ディメンション

ディメンション

原題の「PROXIMITY」は”近接”という意味だ。確かに今回のエイリアンは”近い”。たぶんアホ映画、クズ映画だろうと思いつつも、時々こういうのに惹かれてしまう私。最初からあまり期待はしない。知ってる人は出てなさそうで、それはいいけど120分もある。それがちょっと心配。1979年のアラスカ。走っていたトラックが宙に浮き、落ちてくる。後ろを走っていたカール(ドン・スクリブナー)は駆け寄るが、運転手を助ける暇もなく森の中へ逃げ込む。頭上には円盤。やがて光を浴び、よくわからないが吸い込まれたのか。そして現在。カリフォルニアのNASAのジェット推進研究所のテクノロジーで働くアイザック(ライアン・マッソン)。彼はセラピーを受けていて、治療としてビデオ日記を勧められる。「リピーテッド」みたいだ。最初はぎこちなかったけど、そのうち慣れてきて、ハイキングにカメラを持参したりする。それにしてもこのカメラでかいな。以前はこんなだったけど今はもっと小さいぞ。空から何か落ちてきた。目撃した人は他にもいっぱいいるけど、後で火星と木星の間から飛んできた隕石だということになる。破片も何も見つからなかったらしいが、そのあたりの様子がうつるわけでもない。円盤を見たアイザックは、うつそうとしたけど、結局間に合わなかったのかな?あたりを捜索している連中がいて、身を隠したけど、後から思えばこいつらは秘密警察の連中で、隠れていて正解だった。そのうち後ろに誰かいる気配を感じ、振り返ってみるとグレマン。あら~意外と直接見せちゃうんだ珍しい。普通は今は夜でとか、ごまかしちゃうものだけど。で、アイザックは密かに録画ボタンを押す。無謀なことするなあ。三日後気がついたアイザック。確かめてみるとちゃんとエイリアンはうつっている。録画されてることくらいエイリアンにもわかったはずで、何で何もしなかったのかな。消去するくらい簡単なはずで、そうすりゃアイザックは投稿もせず、でも能力はあってという違った展開になっていただろう。あの後どうなったのか彼には記憶がない。よくわからんが、浮いている自分の足元がうつっているらしい。家に帰ったが、何だかおかしい。腕に違和感がある。医者に見てもらうと、腕の骨に筋が入ってるのがX線写真でわかるが、骨折とは全然違い、医者も首を傾げるばかり。

ディメンション2

後でエイリアンによって追跡装置が埋め込まれているとわかるが、X線ではうつらないらしい。金属製に見えるが。アイザックは自分に妙な能力が備わっているのに気づくが、まわりの人にはその現象は見えないようだ。でもビデオの方は誰にでも見える。今時の若者らしく彼はネットに投稿する。しばらくしてアクセス数を見ると数十万回に伸びていて驚くが、見ているこっちは何と無防備な・・と、そっちの方に驚く。例えばジョン・キューザックあたりが出てきて、ネットがどんなに危険か警告する映画とか見たことないのかね。この後はSFというよりドラマだ。動画に対し、賞賛の一方で誹謗の声。あちこちから電話がかかってくる。テレビ局から出演の依頼も。彼は自分の体験を話すが、キャスターにとってはそんなことはどうでもいいことで。彼がセラピーを受けていることや、コンピューター・エンジニアで、こういう映像を作るのはお手のものという方向へ話を持っていく。疑問を投げかけておいて、インタビューを打ち切る。もうこれで映像はフェイクということになり、後はバッシングの嵐。アイザックはどうして自分がこんな目にあうのかわからず、とまどうばかり。宇宙人に誘拐されたと主張する人は、ほとんどみんな同じような体験をするんだろうな。アイザックの場合自分の能力を見せて証明することはできない。ものが消えたり現われたりするのは、別の次元に行ってるからだろう(だから「ディメンション」という邦題をつけたのだろう)が、一般の人にはそれが見えない。彼らにとっては何も起こっていない。とは言え今はネット時代自分と同じ経験をした人を検索することはできる。で、サラという女性と会う。でも彼女は用心深く、言ってることもあいまい。本当にアイザックと同じ体験したのかなと疑問に思うが、その一方用心することは決して悪いことではないとも思う。さて、アイザック役のマッソンはひょろっとしていていかにも草食系。「アンシンカブル」の主人公タイプ。喉ぼとけがぐっと出ていて、ケヴィン・ベーコン風味。そのうち目のあたりがユアン・マクレガーに似ているなと思えてくる。次にトビー・マグワイアの顔が浮かぶ。おどおど、きょときょと、頼りないけどそれでいて頑固。アイザックがなぜセラピーを受けているのかは説明されてたっけ?父親の死のせい?

ディメンション3

サラ役ハイディ・クアンはすごい美人。アジア系だが、目は宝石のように透き通り、輝く。こんなアホ映画に出てるなんてもったいない。アイザックはサラに調べてきたこと・・過去の事例をまくし立てる。サラは1979年に起きたアラスカの事件を話す。カールという男性が光に吸い上げられたのを三人が目撃していると。その後アイザックは映像のコピーをいっぱい作ってポストに投函していたけど、どこへ送っていたのかな。フェイク映像を作るのに協力したなんてテレビで話す男性もうつるけど、何というか末期的症状ですな。堂々とウソをつく連中が出てくるのっていかにもありそう。人間の不思議さというか恐ろしさというか。映画はこの後秘密警察なんてのが出てきてSFっぽくなるけど、私自身は持ち上げておいて突き落とすネットやマスコミのやり方を描いた前半部分の、ひりひりするような感じは悪くないなと思っている。さて、アイザックはブログを書いているというキースに声をかけられる。公平な記事を書くというので、期待してオフィスを訪ねると、ポリグラフを受けるよう言われる。それももっともだと検査を受けるが、彼がウソをついていないとわかると状況は一変。実はキースは秘密警察のエージェント・グレイヴス(ショー・ジョーンズ)。アイザックは被験者扱い。サラも同じ目にあってるようで。アイザックは何やら実験をさせられるが、いくら精神を集中させてもあの能力は発揮できない。この理由は不明。能力を発揮してもグレイヴス達には見えない、計測できない・・別の次元の現象だから・・というのならわかるけど。それでいてサラと一緒に逃亡する際、能力が発揮される。何が何やらわからん。外に出た二人は、カールがいるらしいカナダへ向かうことにする。彼に聞けば何かわかるかも。後で彼も秘密警察から逃げたことがわかる。そうやって逃亡に成功するなんて普通はありえないが、映画だからね。グレイヴスの部下の中には何か頭にかぶっているのがいて、人間じゃなくてロボットのようだが、はっきりしない。顔を撃たれると何か液体のようなものが出ていた。この映画は不明なことが多いが、これからもいっぱい出てくる。2時間もあるんだから少しは説明してよ。さて、ここはコスタリカらしい。とにかくパソコンのあるところを・・と捜して、出会ったのがゼッド(クリスチャン・プレンティス)。

ディメンション4

正体不明の人物だが、主人公達を助けてくれる都合のいい人物。秘密警察・・ISRP警察とやらは国連の機関、ゼッドはこの組織にうさんくさいものを感じているらしく、侵入・・ハッキングをしている。で、コスタリカからカナダへ移動・・となって、どうだ、スケールが大きいだろうとでも言いたいみたいだ。ここらへんからひりひりしたムードは薄れ、のんびりした・・だらけた感じになる。アイザックとサラの間にお約束のロマンスが生まれるのか・・ウゲゲそんなの見たくない。ジェイソン・ボーンと違って彼らは一般人だから・・特にアイザックとサラは・・あんまり警戒心がない。実は彼らの腕に埋め込まれた追跡装置のせいで、グレイヴスには彼らの行動はわかっている。泳がせておけばカールのところへ行くのに、何で列車の中でああいうことになるのかね。と言うか、何であの列車他に誰もお客がいないの?この頃にはサラも自分のことを話すけど、目新しいことはなし。なぜアイザックにはああいう能力が備わったのに、サラやカールには何もないのかな。やっと捜しあてたカールも、信用してくれて・・。通信だの交信だの数字だののシーンは、私にはちんぷんかんぷん。要するにエイリアンの通信を解読したら五日後に現われると・・そういうことらしい。カールが追跡装置を解除したけど、グレイヴス達だってここまで来ればねえ。賞金稼ぎ部隊を集めろとか物騒なこと言ってる。五日もあるというのでまたまたちんたらムード。あんたらレコードなんかかけてほっこりしているヒマあったら、もっと他のことやらんかい。宇宙語(←?)解読できるのならもっと情報を集めるとか。アイザックの能力はどうなった?少しは能力磨け!サラと森の中を楽しそうに・・いや、そんなことしてるヒマがあったら・・。見ているこっちは頭抱える。言っときますがあたしゃSF映画見てるんです。恋愛映画見てるんじゃないんです。まあ森の中を走るくらいで終わってくれたのでこちらもホッ。さてエイリアンが現われるのは明日。知りたいことはいっぱいある。なぜ自分達?理由は?偶然?でもこれらが明らかにならないことはわかってる。だってほら賞金稼ぎ部隊うんぬん。どうせ彼らが現われて邪魔をするに決まっとる。そして無意味な戦闘シーンでお茶を濁すのだ、あ~あ。

ディメンション5

そして・・その時が来た。カールの小屋の中でエイリアンと差し向かいでテーブルに座って・・ひょ~こんなエイリアンも珍しいな。一人かと思ったら後ろにも立ってる。椅子がないのかな。でも、お客さんを立たせるか?体つきは人間とほぼ同じで、目が大きい。グレイヴスの部下のロボットの方がよっぽどエイリアンぽい。何も着てなくて、呼吸も(もししているとすれば)地球の大気で問題なしということになる。彼らが地球へ来た目的は・・はあ?イエス・キリスト?だったらお釈迦様も・・。もちろんグレイヴス達が現われて会談は(←?)中止。やったことと言えば追跡装置取り出すことくらいでやっぱりねえ(失望)。ここでグレイヴスがカールを追う理由が明らかになる。父親の行方を捜しているのだ。冒頭のひっくらがえったトラックの運転手?というか公私混同もちろんカールは何も知らない。この後カールとサラは撃ち殺される。あらら~。総攻撃を受けるが、アイザックはやっと能力を発揮し・・。まあこの部分はよかったと思う。目が光るとかそういうハデハデなやり方じゃなく、気を飛ばすみたいなのが。グレイヴス達には何が起きたのかわからない。アイザック達の動きは彼らには何も見えない。今回は彼の能力がものではなく、空間に対して発揮されたということなのかな。カール達の死体は消え、頭上には円盤。その円盤も消えた。呆然とするグレイヴス。サラとカールがなぜ生き返るのか私にはよくわからない。外に出た時はエイリアンは三人いる。円盤から迎えに来たのか。何だかよくわからんがめでたしめでたしとなる。六ヶ月後、グレイヴスはクビになり、アイザック達は(たぶん)コスタリカで暮らしている。追跡装置はないから追われる心配ないけど、エイリアンと会うこともないってことかね。彼らの目的は知的好奇心を満足させることだったようだが、なぜアイザック達が選ばれたかは謎のまま。たまたまアイザックには気づいていないけどエイリアンが感知したオーラの一種があって、それがあの能力として発揮されたのかな。宇宙人に拉致された他の人々については何の説明もなし。今回のエイリアンは侵略とは無関係で、それはよかったけど、せっかくのチャンスをつぶすのはいつも地球人の方で、これはもう仕方ないことなのかな。今の世界見ていても人間は破滅に向かってまっしぐらだもんね。宇宙から警告が発せられていたとしても、気づかないと思うよ。