ベイブ、ベイブ都会へ行く

ベイブ(1995)

これは映画館で見た。確か日本語吹き替え版。今回NHKBSでやったが、字幕スーパーだった。ベイブがさびしくて泣いていると、メスの牧羊犬フライが慰めてくれて、そのシーンでウルウルしちゃったんだけど、それってベイブの吹き替えの声が合っていたからだと思う。今回声はクリスティーン・カヴァナーという人だったけど、慣れないせいかぴんとこなかったな。収穫祭の体重あて用に連れてこられたのが子豚のベイブ。見事ゲットしたのが牧場やってるアーサー。ハムかベーコンかクリスマスのごちそうになるはずが・・。動物にはそれぞれ役割があって、それを受け入れるしかない。牧羊犬は羊を集め、牛はミルクを出し、猫はペット・・ってネズミ捕りじゃないの?豚はエサを食べて太って食料に。中にはアヒルのフェルディナンドのように、食べられるのはいやだ、役に立つところ見せたいと雄鶏のマネをしてときを告げる者も。そのうち子犬達がもらわれていき、落ち込むフライを今度はベイブが慰める。この映画が胸キュンなのは、ベイブのキャラが無垢で純粋だから。計算もなく、誰かを疑うということもない。出てくる動物はそれぞれ個性的で、犬は羊を愚かだと思っているし、羊は犬を狼と呼んで嫌っている。アヒルは騒がしいし、猫は意地が悪い。人間ではアーサーのキャラがいい。無口な正直者。木のようにまっすぐで、土の匂いのする一徹者。ジェームズ・クロムウェルを初めて見たのがこのアーサーだったので、他の映画で悪人ぽいキャラやってるとどうも違和感がある。妻エズメ(マグダ・ズバンスキー)の出番はさほど多くなく、それが二作目では逆転するわけだが、あっちが大コケしたのはそれもあるかもね。さてアーサーはベイブに牧羊犬の素質があるように思えて仕方がない。思いきって牧羊犬コンテストに出ることにするが、果たしてベイブはうまく羊を誘導できるのか。犬が走り回って追い立てるのが普通なのに、ベイブは羊にお願いして協力してもらう。パスワードの存在はずるいと思うけど、羊がしずしずと歩くシーンには涙が出てきた。今世界では他国に侵攻したり、脅しつけたりする指導者達がいる。そういう人達はこの映画を見て反省すればいいのだ。あんたら豚以下のことやってるんですぜ!

ベイブ都会へ行く (1998)

見る前の紹介記事では、一作目のほのぼのタッチとは違い、シュールで辛口ということだった。私は涙腺がゆるいので、一作目でベイブが母親を恋しがっているところでもうウルウル。牧羊犬のフライがはげますところでまたウルウル・・となったが、今回はそうでもなかった。前回一番おもしろかったのは、自分のところの豚が羊を追っているのをテレビで見たおばさんが気絶しているところだったが、今回はこのおばさんが大活躍する。ベイブもおばさんも、これでもかというくらい災難にあう。今回はチンパンジーやオランウータンが出てくるが、あまりにも演技(猿技?)がうまいので、感心するというよりも薄気味悪くなってくる。声やしゃべり方が、生きるのに疲れ、何の希望もないという感じで、動きにぴったり。おばさんはりんごのように赤いほっぺたをし、夫を心から愛している。夫はいい人だがしょせんは農場で変化のない生活を送るだけで、何か問題が起こってもてきぱきと処理できるわけではない。面倒なことや苦しいこと(この場合は借金の返済)は結局おばさんの肩にかかってくる。女性の方が現実的で実行力があるのだ。ホテルから見える風景はいろんな都市の寄せ集めだという記事があったが、左側にハリウッドの丘、右側に自由の女神、中央はニューヨークの摩天楼か。ホテルの前はベニスみたいに川が流れ、すぐ上を飛行機が低空で飛び、「永遠」なんていう看板も見える。なるほど、これはシュールだわ。アニマトロニクスだか何だかはすごい技術だが、ぬいぐるみはどんなに巧妙に動かしてもすぐにわかる。前作もそうだけど、本当に生きているものとはやはり違うのだ。騒がしいアヒルのフェルディナンドがよかった。ペリカンの口に入って都会に運んでもらうところがおかしい。ギャーギャーうるさいんだけれど、そのしゃべり方がまたおかしくていい。最後はハッピーエンドだったのでホッとした。一作目の心にじわーっとくるやさしさがなく、突き放すような冷たさの感じられる映画だった。クライマックスにハデなドタバタシーンを持ってきて、いちおうコメディーっぽくしてあるけど。何組か子供連れがいて、エンドロールのところでは早く帰りたがって動き回る。通路へ出ようとして私の足を踏む。でも幼稚園児だと人の足なのか床なのか全然区別がつかないから、母親に呼び戻されるとまた私の足を踏んで席に戻るのだ。やれやれ・・。