ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ
ルイス・ウェインは猫の絵で有名らしい。まあこれを見たのは公開時新聞に載った白と黒のハチワレの子猫がとんでもなくかわいかったからだけど。でも・・期待に反して猫はなかなか出てこないんだよな~。ルイス(ベネディクト・カンバーバッチ)は父親の死後、長男として一家を支えていかなければならなくなる。何もしない母親の他に五人の妹がいて、彼女達をみんな結婚させなければならない。しかし彼は絵の他に音楽に手を出したり発明家に憧れたりと気が多い。ボクシングもやる落ち着きのない性格。その彼は妹達の家庭教師として雇われたエミリー(クレア・フォイ)に一目ぼれ。身分の違いや、エミリーの方が10歳ほど年上など障害はあったが、とうとうゴールイン。ところが幸せは長くは続かず、エミリーは末期の乳ガンを宣告されてしまう。映画を見ていると結婚半年後くらいに見えるが、実際は三年ほどたっているらしい。その頃保護したのが猫のピーター。前半はまあまとまっていて見やすいが、エミリーの死後の決して平坦とは言えないルイスの後半生は、ややわかりにくい。精神的に不安定で、経済観念がない。彼が描く猫の絵は人気を博すが、版権を取ってなかったせいで、あるいは信頼できる管理人に恵まれなかったせいで貧乏から抜け出せない。妹達は身分の違うエミリーを見下す。当時のブルジョワ階級の女性は働いて自活するなんて思いも及ばなかったのか。金持ちの結婚相手を見つけることしか頭になかったのか。結局五人とも結婚できず、手をこまねいているうちに月日だけがたっていく。アメリカへ行ってるうちに母親は病死。その後ピーターも死んでしまう。ルイスはだんだん精神的に不安定に。見ていてこっちまで気分が暗くなる。いつまでたっても希望が見えてこない。でも人生ってそういうものだけどさ。もうちょっと猫が活躍する明るい内容期待していたんだけど、最後まで楽しめなかったな。人間達の混乱ぶりに比べ、猫達の何とシンプルで潔いことよ。ピーターはある日突然カーペットにコテンと横たわって死んでいる。生きて死ぬ、ただそれだけ。ルイスを何くれとなく援助してくれるサー・チャールズ役トビー・ジョーンズがいい。妹の一人キャロライン役の人は見覚えがある。「オブリビオン」に出ていたアンドレア・ライズボローだ。ナレーションはオリヴィア・コールマン。