刑事ジョー パリ犯罪捜査班
1 ノートルダムの審判
WOWOWでやったテレビシリーズ。8話で終わりってことは、あまり視聴率よくなかったのか。主演はジャン・レノで、それだけが売り。最初に放映された時には見なかった。でも後で「ポアロ」の「ヘラクレスの難業」で気になったトム・オースティンがレギュラーで出ていると知って。何とか再放送を録画することができた。オースティンはちょっとスチュアート・タウンゼントに似ていて気になる。レノの方はどうでもよろし。どうせがむしゃらに突き進む暴走暴力刑事に決まってる。ストーリーだってつじつまなんか合ってなくても気にしない、勢いで行け・・みたいな感じに決まってる。音楽家でオルガンの名手でもあるヴァン・ヴリートが殺される。発見されたのはノートルダム寺院の前。さんざん痛めつけてあって、殺した後でここへ運んだようだ。そのうち殺し方や場所に意味があることがわかってくる。ヴァン・ヴリートは過去に何やらへまをしたらしいが、それは弟子が彼にクスリを盛ったかららしい。かなり女癖が悪かったようで、学校で教えていた時は生徒の母親に手を出したらしい。その女性は離婚したが、元夫のことを恐れている。で、この夫モーリスが疑わしいということになる。娘も死んだようで、事故死とされているが、ヴァン・ヴリートが関わっているのは明らか。それが見過ごされたのは地元警察の捜査がいいかげんだから・・って、そんなこと言っていいの?ジョー(レノ)は勤務中に酒の匂いさせてるし、クスリもやってるみたいだ。医者に処方された薬も飲んでるようだが、心臓が悪いらしい。このままでいくと二年くらいしか持たない・・みたいな。アデルというのは彼の娘か。よくわからんがアデルの母親は娼婦で・・と言うことはジョーとは結婚していなかったのか。ガンで亡くなったようで、ジョーがこっそり葬儀を見守っていたりする。こういう暗くて複雑な背景は別にくっつける必要ないと思うが。彼のわびしい生活と、愛情あふれるマーク(オースティン)の家庭を対比させたいのか。ジョーにだってこういう幸せな家庭を築くチャンスはあったはずなのだ。それがどこで狂ってしまったのか・・とか?それがこれから明らかにされるのか。いや、別に明らかにされなくてもいいですけど。事件の方は、ふらふらしたあげく、ちょっとしたことで都合よく解決する。
2 ピガールの踊り子
今回はエッフェル塔か。毎回パリの名所を見せてくれるのか。塔のどこかでパーティをやっていて、それに出ていたニナという女性が転落死。彼女はセネガル出身のスーパーモデルで、今はテレビに出ているようだ。セルジュという恋人がいるが、彼はニナのせいで離婚したらしい。当然セルジュや元妻が疑われるが、どうも二人はお互いを犯人と思い込んでいるようで、と言うことは二人とも犯人ではないのだ。この二人はどうなったのかな?よりを戻したのかな?それにしてもセネガル・・モデル・・女優・・大物の愛人って、某俳優の奥さんみたいじゃん。話を戻してジョーはアデルとの関係を修復したい。酒は流しにあけ、クスリはトイレに流す。向こうの人は何でもトイレに流すな、詰まらないのかしら。まあとにかくシラフでいるようがんばる。何とかアデルに会ったものの、恋人ヤニックに暴行したのがばれ、和解の機会はおじゃんに。我々から見ると何で麻薬の売人と恋愛関係になるのか、何で看護師なのにクスリをやるのか、理解できないのだが。ラスト、ジョーの前に現われた彼女は、クスリ漬けから抜け出したいから助けてくれと言っていたな。ジョーの上司は、生活を変えただけではだめ、一人はよくないと言っていたな。「ブラインドマン」もそうだったけど、向こうの人はパートナーがいないとだめみたいな言い方をよくする。一人だっていっこうにかまわないと思うが。今回も犬が出てきてちょっとした息抜きになる。ただ、碁石(だよね?)を投げるのは日本人から見るとやめて欲しいな。マークは相棒になってから二年たつらしい。普通の相棒物なら彼はもっと血気盛んで、ジョーに反発したりするところだが、大人しいものだ。若くてハンサムなので、女の子も彼になら秘密を漏らしてくれる。でも彼はそういうのは苦手。だってボクにはちゃんと愛する妻と子供がいるんだも~ん。事件の方は、ニナに隠し子がいることがわかる。その娘ジャスミンは骨髄移植を必要としていて、それで母親であるニナに連絡を取ってきたと。でも拒絶されたため、ジャスミンを心配する恋人が怒って、談判に行ったと。まあ何ですな、ニナも名声や結婚やらにはしがみつかず、ちゃんと娘と向き合えばよかったのよね。でもどうしても華やかな世界に身を置きたいんでしょうなあ。セルジュ役パトリック・バラディは「ポアロ」の「満潮に乗って」のローリーだ。
3 コンコルドの醜聞
1話、2話はそれでも何とか内容つかめたけど、この3話には降参。何が何だかさっぱりわからない・・と言うか、解決したの?ロッククライミングのインストラクターをしているベルナール。かわいい娘がいて、愛する妻のおなかには二人目。幸せなんだけど生活は苦しい。たぶんそのせいでアルバイトに手を出して・・。コンコルド広場のオベリスクのそばで死体となって見つかる。転落死と思われたが、首の骨折だけというのはおかしい。他で殺されてここへ運ばれたのか。ここでもうつまずく。オベリスクのそばに死体を置くからオベリスクが調べられる。そうすりゃ何かを取り付けたあとが見つかってしまう。ベルナールの荷物をそのままにしておくのもおかしい。リチウム電池など、ロッククライミングには無関係なものを持ってた・・となって、カメラを取り付けたのではないかとなる。そうすりゃ付近の建物でそれらしいのは・・となって、そこが調べられる。最初はそこで催されたレセプションが目的かと思われたが、隣りがホテルで、その一室で何やら危ないプレイが行なわれていたようで。監視カメラを調べると、出入りする男女がうつっていて。そのうちの一人の男のタトゥーから身元が割れ・・。ベルナールが何をうつしていたのか、なぜ殺されたのか、犯人は知られたくないはず。それなのに何でそこへ行き着くような手がかり残しておくのかいな。部屋の中は乱れていて、当然のことながら女性が拷問され、殺されたのでは?となる。ところがその女性カトリーヌは生きていた。でもここでまた疑問が。彼女は顔にアザができている。いくら危険なプレイが好きだからって顔は避けるんじゃないの?会う人ごとにどうしたんだって聞かれるはずで。彼女の境遇には気の毒な面もあるが、子供を守りたいというけなげな母親と言うよりは、自分の欲望に忠実な女としか思えない。彼女に限らず出てくる連中はろくなのがいない。それにしてもベルナールやレミを殺したのは結局誰?もう一度見て確かめるのも面倒だから誰でもいいや。カトリーヌの姑役でジェラルディン・チャップリン。ますます妖怪じみてきたな。カトリーヌの父親役の人は「D-TOX」に出ていた。今回アデルの妊娠が判明。クスリ漬けから抜け出そうという決意はそのせいか。妊娠初期にクスリやってて、異常児が生まれるのでは・・なんて心配にならないのかね。
4 アンヴァリッドの罠
アンヴァリッドはナポレオンの墓があるところらしい。そこでデュマという空軍少佐が殺される。指が切断され、はめていた指輪がとられていた。指輪を贈るような恋人がいたのか・・となって、整備兵のバロンに行き着く。しかし彼は交際を否定、アリバイもあると主張する。出てくるのは彼に不利なことばかりだが、確定的なものはなし。そのうちバロンがここへ来る前に勤務していた基地で、出入りの業者一家四人が殺され、彼が容疑者になっていたことがわかる。彼はその家の娘シリルと恋仲だったが、父親ルゴフは交際に反対。それを恨んでの犯行と思われた。ルゴフの死体は見つかっていないが、現場には彼の血があったし、脅されているような様子で金を引き出しているところが監視カメラにうつっていたから、彼も殺されたのだということに。バロンは友人がアリバイを証言し釈放されたが、地元警察のプジョル(ダニー・ウェッブ)は今でもバロンが犯人と信じている。ジョー達の調べでそのうちルゴフが生きていることがわかる。それと彼は娘と関係を持っていたらしいことも。ルゴフがバロンに罪を着せるために、髪を染め、コンタクトレンズで目の色を変え、少佐と付き合い、殺したのか。う~ん、でもルゴフとバロンでは年齢が親子ほども違うぞ。そのうちルゴフが見つかるが、彼ははめられたのだと主張。彼はバロンやその仲間にさんざんゆすられ、こうなったら警察へ行くと言ったせいで家族を殺されたらしい。自分は逃げて、ずっと隠れて暮らしているのだと。・・てことはやっぱりバロンがデュマを殺したってこと?一度自分に疑いがかかるように仕向けておいて、頃合いを見てルゴフ一家殺しが浮かび上がるようにする。ルゴフの生存を匂わせ、バロンに化けていたと思わせ、デュマ殺しの罪をなすりつけるつもりだったのか。でもなぜそんなことをする必要があるのかな。警察の力を借りて隠れているルゴフをあぶり出し、先手を打って始末するってのならわかるが、何もしてないし。バロン役ニール・ジャクソンは目が鋭く、なかなかのハンサム。よかったのはそれだけです。
5 ヴァンドームの誘惑
昔カトリーヌ・ドヌーヴ主演で「ヴァンドーム広場」という映画があったな。宝飾店に勤務するフィリップが殺される。店の金10万ユーロがどこかに送金されていて、内部に共犯者がいるのでは・・となる。それとは別に、彼の妻が身代金を要求され、警察に届けず支払っていたこともわかる。支払ったのに殺されてしまったのだ。そのうち、横領の方法を指示したのは、リストラされたガブリエルなのでは・・となるが、彼女は服役中だった。今回もあれこれややこしい。フランスでは軽い罪の場合は外出もできるのか。外出できるのなら酒場でカモを誘惑できる。共犯者がいれば誘拐や金の受け渡しができる。ケータイを持ち込められれば刑務所内から指示ができる。でも、ガブリエルは自分の子供に会いに行っていたのだった。てことはシロ?フィリップと同じ手口で誘拐されたのがバチェラー。彼の姪デジレも同じ刑務所にいた。でも何も知らないと言い張る。三人目のヴァネッサは所長を誘惑し、外出許可を出させるなどをしていて、彼女が本命だった。危ういところでバチェラーは救出され、事件は解決・・って、宝飾店送金の件はどうなったの?ヴァネッサにもガブリエルと同じ知識があったとは思えない。バチェラーが狙われたのは、デジレから情報を仕入れた?毎回いちおう事件は解決するけど、後で考えてみるとつじつまの合わないことばかり。もうちょっとちゃんとして欲しいんですけど。前回あたりからジョーはヤニックと和解し、アデルと三人で仲良くやっているが、悪党のシャルリー(ショーン・パートウィー)が何かと手を伸ばしてくる。ジョーは近頃では真っ当な暮らしをしようとクスリもアルコールも遠ざけている。それがシャルリーには気に食わないのか。ジョーにとってもヤニックにとっても弱点はアデルだ。彼女は母親の病気で金が必要になり、病院から大量に薬を盗んでいたらしい。これがばれれば刑務所行き。赤ん坊が生まれるというのにそんなことになったら・・。バチェラーの妻役の人はなかなかきれいだ。サラ・スチュワート・・「ポアロ」の「愛国殺人」に出ていたらしい。
6 マレの悔恨
マリエーヴという女性が殺される。彼女はアンティークの店をやっていて、夫には順調だと言っていたが、多額の負債を抱えていた。彼女はアメリカ人弁護士ジフキンと会う予定だったが、その前に殺されたらしい。ジフキンによれば、彼は以前ホロコースト救済事業に関係していて、マリエーヴは自分が入手した遺品を返還したいとか言ってきたそうな。最近の彼女は、戦時中のレジスタンス、ジャクリーヌのことを調べていた。当時彼女に助けられたという女性が出てくるが、演じているのは何とレスリー・キャロン。80過ぎのはずだが、しっかりしたものだ。彼女はマリエーヴに、ジャクリーヌの遺族が受け継いだというトランクのことを話す。マリエーヴがなかみを聞かなかったところをみると、すでに知っていたようで。で、今度はジャクリーヌの姪、デロワのところへ。彼女は病気で、息子がお金を工面しようとトランクに入っていたマヌカの燭台とやらを売りに出したらしい。マリエーヴは買い取ろうにも資金がなく、それで知人に80万ユーロで売れる品だからと言って、デロワ家に渡す金の半分4万ユーロを融通してもらう。でもその半金を受け取ったのに燭台がまだデロワ家にあるのはなぜ?ジフキンは、燭台は元々は自分の両親のもの、今は自分のものと主張。マリエーヴは店のことでお金に困っていたから、無償で返還なんてありえない。デロワから安く買い取り、ジフキンには高く売りつけようとしたのか。それで怒った彼が衝動的に殺人?でもはっきりした証拠はなく、決め手に欠ける。ジョーはトランクに入っていたベラドンナの粉末や、子供用の吸入器に目を止める。これらの品を見るとジフキンは喘息だったはずだが、彼は否定する。戦争による混乱、間違った記録、もしかしたら・・。後に正された記録を調べてみると、本物のジフキンは2歳で喘息のため死んでいた。自分はジフキンと思い込んで生きてきた彼はいったい誰なのか。そのために殺人まで犯してしまった。自分の存在を否定され、ショック状態の老人が哀れ。ジフキン役はサム・ウォーターストン、シャロン役は「オックスフォード連続殺人」に出ていたジュリー・コックス。
7 オペラ座の裏切り
オペラ座近くの広場で弁護士のレイモンが首に毒を注射されて殺される。ちょうど泥棒騒ぎがあり、人々の目はそっちへ。レイモンの方は誰も目撃者なし。彼はソルボンヌで教えていたが、男女を問わず学生に手を出しまくり、そのせいでクビになっていた。二ヶ月前彼と別れたリューシーが疑われるが、同じ手口で殺されてしまう。そのうちジャックという学生が疑われるが、彼はレイモンとの関係は否定。もう10年も論文製作に費やしているが、何の成果も出せないせいで、大学内に与えられていた個室を追い出される。資料に火をつけ、自分も火だるまになるが、ジョーやマークのおかげで助かる。本人は自殺するつもりだったらしいが、どこまで本気なのか。恋人のクレールは、彼がすばらしい論文を書いてると信じ、カフェテリアでせっせと働く。結局レイモンやリューシーを殺したのは彼女なのだが、動機は今いちはっきりしない。ジャックを無能呼ばわりしたから?個室に戻れるように?冒頭の泥棒騒ぎはただの偶然?そのうちジャックがとんだ食わせ者なのが明らかになる。10年もかけて序文しかできてない。しかも1ページ。あとは自分の好きな映画のリストだの、行ってみたい場所だの。個室にいる時はごまかせたけど、下宿に戻ったらそうはいかない。クレールの思い込みを利用して何年ものほほんと暮らしていた、何の才能もないダメ男。彼女が事実を知れば、レイモンやリューシー同様ジャックを殺すはず。ジョー達は罠をかける。彼の無能を知って泣いていた彼女・・車が通り過ぎる一瞬の間にスッと別人のようになる・・このシーンはとてもよかった。さて、ヤニックが殺されたせいでアデルの態度が変わる。ジョーのせいだと言い始め、家を出てしまう。何と言うか、自分がやってたこと・・薬泥棒とかは全然頭に浮かばないらしい。悪いことはみんなジョーのせいにする。あんなのほっときゃいいのよ。あたしゃそれよりもマークのことが心配。あんなふうにタンカ切っちゃって彼や家族に何かあったらどうしよう!
8 カタコンブの怪
カタコンブで微生物学者シルビーの死体が見つかる。ここに埋葬されているのは、中世のペストの犠牲者が多いらしい。で、されこうべの歯根からペスト菌のDNAを取り出して、現代の技術で・・って、あれれ、どこかで見たような。「ブラックリスト」の「ザ・フロント」と同じじゃん。シルビーには”ご主人様”がいたようだ。高級下着をたどって行き着いたのがマドレーヌという女性。最初はジョー達もうまくだまされてしまうが、実は彼女が”ご主人様”。二人は恋愛関係にあったが、マドレーヌの目的はシルビーの研究。彼女は外務次官のペパンの子を宿していた。冒頭シルビーが妊娠検査キットを踏みつけて怒り狂っていたが、自分が妊娠したのではなく、恋人の妊娠を知って裏切られたと怒っていたのだ。研究は成功したらしく、アデルが感染させられたりする。治ったようだが、赤ん坊には影響ないのか?ジョーはマドレーヌがペパンを手に入れるため、邪魔な妻子をペスト菌で殺そうとしている・・と推理。会食の会場に駆けつけると、パティシエが殺されていて。逮捕されたマドレーヌは否認しまくる。なぜかペパンは標的は他の人だったとか意味不明な理由で彼女を連れて行ってしまう。何も解決しないまま終わり。たぶんこの続きは9話で・・のつもりが製作打ち切り。製作費がかかりすぎなのと、アメリカでの視聴率がよくなかったのが原因らしいが、毎回ちゃんと見ていた視聴者だっているのだから、宙ぶらりんで終わるのはどうかと思う。別にマドレーヌが犯行認めて終わり・・でもよかったのに。変に引っ張ることなかったのに。彼女のキャラはなかなかよかったと思う。いろいろ謎めいていて、したたかでとらえどころがない。それだけに大して大物でもないペパンに執着するのはおかしい気も。ペスト菌なんていう回りくどい方法取るのも変。とは言え彼女がマリー・マドレーヌ・ドブレ・・ブランヴィリエ侯爵夫人を気取っているらしいのがうれしい。思わずジョン・ディクスン・カーの「火刑法廷」を読み直しちゃいましたとさ。このシリーズのファン(いたとして)が創作小説書きそうだな・・第9話「聖ポール街の魔女」。ペパン役はニコラス・ファレル。