奇妙な扉

奇妙な扉

夜・・レッド・ライオンという酒場の前に馬車、下りたのはマレトロワ卿(チャールズ・ロートン)。手下二人がいいの見つけたとか言ってる。お目当ての若者はケンカになって相手を撃ち殺し、追われるはめに。手下がわざと銃置いてたから、これは罠。ずいぶん軽薄な若者だ。馬車に乗り込み、御者にパリへ行けと言ってるから、ここはフランスだな。途中で馬車から降ろされるが当然だ。金を持ってないのは見え見え。追われて逃げ込んだのはとある屋敷。追っ手はなぜか引き上げる。一度閉じた扉は開かず、閉じ込められた模様。中はりっぱで、そのうち当主が登場。卿は、彼姪と結婚するのだと言い出す。原作はロバート・ルイス・スティーヴンソンの短編「マレトルワ邸の扉」で、邦訳も出ているが、手には入らなさそう。主人公の若者デニス役はリチャード・ステイプリー(リチャード・ワイラー)で、スラリとしたハンサム。フリルのついたシャツを着せ、ピッチピチのズボンとブーツをはかせ、手にサーベルを持たせたいタイプ。そんなこと思いながら見ていたが、後で調べたら1948年版「三銃士」に出ている。どんな役かは知らんが。他に1949年版「若草物語」にも出ているらしい。もう少しアップでハンサムぶりを見たかったが、そんなサービスもなく、まんじゅうみたいな丸い顔をしたオッサン(ロートン)や、目玉がギョロッとしたジイサン(ボリス・カーロフ)ばっか見せられる。さてデニスは相手はどうせ歯なしの婆さんだろうと期待してないが、夜寝ている時に部屋へ入ってきたのはブランシュ(サリー・フォレスト)。それにしてもこういう館って、部屋に扉がいくつもある。屋敷から逃げたいのならあちこち探ってみるはずだが、それをしないのは映画だからか(ブランシュがここへ来たということは、ここから彼女の部屋へ行けるってことだ)。いちおう若くてかわいいので、デニスも一安心(←?)。しかし彼女にはアルマンという恋人がいるので、デニスには興味なし。翌朝使用人タロンに逃がしてくれと言ってみたけど、部屋は高いところにあり、窓の下には水車。ブランシュがデニスの部屋へ来たのは卿も知ってる。地下から叫び声がするが、実はこれは卿の兄エドモンド。もう20年も地下に幽閉されていて、忠実な方ヴォルタン(カーロフ)が世話をしている。

奇妙な扉2

この作品はロートンとカーロフの共演が売りで、ステイプリーの存在なんかどこかへ押しやられてしまってる。しかしアナタ太ったオッサンやギョロのジイサンが出ているだけじゃこんな映画見ないですってば。金髪の美女や水もしたたるいい男が出ているからこそ見るんですってば。今風に言えば、”映え”ですわな。卿はエレーヌが兄と結婚したのを深く恨んでいる。エレーヌがブランシュを産んで死ぬと、兄を幽閉。ブランシュは両親を知らず、叔父に育てられた。心を許せるメイドも、ペットの子犬もいなくなってしまい、いつも孤独。つまり卿は彼女を幸せにするものを次々に奪い取る。アルマンだってもう半年も会ってない。手紙も来ない。それもそのはず彼は卿によって殺されたらしい。エドモンドが狂人のフリをしているのは殺されないため。正気ならとっくに殺されてる。哀れな狂人なら、それを見る度卿は満足に浸れる。牢屋の鍵だけは卿が持っているので、逃げることもできないまま20年たってしまった・・って、あのさ、20年前ならヴォルタンだって若くて力も強かったはず。もうちょっと何とかできたんじゃないの?今弟は酒びたりで野蛮で女好きの最低男と娘を結婚させようとしている。それを防げと言われ、ヴォルタンは何度もデニスを殺そうとするんだけど失敗。ここは笑いどころか。そのうちデニスはだまされていたことに気づく。結婚式に招かれたグラッサンという、サングラスでもかけていそうな伯爵は彼の父親の友人。どうも彼はノルマンディーのいいとこのお坊ちゃんらしい。放埓な生活をしていた理由は不明。自分捜しとか?脱出協力を頼んだ伯爵は殺され、いよいよ復讐の機会が訪れたと卿は二人をエドモンドに会わせる。でも・・20年お日様にあたってなくて、風呂にも入ってないんですぜ。「ああ、お父様!でも臭いわ」あるいは「会いたかったわ!でも臭いわ」となるはず。そうならないのは映画だから。卿は三人を牢に閉じ込め、水車によって部屋はだんだん狭くなり、押しつぶされる危機に。さあどうなる!そこを救ったのがヴォルタン。重を負いながらも何とか鍵を渡し、こときれる。卿は・・水車にはさまれたのかな?よくわからなかったな。ラスト・・扉を開いたのはグラッサン?生きてたの?と思ったらエドモンドでした。まぎらわしい。てなわけでハンサムが出ていたので最後まで飽きずに見ることができました。