スカイ・ハイ
最初に見たのは民放。DVDで見るのは初めてかな。いちおう特典として削除シーンが二つほどついているが、どうでもいいようなもの。監督のコメンタリーとかつけて欲しかったな。ジグソーによる主題歌は何度聞いても胸キュン。歌詞は失恋を歌っているらしい、あらそうなの。サントラも買った。冒頭はオーストラリアのエアーズロック。観光バスに乗っているチャン。演じているのはサモ・ハン・キンポー。彼は「燃えよドラゴン」「死亡遊戯」そしてこれと、けっこうなじみがあった。「燃えよデブゴン」を見に行ったのもそのせい。「スカイ・ハイ」の頃はぽっちゃり体形、肥満というほどでもない。チャンは待っていた男と会う。ヘロインの取引だ。観光客の一人は連邦捜査官のテイラー。ヘリも飛んできて、一騒動。チャンは言葉が通じないので、香港から誰か来てもらうことにする。で、オープニング・クレジットであの曲が流れる。ハンググライダーを見るのは初めてだし、上空からの香港の景色は美しいし、曲は胸キュンだしで、いやが上にも期待が高まる。景色と交互にうつされるのが警察官の訓練風景。隊列を組んで行進したり。これがまた現実的と言うか泥臭いと言うか妙にマッチしている。ジミー・ウォングが銃を撃ったり格闘したり訓練をながめたりするのがまた何とも言えませんのじゃ。何しろあの童顔でしょ、かわいいったらない。動きは・・どうしたってブルース・リーと比べちゃうけど、はっきり言ってどんくさい。そこへハンググライダーが落ちてくる。ヘルメットを取ると女性で。彼女はシドニーの新聞記者キャロライン。航空法違反なのでハンググライダーは没収され、罰金も科せられる。ウォングの役は特別捜査官ファン警部。車はベンツか。キャロラインをホテルへ送り、そのままベッドイン。あらまあ・・たぶんオーストラリアとの合作で海外での公開も見すえて主人公はジェームズ・ボンドばりのモテモテ男に・・なんて考えたのかね。あ、そう言えばボンドやってたショーン・コネリーの訃報が新聞に載ってたな。話を戻してジェームズ・ボンドタイプが大嫌いな私としては、このシーンにびっくりし、失望したわけですの。ところでこのキャロライン・・後で出てきた時は別の男と一緒。つまりいかにも当時の進んだ考えの持ち主というわけだ。
スカイ・ハイ2
初対面の男性とも気軽にベッドインするが、恋に落ちたわけではなく、ちゃんと他に男がいる・・みたいな。見ている方としてはキャロライン役ロス・スパイヤーズにしろ、後で出てくるアンジェリカ役レベッカ・ギリングにしろ、もうちょっと何とかならなかったのか・・と思ってしまう。顔がよく似ていて、しかもマット・デイモン系の顔立ち。見ていて笑ってしまう。もっともウォングの方も小学校6年生くらいにしか見えず、これまた笑ってしまうのだが。結局ファンは航空法違反の件はもみ消し、ハンググライダーも戻るよう手配する。そしてチャンの件でシドニーへ飛ぶ。出迎えたのはテイラーとグロース。こういう映画の常として・・つまり相手が東洋人だとか、「レッドブル」みたいに違う政治体制のところから来るとか・・迎える側には優越感みたいなものがある。また、手柄を横取りされてたまるかというのもある。要するに早く追い返したい。チャンに会う前にお茶を飲むが、このシーンテレビ放映の時あったっけ?ファンはたまにギャンブルをやると話すが、ここらへん見た覚えなし。103分だと10分くらいはカットされていただろう。残念なことにDVDには日本語吹き替えはついていない。チャンと二人きりになるととたんに殴り合いになる。トイレがうつるので、ここにチャンが顔を突っ込まれるのは予想がつく。この映画は主題歌だけが後世に残り、映画そのものは忘れ去られてしまっているのだそうな。ヒットもせず出来も悪いから。それはそうなのだが、私自身は欠点は多いにしてもこの映画は好きである。ウォングの現代物というのが貴重だし、そこらでヒゲを生やしたむさくるしいのが戦ってるのとは違い、明るく開けたところ、しかも外国、しかも大空を飛ぶなどスケールがでかい。それにやはり白人の中で東洋人が活躍すると言うのは見ていて胸がすくのだ。ファンが締め上げてチャンはとうとうウィルトンの名を白状する。あとは裁判所で正式に証言させ、ファンに香港へ連れ帰ってもらうだけだ。証言前にチャンが殺されるのは予想がつくが、テイラー達は何の警戒もしていない。ウィルトン関係で誰かに証言させるのはこれが初めてでもあるまいに。案の定チャンは狙撃されて即死。ファンは近くのビルの上に狙撃者がいるのに気づき、追いかける。テイラー達は手錠をはずすのに手間取る。
スカイ・ハイ3
この後は追いかけっこ。お約束の展開が続く。例えばペンキの缶を持って梯子を上がる男とか、果物が地面に散らばるとか。大きなガラス板を持った男二人が道路を横断・・なんてのもよくあるが、それはなかったな。男が逃げ込んだのは調理場。もちろん中華料理だ。テイラー達はファンを見失う。「ファンはどこだ」「ランチだろう」・・もちろん調理場の次はお客がランチを取っている店内に移動しての乱闘だ。水槽が壊れるのもお約束。途中で男のズボンの尻の部分が裂けているのがうつる。そりゃこんなに激しい戦いをしていればズボンだって裂けるわな。店の中はメチャクチャで、いったい誰が弁償するのだろう。男は死亡、名前はグラントリーで、ウィルトンの関係するボディーショップや武術センターの名刺を持っていた。ウィルトンは表向きは貿易の仕事をしているが、裏では武器や麻薬の密売をしている。政治的影響力もあり、うかつに手を出せない。その彼はファンのことを聞いてすぐ排除にかかる。手下がホテルのルームサービスを装って襲うが失敗。この時のファンはダッサダサのパジャマ姿。気の利いたアクション映画ならシャワー中で腰にはタオル一枚、筋肉美を見せびらかしながら撃退・・となるところだ。翌朝、外で鍛錬するファン。「ドラゴンへの道」でのタンロンに比べると・・見事に発達した筋肉・・はどこにもなく、いたってフツー。でも私はそこが好きなんですけどね。フツーでちょっぴりダサいところが。近くで鳥が鳴く・・あれはハトかな。飛んでいるのを見てハンググライダーのことを思い出す。と言うかキャロラインのことを思い出したのかな。私は、鳥が飛んでいるのがいつの間にかハンググライダーになっていて、山の上だし朝のきれいな空気の中飛んでいる連中がいたのだとずっと思ってたけど。早速彼女に電話したのは、ウィルトンに近づきたいから。グラントリーの件でテイラー達とウィルトンのいるビルを訪ねたけど会えなかったのだ。居留守使ってるのは見え見えだったけど。関わり合いたくないと言いつつ、キャロラインはウィルトンのパーティへ連れて行ってくれる。セレブ達が集まる豪華なパーティだ。ウィルトンはすぐファンに気がつき、そのうちバトルとなる。今度はパーティ会場の破壊だ。この時一瞬うつる女性客の反応が印象的。
スカイ・ハイ4
戦いはエスカレートするが、途中でキャロラインが止めに入る。私はこの時の怒っているキャロラインを好もしく思う。さて、ウォングのアクションだが、「ドラゴン武芸帳」のところで単調だと書いたが、この映画ではいちおう蹴るシーンも何回かあった。その夜ファンは武術センターに忍び込む。よく考えると香港警察の彼にオーストラリアで捜査する権限はないはずだし、武術センターへは不法侵入していることになる。映画だからスルーされてるけど。道場は10階にあるので、雨樋か何かを伝って登っていく。ずいぶん頑丈な樋だ。下を時々車が通り、スリルを感じさせる。開いている窓から・・開いているなんて都合よすぎ・・忍び込む。この時のファンは青のジャージ姿。学校の先生みたいだ。もちろんすぐ見つかってバトルとなる。壁には「忍」とか「武」の文字、出てくるのは(オーストラリアなのに)みんな中国人。まあたいていの人はここで「ドラゴン怒りの鉄拳」あたりを思い出すのだろうが、青のジャージですからね。比べちゃいけません。多勢に無勢、傷を負って(結局何のために忍び込んだのやら)しまう。通りがかった車に乗り込み、助けてもらう。病院行きは断る。ウィルトンの手が回るかもしれないから。車に乗っていたのはアンジェリカとシンガポール出身のメイ・リン。アンジェリカの父親は獣医。何とか手当てをしてもらい、その後はラブロマンス。甘い歌声が流れ、二人が親しくなっていく過程をこれでもかと見せる。大ケガしたのにあっという間に治り(愛の力で・・なんちゃって)、傷もふさがってないだろうに水の中で戯れる。その甘ったるさに見ていてお尻がムズムズしてくる。こういうのを見てお客はうっとりするとでも?気恥ずかしさに身もだえするのは私だけ?今度の恋は本物だ。キャロラインの時とは違う。とは言えいつまでもこうしてはいられない。彼はテイラー達にも何も連絡していない。そろそろ戻らなければ。運の悪いことに道場から逃げる時、車のナンバーを見られていた。で、バイクと車二台が待ち伏せしていた。爆発物を仕かけられ、車は大破、アンジェリカは即死。悲しみと怒りで鬼と化したファンは、通りかかった車を奪い、敵を執拗に追跡。
スカイ・ハイ5
このカーチェイスはなかなか凄まじい。工事中とか、家の中を突き抜けるとかお約束も忘れない。三人ともやっつけ、いよいよウィルトンと対決だ。もちろん彼は大量の武器を持っているし、ビルの高層にある住居に侵入するのは難しい。で、ファンはキャロラインに連絡し、ハンググライダーを貸してもらう。全くの初心者が空を飛び、目的のビルの屋上に着陸するなんてありえないが、そこはスルーされる。スカイ・ハイじゃなくて、スルー・ハイだ。今度は上空から見たシドニーの景色がうつされるが、ここで「ン??」となる。「スカイ・ハイ」の曲が流れないぞ。確かここで流れていたはずだが・・。某映画サイトにも「ジグソーの歌をバックにハングライダーで敵地に乗り込むのがクライマックス」と書いてある。無事着陸し、途中足を滑らせて落ちそうになるなどヒャッとさせといて、ターザンみたいに窓ガラスぶち破って乗り込む。今回見たら意外とここのバトルは短かったな。途中ウィルトンの衣類に火がつくんだけど、レーゼンビーの髪が濡れている。まあ仕方ないよね。スタント使わず自分でやってるんだからそれくらい大目に見ましょうよ。異常に気づいた警備員達だが、堅固な作りが災いしてなかなか助けに駆けつけられないのが皮肉。駆けつけたテイラー達のところに上からスーッとファンが降りてくる。ここはカッコイイ。証拠となる麻薬とサインずみの供述書を渡す。その時大爆発が起き・・。大笑いするテイラー達と、それを見て首を振るファン。テレビ放映の時はここで終わりだったが、その後エンドクレジットで、「スカイ・ハイ」が流れる。燃えるビルがうつる。ラストシーンはシドニーのビル群。そのうちの一つからは薄く煙がたなびく。このシーンは見たことないな。てことはやっぱりDVD見るのは初めてなんだな。テレビ放映は1978年だからもう40年以上前だ。香港製の映画に比べればスマートだし、テイラーとグロースのやり取りにも細かな芸が散りばめられている。それに画面が暗くて見づらいということもない。それにしてもレーゼンビーはよくこんな役引き受けたな。彼はアンジェラ・マオの「暗黒街のドラゴン 電撃ストーナー」にも出ている。見たことないけど。