レオパルドマン 豹男

レオパルドマン 豹男

原作は読んだことなし。見ていてもよくわからないが、ホテルのディナーショーに出ているのがキキで、宣伝担当がジェリー。客の注目を集めているのがフラメンコダンサーのクロ・クロで、ジェリーは彼女に対抗しようと、豹男のチャーリーからヒョウをレンタルしてくる。ヒョウを連れて現われたキキだが、途中でヒョウは逃げてしまう。このキキは歌うわけでもなし、踊るわけでもなし、何をするんだろ。警察が来るが、こんなに騒いでいたのでは見つからないとチャーリーは言う。最初の犠牲者はテレサ。夜遅く母親買い物行かされる。近くの店では断られ、仕方なく遠くの店へ。そこからの帰りに襲われた。ヒョウがうろついているというのに娘を外へ追い出し、ヒョウに追われた娘が扉を開けてくれと叫んでいるのになかなか開けない母親には呆れる。テレサは母親に殺されたようなものだ。ジェリーには法的責任はないものの、捜索隊に加わるのを断るなど、無責任な感じ。彼に限らず「あなたの責任ではない」というセリフが何度も出てくる。みんなヒョウのせいにされてる感じ。チャーリーだけはガルブレイスが妙なこと言ったせいで、酒に酔って記憶がない、その間にやらかしたのかも、責任取らなくちゃ、ぶち込んでくれと警察へ出頭する。向こうも呆れるが、まあ二、三日拘留されれば気がすむだろうと、ぶち込んでくれる(←?)。その間に次の事件が起きるので自分じゃないと納得するけど。彼の行動はアホらしいが、責任取ることを真面目に考えているのは彼だけとも言える。ガルブレイスはテレサがヒョウに襲われるのを目撃した人物。大学で動物学を教えていたが、今は博物館の館長をしている。なぜ大学をやめたかジェリーに聞かれ、言葉を濁すので、彼が容疑者第二号。第一号はヒョウが逃げる時引っかかれたホテルのウエター。見てる人誰もヒョウが犯人なんて思ってない。絶対異常者がヒョウのフリして殺して回っているのだと思ってる。題名からして豹男。豹女かも・・なんて匂わせる気なし。結局ジェリーは捜索隊に加わったようだ。自分は殺伐とした環境で育ち、隣人に心の内を見せないようにしているとか何とかキキに言い訳する。何気なくふるまっているが、本心では心配でたまらない。もっとも、足腰が弱いからという軟弱な理由で捜索も途中でやめて帰ってくるような男だから、どこまで責任感じているのか怪しいものだが。

レオパルドマン 豹男

二番目の犠牲者はコンスエという若い女性。テレサの場合は話がすんなりつながり違和感がないが、こちらはいきなりで、「は?何がどうなったの?」と唐突。ベッドに寝てるし、最初は病気で死にそうなんだと思ったら、ただの朝寝坊。もっとも彼女は恋の病にかかっているけど。ラウルという恋人がいて、いつも隠れて会っている。会う時はメイドのロシータが手引きをしてくれる。母親は恋人の存在には気づいているし、別に大反対というわけでもない。何をコソコソしてるのかね。身分違いとか?今日も父親の墓参りを口実に墓地で会うことになっている。ところがラウルは待ちくたびれたらしく、行ってみるともういない。がっかりしてぼんやりしていたコンスエは、墓地に閉じ込められてしまう。入口に門番がいて、6時になると門を閉め、カギをかけて帰ってしまうのだ。一人になると心細さがつのり・・って、ロシータは何をしているのだ?現場には爪と体毛が残されていたが、ジェリーは何かがおかしいと思い始める。テレサの場合はわかる。まわりで騒いでいたため、おびえたヒョウが攻撃的になったのだ。でもここは静かな墓地だ。彼の、何かがおかしいという疑問は署長には一蹴される。から見れば、ヒョウを小道具に利用する方がよっぽどおかしい。ごもっとも。三番目の犠牲者はクロ・クロ。彼女には占い師に見てもらったら二回ともスペードのエースが出るなど、死の影がちらついているのが、見ている我々にも前々から知らされる。お金が欲しい、お金がすべてと公言してはばからない彼女だが、家には幼い娘がいる。母親に面倒を見てもらっている。彼女が帰宅する頃には娘は寝てしまっている。カルロスというのは夫ではなく年下の恋人か。いつも颯爽と歩き、まわりに気軽に声をかけ、ショーでは怪しい魅力をりまく彼女だが、懸命に一日一日を生きているのだとわかる。これがわかって見る人の共感を呼んだところで死んでしまうから、いっそう悲劇的。たぶんこの映画で最も印象的なの彼女。ヒロインはキキのはずだが、どうもカゲが薄い。ショーで何かしているところが全くないのがイタイ。さて、ジェリーとキキはここを離れ、シカゴへ行くことにする。駅へ向かう途中、ガルブレイスがキキに贈ってきた花をコンスエの墓に供えようということになって、急遽墓地へ。

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ここでシカゴへ行くのはやめて犯人捜しをしようということになる。ただ二人とも金がない。遺族に寄付をしたからだ。なんだかんだ言っても結局は責任感じていたってことがここで明らかになる。そこへチャーリーが現われ、ジェリーに金を返せと迫る。あらまあ・・あのままシカゴ行きの汽車に乗っていたら、ここでチャーリーに出くわさなければ、ジェリーはレンタル代を踏み倒すつもりだったのだ。ここでジェリー株再び下落。それはともかくヒョウの残骸が見つかったのだとか。頭を撃たれ、皮をぎ取られ、しかも一週間はたってる。これでテレサは別として、あとの二件は人間の仕業であることがはっきりした。残骸が見つかった場所はジェリーが捜索をやめて帰ってきたあたり。あの後ガルブレイスが一人で・・。ところが署長は取り合ってくれない。じゃあこっちでとなって、まずラウルを訪ねる。彼はショックで酒びたり。何で彼に協力頼むのかね。この後墓地から聞こえる女の声とかでガルブレイスを精神的に追いめ、自白に持っていく。ところが逆上したラウルが彼を撃ち殺してしまう。だからあ・・何でラウルじゃなくてチャーリーに頼まなかったのよ。殺人犯を倒したけど、もう一人別の殺人犯を作っちゃったじゃないのよラウルは逮捕されるけどジェリーとキキはお互いを大事に思っていることがわかってめでたしめでたし・・って、なんだかなあ・・。原作がどうなっているのかは知らないが、ものすごく怪しく見えたガルブレイスが実は無実で、何とあのウエターが犯人だった!!となった方がストーリー的にはおもしろくなったと思うな。さて出演者は知らない人ばかり。次々に出てくる女性はみんな同じような感じで区別がつきにくい。キキ役ジーン・ブルックスはヒロインなのにぼんやりした印象。はっきりわかるのはクロ・クロ役マーゴくらい。この人はエディ・アルバートの奥さんだったらしい。ジェリー役デニス・オキーフは金髪で横顔がアラン・ラッドによく似ている。正面からだとジャン・マレー、ジョゼフ・コットン、ヴァン・ダム。場面によって今はラッド、今はコットン、今はヴァン・ダムと気を散らしながら見ていた。この時代の映画らしくみんなしきりにタバコを吸う。モクモクモクモク体に悪いヨ。