黒蜥蜴(1968)
原作は読んだけど内容はよく覚えていない。黒蜥蜴はもっとしぶといかと思ったらあっさり・・。京マチ子さん版もあるらしいが、こちらは丸山(美輪)明宏氏版。明智は木村功氏。妖しげな秘密クラブへ来たものの、場違いな世界だと居心地の悪さを感じていた明智。そこへ妖艶な緑川夫人が登場。主題歌にもなっている歌は、題名思い出せないけど何かの映画のテーマ曲に似ている。大阪の宝石商岩瀬に届いた脅迫状。娘の早苗が狙われているらしいが、岩瀬は1億2千万もの価値があるダイヤ、”エジプトの星”が本当の狙いではと思っている。早苗役は松岡きっこさん。丸山氏は68年というと30代前半だが、やや老けて見える。松岡さんに比べるとそれがいっそう目立つ。若さってすごいよな、それだけでもう勝負に勝てる。いやもちろん緑川夫人は熟女の魅力で男達を魅了するんだけどさ。岩瀬役は宇佐美淳也氏。上品で知的なイメージあるけど、岩瀬はすぐ下地が出てしまうタイプ。早苗が誘拐されると、明智をさんざん罵倒する。いくら罵倒されても明智は表情一つ変えない。黒蜥蜴にしてやられたと見せて、実はいろいろ手を打ってある。ここらへんの、感情的になっている岩瀬の相手なんかしないで、自分の計画のことだけ考えているクールな明智はよかった。無事救出されたものの、早苗はまたまた誘拐されてしまう。ダイヤと引き換えに娘は返すという約束を破り、黒蜥蜴は彼女を剥製にして自分の美術館に飾るつもり。ここで出てくるのが三島由紀夫氏。肉体美が自慢なんだろう。黒蜥蜴の奴隷のようになっているのが雨宮。演じているのは川津祐介氏。ここで実は早苗がニセモノなのがわかる。原作読んだ時もあっけに取られたっけ。そんなに都合よく誰かにそっくりな人物が見つかるかよ・・って。黒蜥蜴でさえニセモノと気づかないほどの。本物の早苗がどうしてるかは不明。雨宮もニセモノの葉子も、共に人生に絶望し孤独な境遇。雨宮は黒蜥蜴に魅了されているけど、手の届かない熟女より、目の前にいるピチピチのヤングガールの方が、そりゃあねえ。他の出演は丹波哲郎氏、西村晃氏など。「ミラーマン」に「11PM」に「ザ・ガードマン」に「キイハンター」に「水戸黄門」かぁ・・。あと、名前はわからないけど黒蜥蜴の手下で運転手やってた人はなかなかの二枚目だったな。歯の浮くようなセリフが延々とくり返され、86分と短いわりにはだらだらした感じ受ける。でもいつでもどこでも美を意識した黒蜥蜴の衣装やふるまいを見てるのもそれはそれで楽しめるかな。