
「主任警部モース」魅力の謎に迫る、主任警部モース、永遠なれ
こういう特集番組が二つもあるってことは、よっぽど人気があったんだな。モースツアーってのをやってて、普通の名所旧跡めぐりじゃなくてテレビのロケ地とか実際に使われた住居などを見て回る。ツアー客はやっぱり年配の人が多くて、コリン・デクスターも顔を出して、サービス精神旺盛と言うか、出たがりと言うか。全回じゃないけどカメオ出演していて、顔は知らなくても「ジェリコ街の女」で早足で歩いてくる老人はたぶん・・ってわかっちゃう。もちろん見ている時は捜したりしない。ストーリーがわからなくなっちゃうし、出たがりのオッサンにも興味ない。デクスターによるとビール、ワグナー、クロスワードパズル好きというのは自分を反映しているのだそうな。あとどこかで「私は警察のことは何も知らない」と言っていたな。よく言うよって感じ?出てきた人の中には元警官もいるようで、それなりに考証はしているんだろうけど。ルイスの設定が原作とテレビでは変えられているとか。原作だとほぼ同年輩だけど、テレビでは若くして、親子みたいな関係にしてあると。ほぼ同年輩と言うより、どの作品だったかルイスの方が数年年長ってはっきり書いてある。これを読んだ時はびっくりしたな。ルイスの方が年上で、しかもモースより階級が下というのはどうなのかね。モースと組む前にそれじゃあ、モースと組んだせいで出世ができないって言い訳できないじゃん。性格も少し変えてあるらしいが、私には原作と同じに思える。ルイスは見ている人達の代表なのだそうな。彼が疑問に思うことは、視聴者もそう思っていることで。モースにはわかりきったことだけどね。とは言えそれが間違ってることも多々あるけど。ルイスが呆れたり怒ったり驚いたりすることには我々も共感できる。彼はいつだって普通で平凡で正常だ。インタビューに答えるルイス役ケヴィン・ウェイトリーは元気がよくて、熱い感じ。モース役ジョン・ソウは逆にさめていて無関心な感じ。ちょっと元気がなさそうに見えるのは、彼の人生があまり残っていないことを我々が知っているから、そう感じるのか。最初はこの企画は受けないと思われていたそうで、それってちょっと意外。イギリスならどんな刑事物も探偵物も受け入れられそうなイメージあるけど。