グッバイ、リチャード!
大学の英文学教授リチャード(ジョニー・デップ)は、突然ガンを宣告される。タバコも吸わないのにステージ4の肺ガンで、余命は治療をすれば一年からよくて一年半、しなければ半年。あまりにも理不尽に思え、口をついて出るのは「ファック!」だけ。夕食時、家族に言おうと思ったけど、娘のオリヴィアは自分はレズだとカミングアウト。妻のヴェロニカは学長のヘンリーと不倫していると言い出した。リチャードは親友のピーター(ダニー・ヒューストン)には打ち明けたけど、妻子には何も言わず、治療も受けないことにする。研究休暇を取ってどこか遠くへ行きたいが、今すぐは無理。こんなふうにある日突然自分の命が区切られたら・・。最初は怒りがわいてくる。何で自分が?現実と向き合うのがいやで抵抗する。あるいはどうでもよくなる。タバコを吸ってみる。マリファナを試してみる。酒をいっぱい飲む。ナンパする。男子学生の誘いに乗ってみる。ピーターは驚き、悲しみ、リチャードを自助グループへ連れていくが、彼は何も話したくない。死は自分の問題だ。授業だっていいかげんな気持ちで来ている者にはお引き取り願う。本当に文学をやりたい、自分についてきてくれる者だけでいい。最後に到達するのは受け入れる境地だ。それにしてもしゃべってなんぼ、主張してなんぼのお国柄だ。学生達を鼓舞し、教授達の集まりで演説し、妻と別れてそのまま消えるのかと思ったら、まだ娘がいた。同性の恋人にフラれ、落ち込んでいるのを励まし慰め、それでやっと出発だ。休暇が取れたのだ。何だかなあ・・感動しろ、ウルウルしろ、熱くなれ・・。黙って風のように消えるというわけにはいかないらしい。何か残していかなきゃならないのだ。それを助長する音楽も、ほれこの通り鳴り響いておりますで。いやまあ久しぶりのデップはよかったですよ。大冒険するわけでも大事件に巻き込まれるわけでもない・・って、死は大事件か。今すぐ死ぬわけじゃないから、最初のうちはコメディータッチ。でもそのうちガンは進行し、転移し、痛みはつのり・・。そうなるとこっちは見ているのがしんどくなる。最後は死までいかない。旅立つところまで。あの後が大変なんだけどね。ピーターのキャラがいい。妻はいるけど実はリチャードに恋していて、でも親友でいようと自分をおさえる。大きな体を縮めて教会で必死に祈ってるところなんかいじらしいくらい。