しあわせの雨傘
夫が急死し、傾いた雨傘工場を素人主婦のヒロインが立て直すコメディーなのだと思っていたら・・。夫は死なないし途中で雨傘はどうでもよくなるし、あれれの展開。冒頭森の中をジョギングするスザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)。家の中を整え、詩を書いたり刺繍をしたり何の不満も持っていないように見える。夫のロベールは彼女の祖父が創業した雨傘工場の社長。従業員達は独断的な彼に不満をつのらせ、ストライキ起こす。心臓発作を起こして入院した夫に代わり、スザンヌはうまくピンチを切り抜ける。彼女の方針は対話の重視。従業員を押さえつけ、言うことを聞かせることしか考えないロベールとは正反対。相手の言い分を聞き、歩み寄る。娘のジョエルや息子のローラン(ジェレミー・レニエ)にも協力してもらう。ローランはフロリアンという女性と付き合っているが、それを知ったロベールは大反対。どうやらフロリアンの母親と過去浮気をし、彼女が自分の娘である可能性が高いらしい。しかしスザンヌは動じない。ローランだってロベールの息子ではないのだから。ロベールは議員で市長のババン(ジェラール・ドパルデュー)がローランの父親だと思い込むが、自分に息子がいたと知ったババンは有頂天。しかしスザンヌにあっさり否定される。貞淑な妻だと思われたスザンヌは、意外にも奔放な女性だった。ロベールは今だって秘書のナデージュと浮気している。男は浮気して当然と思ってる。でも妻が自分と同じことしてた・・とは思いつかないらしい。女性の方が隠すのが上手。と言うか、隠してない。男が聞かないだけ。そのうちロベールが復帰。ジョエルの裏切りでスザンヌは社長の座を追われる。工場の状態は悪化したはずだが、描かれない。今度はスザンヌは議員選挙に打って出る。ババンと議席を争い勝利する。何だかまとまりがつかないなあと思っていると、当選したスザンヌが歌を歌って終わり。見ている方は雨が上がって天気になったため、そこらに置き忘れられた雨傘の気分。まあいいや、おフランス映画だし。それにしてもドヌーヴは元気だな。今もコンスタントに映画に出てるみたいだし。ウエストとかゆるんでいたって隠したりしないのがいい。昔の映画雑誌に顔が大きいと書かれていたけど、ホント頭部がでかい。従業員達との交渉に臨むのに普段着のままなんて「冗談じゃないわ」と、きちんとよそ行きに着替え、宝石もつけるのが笑える。