ゴヤ・マーダー

ゴヤ・マーダー

スペイン製サスペンス。マドリードで連続殺人が起きる。法律事務所で働くラウナはあと二ヶ月で結婚するはずだった。当然婚約者が疑われるが、彼は”別の女友達”と食事に行っていて、アリバイ成立。ラウナの両親は彼のことを物足りなく思っていたようだが、直感は正しかったということか。上流社会へ食い込むための結婚なので、相手が死んでしまったとなればもうそれまで。ひどい男だ。捜査を担当するのは警部補のカルメンとエヴァ。カルメンは首が長く、顔も性格もきつく、取っつきにくいタイプ。ちょっとサンドラ・ブロック似。仕事にのめり込んでいてまわりの男どもからは敬遠されがち。独身だが、妻子持ちの本部長や記者のアドリアンと愛人関係にある。検視医も彼女に好意寄せてるし、男まさりなわりには女として魅力的なのだろう。エヴァは彼女とコンビを組んだばかり。新人扱いされたり無視されたりと腹の立つことばかりだが、彼女には小さな子供が二人いて、夫の稼ぎだけでは暮らしていけない。小柄でショートカットのがんばりや。そのうち被害者達はゴヤの版画と同じ格好させられていることがわかる。地下鉄にゴヤ駅というのがあって、ホームにはずらりと版画が並んでいる。スペインならではだ。ただ、映画の方はカルメンやエヴァに時間を割きすぎ、肝腎の事件については不明な部分が多い。カルメンの情事のシーンばかりで見ていてうんざりする。犯人は出てきた時から怪しいのですぐわかる。後で実行犯がもう一人いたのがわかるが、この二人の関係は不明。とにかく説明不足。一度はマスコミにリークしてカルメンを裏切ったアドリアンが、罪滅ぼしのために捜査に協力するが、あっけなく殺されてしまう。彼は取材中に負傷して足が不自由になったため、記者として雇ってもらえず、それで金に困ってカルメンを利用したのだろうが、殺されてしまうのは気の毒。それだけでなくカルメンまで殺されてしまう。彼女は暴走するタイプで、一人で行動するからそうなったわけだが、肝腎のエヴァはカルメンが電話しても寝ていたりクラブで歌っていたりと、何のための相棒なのか思ってしまう。あと、時間を選ばず呼び出されるエヴァに対し、夫がやや不満げなのも気になった。この年代の親は子供の送り迎えが負担。仕事と両立させるのは大変。殺人事件よりこっちの方がリアルで印象に残った。