ワイルドシングス
予告編を見たくて映画館へ行くというのもヘンな話だが、私の場合はこれで二度目である。一回目はずーっと昔、「アラビアのロレンス」の予告編見るために「恐るべき訪問者」を見た。「シティ・オブ・エンジェル」の予告編も見たくてたまらない。横浜セントラルは元の映画館を真ん中で区切って二つの映画館にしたんじゃないだろうか。何かそう思わせるような作りだった。この映画は見終わって帰る途中ずーっと、えーとあれがこうでこれがあーで・・と、頭の中で整理したくなるような映画だ。これがテレビで吹き替えで見たのではさっぱりおもしろくないだろう。やっぱり映画館で集中して見た方がよい。ケヴィン・ベーコンは顔がゆがんでいて何で人気があるんだろうと思っていたが、初めて映画を見たらなかなかよかった。特に変わった声がよい。ロバート・ワグナーは60代後半なのに、何とか60歳くらいには見える。がんばって(若作りして)いるなあ。キャリー・スノッドグレスはほっそりしていたのがウソのようなガッチリ体格。中国語の四声みたいに音程の下がる音楽は、「ワイルド・アット・ハート」を何度となく思い出させた。さて私の結論だが、ジャマ者をみーんな片づけて大金を手にしたスージーは、結局すぐにハメツの道をたどることだろう。いくらIQ200の天才でも、アルコール漬け、ヤク漬け、情緒不安定なんだもの。・・これは1999年2月に書いたもの。その前年秋からニコラス・ケイジにはまってしまい、「スネーク・アイズ」の予告編を見るためにこれを見たのだ。印象としてはどんでん返し続きということの他に、けっこうキャストが豪華ということがある。私の場合豪華というのは、知ってる人がたくさん出ているということだが。もっとも、マット・ディロンもケヴィン・ベーコンも名前は知ってるけど映画は見たことなかった。この頃の私は知識が偏っていたのだ。カンフー映画ばっかり見ていたから。2013年頃ザ・シネマでやったのを録画したけど見なくて、ずっとほったらかし。したがって見るのは1999年以来ということになる。
ワイルドシングス2
フロリダのブルー・ベイ高校で進路指導教諭をやっているサム(ディロン)は、女生徒の憧れの的。中でもケリー(デニース・リチャーズ)は盛んにモーションかけてくる。しかし職業柄サムは危ないことは避けるよう気をつけている。ケリーに家まで送っていってと頼まれても、男子生徒ジミーを同乗させるほど慎重。二人きりになるのを避ける。それに彼には美しい恋人バーバラがいる。ある日ケリーは無断欠席。母親サンドラ(テレサ・ラッセル)に、サムにレイプされたと話す。逆上したサンドラは警察に通報・・と、前半はサムの受難が描かれる。教師への一方的な思慕が、拒否されたことによって憎しみに変わり、レイプされたと訴え出る。こういうのにはたいてい、実は私も・・というのが出てきて、ジャック・ブレルの「先生」思い出す。一度こうなると、たとえ無実でも一生汚名がついて回り、名誉挽回は難しい。私は最初は単純にサムは被害者で、どうやって裁判に勝つのだろうと思いながら見ていた。捜査をするのが性犯罪課のデュケ(ベーコン)とペレーズ。ベーコンのこともよく知らないから、刑事だしまともな人物だろうと思ってた。今だったら思わないけど!サンドラはフロリダでも有名な富豪で、夫は一年前に拳銃自殺。原因はわかっていない。こんなおいしい過去どうして不明のままスルーするのかね。サンドラは次々に若い男を引き入れ、今はフランキーというのが出入りしている。サムとも何かあったらしいが、今の彼は誘いには乗らない。お抱え弁護士バクスターがワグナーで、バーバラは彼の娘。サムのことはよく思っていなくて、ケリーの件が起きると早速別れさせる。サムが相談に行くのが弁護士ボウデン(ビル・マーレイ)。裁判ではケリーに同情が集まるが、同じく被害者だと言い出したスージー(ネーヴ・キャンベル)がボロを出し、レイプは狂言とわかる。サムは釈放されるが、学校にはいられないし、裁判費用捻出のため家を売ったとかで住むところもない。映画を見ていて一番印象に残ったのがここ。金をつぎ込める金持ちとは違い、一般人は裁判で戦うにも最初から不利なのだ。仕事も家もなくす。
ワイルドシングス3
とは言えボウデンは逆に訴えて示談金を・・と、意気盛ん。結局850万ドル支払われる。この時のボウデンの喜び方が笑える。大金持ち相手で、自身も金持ちのバクスターを負かしてやったのがよっぽどうれしいらしい。彼らが渋々サインした書類を、脇の下や股、尻にこすりつけ、ざまあみろと悦に入る。ケリーはあやまるどころかサムをののしる。金は彼女の信託財産の中から払われたのだから。この時のまわりにいる生徒達、みんなケリーの側についているような。金持ちには逆らえないってことか。さていろいろあったが、今回の件は実はサム、ケリー、スージーの三人による芝居。サンドラをだまし、金を引き出す。あらまあ・・と、その頃映画初心者だった私はびっくりしたのでしたとさ。でもこれはまだ序の口。事件直後はペレーズがケリーのこと疑っていたけど、今はデュケがサムのこと疑っている。彼は金に困って破産寸前だったらしい。バーバラは金のかかる女とか何とか。三人の関係は必ず壊れると、ケリーやスージーに吹き込む。サムに裏があるとわかったので、私はこのデュケに期待していた。刑事だし悪を暴き、正すのが仕事。さて、精神的に不安定なスージーはいつボロを出すかわからないというので、サムは彼女を殺す。死体は沼地に沈めれば永久に見つからない。デュケは彼女は殺されたと主張するが、暴走気味の彼はまわりからもうとまれる。スージーは町から出て行ったのかもしれないじゃないかと。あれこれあって、今度はケリーがデュケに撃ち殺される。彼も撃たれており、正当防衛を主張。ケリーがスージーを殺したというのもほぼ確実に。デュケはクビになるが、その彼はサムのところへ。何と二人は相棒でした。デュケがサムのヨットに乗っていて殺されるのは、ちょっとお間抜けすぎる。小切手の現金化に時間がかかっているとサムは言い、デュケは分け前を手に入れられない。その状態でヨットに乗ります?岸から遠く離れた海上で二人きり、しかもヨット部顧問のサムと違い、自分はヨットのこと何も知らない。誘うからには下心があるに違いない・・って普通は思う。だから彼が退場しても誰も驚かない。
ワイルドシングス4
代わって現われるのがスージー。髪の色やスタイルを変え、すっかりイメージチェンジ。サムの酒には毒が入っており、彼も退場。デュケと違いスージーはヨットの操作もできるから、一人になっても平気。ジ・エンドと出た後で、実はこうだったという描写がいくつか。最後はボウデンが金の入ったトランクをスージーに渡す。ペレーズは、実はスージーは生きているのではと思い始めるが、今更どうしようもない。てなわけで一番損をしたのはケリーってことになるのかな?彼女は自分の自由になる金が早く欲しかった。向こうの小説では、20歳とか21歳になるまではお金は自由にならず、信託財産にされるとかそういうのが多い。彼女は18くらいだろうが、金を手に入れ、一刻も早くサムと一緒になりたかったのだろう。それに母親への恨みもある。それらを利用されたのだ。ところでサムは訴えられた後、フランキーに嫌がらせをされるが、そのまんま。示談成立の際もすごまれるが、そのまんま。何で仕返ししないんだろう。スージーはサムはいざとなると気が弱いみたいなこと言っていたが。サムのところへ話を持ってきたのはスージー。ケリーとの写真をネタに仲間に引き入れられたようで。と言うことはその前にケリーに話を持っていき、手を組んだのか。サムの次はデュケ。サムがデュケに近づく。デュケはたぶん計画の首謀者はサムだと思っていただろう。すべての黒幕がスージーだとは知らなかったはず。知っていればもっと警戒したはず。何しろスージーは自分のこと恨んでいる。惚れた女がいて、彼女を殴った時止めに入ったのがデイビー。そのデイビーをデュケは殺してしまう。それを目撃していたのがスージー。彼女の口をふさぐためムショ送り。デイビーはスージーの大切な友人だったから、彼女はデュケを憎んでいる。助けを求めたのに不在だったサムも許せない。こちらはちょっと無理があるが。デュケはしたがってスージーはサムに殺されたと思い込んでいる。彼女が現われた時にはびっくりしただろう。サムがスージーと金を山分けするつもりだったかどうかは不明だが、スージーは最初から一人じめする気でいた。感心なことに一部は家族へ残し、ボウデンも手数料をもらい、残りを持っていずこかへ消える。サムにボウデンを紹介したのってスージーかしら。
ワイルドシングス2
ブルー・ベイ高校へ非行防止の講演に来たのが刑事のモリソン(リンデン・アシュビー)と検視官ヘインズ。しかし生徒達はろくに聞いていない。ブリトニー(スーザン・ウォード)の義父ナイルズは女たらし。そのせいで母親は自殺。そのナイルズの乗った自家用飛行機が墜落する。一人残されたブリトニーだが、莫大な遺産のほとんどがカントリークラブへ寄付されると知って愕然とする。もし血縁関係のある相続人が現われた場合は全額そちらへ。そんなのいないはずだが、不良学生マヤ(レイラ・アルシーリ)が名乗りをあげる。しかもDNAも一致。ブリトニーにとってはショックの連続だ。他に生命保険会社の調査員ブリッジ(イザイア・ワシントン)も現われる。途中で、ブリトニーとマヤがぐるで、芝居をしていたことがわかる。マヤの父親ボブの遺体を掘り出し、そのDNAを使用。そのためにヘインズも抱き込む。ただしこれも後で引っくり返る。実はナイルズは生きていて、ボブの遺体を飛行機に乗せ、自分は脱出。マヤは首尾よく7000万近い金を手に入れるが、この後は仲間割れと決まっている。ヘインズを殺して死体を始末するが、今度はブリッジが半分寄こせと脅してくる。「1」を見ているので、引っくり返りまくりなのは承知している。ブリトニーが中心に見えるが、そのうちマヤが中心に、そのマヤをブリトニーがあっさり殺すというのも驚きはない。マヤ殺しの罪をブリッジになすりつけ、自分は海外へ。ナイルズも始末し、ラスト近くでは実は生きていた母親と再会。ただ、ブリトニーはこの母親も始末する気でいるようだ。それにしても・・ナイルズが死んだフリしたのは、キューバ系マフィアからの借金のせいとしか思えない。7000万あるなら返せるはずだし、返せないほど金に困っているのなら7000万もないってことになる。いったいどっちなんだろう。他にもつじつまの合わないことがいっぱい。まあブリトニーがナイルズを始末するのはわかる。生きていたらそのうちギャンブルで財産使い果たすだろうから、その前に・・。豪華キャストだった「1」に比べ、こちらは地味。知ってる人はアシュビーくらいか。アルシーリは大きな目や厚い唇がアンジェリーナ・ジョリーそっくりで、何だか笑える。
ワイルドシングス3
例によってブルー・ベイ高校へ警察の鑑識課の医師ジョンソンと、保護観察官リチャーズが講演に。・・てことは「2」の検視官ヘインズの役回りをジョンソンが?ジョンソン役ロン・メレンデスは、「CSI:NY」で、その整ったさびしげな顔立ちで忘れがたい印象を残した人。それだけに期待したんだけど、ヘインズの役回りってことは〇✕△をして、途中で始末されて・・ああん、それじゃあもったいない~。講演ではリチャーズは自分のレイプ体験を話す。「3」にはモリソン刑事も出てくる。だったらブリッジははめられた、ビデオ映像は信用できないとか学習するのかと思ったら・・まただまされてまっせ。さて、母親をなくしたマリー(サラ・レイン)。形見のダイヤは当然自分のものと思ったら、義父のジェイは渡してくれない。裕福な暮らしのジェイだが、実際は借金だらけ。そして女好き。マリーの誕生日パーティの翌日、エレナ(サンドラ・マッコイ)はジェイにレイプされたと訴え出る。ジェイは否定するが、次々に証拠が出る。マリーはダイヤを換金してエレナを買収するようジェイに勧めるが、そのダイヤはニセモノだった。みんな平気で人をだます。誰も信用できない。ところでリチャーズとモリソンは知り合いらしい。モリソンはもうすぐ離婚するし、証拠保管室でいいムードになったりする。もっともモリソンが保管室へ行く時持っていたのは押収した35万ドル。こりゃ後で絶対何かありますな。マリーはジョンソンを始末する。死体と車を始末しようとしていたエレナは、モリソンとリチャーズに見つかってしまう。彼女は保護観察中で、担当はリチャーズ。マリーが殺したと言っても信じてもらうのは難しい。こうなったらマリーに白状させるしかない。あれこれあるが、主役と思われたマリーが殺されるのは予想通り。ラストではジェイも殺される。実はリチャーズをレイプしたのはジェイ。その後彼女が産んだのがエレナ。エレナの保護観察うんぬんはウソ。二人してジェイに復讐したのだ。モリソンから盗んだカードで保管室の35万ドルをいただき、ダイヤを売り、これからは母娘で優雅な暮らしを送るのだ。まあそれはいいけど、モリソンが35万ドルを保管室へ持っていくところだったのはたまたまよね。リチャーズが前もって知っていたとは思えない。リチャーズ役はディナ・メイヤー。このシリーズは若くてぴちぴちしたのがいっぱい出てくるが、こういうしっとりと落ち着いた熟女もたまにはよろしいのでは?
ワイルドシングス4
今のところ「5」は作られてないのかな。カーソン(アシュリー・パーカー・エンジェル)の父テッドは、州で九番目の富豪。カーソンにはレイチェル(マーネット・パターソン)という恋人がいるが、シェーンが連れてきたブランディ(ジリアン・マーレイ)もいい感じだ。ある日レース中にテッドが死亡。ウォーカー刑事(ジョン・シュナイダー)が調べるが、レースカーの部品が取り替えられており、殺人の可能性がある。一方カーソンはブランディにレイプで告発される。全くの濡れ衣だが、目撃者リンダがいるせいで形勢は不利。示談に持っていこうにも、テッドの遺言でカーソンは30歳になるまで金は自由にならない。例外は結婚で、カーソンはレイチェルと式を挙げる。もっともこれらはカーソン、レイチェル、ブランディの三人がぐるになって仕組んだこと。おっと、それにリンダも加わって・・今回の〇✕△は四人かよ。途中で意外なことがわかる。いかにもお嬢様然としたレイチェルが実は貧しい生まれなこと。裏切りまた裏切りというのはもう慣れっこで驚かないけど。レイチェルとブランディは幼なじみで、ブランディは父のことでテッドに恨みがある。レイチェルはカーソンに近づき、恋人になり、彼の母親の死はテッドのせいと吹き込む。テッドを始末すると、結婚し、今度は父親殺しを悔いての自殺と見せかけ、カーソンを始末する。これで莫大な財産は自分のもの。ウォーカーが嗅ぎ回るのに動揺し、尻尾を出しそうなブランディも殺そうとするが失敗。その後は二人して出頭し、互いに罪をなすりつけ合う。結局ブランディの方が一枚うわてで、ウォーカーを抱き込む。逮捕されたレイチェルはその後獄中で自殺。ウォーカーも殺し、残ったのはブランディ。彼女の相棒はテッドの秘書だったジョージ。あたしゃてっきりシェーンが出てくるんだと思っていたので、ここは意外でした。テッドの遺産をうまく手に入れた二人だが、ジョージはブランディを殺す。実は彼の本当の相棒はリンダ。最後の最後まで引っくり返る。うまく考えられているけど、ブランディのキャラが図太くなったり気弱になったり一定しないのは残念。パターソンは「スターシップ・トゥルーパーズ3」に出ていたらしい。