Vienna Blood
1 The Last Seance
1906年のウィーン。主人公はウィーン警察のラインハルト警部(ユルゲン・モーラー)と神経科医・・と言っても研修医のマックス(マシュー・ビアード)。女性の死体が見つかる。書置きがあって自殺に見えるが、銃がない。撃たれた傷があるのに銃弾がない。貫通したわけでもない。部屋はカギがかかって密室状態。実はラインハルトはこのところ成績がよくない。署長のシュトラッサーの覚えもよくない。他の者に事件を回されてたまるか。でも手がかりゼロでお手上げ状態。おまけに署長の友人の息子マックスを押しつけられ、目ざわりでしょうがない。設定に目新しいものはない。後でわかるがラインハルトは娘をなくし、そのせいで妻と別居。仕事しかないという状態。昔気質で短気でやや暴力的。マックスはフロイトに傾倒している。指導医はそれが気に入らない。電気ショックが最良の治療法と信じている。マックスがラインハルトにくっついて回るのは、犯罪心理の研究のため。しかし父親は普通の医者になって欲しいようで。マックスにはクララ(ルイーゼ・フォン・フィンク)という恋人がいるが、彼女を愛しているのかどうか自分でもよくわからない。クリムトの展覧会の会場で突然暴れ出したアメリア(ジェシカ・デ・ゴウ)は、マックスによって病院へ入院させられる。彼は何とか彼女の力になりたいと強く思っている。当然クララは気をもむこととなる。それでなくてもいつもうわのそらで、何考えているのかよくわからないマックス。「シャーロック」の影響か、マックスはラインハルトを観察し、分析する。最初のうちは煙ったく思っていたラインハルトだが、そのうち彼に協力を求めることとなる。最初反発、そのうち協力、そして無二の親友というお約束の流れ。マックスは死体のあった場所を調べ、テーブルなどが降霊会用の舞台装置であると指摘する。つまり被害者は詐欺師・・インチキ霊媒。また、こういうのには奇術の心得のある協力者がいたはずで、そいつが犯人かも。被害者は妊娠しており、不貞の発覚を恐れて殺したのだろうということに。あれこれあって、降霊会の出席者の一人がオットーという奇術師であることがわかり、劇場へ。二人を見たオットーは逃げ出す。こりゃ怪しいと追跡し、何とかつかまえる。しかしマックスには彼が犯人とは思えない。
The Last Seance2
釈放されたオットーは、ほどなく殺される。現場にあったメモは墓地の番号表示で、彼は新しい墓のあたりをうろつき、カモを見つけては降霊会へ連れてきていたようだ。他の出席者も突き止めるが、彼らは霊媒・・シャルロッテのことを本物と信じ込んでいた。中にヘルダーラインという有力者がいて、疑われるが、結局彼はシロ。その頃アメリアは再び発作を起こし、電気ショック療法を受けるはめに。マックスは心を痛める。と言って指導医に反旗を翻せば病院にいられなくなる。彼はアメリアに催眠術をかけ、発作の原因を突き止めたようだが、ここらへんははっきりしない。1時間物でもいいような内容を2時間かけて作っているという感じで、重要そうに見える降霊会が実は殺人事件にはあまり関係なかったりする。オットーの役回りもよくわからない。密室の謎も都合よく解けるし、凶器はどこで見つかったんだろう。一番アレだったのは、マックスがラインハルトに(犯人の)自白が取れたと言うところ。聞いてたのマックスだけ。この時代だから録音てわけにもいかない。後でそんなこと言ってないと言われればそれっきりだと思うけど。シャルロッテとの関係を証明する写真も結局見つからなかったし。緻密なようでいてけっこう雑。20世紀初頭のウィーンが舞台なわけだが、ウィーンと言われればウィーン、ロンドンと言われればロンドン・・私には区別つかない。わかる人にはわかるんだろうけど。フロイト、クリムト、マーラーと言った名前が普通に出てくるのがいい。クライマックスの観覧車は「第三の男」に出てきたやつかな。ビアードは「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」に出ていたが、アップになるわけでもなく、もったいないうつし方されていた。こちらはこれでもかというくらいアップでうつる。最初ティム・ロスをうんとハンサムにした感じに見えたが、そのうちニコラス・ケイジがちらつき始める。いつも大きく瞠っているような目。横顔も美しい。体つきは・・やや肩幅が狭く、ひょろっとしている。筋肉モリモリというタイプではなさそうだ。副題のSEANCEは、降霊会という意味だろう。
2 Queen Of The Night
前回のラストでクララとの結婚を決めたマックス。婚約パーティにはラインハルトも。そこへ殺人事件の知らせ。そうなるとマックスもついていくことに。娼婦のヨゼフィーネ目当てに足しげく通っていたヴィクトルがつかまる。血まみれの衣類も見つかる。しかし母親によるとヴィクトルは知恵遅れで、血は肉屋で働いているからだと。ラインハルトがヴィクトルの名前を発表したため、同じ房に入れられたゴロツキ二人が彼を殺してしまう。今回ラインハルトは功をあせってミスを犯し、後悔することとなる。ヨゼフィーネら三人を殺した凶器は長い刀で、マックスは兵士を疑う。衣類の血の検査はアメリアに頼む。その結果動物の血とわかる。彼女は博物館で働く科学者で、ウィーンに来たのは人生を立て直すため。彼女もマックスに引かれているようだが、自分の方から二度と会わないと宣言する。その頃”根源たる火の同胞”とやらのチラシが出回る。絵を描いたオルブリヒトを問いつめ、浮かんできたのがハフナー中尉。オルブリヒトの絵の展示会ではハフナーはクララに目をつけ、早速アタック。その後も花を持って自宅に押しかけるなどかなり強引。ところでクララは一人暮らしかね?ハフナーは犯人像にぴったりだが、証拠がない。その間にもチェコ人の鶏肉屋、アフリカ人が殺される。ヨゼフィーネら三人も移民だし、異民族を排除する”根源”なんちゃらの仕業か。しかしクララとオペラ「魔笛」を見に行ったマックスは、殺人が「魔笛」のストーリー通りなのに気づく。今回クララはマックスの役に立ちたいとハフナーを自宅へ呼び寄せ、ピンチに陥る。マックスが駆けつけ、ことなきを得るが、ハフナーは決闘を申し出る。決闘の場でウソは言うまいとハフナーをけしかけるマックス。しかしハフナーには何のことかわからないようで。その頃ラインハルトは犯人に拉致され・・今回は彼がピンチに。事件解決後クララは結婚はやめると言い出す。本来ならば婚約し、人生で最も楽しい日々のはず。しかしマックスはいつも彼女ではないどこか別の方を見ている。別のことを考えている。デートをしていてもラインハルトが現われたり、デートそのものが捜査のためだったり。おまけに彼の心には別の女性のカゲが・・。こりゃつらいよね。
3 The Lost Child
父の誕生日を祝う席で、マックスはクララと別れたことを話す。しかし甥のダニエルの自傷騒ぎのせいで、みんなそっちに気を取られる。また、彼の体にはアザや傷があった。マックスの姉レアの夫は戦死、息子ダニエルは士官学校に入っている。マックスはラインハルトに同行してもらって士官学校へ。しかし校長ライジンガーは訓練の傷と相手にしない。寮でのダニエルの隣りのベッドはゼレンカだったが、十日前に溺死していた。調べたのはビューロー警部だが、事故で片づけ、解剖もされていない。思春期の少年達、寮生活、何年・・いや何十年にもわたって行なわれてきた秘密の儀式。その邪悪さは時には死者も生み出す。体力のない者、家柄の低い者が標的にされ、心や体に傷を負う。上に立つ者は親が将軍とか大使であることを鼻にかけ、自分が裁かれることはないとうぬぼれている。標的になった者は、次はいじめる側に回る。ダニエルもその一人で、彼はゼレンカを死に追いやったことをひどく後悔していた。やっと沈黙を破った彼は、ゼレンカは殺されたのではなく、吐いたものを喉に詰まらせて死んだと話す。その死体をみんなして川へ突き落とした。しかし埋めておいたマントからシアン化合物が見つかり、犯人に結びつく。しかもゼレンカは人違いで殺されたこともわかる。今回署長もこの儀式の経験者であることがラスト近くで判明する。校長が警察にコネがあるみたいなこと言ってたけど、署長のことだろう。その署長は本部長に昇進。後任はラインハルトではなく、ビューロー。一方マックスは指導医に停職を言い渡される。あたしゃてっきりこれを機会にラインハルトは退職し、マックスと二人で探偵事務所開くんだとばかり・・。6話で終わりらしいが、ラインハルトと妻、マックスとアメリア、クララの三角関係、アメリアの過去など始末のついてないことばかり。たぶん作り手はもっと続けるつもりだったんだろうけど・・視聴率でも悪かったのかね。それにしてもビアードはますますニコケイでした。キレたニコケイじゃなく、「シティ・オブ・エンジェル」の時の天使のニコケイです。びっくりするほど似ています。